忘れもしませぬ、あれは拙僧が高校教師だった頃……

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高度育成高等学校にリンボをぶち込んでみた()

 

 

「──連絡事項は以上だ。一時間目の用意でもしておけ」

 

 確か一時間目は日本史だったな。

 綾小路清隆は早速準備に取り掛かる。少し騒ついた空間の中でお調子者の池寛治が先生に向かって質問をした。

 

「佐枝ちゃんせんせー! 今日の日本史は何習うんすかー?」

「今日は平安時代のところだ。一応試験の範囲になる。ああそうだ。言い忘れていたが、今日の授業から暫く私は担当しない」

 

「「「えっ?」」」

 

 それはどういう事ですか、と誰かが聞いたような気がした。

 茶柱先生が担当しないとなると、一体誰がするのだろうか。社会科目を担当する一年の先生は他に居なかったような気がするが。

 

「平安時代に関しては、奴が適任だからな。しかし、奴は果たして授業を受け持つことが出来るのか……」

 

 独り言のようにそう呟いた先生は何も起こさぬよう授業を受けてくれ、と言い教室から出て行った。

 先生の言葉から推測すると、何か問題があるように思える。それはこれから授業をする教師に向けてなのか。恐らくそうだろう。

 勝手に結論づけた綾小路はこの推測が間違いではなく、しかし正解でもないことに後々気付くことになる。

 

 間も無くして、チャイムが鳴るとみんな席につき先程までのうわついた雰囲気とは一転して真面目な雰囲気を漂わせ始めた。その後、少し遅れて先生がやってきたが、俺たちは呆然としてしまった。

 黒と白のツートンヘアに何故か鈴を付けていて、遠目からでも分かるその堅いの良い体とそれを装う白シャツのスーツ。どこか異彩を放ちながら誰しもが一度、彼に美しさを感じてしまった。

 

「お初にお目にかかります。拙僧の名は蘆屋道満にて、皆さまの日本史の授業を暫くの間受け持つ次第にて御座います」

 

 蘆屋道満と名乗った教師はDクラスの生徒を見渡した。

 彼に見られた生徒は少し背筋が伸びたり、内心で冷や汗をかいたり、蛇に睨まれた蛙のように怯えた目をしていた。彼から漂う歪な雰囲気は常人には手に余るもの。畏怖するのも当然と言えよう。

 綾小路もその中の一人で、あの男に似た雰囲気を纏っていてその得体の知れない貫禄が妙に気持ちが悪く感じていた。

 

「ンンンン! では、早速授業の方へ入りますよ。平安時代、それは魑魅魍魎が跳梁跋扈する神秘に溢れる時代──」

 

 そんな彼は生徒のことなど気にもせず授業を開始した。

 板書する度に鳴るチョークの音が教室に響き、その異様な静けさがクラスに緊張を渡らせる。

 蘆屋道満なる教師は平安時代について、まるで実際に経験したことがあるような口振りで平安時代の出来事を話している。

 綾小路は確か蘆屋道満という人物が平安時代に出てきていたことを思い出し、もしかして同一人物なのではと、普通なら有り得ない方向へ思考を巡らせる。

 しかし、そう思わせる程のナニかが彼の中にはあり、只人ではないことを綾小路は既に理解していた。

 そんなことを考えながら授業を受けていた綾小路は一つ思った。

 

 

「そう。あれは確か左大臣殿が──」

 

 

「晴明。ああ! 安倍晴明!! 失礼、拙僧お恥ずかしながら少々昂ってしまったようで──」

 

 

「ンンンンンンンン!! 忘れもしませぬ、あれは拙僧が陰陽師だった頃──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──うっせぇわ、コイツ。

 

 クラス全員がそう思ったのである。

 興奮のあまり耐えきれず張ち切れてしまったスーツを脱ぎ捨て、上半身裸で授業をする様はまさに狂人。やはり只人ではなかったと綾小路は思った。そして、ただの変態だったと知ることとなった。

 

 

 蘆屋道満は後に他クラスでも授業を重ね、生徒の批判が募るばかり最終的には一週間で解雇され、一年生の間では伝説として語り継がれたという。

 平安時代、それは彼のような変態が跳梁跋扈する頭のおかしい時代だったのかもしれない。それを想像した綾小路は、堪ったもんじゃないなと一人寂しく呟いた。




思い付いたので書きました。
後悔はしていません。

ンンンソンンン! うちのカルデアではレベル100のリンボが居ります。シュート役(弾)としてとても優秀です。

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