魔法科高校で龍は生きる   作:ドンマッシュ

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まーた間が開いてしまいました、ドンマッシュです。

いや、本当にすいません。リアルが中々忙しかったのと、話がまとまらなくてあーだこーだ言いながら話を作っていました。何故か全然まとまらなかったんです。

ちょっと今回は不完全燃焼、蓮司君らしさも出せたか微妙です。ですが一応話がまとまったので投稿しましょう。間が開きすぎてはいけませんな。

それでは、どうぞ!


2‐12 九校戦の始まり

懇親会で衝撃的なことはあったが、そんなことは関係なく翌日から九校戦は開幕された。

九校戦の観戦客は10日間で延べ10万人、1日平均1万人のギャラリーの観客が集まることになる。有線放送の視聴者は軽くその100倍以上にはなるだろう。

それだけ多くの人が注目する中、規律を重んじた開会式も静かに終了し、ついに初日の競技が開始された。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

初日は本戦男女スピード・シューティングの男女予選から決勝まで、そして本戦男女バトル・ボードの予選が行われる。注目されているのはやはり第一高校。特に、3年生の真由美と摩利が出ることもあってより注目度が高くなっている。両名とも九校戦で実績を残す実力者であり、さらにはその容姿も相まって人気が高いことも理由だった。

 

「帰りてえ…」

「自分の種目どころか何も始まってないだろうに…」

 

場所は変わって観客席。蓮司は達也たちいつものメンバーと試合を見るために集まっていた。しかし他の面々が楽しみな表情を浮かべている中、蓮司だけはゲンナリした様子だった。

実を言うと、蓮司は一部の試合を除いて今日はそこまで熱心に観戦するつもりはなかった。本当であれば今日は適当に過ごし、屋台が出ているそうなのでそこで買い食いをする予定だった。

では何故ここにいるのか。それは懇親会の際の公開説教が理由だった。

 

流石に好き勝手やりすぎたと自覚のあった蓮司は、真由美からの説教をおとなしく聞いていた。その中で、蓮司は真由美と以下のような約束を交わした。

 

①大会期間中は余程のことがない限り1人で過ごさないこと。

②他校の生徒相手に挑発的な行動をしないこと。

③生徒及び大会関係者に危害を加えないこと。

④1つ破る度に真由美の言うことを1つ聞くこと。

 

4つ目は恐らく真由美の個人的恨み兼要望も混じっていただろうが、大会期間中は原則1人で過ごすことを禁止されていた。よって達也たちとともに観戦することとなった。

 

「はあ~~~~~~~~~~~~~~~………」

「そ、そこまで溜息つかなくても…」

「見ることも勉強になるよ?」

 

テンションが駄々下がりの蓮司をほのかと雫がなんとか宥めていた。

 

「蓮司、すげー萎えてんな…」

「まあ、いい薬になったんじゃない?昨日のはあたしもその場にいたけど生きた心地がしなかったわよ」

「あはは…」

「…あの時と同一人物だと思えないね…」

 

二科生組(レオ、エリカ、美月、幹比古)は同情しつつも自業自得のため慰めることは出来なかった。ちなみにこの4人はエリカのコネによりホテルスタッフのアルバイトとして現地入りしていた。昨日の懇親会でもエリカと幹比古がホール、レオと美月が裏方として働いていた。

 

「…はあ。龍童君、いい加減にしてください。今回に関しては完全にあなたが悪いです。それに当校の生徒であれば先輩たちの応援をすることは当然です。ちゃんと集中してください」

「深雪の言う通りだ。それに会長にはマルチスコープがある。最悪、試合をしながらこちらも見られているぞ。小言を受ける前にシャキッとしろ」

 

そこで深雪が溜息をつき、達也とともに蓮司に注意をした。ちなみに蓮司のお目付け役に選ばれたのは達也と深雪だった。ついでに言うと、そのサポートとしてほのかや雫もつくこととなっている。

 

「分かってるっつーの…だから大人しくここにいんだろーが…」

 

そこでようやく蓮司は姿勢を正した。流石にずっとだらけているわけにはいかなかったのもあったが、理由は他にもあった。

 

(十師族の会長、そしてそれに匹敵する委員長…その力、じっくり見せてもらおうか)

 

元々蓮司は、九校戦開催期間中に真由美、摩利、そして十文字の試合をどこかで見るつもりだった。三巨頭と呼ばれる3人の実力は第一高校はおろか全魔法科高校生の中でも群を抜いて高いと言われている。しかし実際にその実力は見たことがなかったためこの3人の試合は少し楽しみにもしていた。あくまで、今日はそのつもりがなかっただけなのだ。なお、その他には本戦のクラウド・ボールのみで、理由としても自分が出る種目についての情報収集が目的だった。

 

そうこうしているうちに、ついに第一種目のスピード・シューティングが開始された。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「何事もなく1日目が終了したか」

「ちゃんと大人しくしてたわね。偉い偉い」

「子供扱いしねーでくださいよ…まああんだけ言われりゃ流石に大人しくしときますよ」

 

初日が終了し、今は第一高校の生徒たちが講堂で食事をとっていた。その一角で、蓮司、摩利、そして真由美がいた。

 

「それで、どうだった初日の九校戦は?ついでに私たちの試合について感想とかもらえたらいいなあ」

「ほう、それはいいな。サボらずにいたかどうかはこれでしっかり分かる」

 

そこで真由美と摩利はニヤつきながらそんなことを聞いてみた。

正直なところ、今のこの質問に深い意味はない。強いていうなら真面目に観戦してなく適当なことを言うなら、それをネタにまたからかうつもりでいた。普段そういう隙を見せない分、いつもより楽しそうな2人であった。

 

「そうっすね…総括したらつまらなかった、ってところですね」

「…えっ?」

「何?」

 

だからこそ、真面目な顔でそんなことを言い切った蓮司に、思わず気の抜けた声を2人は出してしまった。

 

「要するに実力に差がありすぎるんすよ。先輩方の実力は確かに高かったっすよ。」

 

そこで一旦話を区切り、改めて蓮司は2人の方を向いて話し始めた。

 

「会長のドライアイスの亜音速弾、そしてそれを用いて正確に無駄なく打ち抜く精密射撃、それらを支えるマルチスコープと魔法力は流石の一言に尽きる。並みの魔法師じゃ情報が多すぎてまともに制御できないし、そもそも魔法力が持たない」

「…うん」

「委員長も技術の高さを見せていた。硬化魔法、移動魔法、加速魔法、振動魔法と、4つも常にマルチキャストする絶妙な組み合わせの良さ、多種多彩に戦術を組み立てる応用力は真似しようとしてできるもんじゃない」

「ほう…」

 

予想以上に自分たちのことをしっかりと見ていた後輩に感嘆の声が出た。そして同時に2人は思い出した。普段は飄々としており、不真面目さが目立つ蓮司だったが、こと魔法については誰よりも真面目で真摯であることを。

しかしそこまで話した蓮司は、今度は冷めた瞳となり、2人から視線を逸らして外を眺めた。

 

「…それを差し引いてもないな。九校戦、魔法科高校生の全国大会に出てくる生徒の実力…はっきり言って低レベルすぎる。『魔法は手段、応用や工夫が大切』って老師が事前に言っていたにも関わらず、ありきたりな魔法の使い方しかできない」

 

正直なところ、蓮司は元々そこまで期待はしていなかった。それは選手選考の際に新人戦で実績を残していた2年生選手と試合をした時や、その後に練習相手がいなくなったことなどから既にレベルはなんとなく理解していた。しかし、百聞は一見に如かず。他の高校にはもしかしたら飛び抜けた生徒がいるかもしれないと、僅かに期待をしてもいた。

だが結果は蓮司にとって期待外れにも程があった。真由美と摩利以外の試合は特に見応えもなく、面白い魔法の使い方をする生徒は見当たらなかった。競技が始まった時点で他の仲間達、しかも達也を無視するほど観戦に集中していた蓮司だったが、最後まで蓮司を引き付ける生徒は目の前の2人を除いて存在しなかった。

 

「これじゃあ、新人戦も退屈になりそうだ。しかもそれを大衆どもが見てきやがる。やる気なんか益々出なくなりましたよ」

 

だからこそ、蓮司は落胆していた。少なくとも現時点において、蓮司は既に九校戦に対して見切りをつけ始めていた。

 

「はあ…相変わらずね、その完全実力主義は」

「いっそ清々しいほどに分かりやすいよ」

 

真由美と摩利は若干の呆れ顔を見せながらも笑っていた。さてこの後輩をどう言いくるめようか、と楽しそうにしていた。

 

「確かに対戦相手としては不足してたかもね。自分の戦いをするだけで終わってしまったから、勝負にならなかったっていうのは事実だし」

 

真由美は少し茶目っ気も交えながら、蓮司に語り聞かせ始めた。

 

「でもね蓮司君、これもある意味、強者の定めみたいなものよ。私たち十師族は他の魔法師より圧倒的な存在でなくてはならない。十師族はこの国の魔法師を統一し、守護する存在でもあるの。だからこそ他を圧倒できるような存在である必要があるの。今日の試合展開は、言ってしまえば義務のようなものね」

 

それが十師族という存在だった。圧倒的な力をもって魔法師たちを統治し、諸外国からの脅威を排除しなければならない。だからこそ、たとえ力を制限された九校戦という舞台でもその前提が覆ることがあってはならないのだ。

 

「私の場合は少し違うがな。明後日のバトル・ボード準決勝では去年優勝争いをした七校もいるし、こちらはいい勝負になるだろう。…だが私も真由美とまではいかずとも強者であろうとしているよ。それはこの国がどうこうと言うより、第一高校の後輩たちのためにそうありたいんだ」

 

摩利の場合は第一高校のためという思いの方が強い。これから先も九校戦を戦い続ける後輩たちに、強者としての自分を見せることで鼓舞しようとしていた。

 

「蓮司君ほどの実力者なら、確かに新人戦は退屈かもしれないわね。きっと誰よりも実戦経験が豊富だろうし、魔法の工夫っていう点でもきっと蓮司君はスバ抜けていると思うわ」

「しかしそんな君だからこそ、手を抜かないでほしい。いっそ、君に対して悪態をついていた連中はおろか、観客たちすらも黙り込むしかないような状況にしてしまえ。その方が私も見ていて楽しい」

 

冗談を交えながら、蓮司に語り聞かせた2人。直接口にしてこそいないが、つまり2人が言っているのはこういうことだ。

結果を残せ、と。既に強者の立場にいる蓮司は、これからのためにもその存在を示さなければならない、と。2人は言外にそう言っていた。

 

「会長、委員長。少々よろしいでしょうか。今後のことで改めてお話が」

 

そのタイミングで鈴音が3人のもとへやってきた。どうやら明日以降の九校戦についての作戦会議をしたいようだった。

 

「分かったわリンちゃん。それじゃあね、蓮司君」

「新人戦、期待してるぞ」

 

そう言って、真由美と摩利は蓮司のもとを離れていった。

 

「…」

 

蓮司は静かに外を眺めながら、先の話を思い出していた。2人の言うことに納得できる面もある。一定の理解を示すこともできる。が、1つだけ、蓮司にとって受け入れ難いものもあった。

 

「あんた達もそっち側(・・・・)か…」

 

それが何かは、いずれ判明するだろう。

 




はい、ということで九校戦編第12話目、通算第31話目でした。いかがでしたでしょうか。

九校戦編の方針として、基本的に蓮司君が直接関わらない試合などの描写はあまり載せません。それをしてると話が進まなさすぎてしまうので(-_-;)真由美さん、摩利さん、ごめんね。

そして蓮司君、現時点で萎えてます。彼がやる気を出すときはいつなんでしょうか。私も話を書いてて不安です。

後半の真由美さん及び摩利さんの考え方は完全オリジナルです。今作における彼女たちは強者で「あろう」としています。蓮司君も彼女たちに対して色々思うことがありました。何なんでしょうか。今後をお楽しみに。

さて、今回はここまでです。蓮司君、いつ試合すんねん。なんとか早めに出せればと思います。

それでは次回、第32話でお会いしましょう。それでは!
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