「・・・で、データが足りないからもう一本やれと?」
「はいですぅ、肝心の近接戦闘が無かったものですから。」
そいつは済まんかったな、常に効率の良い勝利法しか考えないもんだから。
「そんなわけで近接オンリーで追加ですぅ。相手はエリオとスバル、連続で戦闘してもらうです♪」
「なにそれ怖い。順番は?」
「先にエリオですぅ。回復は無しでいきますが射撃は可ですよ?」
そうか、スフィアを展開しながら殴って良いわけだ。それならまだなんとかなりそうな気がしないでもない。
「で、スバルの乱入のタイミングは?」
「エリオとの決着直後にフィールド内部にランダムで転移させるですよ。」
なるほど、決着直後に鉢合わせもあり得るのか。カットされないのは助かるな。
「オーケー、始めよう。ほぼ現役の自衛官の格闘術、どこまで通用するか試させてもらう!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
てなわけでフィールドイン。今度は市街地ではなくちょっと拓けた森林地帯。対高機動型には若干やりにくい。と言うのもチョコチョコと生えている木が遮蔽物になって死角は多いしヒットアンドアウェイされると迎撃以外に取れる手段が限られてくる。先にスバルとやった方が幾らか楽なのはこれが理由である。スバルなら打ち合う間に有利な戦場に引きずり込めるからな。多分。
目の前にいるエリオは準備運動に余念がない。こちらも準備は出来ているのでリイン曹長にその旨を伝える。
『それでは始めるですよ♪』
シグナルが青になった直後、エリオが突撃してくる。どうでもいいがスタートのシグナルは青でスタートするより、全消灯でスタートの方が好きだ。F1みたいに。彼の得物は投げ槍ではなく突撃槍らしい。ブースターで加速しながら急接近してくる。こちらも初手の突撃は読んでいたのでコース上にあらかじめ拳銃で背後に張っておいたプラズマランサーの弾幕で迎撃、自分は射線上から退く。このままなら直撃コース、さらに追撃と予測回避経路にアクセルシューターを置くように射出。だが向こうも仮にも実践部隊のFWだ。ブースターを切って槍を使って方向転換して見せた。良い反応をしている。それでもアクセルシューターを何発か当てることは出来た。距離が離れる前に決めたい。強化を全身に施し、全力で突っ込む。どうやら突撃されるのには慣れてないらしい。慌てながらも弾幕を張ってきた。これらも予測していたのでプラズマランサーを大量に射出、数の暴力で潰してから爆煙に紛れてクロスレンジへ。ここまで近寄れば槍より拳の方が速い。ボディへの打撃を中心に時折太股を狙って体力を削る連撃を打ち込む。武器を持っているとそいつに頼りがちになりやすい。エリオも反撃を試みるが初動を捌けば脅威にはならない。度重なるボディへの攻撃にガードが完全に降りてきた。
「これで終いだ。ちょいと寝てな。」
ラストはフェイントを二重に重ねた掌底のアッパー、顎にクリーンヒットして脳震盪を起こしている。打角を斜めにずらしたのは脳を揺さぶるだけにするためだ。戦闘なら真上に打ち上げてから追撃しているが。
エリオの意識を確認しつつスバルの反応を探る。12時方向から真っ直ぐ向かっている。接敵まで余裕があるので移動、木の密度が濃い場所を探し当ててそこに陣取る。突撃は目に見えているので大量の弾幕という花火でお出迎えすることにした。64式にチャージ開始、コントロール出来る最大数のプラズマランサーとアクセルシューターをセット、射出待機させておく。さぁ、ド派手な花火で最高のおもてなしをしよう。