魔弾が打ち砕くは 作:キルシュトルテ
さて、イベント始まりましたね。勲章回収したいなぁ
あれから森を抜けて、さらに進んだと思う。途中で動物を〆たり、湖を見つけたりして肉を補充したりして、思った以上に順調に進んでいた。
最初はちょっとバテ気味だったイーノもちょっと体力がついたのか、最近はナイフを使って木を削ったりしてなにやら作っている。
サーシャはなんかこう、探知力が上がったというか、茂みに隠れた動物も的確に見つける。石を投げたりして仕留めているけど、とんでもなくエイムがいい。的確に急所に当たっている。
猪もどきを石1発でダウンさせる少年とかはじめて聞いたよ。うん。
「それで、ここは……どこだ?」
「多分まだウルサスの中ではあると思うけど……」
「荒野、だね……」
カラッカラの空気、だだっ広い荒野。向こうに山か何かが見えているからそれを目指して歩いているものの、そこら辺に穴の空いた岩とか、崖に洞窟とかがある以外は本当になんにもない。森の中で肉と少しの木材とを補充して正解だった。
「どこに着くのかな?」
「うーん……どこだろ?」
「どこだって、どうにかなるだろ」
そんな会話をしながら、何も無い荒野を進んでいく。すると、段々と空模様が怪しくなってきているのが見えた。
「なあ、なんだか……風が強くなってきていないか?」
ふと、私達の中で最も感覚の鋭いサーシャが空を見上げて言った。
不審に思って様子を見ていると、遠くから「ザァァァァ」というような音が聞こえてくる。
よくよく見れば、空からなにかが降り始めている。
「あいたっ」
コツン、と頭になにか当たった。
見てみれば、それは雹だった。それも、向こうを見ればとんでもない勢いだ。
「たっ、退避〜!!」
慌てて近くの洞窟に転がり込んだ。数秒後には、外は暗く、拳大の雹がとてつもない勢いで降っていた。
「あたたた……大丈夫?2人とも怪我、ない?」
「俺は大丈夫。イーノは大丈夫か?」
「ちょっと頭うったけど、僕は大丈夫。それよりも、びっくりしたよ」
洞窟の形状のおかげか、雹はほとんど入ってこない。
入口近くに焚き火を起こして、灯りを確保。そこら辺の石を積み上げて竈みたいにしたから、簡単には風で消えないと思う。
「しかし、突然だな。湿気とかも無かった」
「雨降る気配もなかったもんね。一体なんなんだろう?」
イーノが好奇心からか、外を少し覗こうと入口に近づいた時だった。
ズドン!と音を立ててなにか大きなものが洞窟の数メートル前に落ちた。
それを皮切りに、なにか大きなものが落下する音が、雹の音に混じって聞こえはじめた。
「なっ、なに?!」
「わからない。けど、あまり外に近寄らない方がいい!」
硬直したイーノをサーシャが回収して、少しだけ洞窟の奥に行く。
燃えている薪を2つほど松明にして、光源にする。
「この様子じゃ、しばらく動けなさそうだね」
「そうだな……ん?」
サーシャがなにかに気がついたのか、松明のひとつを足元を照らすように持った。
松明に照らされて、白い棒状の何かが浮かび上がる。
よく見れば、それは人骨だった。
「っ……!」
周辺を見てみれば、数名の白骨死体が転がっている。
驚きか、そんなあまりに誰も声が出なかった。
とはいえ、ここをまだ出る訳には行かない。外は雹となにかが降り注いでいる。出ても死ぬのがオチだ。
「……とりあえず、賊徒とかじゃなくて良かったと思うよ」
「そう、だね……」
雹は、まだ止みそうにない。
サーシャが何かを拾い上げていたけど、私もイーノも、その時は気が付かなかった。
◆◆◆
雹が止んだのは、夜が明けてからだった。少し寒くて身を寄せあっていたら、お互いの体温のぬくさで寝落ちていた。
改めて荷物をまとめて洞窟を出ようとした時、サーシャが何かを持っているのに気がついた。
「それは?」
「念の為、と思ってさ。使わせてもらおうと思って」
ボウガンといくつかの矢。いつの間にそんなものを?と思って首を傾げた。
「……あの死体のところに落ちてたんだ。何も無いよりも、マシだと思うから」
「サーシャがそう言うなら、いいけど……」
「怪我しないようにね?」
洞窟を出ると、そこにはとんでもない光景が広がっていた。
「?!」
昨日までなんにもないだだっ広い荒野だったのに、なんということでしょう!!
地面はべっこんぼっこん、氷の塊に混じって、荒野の至る所には大きな半透明の黒い結晶……源石結晶が生えているではありませんか!!
「これって、源石……?」
「触っちゃダメだよ。でも、昨日の今日で源石ってことは、昨日の雹は……」
「天災になるな」
洞窟の前の源石に触れないようにしながら周囲の景色を確認すると、昨日見えていた山らしきなにかが少し小さく見えた。
山が移動するわけが無い。と、なると。
「あれ、山じゃなくて、都市だ!」
移動都市になる。
「あそこ以外の、はじめての街……!」
「さすがに正面からは入れないだろうから、経路を見つけないとだけど……」
まあ、行ってみれば分かるか!
私たちは、見える都市をめざしてまた歩き始めた。