テイルズ オブ デスティニー2 ~疾空の刃~   作:トカGE

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設定覚書3
・アタモニ騎士団はアタモニ神団の下位組織で、モンスターを討伐して人々を守るのが仕事。
・それとは別に、エルレインの親衛隊も存在する。


1-3:デュナミス孤児院の近況

 街に着いたロニはカイルを起こすと、子供達を先に帰らせてクレスタの町長宅へ向かった。街の近くにモンスターが現れたことを報告するためである。

 ロニの報告を受けた町長の手配で、すぐに数人の腕っぷしに自信がある男たちが集められ、その日のうちに調査隊が編成され出発することになった。既に日は落ちかけて空は薄暗くなっていたが、夜の間にモンスターがさらに侵入するのは避けたかった。

 とりあえずオウルベアが現れた場所を知っているロニが先導してその周辺を調査したところ、すぐに破損した特殊レンズが見った。それを予備のものと交換し、他に入り込んだモンスターが居ないか森の中を見回った後、皆はクレスタの街に戻った。幸いにもあのオウルベア2体以外にモンスターが入り込んだ形跡は無かった。どうやら最初に入り込んだのがあの大型なオウルベア達だったおかげ……と言うのも変だが、それにより小型モンスターが近寄らなかったようだ。ちなみに倒したオウルベアの死体は街の方で引き取られ、後日孤児院の方に代金が払われることとなった。

 

 

そして現在。

 

「ロニっ! あんたね、もうちょっと手紙だすとかくらいしなさいよ!」

「ぎゃああああ! る、ルーティさんごめんなさぁぁぁぁい!」

 

 ロニはルーティに愛の関節技をかけられているのであった。アタモニ騎士団に入った当初は、ロニも孤児院にこまめに手紙を出していたのだが、元々手紙を書くのが苦手なロニ。騎士団の任務が忙しくなったこともあり、今では年に3通(年始、夏、年末)出すか出さないかくらいになっていた。

 ロニが帰って来たあたりでちょうど目が覚めたカイルの目に飛び込んできたのがこの光景だったため、しばらく彼が混乱したりしたのだがそれは置いておく。

 

「ちょ、痛、痛いです! ルーティさん、そろそろキツいでヤバいです!」

「騎士団で鍛えてる割に情けないわねえ。ほらほらー、まだまだ行くわよー!」

 

 はたから見ればただのお仕置きにしか見えない。だがルーティはカイルらに、

 

「便りがないのは元気な証拠! ロニも頑張ってるのよ」

 

と笑いながら言っていたので、これはただの愛情表現なのだろうとカイルは思った。

思ったのだが、ちょっとばっかりロニの悲鳴がマジになって来たような気がする。さすがに子供たちも心配になってきたのか、カイルに伺いを立てる。

 

「ねえ、カイル兄ちゃん、そろそろ止めたほうがいいかな?」

「ま、まあ母さんも加減はしてるさ。うん、たぶん」

 

 そう、これはちょっと不器用な愛情表現。ロニの顔がちょっと青くなった気がしても、愛情表現なのだ。おそらく。たぶん、きっと。

 

「る、ルーティさん! 人間の、人間の関節はそっちには曲がらな……みぎゃーーー!!!」

 

 ロニの体から、鳴ってはいけない音がしたのは気のせいだ。そう思い込むことにして、カイルは他の子どもたちと一緒に、夕食の用意を始めるのだった。せっかくロニが帰ってきたのだ。少し豪華な食事にしよう。後、見てただけだったロニへの謝罪も込めて。

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ、さすがルーティさんの関節技。一晩経ってもまだ体にロープが巻き付いてるような感覚があるぜ」

「なら、次からはもうちょっと細目に手紙出せばいいと思うよ」

 

 次の日、カイルとロニは二人で孤児院の建物を修理していた。日ごろからカイルとルーティ、孤児院の子供たちで補修作業はしているものの、やはり女子供。どうしても力が要るところや、高い所は後回しになってしまいがちだ。そういったところは後ほど街の男衆に手伝いを頼むのだが、今回はそろそろ頼もうとしていたころにロニが帰ってきたため、彼にお鉢が回ってきたのだ。

 

「ごめんね、ロニ。帰ってきたばかりだって言うのにさ」

「なあに、構わねえよ。愛しい我が家の修理くらい、いくらでもやるさ」

 

 申し訳なさそうにいうカイルに、笑顔で返すロニ。現在二人は、雨漏りが起こっている屋根の修繕中。とんてんかんてんと、釘を金槌で打つ音が響く。下の方では、子供たちが金槌の音に合わせて唄を口ずさんでいる。

 

「しかしこの孤児院も変わらねえなあ。」

 

 相変わらずぼろぼろだ、と笑うロニに対しカイルは、

 

「変わってなくないよ。この前雨漏りが3つも増えた。」

 

 と同じく笑いながら返す。そうして二人でひとしきり笑った後、盛大にため息をついた。さっきから覚えているだけでもう5回も似たような会話をしている。もしかしたらそれ以上かもしれない。カイルが上で穴をふさぎ、ロニが下から板等の材料を運ぶ。そんな感じで既に2時間は作業しているのだが、まだ半分くらいしか終わっていないという事が、建物のボロさを物語ってしまっている。

 ここデュナミス孤児院は、カイルの両親であるスタン・エルロンとルーティ・カトレットが、もともとここにあった古い孤児院を買い取りスタートさせたものだ。聞いた話によると、カイルの両親がここを買い取った時、かなりすごいことになっていたらしい。それを、スタンとルーティ、そしてその友人らががんばって直したのだという。つまりは元が相当ボロボロだというわけで、ここまでもっている方が不思議なくらいなのかもしれない。

 

 ちなみに孤児院の経営資金は、基本的にルーティとカイルのモンスター討伐による報奨金やモンスターからとれるアイテムや素材、レンズの売却(昔より価値は下がったものの、未だに売れる)、ロニたち孤児院出身の年長者たちの仕送り(ルーティは最初は『親が子供にたかれるか!』と断ろうとしたのだが、皆の『チビたちの為』と言う言葉や熱意に押され、結局各々が無理がない範囲でと言うことで受け入れた)や寄付金(四英雄が経営するという理由での各国からの寄付金は、『それぞれの場所で苦しんでいる人々に優先して使ってくれ』と拒否したが、個人レベルの物はありがたく使わせてもらっている)によって賄われている。

 ちなみにルーティらが買い取った時点で『公営』ではなく『私営』の孤児院になっているため、街の方からは予算は来ていない。当時の町長が孤児院を潰そうとしていたからしかたなかったらしいのだが、ままならないものである。

 そうして孤児院に集まるガルドは決して少ない額ではないのだが、育ち盛りの子どもが多い関係上、どうしても衣食に使われる率が高くなり、住は後回しになってしまうのであった。建物自体が住めないほどボロボロというわけでもないのでなおさらである。

 

「現状でもまあ問題はないと言えばないんだけどね。食うに困ってるわけではないし。でも、さすがにもう5年もするとやばいかも。」

「だなあ、雨漏りで屋根が腐って落ちたりして。」

「さすがにそこまではいかないでしょ、たぶん。いや、でもなあ」

 

 実際に修理してみると、やはり限界は近いように思えてしまう。少なくとも、自分たちの素人修理ではきついものがあるとカイルは思っていた。

 

「やっぱり一度、大規模の修繕するか、そうでなけりゃ立て直すしかないかねえ?」

「うん、でも問題がいくつかあるよね」

 

 そう、この孤児院を立て直すにあたっての問題はさしあたって二つ。一つは、ルーティの気持ちだ。この孤児院はもともとルーティが幼いころ暮らしていた場所でもあり、だからこそ彼女は、スタンと二人でこの孤児院を買い取り再建したのだった。彼女にとってここは、故郷であると共に、亡き夫スタンの思い出が詰まった場所でもあるのだ。

 頭では取り壊して立て直すのが最善とわかっていても感情は別だろう。実際カイルは、街の人達との会話で建て直しの話題が出るたびに、母親の顔が微妙に曇るのを何度か見ている。

 ちなみにカイル自身は建て直しに関しては賛成寄りの中立派だ。確かに父スタンとの思い出もある孤児院の建物で、カイルもそれなりに思い入れはある。だが、自分より小さい子供達になるべく綺麗な建物で生活させてやりたいという気持ちも確かにあるのだ。。

 そして、問題がもう一つ。ある意味こっちのほうがキツイ。

 

「まあ、最大の問題は金だな。ガルドがあるなら、そもそも俺らがこんなちまちました修理とかしてねえよ」

「デスヨネー」

 

 そういって二人は肩を落とす。所詮この世はお金なんだねーと遠い目をする二人だった。

 今ならきっと、かつてルーティが使っていたという伝説の技『サーチガルド』だって使いこなせる気がする。

 ちなみに本人は、

 

「今はさすがに恥ずかしくてできないわよ。」

 

と笑って言うが、カイルとロニは知っている。今でもたまに人目につかないところで、

 

「いっただき!」

 

と声を上げていることを。本人のプライドの為に黙っているが。子供たちが知っているということを彼女が知った日には、色々と悲しい事が起こるだろう。具体的にはロニの関節がご臨終するとか。

 

「この話はひとまず置いておこうぜ。なんか考えれば考えるほどネガティブになって行く」

「そ、そうだね。何か話題話題…そうだ!ロニ、仕事でこっち来たって言ってたけど、どんな仕事だったの?」

 

 暗くなった雰囲気を切り替える為に、気になっていたことをロニに尋ねるカイル。ロニの就職先はアタモニ神団の総本山である、アイグレッテに存在するアタモニ騎士団である。

 セインガルド王国の崩壊後、王国の元騎士達が難民たちを守るために結成した自警団が元になっているこの騎士団は、人々を守る意思さえあれば誰でも入団できるというものであり、アタモニ神の名を冠してはいるものの実は入団条件に信仰は含まれておらず、ロニも実際信徒と言うわけでは無い

。最も、今この大陸で最も信仰されている神がアタモニ神である以上、騎士団員も基本的にその信徒である事が多いのだが。

 それはさておき、アタモニ騎士団の任務は主に二つ。アタモニ神団の司祭が遠出をするときの護衛、そして街や街道周辺のモンスターの討伐である。命を懸けて人々の安全を守る。そんなアタモニ騎士団がくるのだから、何かしら起こったというのは用意に想像つく。

 まあ、仕事を終えたロニが大した怪我もしておらず、こうして孤児院への帰郷ができるくらいだし、そこまで大事でもなかったのだろうとカイルは判断した。

 その結果が、話題転換の為のこの質問だったのだが、ロニのことだから仕事内容を面白可笑しく語ってくれるだろうと言うカイルの期待と裏腹に、ロニの表情はますます暗くなってしまった。

 

「えーっと……ロニ、どうしたの? なんか余計暗くなってるけど」

「あー、悪い。ちょっと嫌なこと思い出してな」

 

 そういうとロニは、しばらく考え込むようなそぶりを見せた後、真剣な顔でトンデモない台詞を口にしたのだった。

 

「カイル、俺、もしかしたらアタモニ騎士団やめるかもしれねえ。」

「は?」




ロニ、アタモニ騎士団やめるってよ(違

神団の下位組織であるアタモニ騎士団ですが、命を懸けてモンスターと戦う関係上、倒したモンスターから得られたレンズやアイテムなどの利益(と言っても、市場価格を崩さない程度に安く売りはらわれているが)から、それなりの賃金が支払われています。
 とはいえ、騎士団もアタモニ神団の所属には変わりない。当然騎士団員もアタモニ神団の教徒が多く、団員の金の使い道は大抵神団の方への寄付、あるいはロニのように故郷の家族への仕送りであることが多いのですが
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