正直色々間違ってる感があるけど、見逃してや。
漫画の世界に転生~みたいな話はよく聞くけどさ、その際に何かしらの能力みたいなものを添加されたりするじゃん。
いわゆる転生特典って奴よ。
こういうのって大抵は自分で選べるもんだけどさ、時々神様的なサムシング的なサムシングが勝手にくっつける場合もあるわけよ。
俺はそのパターンだったんだけど、自分で選べるとしても転生先が分からないならただのギャンブルだよね。チップは人生とかどんなデスゲームかっての。
んで俺が貰った奴なんだけど、ONEPIECEに登場する超人体技、『六式』とその応用技の大体っていう、まあ外れづらい安牌なの貰ったわけ。
どんな世界でも『体が資本』ってのは真理だから、相応の肉体強度もついてくるこの特典は大抵の環境に適応できる最高の安牌よ。ナーロッパでも生きていけるねこれは。
まあ生まれたのはちょっと昔だけど現代だから、そこまでこの特典を活用することは無いだろうと思って生きていた。二周目ってだけで十分なアドバンテージなのだし、平和な世界って言うんなら六式なんて暗殺術は不要。
総合して『普通よりもちょっと上』ぐらいの人生に落ち着くだろうってのがおおよその人生観だった。
中学生になった時、教室の美少女に話しかける時までは。
「なんて名前なの?」
「綾波、レイ」
で、出たー。お前ヱヴァンゲリヲン奴ー(白目)
◆◇◆◇
いや、ちゃうやん?
こういうのってHUNTER×HUNTERとか鬼滅の刃とかるろ剣とかヒロアカとか、それこそONEPIECEとかに転生するもんじゃん?
百歩譲って進撃の巨人かToLOVEるならまだ分からんでもないよ?
なしてロボットアニメの世界なん?
人間が戦闘に介在しないんだからいくら超人でも意味ないじゃん? いやそこまで超人であることに意味を見出してたわけじゃないんだけどさぁ・・・。
綾波レイというヒロインの存在は知ってる。『綾波系ヒロイン』なんてジャンルすら確立されていたんだからな。でも綾波レイ自体は、というかエヴァも良く知らん。
ジャンル創造ってレベルに萌えるキャラなのだから、もしかしたらロボットはおまけで日常メインのアニメなのかもしれない、か・・・?
いやただの日常アニメがあそこまでの伝説にはなるまい。
とりあえずその綾波レイとの会話は適当な所で切り上げた。
俺自身が一気に身を引きたくなったというのもあるので、彼女がそこまで会話に積極的ではなかったのはちょうどよかったとも言える。
おかげで友達からは『美人のクラスメイトに粉かけに行こうとしてしくじった』という評価を受けたがな。
あのミリオタ盗撮魔と貧乏ジャージめ、後で指銃の威力を見せてやる。
◆◇◆◇
「おい鈴原! 何してる!? 早くシェルターに・・・!」
「それどころやない!! サクラがおらんのや!」
「サクラ・・・って妹だっけ?」
「せや! どこにおるんやアイツは・・・!?」
非常事態宣言。
第三新東京市に住まう住人全員がシェルターに向かうように指示された。
もう夜も更けてきたというのに、爆音の警報で叩き起こされ、寝ぼけ眼でシェルターに向かう所だというのに、この貧乏ジャージの妹は行方不明らしい。それを探している鈴原本人も当然シェルターには向かっていない。
どうやら俺の『ヱヴァンゲリヲン日常アニメ説』という希望的観測は案の定無為に帰したらしい。
まあ、今やるべきはとにかく避難だ。
「落ち着け鈴原。お前の妹なら俺も探す。だからとにかく安全確認を怠るな。お前がなんかの被害にあったらお前の妹は死ぬほど後悔するぞ。そうならないためにも、まずはお前が安全であれ」
「樺根・・・」
俺の名前である。
樺根大地がフルネームだが、そんなことはどうでもいい。
「いいな? 兎にも角にも安全確認だ。その上で探すぞ」
「・・・ああ、すまん。慌てとった」
そりゃこんな警報音の中じゃあ慌てる気持ちも分かる。
そもそも慌てさせるための音だしな。
「じゃあ二手に分かれる。特徴は?」
「ワシと同じ髪の色で・・・」
情報を粗方聞いた俺は超人の身体能力でそこらじゅうを走り回る。
月歩と剃の小回りはVTOLに勝るとも劣らない。
「どこだ・・・どこだ・・・」
紙絵は相手の攻撃を紙一重で躱す技だ。その都合上、相手の動きを看破する必要がある。
ここには多分『見聞色の覇気』の要素が入ってる。なら紙絵を行使できる俺は、見聞色の覇気を若干でも使えるはずだ。
その力で鈴原に似ていて、孤立している『声』を探す。
助けを求めている声なんてそこら中に溢れている。
それらを振り切り、俺はなんとか捜索を続けた。
◆◇◆◇
視界の遥か先に一人の少女が居た。真っ暗な中で一人寂しく泣いている。
あれは『サクラ』なのだろうか。
分からない以上はとりあえず聞いてみるしかない。
近づこうとした時、彼女に向かって瓦礫が飛来した。
サイズの関係性から見て、多分ぺちゃんこになること請け合いだろう。
一目で直感した時、俺の体は動いていた。動かずにはいられなかった。
「剃!!」
一瞬の間に10回ほど地面を蹴ることで爆発的な加速を生み出す歩法の一つ、剃。
もはや常人では目視すら不可能なそのMAXを、気が付けば他者の為に発動していた。
15mはあろうかという距離を一瞬で詰め、回り込んで瓦礫と少女の間に体を滑り込ませる。
「鉄塊!!」
全身の筋肉を硬直させ、文字通り人間大の鉄塊となる体技。
飛来する瓦礫は俺の体に激突し、破砕される。
「あ、ああ・・・」
「お嬢ちゃん、大丈夫? ケガはない?」
「あ、あの、脚、が・・・」
見れば少女の脚は素人目に見ても骨折していた。
多分庇いきれなかった瓦礫があったのだろう。冷静に報告しているのは連続する異常事態で色々麻痺してしまったせいだろうか。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「す、鈴原、サクラ・・・」
幸か不幸かここで探し人が見つかったという訳だ。
「じゃあサクラちゃん。えーと・・・」
俺は適当な街路樹を見つけ、脚を振り上げる。
「嵐脚」
手ごろな太さの枝を一本、切り落とした。
「これ、噛んでてくれるかな?」
「は、はあ・・・」
戸惑いながらも、素直に応じてくれた。きっと素がそういう質の子なんだろう。
「ごめんね。恐ろしく不味いと思うけど、舌を噛まないようにしないといけないから・・・噛んだ?」
「ふぁい」
「よし、じゃあ行こうか。お兄さんのいるシェルターの所へ」
「ふあ?」
「剃」
景色が高速で後ろに流れていく。
これでも相当手加減しているのだ。幼い少女の体に全速力は酷だろうから。
しかしさっさとシェルターに行きたいので、今回はこのような強引な手法をとることにした。枝を噛ませたのもそのためだ。
「あうあ~~!!」
少女が何かを悲痛に叫んでいるが、対照的に俺は晴れやかな気分だった。
持て余していたこの超人性で、誰かを助けることが出来たから。
完璧に助けれたわけじゃないのが、締まらないところだが。
この後彼はフォースチルドレンに選ばれてバルディエルが六式を体得する地獄絵図が展開されますが、それはまた別の(人が書いてくれると嬉しい)話。
大地→陸→六
樺根→リボーンの六道骸が小説版で名乗ってた偽名。実質リボーン復活祭