・カイルの実力は、第一話時点で最初の秘奥義が使える程度。強いと言えば強いが、チートと言うほどでもない感じ。
・ロニの実力はカイルより少し上。原作よりブラコンが多少薄れている。
だがふられマン。
1-1:悪夢
数年前、『神の眼の騒乱』という事件があった。世界中にシェアを持つレンズ製品販売会社『オベロン社』の総帥ヒューゴ・ジルクリストを操った、古の天上王ミクトランが引き起こしたこの事件は、世界を滅亡の危機へと追い込んだ。だが、数人の若者たちの手によりミクトランは打ち倒され、世界は滅亡から救われた。
特に、伝説の武器『ソーディアン』の
そして現在、英雄とうたわれた彼らはそれぞれの生活に戻っていた。ここは四英雄の一人、ルーティ・カトレットの故郷クレスタにあるデュナミス孤児院。ルーティ・カトレットと、その夫で同じく四英雄のスタン・エルロンが、ルーティの育った孤児院を買い取って始めたものだ。その庭先で、二人の少年が遊んでいた。
「俺は未来の英雄、カイル・デュナミスだ!」
一人は、ツンツンとんがった金髪が特徴の少年。院長夫妻の息子であるカイル・デュナミスだ。姓が両親のそれではなく、孤児院の名と同じなのは、実の子供も孤児院の子供も、皆平等に愛情を注ぐべき自分たちの子供だという両親らの考えからであり、孤児院に引き取られてきた子供たちにも同じ姓が与えられている。カイルも子供ながら、『皆家族なんだから、皆と同じで嬉しい』という理由でデュナミス姓に納得している。
なお、元も家族を大切にしたいという理由で元の姓のままを望む子供たちもおり、そう言う子供達に対しては、スタン達もそれぞれの意志を尊重している。
「いやいや、俺こそは未来の英雄、ロニ・デュナミス様だ!」
そしてもう一人は、カイルより少し年上の銀髪の少年。名をロニ・デュナミスという。彼は、スタン達が英雄と呼ばれる切っ掛けになった事件、『神の眼の騒乱』によって両親を失い、この孤児院に引き取られた少年だ。最初はふさぎ込みがちだったが、自分より小さい子供達ががんばっている姿をみて奮起。元々面倒見の良い兄貴分の素質があったのか、アッという間に他の子供達と打ち解け、最年長者であることもあってか、今ではすっかり孤児院の子供達のリーダーになっている。
そんな二人は今、『英雄ごっこ』をして遊んでいた。英雄ごっこは、孤児院の子供達の間で人気の遊びだ。時には四英雄、時には未来に英雄になった自分自身として孤児院を駆けまわっていた。
なんせ、彼らの『父親』と『母親』が世界を救った英雄なのだ。程度の差はあれ、子供達は皆英雄というものに憧れていた。特に、実の息子であるカイルと、年長者故に神の眼の騒乱のことをはっきりと覚えてるロニは特にそうだった。
その日カイルとロニは英雄ごっこをして遊んでいた。庭を駆けまわって、疲れたら家の中に入り、ルーティが作ったごはんを食べて、スタンと一緒にお風呂に入って、孤児院の皆と共に眠りにつく。この日も、そうしたいつもと変わらない日になるはずだった。
「おい、ガキども。ここに四英雄のスタンとルーティがいるはずだな?」
だが、そのいつもと変わらない、これからも続くはずだった日常は、突然現れたこの男によって終わりを告げることとなる。
その男は、一言で言うならば『青い』男だった。青く長い髪、と青紫の瞳、青や紺色、紫や水色といった青系統に彩られた服装。変わった人だな、と思いつつも、カイルは臆せず話しかけた。
「おじさん、誰? 父さんと母さんになんの用事?」
「ほう、貴様スタンとルーティの息子か」
「おい待て、カイル。そいつ、なんかわかんないけどヤバい!」
目の前の男から何かを感じ取ったロニは、カイルの腕を引いて男から距離を取ろうとした。何か危険だ、この男の傍に居てはいけない、カイルを逃がさなければ、とそう感じた。だが、ロニの努力むなしく、男はカイルの腕を掴み引きあげた。
「い、痛いよおじさん!何するんだよ!」
「おい、カイルから離れろ!」
カイルを助けようと、ロニが男に飛びかかる。だが、体格が違いすぎた。男は周囲を飛び回る虫でも掴むかのようにロニの頭を空いた手でつかむと、一蹴りでロニを吹き飛ばした。地面に叩き付けられ、気絶するロニ。その姿に、カイルは激昂し殴りかかる。
「ロニ! この野郎、離せ! 離せよ!」
「ふん、貴様の拳など痛くもかゆくもないわ! 居るのだろう? スタン・エルロン! ルーティ・カトレット!」
スタンらの名を呼びながら、男はカイルを見せつけるように掲げた。
「早く出て来い! さもなければ貴様らの息子をくびり殺すぞ!」
笑いながら自身を殺すと言い放つ男の姿に、怒りに燃えていたカイルの心も次第に恐怖に蝕まれていく。無理もない。まだカイルは幼子という言葉がふさわしい年齢だ。そんな子供に、このような状況に陥って怖がるな、という方が無理だろう。
「助けて! 父さん! 母さん!」
そして恐怖が限界を超えた瞬間、カイルは父と母に助けを求めていた。助けを呼ぶ息子の声を聞き、孤児院の中からルーティが、続いてスタンが姿を現す。
「カイル、どうしたの………ってあんた、うちの子たちに何してンのよ!」
最初は転んで怪我でもしたか、あるいは木にでも登って降りられなくなったのかと呑気にしていたルーティも、状況を確認するや否や、足元にあった木の棒を持って弾丸のように男に向かって駆けだした。
「っ! カイル、ロニ!」
同じく状況を理解したスタンが、詠唱をしながらルーティの後に続く。
ルーティは勢いをそのままに男の足を棒で撃ちすえ、そのまま相手の背後に回り込んだ。
「スナイプロア!」
その勢いで体をかがめると、その反動で跳躍しながら今度はカイルを掴んだ腕に棒を激しく叩き付けた。男はわずかに苦悶の表情を浮かべ、カイルを掴む腕を緩める。その隙にルーティは、カイルを奪い返すことに成功した。カイルをしっかり抱きかかえると、そのまま男を蹴って反動で今度は倒れているをロニの所へ向かう。
「ぬう、貴様!」
「させるか! フレイムドライブ!」
男はルーティを追おうとするが、それを詠唱が完了したスタンの放った『疑似』晶術が阻む。疑似晶術はその名の通り、嘗てスタンらが使っていたソーディアンの力である『晶術』を解析し生み出されたものだ。高純度レンズから術者が晶力を引き出すことによって放たれるそれは、意志を持ったレンズそのものとも言えるソーディアンと術者が同調することによって放たれる『本物の晶術』ほどの威力は無く、詠唱時間も長いが、それでも相当の威力を持っている。スタンが放った『フレイムドライブ』は誘導性を持つ3つの炎球を打ち出す術だ。いくら『疑似』とはいえ直撃すればその炎はそびえたつ木の1本くらいなら容易に燃やし尽くす火力を持つ。。だが、男はどこからともなく戦斧を取り出すと、鬱陶しいといわんばかりに3つの炎球を全て斬りはらってしまった。だが、男が炎球に気を取られた隙に、スタンはその懐に飛び込んでいた。
「まずは子供達を傷つけた分を返させてもらう!」
「かはっ!」
男の腹にスタンの拳が突き刺さる。無防備だったそこに強烈な一撃を受けた男の口から空気が漏れる。くの字に折れ曲がった男の胴体目がけ、スタンはさらにもう片方の拳を叩き込む。それと同時に、闘気の塊が男目がけて解き放たれた。
「獅子戦吼!」
スタンが放った獅子の形をした気の塊は、男を激しく吹き飛ばした。地面をバウンドし数メートル先まで飛ばされた男はピクリとも動かない。だが、スタンは経験からかあるいは直感からか、これで終わっていないと感じていた。
「息子は返してもらったぞ。ルーティ、カイルとロニを連れて下がっててくれ! 他の子たちにも絶対外に出ないように伝えてくれ!」
「うん、解った。でも気をつけてスタン」
そう言ってルーティは倒れた男を見た。
「あいつ、強いわよ」
男をにらみつけながら、スタンはルーティに孤児院に退避するよう促す。ルーティはそれに従いカイルとロニを抱え孤児院の中に避難し、わスタンに剣を投げ渡す。本来なら共に戦いたいところだが、今は子供達が優先だ。それに、ルーティも伊達に四英雄とは呼ばれていない。スタンが感じ取っていたものを、彼女も感じていた。
「さすがだな、スタン・エルロン。そしてルーティ・カトレット。正に英雄と言ったところか」
スタンが剣をキャッチするのと、男が立ち上がるのは同時だった。少しは堪えただろうとスタンが思っていた先ほどの獅子戦吼も、男にとっては大したダメージにはなっていなかったようだ。男の顔には、まるで新しいおもちゃを見つけたような笑みが浮かんでいた。
「はあ、英雄になった覚えはないって何時も言ってるんだけどな。それで? お前の目的はなんなんだ? 物取りだったら、正直うちに金は無い。むしろ欲しい。腕試しだったら、うちの子供達に手を上げるなんてふざけたことしてくれた以上、全力でお相手するぞ」
そう言うとスタンは剣を抜き放ち、構える。口ではやれやれと言った感じだったスタンだが、その目は真剣そのものだった。先ほどの獅子戦吼は全力、とまではいかないもののかなりの力を込めて放った。それを受けて平然と立ち上がってきた目の前の男は、間違いなく強いと確信していた。
「知れたことぉ」
そう呟くと同時に、男はスタン目がけて駆けだした。
「貴様らのぉ、命よぉ!」
何のためらいもなくスタンに切りかかる男。
「く、こいつ!」
咄嗟に剣で男の斧を受け止めたスタンだったが、男の猛攻は続く。
「ぶるぁぁぁぁぁぉ!!!!」
まるで理性がない獣の如く繰り出される斬撃が、スタンに襲いかかる。だが、スタンも伊達に神の目の騒乱を戦い抜き『四英雄』と呼ばれてはいない。相棒であるソーディアン・ディムロスを失ったことで、強力な晶術とそれを用いた奥義を使えなくなったスタンだったが、彼自身が磨いてきた剣の実力は変わる事なく、むしろ失ったものを補うためにさらに修行を積んだ彼の総合的な強さは、決して昔のそれに劣るものではなかった。
「おりゃあ!」
数発の斬撃を剣で弾き返した後、わずかに速度が落ちた男の戦斧の刃を、スタンは剣では無く素手でつかんだ。本来ならばつかんだ手ごと叩き斬られていただろうが、彼の手はレンズから引き出された晶力で包まれていた。晶力に阻まれ、スタンの手をほんの少し切り裂いた所で止まる斧。
「灼光拳!」
その瞬間、スタンは晶力を文字通り『爆発』させた。その爆発は斧を破壊するほどのものでは無かったが、斧を吹き飛ばすには十分だった。男は堪えて斧を何とか離さずに済んだが、そのせいで体は無防備になってしまった。当然、そんな隙をスタンが見逃すはずはない。
「飛燕連脚!」
のけぞった男の胴体目がけ、飛び蹴りを放つ。だが、男は斧を持っていない腕でスタンの足を掴むと、そのまままるでボールを扱うかのように彼を宙に浮かせた。
「なめるぅぅぅぅなぁぁぁぁ!」
「ぐはっ」
無防備に宙に浮くスタンの背中に、男の力任せの蹴りが叩き込まれる。まるでボールのように真上に蹴り上げられたスタン目がけて、男は素早く追撃の疑似晶術を唱えて解き放つ。
「シャドウエッジ!」
地面から突き出した影の刃がスタンに襲い掛かる。
「鳳凰!」
だがスタンは、空中で体を捻り無理やりそれを避けた。僅かに腹を切り裂かれたものの、大した怪我を負わなかったスタンはそのまま剣を男目がけて突きだした。
「天駆!」
鳳凰の姿を模した晶力の炎を纏い、剣を突き出した体制のまま男目がけて突撃するスタン。本来ならばこの技や先程の灼光拳のような、複雑な晶力制御を駆使した技はソーディアンによる晶力制御あってのものだ。だが、スタンは修行により少々威力は下がったものの、それらの再現に成功していた。晶力を使って属性を持たせた技は昔から存在したが、それよりも複雑な制御を必要とするであろう奥義の数々を劣化とは言え再現して見せるあたりさすがと言ったところか。
「くぬぅぅぅぅ!」
だが、不意討ち気味に放たれたそれを男はぎりぎりで避けた。スタンは地面に着地すると、素早く男に向き直った。
「やるな、あんた。俺の家族に手を出してなかったら、素直に賞賛してやるところなんだけどな」
「ふん、貴様こそさすがと言ったところか」
この僅かなぶつかり合いで、スタンも男もお互いの実力を把握していた。少しでも油断したら方が負ける、とお互いが思っていた。
男の実力はスタンとほぼ同等だった。しかし、戦いが始まって数十分。戦いの天秤は、少しずつだがスタンの方に傾いてきていた。
「虎牙破斬! さらにフレイムドライブ!」
「おのれぃぃぃ、小癪なぁああ!」
「まだまだいくぞ! 蒼破刃! デルタレイ!」
「くっ、ネガティブゲイト!」
スタンはソーディアン・ディムロスと共に戦っていたころは、剣技の隙を術でカバーするような戦い方をしていた。だがそれは、意識ある剣であるソーディアンが詠唱を補助してくれていたからであって、全てを術者が制御する疑似晶術で出来るようなことではないはずだった。だが、ソーディアンと共に戦っていた時と同じようなことができないかと試行錯誤を重ねていた。その結果編み出したのが、詠唱を終えた晶術をレンズ内に待機させ任意のタイミングで解き放つというものだった。
数年後にアタモニ神団の研究者が開発し、連携発動と呼ばれ世界に広まることになるそれと同じものを編み出していたスタンと、ただ斧技と晶術を個別に使う男の差が今の状況を生み出していた。
あくまで体術は体術、晶術は晶術と別々に使う男に対し、スタンは剣技で相手の隙を誘い、そこに晶術を叩き込んだり、あるいは自身に生じる隙を晶術で消したりしているのだ。
男の顔には、最初のような笑みではなく焦りが浮かんでいた。だからだろうか、孤児院の中からそれを見ていた彼の家族は彼の勝利を疑いはしなかった。そして結果、それは起こってしまった。
「がんばれ父さん! 負けるな!」
父の勝利を確信したからの油断からだろうか、カイルはルーティのいいつけを破り、孤児院から出て父を応援しに行ってしまったのだ。ルーティがカイルから目を離したことを悔やむが後の祭りだ。慌ててカイルを追いかけるルーティ。それを見た男が邪悪な笑みをうかべる。そして、手にした斧を振り上げた。それを見て、スタンに悪寒が走る。
「ジェノサイド……」
「カイル!ルーティーーー!!!」
「ブレイバぁぁぁぁぁ!!!」
青い男は戦っていたスタンではなく、カイルとルーティ目がけて斧を振り下ろした。振り下ろされた斧から放たれた、巨大な闘気の刃が二人に襲い掛かる。立ちすくむカイルと、追いつきカイルを庇うように抱きしめるルーティ。
「カイル、貴方だけでも!」
(ごめんなさい、母さん……!)
その圧倒的なまでの暴力に、カイルは母親に謝ると共に、激痛と共に来る己の死を覚悟した。
「うわあ!…あ、れ?」
だが、予想された痛みは何時までも来なかった。
「がはっ!」
それもそのはず、父であるスタンが、彼らの身代わりになったのだから。
「とう、さん?」
「スタン………? 嘘でしょ、そんな………嫌ぁぁぁぁ!!!」
崩れ落ちそうになる体を、剣を杖替わりにして支えるスタン。だが、その体は流れる血で全身真っ赤に染まっていて、誰が見てももう長くないと解ってしまうほどだった。
「甘い、甘すぎるぞ。スタン・エルロン!」
そう言って、スタンに歩み寄る男。とどめをさそうと男が斧を振り上げたその時だった。
「う、うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「何ぃ!?」
既に瀕死と言っていい体のどこにその力が残っていたのか。男の一撃はスタンにはじかれる。そのまま、連続で男を切りつけていくスタン。
「■、■」
もう声を出す力もないのか、もはや技の名前すら聞き取れない。だが、その剣筋だけは確かな、力強いものだった。
「■、■、■!!!」
そうして最後の切り上げで体を大きく切り裂かれた男が地面に倒れるのと、最後の一撃を放ったスタンが倒れるのは同時だった。急いでスタンに駆け寄り、回復晶術をかけるルーティ。だが、スタンから流れる血は止まらない。それでも、ルーティはひたすらに術をかけ続ける。
「父さん、ごめんなさい。俺、俺………」
そう言って泣きじゃくる息子の頭を撫でながら、スタンは何かを息子に呟いた。
「………」
だが、それが何なのか、『今』のカイルには思い出せなかった。
「くそう、俺が、俺が・・・!」
そこで『映像』が終わる。これは夢だ。『今現在の』カイル・デュナミスが見ている『スタンが死んだ日』の記憶であり、あの日から幾度となく見ている悪夢であった。あの後、気づいたときにはスタンの葬儀も何もかも終わっていた。母ルーティも表面上は平気な振りをできるくらいにはなっていた。そのせいで、本当は何もなかったんじゃないかと思ったこともあった。だが、体にかかった血の生温かさが、血の匂いが、スタンの最後の手の感触が、そして母が時折隠れてあげていた慟哭が、それが夢ではなく現実にあったことだと思い知らせた。
「せめて夢の中でくらい、父さんを助けられてもいいじゃないか………そんなのも許されないのか?」
この夢の中で、彼はこれが夢だと自覚している。そして映像の中の自分や父親に何度も声をかけるが、その声が届くことは今までなかったし、これからも無いのだろう。何故ならこれは、『もう終わってしまった出来事』だと、カイル自身自覚しているからだ。起こったことは変わらない。自分のせいで、父は、偉大な『英雄』は死んだのだ。この夢を見るたびに、カイルはそれを思い知り、己を責め続ける。目が覚めるまで、ずっと。
「秘技、死者の目覚め!」
「うわあ!」
突然耳元で鳴り響く轟音にカイルは飛び起きる。フライパンとお玉を打ちならす。これぞ叔母リリスから母ルーティに受け継がれた伝統の技、『秘技・死者の目覚め』。どんなに寝起きの悪い人でも一発で飛び起きるという最強技だ。スタンに似て、寝起きが凄まじく、悪いカイルは、これによって起こされるのが1日の始まりになっていた。
最も、あの悪夢を見た日はこれを受けなくても朝になったら目覚めるのだが、母に心配をかけないように、わけでは と寝坊したふりをしていた。
「さあ、朝ごはんよ。はやく顔洗ってらっしゃい」
「わかったよ、母さん」
そういって下に降りていくルーティを見送りながら、カイルは夢の内容を思い返す。
「わかってるよ、父さん。俺がみんなを守るんだ。英雄だった父さんの代わりに、俺がみんなを助けなきゃいけないんだ」
そう呟く言葉は、本当に亡き父親に向けたものなのか。みんな、が一体誰を指しているのか。それはカイル自身にもわかっていなかった。
アタモニ神団の騎士団に所属しているロニが久しぶりに帰ってきたのは、この翌日のことである。
と言うわけでこの作品でのスタンの死因はカイルを庇ったからです。そのせいで他者を守る、助けると言うことに自覚なしに執着しています。今は孤児院から離れていないから、家族に過保護なだけですんでいますか、旅に出た後どうなるかは、お楽しみ?と言うことにしておいてください。…書ききれるかなちゃんと。