魔弾が打ち砕くは 作:キルシュトルテ
P.S. 7-9抜けました!!!!!!ありがとうジュナーちゃん
「サーシャ!!」
転がり込んだ洞窟の中に私の布を敷いて、そこにサーシャを寝かせた。何も敷かないよりマシだ。
処置はしたものの、おそらく甘いと思う。ゆっくりになっても、サーシャの出血が止まらない。
「サーシャ、サーシャ!死んじゃだめだよ!!」
きっと、私が一番落ち着いてないのだと思う。でも、もしかしたらサーシャが危ないということに対して冷静でいられなかった。
だから私は、イーノが……イーノが、迷うことなく源石結晶を砕いて口にしたことに気が付かなかった。
「ジュリア、落ちついて。……大丈夫、僕が、なんとかするから」
「……イーノ?」
イーノは片手に一部が砕けた源石結晶を握りしめながら、サーシャの傷に向かって息を吹きかけた。
すると、サーシャの傷はみるみるうちに塞がり、治っていった。
一度で治りきらない傷も、イーノが触れたそばから治っていく。
痛みが引いたのか、目を閉じていたサーシャが目を開けた。
「……あれ、俺は……?」
「……サーシャ、どこも痛くない?」
「あ、ああ。でも、俺は刺された筈なのに、治って……?」
そこではじめて、私とサーシャは、イーノが手に欠けた源石結晶をもっているのに気がついた。
「イーノ、もしかして」
「……バレちゃった?でも、いいんだ。鉱石病ですぐ死ぬことは無いから。大怪我でサーシャが死ぬよりも、僕はこっちの方がいいよ」
「……ゴメン、イーノ。俺が、油断していたから」
「ううん。僕がやりたくてやったんだ。サーシャだって、さっきの……さっきのアレは、アーツでしょ?」
イーノが言うさっきのは、あのサーシャの姿が消えたりしたやつのことだろう。
これはあくまで私の推測だけど、あのぶっ飛ばされた時、結晶の破片等が刺さったか口に入ったかしたのだと思う。
「それに、ほら……僕だけ仲間はずれなのも、嫌、だから……これで3人、おそろいだから、ね?」
「イーノ……」
イーノの笑顔に、どうにも表現出来ない感情が湧いてくる。喜怒哀楽ぜんぶ混じった、なんとも言えない感情。サーシャも同じらしく、どうしようもない空気が流れた。
……そんな中に、気の抜けるような「ぐるるる」という音が鳴り響いた。
「あっ……」
「……っぷ」「ふふっ」
「……ははっ」
「「「あははははは!!」」」
鳴ったのは、私のお腹の音。緊張した空気が解けて、ついつい吹き出した。
「あはははは……そうだな、考えても仕方が無いな」
「そうだね。それよりも、何か食べよっか」
「うん。肉でもかじろっか!」
3人とも感染者になっちゃったけども、それでも何とかなると思ってる。3人でいるなら、きっとどんなことだって大丈夫だって、今も昔も、今だって思い続けてる。
◆◆◆
ちょっとお腹がふくれて落ち着いたのもあって、それぞれのアーツの話になった。
「まあ、私は液体のアーツだよ。今のとこ、水と酸ばっかりだから、これ以外もできるかはわかんないけどね」
「俺は、多分……隠れる?こう、隠れたり、隠したりする……すまない、まだよく分からないんだ」
「僕のは、治すアーツだと思う。息をふきかけたり、触ると治るね」
鉱石病の副作用で感覚が鈍ったりとかないかとか、できる範囲で調べたりしたものの、2人ともなんともないようだった。ちなみに、イーノの源石結晶はまた箱に戻した。流石に触れ続ける訳にはいかないもんね。
「調べるにしても、アーツユニットが……って、そういえばサーシャ」
「何だ?」
「サーシャはどうやってアーツを使ったの?」
私はアーツユニットを持ってるし、イーノは源石結晶を握りしめていた。けど、サーシャはどうやったんだろう?
「わからない。多分、このボウガンに何かあると思うけど……」
「うーん?うーん……」
「まあ、使えるならそれでいいんじゃないかな。使わないほうがいいんだけど」
ふと外を見ると、空が茜色に染まっていた。
「今日はもう、休むか」
「疲れたもんね」
「そうしよっか」