私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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こっちでは、お久し振りです。







お金は使うと無くなるんだよ

「それじゃあ、まずはここからだね」

 

 そう言われてデュノアさんに連れてこられたのは…。

 

「「サード・サーフィス…」」

 

 なんと言いますか…ジョジョに出てきそうな店名だな…。

 スタンドだったら地味に苦戦しそうだ…名前的に。

 

「変わった…名前なのだな…」

「だね…」

「割と人気のあるお店みたいだよ? ほら、お店の中を見てよ」

「「あ…」」

 

 よく見たら、店内には私たちと同年代と思われる女の子たちが沢山いる。

 あっちの子は高校生で…向こうは中学生かな?

 夏休みだから多いなぁ~…。

 

(あー…そういうことね)

 

 店内ポスターに『夏休みセール開催中!』って書いてある。

 皆はこれが目的なのね。

 大人も子供関係なしに、安く買えればそれに越したことはないんだよね。

 ないんだけど…。

 

「どうしたの? 佳織?」

「うん…ちょっとね…」

 

 あぁ…少し前まで私の中に存在していた庶民感はいずこへ…。

 今の私の通帳の中には、その気になれば店ごと買えてしまえるレベルのお金があるのです…。

 こんな私に誰がした?

 あ…あのクソ神野郎か。

 

「環境って…些細なことで大きく変化するもんなんだね…」

「う…うん? そうだね?」

 

 社長令嬢にこんなことを言っても効果はないかぁ…。

 きっと、今の私に共感してくれるのは凰さんと織斑君ぐらいだろうなぁ…。

 

「ん? なんだ?」

「どしたの? ボーデヴィッヒさん?」

「いやな…何か注目されているような気が…」

「注目? あ…」

 

 よく見たら、店中の視線がこっちに向いてる?

 私たち…なんかした?

 

金髪(ブロンド)銀髪(プラチナ)…そして…」

「スタイリッシュ美人…」

 

 おいちょっとコラ。

 ブロンドとプラチナはともかく、スタイリッシュ美人ってなんだ。

 そんなの一体どこにいるよ。

 

「やっぱり、世間的に見ても佳織は美人なんだね」

「そう…なのかなぁ~…?」

 

 私なんかよりも、私の周りにいる子たちの方がずっと美人だと思うんだけど…。

 

「あの銀髪の子…まるでお人形さんみたい…」

 

 それは分かる。

 ボーデヴィッヒさんは、本当にお人形みたいな可愛らしさがあるよね。

 

「何かの撮影…だったりするのかしら…?」

 

 そんなわけあるか。

 ひょっとして、それはギャグで言ってるのか?

 

「ユリちゃん…ちょっと、ここお願い…」

「え? あ…はい…」

「いや…普通に客を放置しないでよ…」

 

 なんか店長っぽい人が、フラフラとこっちに寄ってくるんですが。

 あと、そこのレジにいるお姉さん。

 あなたの言ってることは尤もです。

 寧ろ、もっと言ってやれ。

 

「お…お客様? どのような商品をお探しですか?」

 

 完全に声が上ずってるし。

 客商売がそれでいいのか。

 

「えーっとー…取り敢えず、今日はこの子に似合うような服を探しに来たんですけど…」

「こちらの銀髪の方ですね!? 少々お待ちください!」

 

 なんか、凄い勢いで近くにあった展示品のマネキンを全裸にしやがった。

 どれだけ慌ててるねん。

 つーか、実際に展示品の商品を持ってくる瞬間なんて初めて見た。

 

「い…いかがでしょうか? お客様のお綺麗な銀髪に合わせて、白のサマーシャツなんかは…」

「へぇ~…薄手でインナーが透けて見えるんだ…ラウラはどう思う?」

「いや…分からn…」

「『分からない』は無しだからね」

「うぐ…」

 

 今日のデュノアさんは圧が凄いな…。

 少し不憫だから、私から少し耳打ち。

 

「ボーデヴィッヒさん。今のデュノアさんに逆らわない方が賢明だと思うよ…」

「私も今、そう思った…」

 

 だよね…私も今日は逆らわないようにしよう…。

 じゃないと、どんな目に遭うか分かったもんじゃないや…。

 

「白い服…か。だが、今着ている制服も白いぞ?」

「あ…ハイ」

 

 なんという幼児的発言…。

 それはそれで可愛いけど、店長さんは完全に毒気が抜かれたな…。

 

「折角だし、試着とかしてみる?」

「いや…面倒くs…」

「ん? 何か言った?」

「…了解した」

「よろしい♡」

 

 今のデュノアさん…凄いプレッシャーだったな…。

 思わず背筋が伸びちゃった…。

 

「ストレッチデニムのハーフパンツに…インナーはどうしようかな…」

「Vネックのコットンシャツなどはいかがでしょうか?」

「あ、それいいですね。じゃあ、色は同系色にするか、それとも対称色にするべきか…」

 

 今日のデュノアさん…すっごく生き生きしてるなー…。

 私とボーデヴィッヒさんが完全に蚊帳の外状態だもん。

 

「なぁ…佳織…シャルロットは一体何が、そんなに楽しいんだ?」

「うーん…私にもよく分からないや…ごめんね?」

「いや…別に謝る必要はないのだが…」

 

 私も人並みに服装には気を遣うけど、そこまで拘りがあるってわけじゃない。

 本当に最低限って感じ。

 だから、あそこまで嬉々として夢中になる気持ちがよく分からない。

 これに関しては単純に趣味嗜好の違いなんだろうけど。

 

「んじゃ、ラウラ。今から、この服に着替えてきて」

「わ…分かった」

「試着室は、こちらになります」

 

 あ…ボーデヴィッヒさんが行ってしまった。

 残されたのは私とデュノアさんのみ。

 うーん…嫌な予感がしまーす。

 

「なんかテンション上がって来たかも! やっぱ佳織の事もコーディネートさせてくれる?」

「え? わ…私?」

「うん! 他の皆も言ってたけど、佳織は和風美人だからー…色は派手じゃないのが似合うかな? 確か、部屋着として浴衣を着てるって言ってたよね?」

「よく覚えてたね…そうだけど…」

「佳織のことなら、ボクはなんでも覚えてるよ?」

「…さよですか」

 

 その発言が一瞬怖かったのは内緒。

 『覚えてる』って、どの辺まで?

 

「へ…部屋着…浴衣…いい…!」

 

 店長さんがこっちをめっちゃ凝視しながら鼻血を出してるんだけど!?

 どうして誰も反応しないのっ!?

 

「実は当店、純和風な服も取り扱っておりまして…」

「ホントですか? だって! よかったね佳織!」

「う…うん…ソーダネー…」

 

 案の定…次は私の番ですか…トホホ…。

 まぁ…予想はしてたんだけどね。

 

(フッ…服の購入もエレガントに…)

 

 トレーズ閣下のファッションセンスに任せてたら、絶対にOZの制服みたいな格好になりそうな気がするのは私だけでしょうか?

 

(いや…多分、お前だけじゃないと思うぞ…佳織…)

 

 あ…ゼクスも賛同してくれた。

 あの制服に色々と思うところはあったんだね…。

 

「例えば、このカーディガンなどはいかがでしょうか? 薄手なので夏でも気にせず着られますし、生地の方にUVカット機能もあるんです! 振袖羽織なので動きも阻害しませんし…」

「いいですね! この紺色に派手すぎない程度の花柄…」

 

 た…確かに綺麗だけど…完全に私が服に着られるでしょコレ…。

 

「こちらの水芭蕉のワンピースなどもよろしいかと! 羽織もセットでついておりまして、カーディガンも振袖風になっております!」

「うわぁ…こっちはまた清楚な感じの青だね…これも佳織に似合いそうだなぁ…」

 

 あああああ…着々と私に着せる服が選ばれていく…。

 ボーデヴィッヒさーん…早く戻ってきてー…。

 

「それと実は当店…巫女服なんてのもありまして…」

「巫女服ッ!? ください!!! 絶対に佳織に着せたい!!! 100%似合うから!!!」

 

 まさかの即断即決ッ!?

 私は絶対に巫女服なんて着ないからねっ!?

 そーゆーのは篠ノ之さんにでもあげなさい!

 

「ラウラもそうだけど、佳織もまたスタイルがいいから色んな服を着せたくなっちゃうんだよなぁ~…♡」

 

 こんなまな板ボディのどこがスタイルがいいって?

 そんなことを言ったら、私と凰さんの貧乳同盟が黙っちゃいないぞ?

 

「と言うわけで…はい」

「…これは?」

「試着してきて♡」

「……ハイ」

 

 結局はこうなるのね…ハハ…。

 

「試着室はこちらになりまーす♡」

 

 アンタもアンタでテンション高いな! 店長さん!!

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 カーテンで仕切られた狭い試着室。

 目の前には、デュノアさんによって選抜された純和風の服の数々。

 その中に一際目立つ巫女服…。

 これだけ値札のタグが取られてある…。

 マジで会計済ませてたんだ…コレ。

 

「…巫女服だけは絶対にないな…」

 

 何が悲しくて、大衆の面前でコスプレしなくちゃいけないんだ。

 確かに私はオタクかもだけど、コスプレするようなキャラじゃないんだよ。

 同人誌購入だけで満足するタイプなんだよ。

 

「なんて言ってる場合じゃないよなぁ…はぁ…」

 

 これはもう…腹をくくって着せ替え人形になるしかないな。

 せめて、少しでもマシな服を選んで…。

 

「なに…この超ミニスカな黒い浴衣…」

 

 こんなの着たら、まず間違いなく下着が丸見えになるでしょうが…。

 よくネットとかでは見かけてたけど…店売りで見るのは初めてだ…。

 

(っていうか、一体どこにあったんだ?)

 

 まさか、バックヤードから持ってきたんじゃあるまいな?

 あの店長の今のテンションなら十分に有り得そうだ。

 

「覚悟…決めますか」

(では、我々は少しだけ休眠モードになっていよう)

(心置きなく試着をするといい…姫よ)

(はーい…そうさせてもらいまーす…)

 

 やっぱり二人とも心の底から紳士なんだなぁ…。

 そりゃ人気も出るわ。

 

「うわ…大正時代風の着物と袴のセットまである…これはちょっと可愛いな…」

 

 ヤバい…地味にデュノアさんに毒されてきた…。

 これは個人的に買いたい…。

 

「この中で一番マシそうなのはー…これか」

 

 さっき店長さんがオススメしてきた、この水芭蕉のワンピース。

 全体的に落ち着きのあるデザインと色合いだから、普通にいいとは思う。

 今日みたいな状況じゃなければ、自ら進んで買ってたかも。

 

「…着替えますか」

 

 大事なのは『納得』することだ。

 『納得』は全てに優先される。

 自分を『納得』させるんだ。

 そうすれば、少しは精神的ダメージも軽減される…と思う…多分。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「えーっと…着替えましたー…」

 

 そーっとカーテンを開けて外に出ると、一気に皆の視線がこっちに向いた。

 ちょ…普通に怖い! マジでビックリしたから!

 

「「いい!! 凄くいい!」」

「そ…そう…?」

「やっぱり、佳織にはゆったりとした服がよく似合うね! 凄く落ち着きがあって…その…」

「その?」

「大人の女性…って感じがする…♡」

「お…大人の女性…」

 

 遂には同級生から老けてる宣言を貰ってしまった…ショック…。

 

「しゃ…社長夫人…?」

「こらそこ」

 

 誰が夫人だ。誰が。

 私はまだ正真正銘の女子高生の未成年じゃい。

 

「凄いわ…なんか落ち着きがあって…余裕があるっていうか…」

「可愛い妖精の次は、超清楚なお嬢様…何これ…」

 

 お嬢様て。

 私はどこにでもいる普通の庶民…のつもりです。

 財布の中身は内緒で。

 

「って…妖精?」

「そうそう! ラウラもちゃんと着替えたんだよ! ほら!」

 

 そう言ってデュノアさんが連れてきたのは、オフショルダーな黒いワンピースを着たボーデヴィッヒさんだった。

 こ…これは…確かに可愛い…!

 

「あ…あまり見るな…恥ずかしい…」

「いやいや…凄く可愛いよ…うん…」

「そ…そうか? 佳織もその…凄く綺麗だと思うぞ?」

「あ…ありがと…」

 

 なんだ、この空気…凄く恥ずかしい…!

 今にも顔から火が出そうだよ…!

 

「お…親子…?」

 

 誰がじゃい。

 私たちは立派な同級生です。

 私とボーデヴィッヒさんは同い年です。

 

「お…親子か…。私は…佳織が母様なら…歓迎なんだがな…」

「その顔は反則だよぉ…」

 

 あぁ~…胸がキュ~ってなった…。

 めっちゃ抱きしめたくなったよぉ~…。

 

「はぁ…感・無・量…だよぉぉ…♡」

 

 そして、デュノアさんは完全に目がハートになって店長さんと一緒に鼻血を出していると。

 完全に当初の目的を見失ってない?

 

「あ。後でちゃんと、さっき買った巫女服も来て見せてね?」

「だが断る」

 

 因みに、さっきの大正時代風の着物と袴のセットは自分で買いました。

 デュノアさんに、すっごくいい笑顔でサムズアップされたけど。

 

 

 

 

 

 

 




次回は未定。

のんびりとお待ちください。



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