テイルズ オブ デスティニー2 ~疾空の刃~   作:トカGE

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 最近ミストさんばっか書いててこっちの方の書き方がうろ覚えだ……気をつけんと。


1-22:バルバトス・ゲーティア

「お前はっ!」

 

 ロニははっきりと覚えていた。あの日、スタンの命を奪った男の顔を。あの時からほとんど容姿が変わっていない事に違和感を覚えるものの、今はそれを気にしている場合ではない。頭に血が上りそうになるのをこらえ、周囲に目をやる。バルバトスの傍に倒れているのは四英雄フィリア・フィリスだ。床に流れる血の量からして、傷が深い。すぐに手当てが必要だ。

 

(だが、勝てるのか?)

 

 その為には目の前の男をどうにかする必要がある。最後は卑怯な手を使ったとはいえ、あのスタンと互角に打ち合える男に自分達が勝てるのか?頭の冷静な部分が、今すぐにでも男に斬りかかりたい自分をギリギリで押しとどめていた。

 

「はあああああっ!」

 

 だが、彼の弟分はそうではなかったようだ。剣を構えるや、すぐさまバルバトスに斬りかかる。

 

「あ、おい! 待て、カイル!」

 

 ロニが焦る。あの日、スタンが殺された時には気絶していたロニでも、あの男の事は今もはっきり覚えていた。スタンが殺される現場を見ていたカイルならなおさらだろう。そんなカイルがあの男を見て、感情を爆発させても仕方ない。

 だが、そんな状態で勝てる相手ではないのも確かだ。舌打ちしつつ、カイルのフォローの為、晶術を詠唱し始めた。

 

 そんな二人を見て、男は表情を変える事なく言う。

 

「バカめ。誰だか知らんが無駄に死にに来たか!」

 

 突っ込んで来るカイル目がけ、男は戦斧を振り下ろす。だが、カイルはそれを受け流すと、勢いのまま彼とフィリア達の間に割り込んだ。

 

「フレイムドライブ!」

 

 そして着地と同時に火炎弾を放つ。目の前で放たれた晶術に、男はとっさに後ろに飛びのく。だが、火炎弾はそのまま追いかけてくる。男は戦斧でそれを受け止めると、カイルの方に目をやる。

 

「ほう、考え無しの死にたがり……という訳ではないか」

 

 男の顔が、わずかにゆがんだ。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 男を見た瞬間、カイルの頭の中は真っ白になった。あの日から一度たりとも忘れたことのない、父の仇が目の前に居る。目の前の男への殺意が抑えられない。

 だが、同時に自分の中から、『自分の怒りを優先させるな』という声が聞こえる。そんなことよりも、優先することがあると。

 

「フィリアさん!しっかり!」

 

 その声のする方を見る。倒れている女の人が見える。思考が急速に冷めていく。『自分の怒りよりも、目の前の人を助けるほうが先』だと、感情をより強い思いが塗りつぶしていく。違和感はない。自分より他人を優先するのは、“当たり前”だ。

 男目掛け駆けだす。まずは、あいつを彼女たちから引き離す。

 

「はあああああっ!」

 

 彼の心の中の出来事に気づく者など、誰も居ない。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「え!?か、カイル!?」

「また会ったね。話は後で!その人、フィリアさんだよね?手当てを!」

「は、はい!」

 

 突然現れたカイルに混乱するリアラ。そんな彼女を背に庇いながら、カイルはそう言った。その視線は目の前の男に向けられたままだ。

 

「くくく、フハハハハハ!」

 

 そんな彼を見て、男は笑みを浮かべた。それは獣が獲物を見つけた時に浮かべるような獰猛な物だった。

 

「悪くない、悪くないぞ!俺の名はバルバトス・ゲーティア。小僧、貴様の名は?」

 

 男……バルバトスの言葉に怪訝な顔をしつつ、カイルは答える。

 

「……カイル・デュナミス。貴様が殺したスタン・エルロンの息子だ!」

「ほう、どこか見覚えがあると思えばあの時のガキか。むっ!」

 

 突如バルバトスの上から、無数の光の剣が降り注ぐ。再び飛びのくバルバトス。

 

 

「はっ!ボケっとしてんじゃねえぞ青ワカメ!」

 

 晶術『プリズムフラッシャ』を放ったロニが言い放つ。彼もまた、フィリアとリアラをかばうように立っていた。 

 

「ロニ!」

「思ったよりも冷静そうで安心したぜ。二人を守るぞ!」

「うん!」

 

 ロニの言葉にカイルが頷く。

 

 

「ふむぅ、貴様アタモニ神団の騎士だな? その割には随分と卑怯な事をするじゃあないか」

「てめぇがどの口でほざきやがる!俺はロニ・デュナミス!スタンさんの仇、そしてフィリアさんにしたことの落とし前つけさせてやる!」

 

 笑いながら言うバルバトスに、ロニが怒鳴る。目の前の男の所業を考えれば、当然の反応だった。

 

 

「ロニ、行くよ!ウィンドスラッシュ!」

 

 カイルも冷静ではあるが、バルバトスに対しての怒りが消えたわけではない。それを証明するかのように、風の刃が襲い掛かる。それに合わせて、ロニが飛び出していく。

 

「いいぞ、お前たち。それでこそ楽しめる!もっと俺を、たぎらせろぉ!」

 

 そういいながら、ウィンドスラッシュに突っ込んでいくバルバトス。そのダメージをまるで意に介さず、ロニと相対する。

 

「っ、マジか!おらぁぁぁぁ!」

 

 下級とは言え晶術に自ら突っ込んでいく事に少し動揺しつつも、ロニはバルバトス目掛けハルバードを振り下ろす。それに合わせるように、バルバトスも戦斧を振り上げる。

 

「ぶるぁぁぁ!」

「うぉあ!?」

 

 戦斧を叩きつけられたハルバードは、まるで逆再生のように跳ね上げられた。

 

(何つー馬鹿力だよ!?)

 

 ロニの額に汗がにじむ。こちらは両手で振り下ろしていたのに、目の前の男はそれを片手で返して見せた。単純な筋力比べでは自分など相手にすらなるまい。

 そうして無防備になったロニの腹目掛け、再び斧を振るうバルバトス。咄嗟に柄で受けるが、大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐあああっ!」

「ロニ!変わって!」

 

 ロニと入れ替わるように、今度はカイルが前に出る。

 

「蒼破刃!まだだ!蒼破追蓮!牙連っ!」

 

 衝撃波による牽制から一気に踏込、怒涛の連撃を叩き込むカイル。だが、その連撃は全て防がれてしまっていた。

 

「速さは悪くない。だが、軽いわぁ!」

「蒼破っがっ!」

 

 そのままカイルを蹴り飛ばすバルバトス。先ほどのロニ同様、大きく吹き飛ばされる。

 

「ぐはっ!」

「カイル! ロニさん!」

 

 フィリア達の所まで吹っ飛ばされた二人を心配するリアラ。だが、今彼女はフィリアの治療中だ。彼女の傷は決して浅く無く、彼らの治療をする余裕は無かった。

 

「大丈夫、これくらい!」

「ああ。君は治療に専念を!」

 

 そう言って立ち上がり、武器を構える二人。

 

「そうだ、その調子だ。いくらお前たちが弱いとは言え、その程度でくたばってもらっちゃぁ困る

 

 今度は二人がかりでバルバトスに斬りかかる。だが、バルバトスはそれすらも軽々と防ぎ、いなし、反撃してくる。そんな中、カイルは疑問を口にした。

 

「貴様、何故英雄を狙う!」

 

バルバトスに、カイルが質問を投げかける。

 

「答えてやる義理は無い。無いが……冥途の土産だ。頼まれたからだよ」

「頼まれたって誰に!」

「そこまで答えるつもりは無い。そしてもう一つの理由はぁ!」

 

 バルバトスが今度は攻めに転じる。重さと速さを併せ持つ連撃に、先までと変わり防戦に徹するしかなくなる二人。

 

「強き者との戦いこそが、俺の飢えを満たしてくれる!もっと、もっと俺を楽しませてみせろおお!」

「くっ、速い!」

「化け物かよこいつ!攻める隙が無ぇ!」

 

 バルバトスの攻撃がさらに速度を増していく。その猛攻に、カイルとロニは少しずつダメージを受けていく。

 

「オラオラオラァ!どうした!この程度か!」

「ほう、ずいぶんと調子に乗ってるじゃないか。」

「ぬ!?」

 

 突然、バルバトスの動きが止まる。同時に、彼の周囲の地面が砕けていく。何か見えない力が上から加えられているように。

 

「エアプレッシャー。重力場による拘束だ。いくらお前でも中級晶術の不意打ちは効くだろう」

「ジューダス!」

「ぼさっとするな!」

「「おう!」」

「空破絶風撃!」

「戦吼爆ッ破!」

「ぐぉぉぉぉぉ!!」

 

 ジューダスの叱咤に、カイルとロニはすかさずバルバトス目掛け一撃を叩き込む。強烈な突きと闘気をまとった掌底を同時に叩き込まれたバルバトスは、周囲の椅子を巻き込み吹き飛ばされ、壁にたたきつけられた。

 

「というか遅くないか、ジューダス。今まで何してたんだよ」

「何、目の前でいきなりバカ二人が突っ込んでいってくれたからな。隙をつくタイミングを待って居ただけだ。」

「「バカってなんだ!」

「ああ、囮役ご苦労というべきだったか?」

「「おい!」」

 

 そんなやり取りをしつつも、3人とも視線はずっとバルバトスに向けていた。この程度で終わるような相手ならば、スタンも遅れをとったりはしなかった。

 

「く、くくく」

 

 室内にバルバトスの笑い声が響く。

 

「くはぁはっはっはっ!いいぞぉ、貴様らぁ。それでこそやりがいがあるというものだぁ」

 

 ゆっくりと立ち上がるバルバトスを見て、カイル達は再び武器を構えた。




 バルバトスさんはあほみたいに強い設定で。たぶんアンノウンくらい。
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