亀を追い抜く事はできず
亀に追いつく事も出来なかった
誰かが言った。『アキレスと亀の理論』
故に、
アキレウスは走り始めた。
無限の回数を。
無限の距離を。
その誰かが諦めるその時まで走り続ける。
亀は既に動き始めている。
亀の一歩
ただ一歩だけの距離。
その一歩が終わりきる前に走りきる事。
それができぬアキレウスにはただ無限に走り続ける事だけしかできぬのだ。
ある男が言った。『アキレスと亀の理論』を利用した無下限術式なのだと。
誰かが思う『アキレスと亀の理論』とは何ぞや?と。
かの外道一人のせいで忘れ去られたかもしれない概念が動き始める。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
時にどうでもいい事で使う。
時につっこみから身を守るために使う。
時には、時には、時には、
アキレウスは激怒した。
必ずやかの邪悪を打ち滅ぼす勇者が現れると信じ、走り続けた。
いつまでも・・・いつまでも・・・いつまでも・・・
いつからかアキレウスは亀の事が気になりだしていた。
この亀も自分と同じく無限を感じているのだろうか?と。
かの剣豪はTSUBAMEに対してどんな気持ちだったのか?と。
剣豪がゼルレッチするならTSUBAMEもゼルレッチするのだろうか?
どうでもいい事を考えてはいても
ただただ走り続けていた。
ある日の事だった。
『アキレスと亀の理論』に新たなるインスピレーションが誕生していた。
その概念によって長く続くアキレスの戦いに一石が投じられた。
だがしかし。その結果は・・・
「うおおおおおおおおおおおおおお」
「ヴァカめ」
ただ一言。奴がヴァカめと言うだけ
ただそれだけが繰り返される。無限に
許されない。
必ずやこの無限を抜け出さなければならない。
必ずや・・・必ずや・・・必ず・・・どうやって?
アキレウスは訝しんだ。
亀に帰ってきて欲しかった。
ただただアキレウスは亀が恋しかった。
かつての努力が
ただただ走り続けた記憶が
ただただ塗り潰されていく
苦痛の記憶だけで。無限に
アキレウスは今こそ聖杯を求めた。
願いとは自ら叶えるものと信じてはいた。信じてはいたが
それでも願わずには居られなかった。
『アキレスとヴァカめの理論』
終わらせて欲しかったのだ・・・この悪夢を。
誰もが願っていた。
最強を下す事を。
誰かが願っていた。
アキレウスが走り続ける事を。
無下限を突破する法則。
ただそれだけが宝具となりえる存在。
亀は気付かずして『アキレスと亀の理論』に終止符を打ち
ただ一人無限を抜け出し
かつての自分の居場所へと
亀は歩き始めた。