テイルズ オブ デスティニー2 ~疾空の刃~   作:トカGE

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設定覚書その12
・ホーリィボトルは中身を被るもの ダークボトルも被るもの


1-19:アイグレッテへ その1

 クレスタを出た後、カイル達は予定通り森から森へ身を隠しながらアイグレッテを目指した。もちろん森の中を行く以上、街道を行くのに比べてモンスターと遭遇し襲われる確率も高くなる。

 だが、街や小屋に立ち寄れず、薬の補充ができないこのアイグレッテへの道行きでは、モンスターとの戦いは出来るだけ避けたい。そう考えたカイル達はきっちり対策を練って来ていた。

 

「ロニ、そろそろホーリィボトルの効果切れるんじゃない?」

「だな。そろそろ新しいボトルを開けるか」

 

 それがこの『ホーリィボトル』だ。ホーリィボトルは聖水が詰められた瓶で、この中身を体に振りまくことでしばらくの間モンスターが寄りつきにくくという代物だ。聖水の製法は謎だが、街に置いてある特殊レンズの出来損ないを砕いて溶かし込んでるのではないかと言う噂があったりする。これをカイル達はクレスタの雑貨屋で出発前に買い込んできたのだ。あくまで『寄りつきにくくする』だけなので、襲ってくるモンスターが居るものの、それでも普通に森の中を進むよりは楽に進む事ができた。

 

 

 

 そして現在、二人はダリルシェイドからそう遠くない森の中で、木の上に身を潜めていた。彼らがここにたどり着いたのはを昼間だったため、予定の夜まで休憩中だ。カイルは剣の手入れ中で、ロニは道具袋を開けてホーリィボトルの残数を確認していた。

 

「ひぃふぅみぃ……残り8本ってことは7本は使ったのか。思ったよりもホーリィボトルの消費が激しいな」

「仕方ないよ。街道避けてるから必然的に遠回りになってるし」

 

 剣を研ぎながらカイルが言う。基本的に最短距離を行く街道からわざわざ離れて移動しているため、カイル達はかなり遠回りをしていた。それでも騎士団に見つかるよりはマシなのだが。

 

「しかし8本か。ハーメンツヴァレーまでもつといいんだが」

 

 ロニの予想通りハーメンツヴァレーに騎士団員が張り込んでいた場合、モンスターと戦闘になればその騒ぎを聞きつけられる可能性がある。そのため、ハーメンツヴァレーを突破するまではホーリィボトルを切らしたくはなかった。

 

「なるべく最短距離を突っ切るしかないよ、ロニ」

「まあ、そうなるよな」

 

 カイルの言葉にうなずくロニ。結局それしかないということは彼にも解っていた。その後食事をとったりしながらカイル達は夜を待った。

 

 

 

 

 

 

 夜になり、カイル達は予定通りダリルシェイド周辺を通過した。見回りの騎士を警戒しての夜間移動だったが、特に騎士に遭遇することはなかった。と言うより、見回りの騎士自体が居ないようだった

 

「おかしいな、少しは人が居るかと思ったんだが……」

「さすがに何時までもダリルシェイドの近くには居ないと思ったんじゃないの?」

「いや、それにしても見回りの騎士は何人かは居るはずなんだが」

 

 ロニが首をかしげる。ダリルシェイドは建物の大半が崩壊しており、万が一モンスターが襲ってくると大変なことになる。そのため、特殊レンズは設置してあるものの常に何人かの騎士は昼夜問わず見回っているはずだった。

 

「偶然会わなかっただけじゃない?」

「だといいんだがな」

 

 カイルの言う通りだとは思いつつも、ロニの顔は晴れなかった。だが、いくら疑問が残るとは言え犯罪者扱いされている自分たちが、ダリルシェイドに行って様子をうかがう訳にも行かない。二人はそのままアイグレッテへと向かった。そうして昼頃には二人はハーメンツヴァレーに辿りついた。 

 

 ハーメンツヴァレー。神の眼の騒乱の際に消えてしまった村『ハーメンツ』の名を残すこの谷は、ダリルシェイドとアイグレッテをつなぐ街道の途中にあり、谷の上側には双方をつなぐ為の長い橋がかけられている。橋には街の周辺に配置されている特殊レンズと同じものがはめ込まれており、橋周辺にはモンスターが来ないようになっている。

 だがレンズの効果範囲外、つまり谷の下側には多くのモンスターが生息している。さらに谷の下側には、その地形が生み出す強烈な突風が吹き荒れている。その強さは、時には人間一人を軽々と持ち上げるほどだ。故にこの谷の下側をわざわざ通る物好きは居ない。

 まあ、だからこそカイル達はあえてそこを通ろうとしているのだが。もし騎士団が配置されているとしても、通るのが困難な下側に割かれる人員は少ないだろうと考えての事だった。

 

 

 今二人が居るのは、ハーメンツヴァレーの傍にある丘の上。街道から微妙に外れた所にあるこの丘はほとんど人が来ることが無く、ロニは自主練習の時によく来ていたという。そしてこの丘からはハーメンツヴァレーが良く見える為、一度様子をうかがうためにここに立ち寄った

 この丘からなら谷にかかる橋、そしてその周りが良く見える……はずだったのだが。

 

「橋が……無い?」

 

 一目見て、ロニは異変に気付いた。"ハーメンツヴァレーに橋が掛かっていなかった"のだ。

 

「一体どうなってるんだろう」

「カイル、ちょっと双眼鏡くれ」

 

 カイルから双眼鏡を受け取ったロニがハーメンツヴァレーを見てみると、そこには焼け焦げたようは谷の残骸があった。そして谷の両側では、アタモニ騎士団の騎士達が橋の修理作業をしているようだった。

 

「なんでか解らんが、橋が落ちてるみたいだ。騎士団の連中が橋を修理してる。たぶんダリルシェイドの見回りの騎士がいなかったのは、街に最低限の騎士を残してこっちにまわしてたからだろう。橋が落ちたままだと配給品も運び込めねえからな」

 

 一応ダリルシェイドにも特殊レンズは配置されているので、街の見回りも結局『万が一』を警戒してに過ぎない。起こるかどうか解らない『万が一』よりは、目の前に確実に起きている問題をどうにかする方を選んだのだろう。配給品はある程度の量は貯蓄してあったはずが、それもいつまでもつかはわからない。

 

「にしても、何で橋が落ちてるの?」

「わかんねえなあ。なんか焼け焦げてるっぽいけど、雷でも落ちたか?」

 

 今のロニ達には橋が落ちた理由を知るすべは無い。だが、これはチャンスかもしれないと、ロニは再びハーメンツヴァレーの方を双眼鏡で見た。騎士団員は皆橋の事にかかりっきりになっている。そして橋の下側には騎士は居ないようだった。どうやら皆橋の修理にかりだされているらしい。

 

「カイル、騎士団の連中に見つからないように谷の下側へ行くぞ。今ならたぶんモンスター以外気にせずにハーメンツヴァレーを抜けられる」

「OK、急ごうロニ!」

「その前にホーリィボトルを使っておこう。何とか3本残してここまで来れたのはよかったぜ」

 

 二人はホーリィボトルの中身を被ると、身をひそめながらハーメンツヴァレーへと急いだ。

 

 

 

 

 騎士達が橋の修理に集中しているためか、カイル達は見つかることは無かった。彼らの視界を避けるように、少し迂回しながら二人は谷を降り始める。ホーリィボトルのおかげでモンスターに襲われることも無く、二人は順調に谷を降りて行った。

 だが、途中でロニが道具袋を開いた時だった。突風が吹き、ロニはそれにバランスを崩して道具袋を下に落としてしまった。

 

「あ、やべえ!」

「袋が!」

 

 急いで袋を追いかけるカイルとロニ。幸い袋はそんなに下まで落ちてはおらず、無事に回収することができたが、ホーリィボトルを始めとしたボトル系のアイテムの大半が落下の衝撃で割れてしまっていた。

 

「あっちゃ~、ビショビショだ」

「参ったな。ホーリィボトルに……ライフボトルもおじゃんか。」

「ここからはホーリィボトル無しで行かないとだね」

 

 ホーリィボトル無しで行く。それは谷に住むモンスター達にいつ襲われてもおかしく無いということだった。

 

 

 

 

「空翔斬!」

 

 鳥型モンスターのヴァルチャーの翼目がけて、高く飛びあがったカイルの剣が叩き付けられる。片翼を失ったヴァルチャーは地面へと堕ちて行った。

 やはり予想通りというか、ホーリィボトルの効果が切れてからそう時間がたたないうちに、カイル達はモンスターに襲われていた。ハーメンツヴァレーに生息するモンスターは鳥のようなヴァルチャーや亜人型……手足が鳥のそれであるオキュペテーのような飛行できるタイプと、猿型のロックハープンや岩の体を持つゴーレムのような重量級のモンスターの2系統に分かれる。そのためカイルが飛んでいる敵を、ロニが重量級の敵の相手をしていた。

 

「ロニ、そっちはどう?」

 

 空中の敵をあらかた片づけたカイルがロニの方を向くと、そちらも最後の一匹を倒す所だった。

 

「戦吼!」

 

 ロニの回し蹴りがロックハープンの顔面に叩き込まれる。思わず仰け反ったロックハープンの無防備な胴体に、戦気の塊を纏ったロニの掌底が叩き込まれる。

 

「爆ッ破ぁ!」

 

 強烈な一撃によりロックハープンの体は吹き飛ばされ、岩壁に叩き付けられた後そのまま動かなくなった。

 

「おー、今の技初めて見たよロニ!」

「へへっ、俺の進化は止まらんぜ!」

 

 ロニの新技に驚くカイル。まあ実際は騎士団に居た頃に使えるようになったものの、帰って来てから使う機会が無かっただけと言うのは内緒だ。

 そうしてあらかたモンスターを片づけた二人は、ようやく谷底までたどり着くことができた。

 

「こっから谷の向こう側まで歩いて行って、そっからまた昇ってくのか。中々しんどいね、これ」

「ま、しかたねえな。がんばろうぜ」

 

 そう言って二人が歩き出そうとした時だった。

 

「ん、何だ?」

 

 二人の進もうとした方向に人影が見えた。どうやらモンスターと戦っているようだ。騎士団の人間ではないようだ。というか二人には、その人物に見覚えがあった。正確には、かぶっている骨にだが。

 

「ってロニ、あの骨!」

「ああ、あいつだな。急ごう!」




 果たして、戦っている人物の正体は誰なのか(棒

 とりあえず、落ち着いて物書ける時間が欲しい……
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