Asyl perspective
「・・・ふぅ・・・ふぅ・・・・・んっ・・・んぅ・・・はあ・・・く・・ふぅ・・・はぁ・・・はぁぁぁ。」
頬を紅潮させて、ビクビクと少し震えながら、乱れた息を整えるように大きく息を吐く伯爵。
「見てみて、小悪魔ちゃん!これどう?似合う?」
「おぉ〜!似合います〜。奥様がいつもよりもすご〜く聡明に見えます〜。」
「んふふぅ♪そうかなぁ♪」
「伯爵様も眼鏡が似合っていましたし、お似合い夫婦ですね〜。あ、私も眼鏡をかけてみました〜。どうですか〜。似合いますかね〜。」
「きゃ〜♡さらに司書っぽくなっちゃった小悪魔ちゃん可愛いすぎぃ♡監禁して、ぐちょぐちょにしちゃいたいくらいよぉ♡」
「奥様、それは怖いです。」
そんな息を乱しながら恨めしそうに夫人を見る伯爵をそっちのけで、小悪魔と夫人が伯爵の眼鏡をかけてキャッキャとはしゃいでいる。
「・・・大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫・・じゃないよ・・・。こうして・・・知らない間に・・復活していた・・アズール嬢が・・話し掛けてきたとしても・・・驚く気力すら・・ないくらいに・・ね・・・。」
依然として、息を乱しながら、ぐでんと力なく机にもたれ掛かっている伯爵。
・・・小さい男の娘の姿で、息を乱してトロンとした表情をする今の伯爵は、なんというか・・・とってもエロい。
どれくらいエロいかと問われれば、いつしかの夫人歓迎パーティーの時に、夫人に襲われてヴァルターがとろけ顔にされた時と同じくらいエロい。
というか、大体のエロい出来事は夫人絡みだ。
とんでもない変態魔王である。
そんな事を考えながら、エッチな雰囲気の伯爵を見てドキドキしていると、息を整えて落ち着いたらしい伯爵が話し掛けてきた。
「でも、アズール嬢が無事に目覚めてくれて僕は嬉しいよ。改めて、おかえり、アズール嬢。」
「ただいまです、伯爵。先程はご馳走様・・・じゃなかった、ご愁傷様でした。」
「・・・何を言いかけたのかは、聞かなかった事にしておくよアズール嬢。」
・・・夫人の事をエロいエロいと言っているが、私も案外むっつりスケベなのだ。
私自身はエロい体験はした事もなければ、見た事すらないから、あんまり分からない。
でも、分からないからこそ、興味はある。
自分で言うのもおかしいが、私は案外ウブなのだ。
だから、もう歳は100近いけれども、そういったエロい話には興味津々なのである。
「・・・それにしても、最近はほとんど運命が見れなくなっちゃったよ。運命に振り回される事は無くなったけれど、これはこれで不便だなぁ。」
そう言いながら、ふらふらと力が入らない様子の伯爵は、なんとか立ち上がる。
子鹿のようにプルプルと足が震えている伯爵に肩を貸してあげながら、応接室兼会議室へと向かう。
律儀に伯爵は応接室で話を聞いてくれるみたいだ。
小悪魔と夫人も伯爵の眼鏡をかけたまま着いてくる。
「あらぁ。運命に振り回されなくなった事は良い事じゃないの。私は貴方がそんな顔をしてくれるようになって、嬉しいわよぉ。」
「・・・君はもう少しお
「それは無理よぉ。・・・だって、私は貴方の事を愛しているのですもの。」
「・・うぅ//ひたすらにまっすぐな君は話してるといつも調子狂うなぁ・・ほんと。」
そんな、夫婦同士の会話。
真っ赤な顔を隠して恥ずかしげにそっぽを向く伯爵と、そんな伯爵を見てニヤついている夫人。
一見夫人が、伯爵の事をからかっているだけに見えるが、からかう夫人の顔も真っ赤で恥ずかしげだ。
何この夫婦。
すっごく可愛い。
いつしかのパーティーの時に、伯爵が夫人に花を贈った時にも、夫人はワタワタして顔真っ赤になっていたし、案外伯爵が今の立場を逆転させるのは簡単かもしれない。
それにしても、この2人の初々しい夫婦コントは、いつ見てもホッコリと癒される。
一友人として、このラブラブ夫婦の将来が楽しみである。
そんな事を考えているうちに応接室兼会議室に到着した。
「では、何かお飲み物でも持ってきますね〜。」
「私久しぶりに、ワイン飲みたーい!」
「あ、私も飲みたいです!」
飲み物を持ってきてくれるらしい小悪魔に、私と夫人はワインを注文する。
もちろん、伯爵特製の『神のワイン』をである。
滅多に飲めないし、ちょうど良い機会だし、飲みたい。
「・・・アズール嬢は、今日はあんまりお酒を飲まない方が良いね。アズール嬢にとってのちょっとした試練が待ってるようだからね。・・・予測しやすい運命だからか、よく見えるよ。」
「うぇ。何ですかその嫌な占いは。・・・なんだか、すっごく嫌な予感がします。・・・でも、分かりました。伯爵の忠告通りお酒は控えておきます。」
「え〜、アズちゃんがワイン飲まないなら、私もぶどうジュースで良いわよぉ。」
「かしこまりました〜。」
そう言って、小悪魔が飲み物の用意の為に退出する。
・・・伯爵の占いは、ほぼ100%当たるのだ。
当てにする他ない。
「で、僕に相談事があるんだろう?なんでも話してごらん?」
そう伯爵は言ってくれる。
とにかく、当初の目的通り門番の件について伯爵に相談してみる事にする。
「実は・・・」
かくかくしかじか
「・・・という訳で伯爵に相談しに来たのですよ。」
「・・・うん。確かに僕も、今の教会、聖教会は警戒しておくに越したことはないと思うよ。キルケー嬢が教皇から退いてから、妖怪に対する攻撃はさらに激しくなっているからね。」
「やっぱりそうなってますよね・・・。聞けば、今の聖教会には過激派思考の人間しか居ないらしいですし・・・。そう言えば、教会と紅魔館との間の不可侵契約はどうなったのですか?」
「それが、厄介な事に前教皇のキルケー嬢を月光館と紅魔館が結託して殺害したとか、変な言い掛かりを付けられて、不可侵契約を一方的に破棄されてしまったよ。」
伯爵は疲れた顔でため息を吐いている。
・・・恐らく、教会との確執は今に始まった事じゃないんだろうな・・・。
「本当に腹立たしい人間達ねぇ。滅ぼしてやりたいところだわぁ。」
「・・・勘弁してね。調停者として君を止めるのはかなり骨が折れるから。」
夫人の不穏な発言に冷や汗を流す伯爵。
「契約を一方的に破棄出来た、という事は〜、お相手さんの聖教会側にも〜、悪魔か、それに準じるものが居そうですね〜。」
どうぞ〜。と応接室に飲み物をたくさん持って帰ってきた小悪魔がぶどうジュースを夫人と伯爵、私に渡しながら教えてくれる。
確かに、この世界では契約の成立には悪魔が必要ですし、その破棄にも悪魔が必要になるだろう。
・・・聖教会なのに悪魔が協力しているとは、如何なものかと思うのだが・・・。
「あの子達は、私に隠れて悪魔召喚やらに手を染めていたらしいからねぇ。本当に困った子達だねぇ。」
そう言って、小悪魔が入ってきた扉から、続いて入ってきたのは、黒髪の美少女。
黒を基調とした、所々に白が散りばめられたふわふわとした可愛らしいドレスとスカートを着ており、長い綺麗な黒髪を艶々と美しく靡かせている。
歳の頃は18歳くらいだろうか。
その女の子は、伯爵達と同じ様な、見た目の年齢とはまるで年季が違う、落ち着いた雰囲気を纏ってこちらを向いて深く礼をしてきた。
「
「あ、はじめまして!私の名前はアズールと言います。キルケーさんですね。お話はモルモーさんから伺っていますよ。記憶が無くなっていて申し訳ないですが、よく分かりませんけど戦った事は水に流して仲良くしましょう!」
「・・・水に流す、か。・・・やはり君は噂に違わぬお人好しの妖怪らしいな・・・。」
「え?う、噂?」
噂と聞いてばっと伯爵の方を向くと全力で目を逸らされた。
・・・(ジト目)。
「・・・モルモーから私の話は聞いたかも知れないが、アイツが言う事は話半分に聞いて欲しい。変な事言ってるだろうしねぇ。・・・まぁ、これからもよろしく頼むよアズール女史。」
お、おぉ。
女史だなんて、初めて聞きましたよ。
なんというか、この世界で今まで会った事ないタイプの人だ。
凄くクールでかっこいいイケメンみたいな雰囲気でちょっとドギマギしてしまう。
見た目は物凄く綺麗で可愛らしい方だが。
「よろしくお願いします!・・・それにしても、キルケーさんとモルモーさんは仲が良いんですね。眠り姫だなんて、モルモーさんも同じ事を私に言ってきましたよ。」
「うぇ!?・・・そ、それは・・・。」
「?」
急に顔を赤くして、ワタワタと落ち着きが無くなったキルケーさん。
「それは、キルケーがモルモーの真似をしてるからなんだよねー。」
唐突に話に入ってきたのは、キルケーさんが入ってきた扉から入ってきた金髪の女の子。
その女の子は真っ白な服に、長い綺麗な金髪。
薄い赤色の瞳に背中には妖精のような可愛らしい羽が生えている。
歳の頃は10歳に行くか行かないかくらいの小さな可愛らしい女の子だ。
「あんたが、アズールね。アタイは地獄の妖精クラウンピース。よろしくね!キルケーはこう見えてモルモーの事が真似しちゃうくらい大好きで、可愛いとこあるから、これからも仲良くしてやってね!」
「え、あ、はい。分かりました!クラウンピースさんも、是非私とも仲良くしてください!」
「おぉ!あんたも純真で可愛らしいわね。よろしくね!」
クラウンピースさんは姉御肌って感じがする。
キルケーさんに向ける優しい雰囲気がお姉さんって感じだ。
「!!!クラウンピース!余計な事を言うんじゃあない!!」
「えぇ〜。だって事実じゃん。アタイらはあんたがちっちゃい頃から、あんたを見てきてるんだからねぇ。アタイらにとってはあんたはまだまだ可愛い可愛い妹みたいなものなんだよ?」
「〜〜〜っ///」
ニヤニヤ笑うクラウンピースさんの言葉にあうあうと言葉にならない声をあげて、顔を真っ赤にして照れているキルケーさん。
・・・なんだろう。
一見クールな人が、実は可愛らしいというのは、ヴァルターの時と同じで、すっごく可愛い!
ギャップ萌えってやつだ!
ポカポカと仲良く言い合いをしているクラウンピースさんとキルケーさんはまるで仲が良い姉妹のようだ。
「あらぁ♡ピースちゃんにキルケーちゃん。お久しぶりねぇ。ティアちゃんは元気かしらぁ。後でお姉さんとお茶でもしながらお話しましょう?」
「げげ、見通す悪魔。厄介なやつが帰って来てたのか。・・・一応言っておくが、ご主人様は元気だよ。最近はファッションに興味を持って世界中の服を見に旅してるところだよ。・・・あと、変な事されそうだし、お前とのお茶は遠慮しておくよ。」
「右に同じだよ。」
残念だわぁ。とニコニコしながら言う夫人。
どうやら、夫人とキルケーさん達は知り合いのようだ。
「ほら。あんたも、挨拶に行くんだよ。」
「あうぅ。新しい人は怖いですぅ。」
クラウンピースさんとキルケーさんの言い合いを微笑ましく見ていると、そんな声が皆が入ってきた扉の外から聞こえてきた。
そして、モルモーさんに引きずられて、ピンク色の長い髪で、片目に眼帯を着けて、背中から悪魔の翼を生やした可愛らしい女の子がおどおどと入ってきた。
その女の子は、肌面積の多いものすご〜くいかがわしい格好をしている。
というか、モルモーさんは見当たらないと思ったけれど、紅魔館に居たのか。
「ほら、しゃきっとしな。」
「あうぅ。ごめんなさい〜。分かりましたよぉ。」
モルモーさんに背中を押されて半裸?の悪魔っ娘がおずおずと私の前までやってきた。
「は、はじめまして。き、キルケーさんのお友達の悪魔エンプーサと申しますぅ。是非、仲良くして欲しいですぅ。・・・あわわ、生意気言ってしまってごめんなさい〜。」
眼帯に隠れた目とは別の目も、ギュッと閉じて挨拶してくれる。
「アズールさん、昨日ぶりだね。この子は他人との関わりが苦手だから、オドオドしてるけど、悪い子じゃないから仲良くして欲しい。」
「そうなんですね。はじめまして!エンプーサさん。モルモーさんも昨日ぶりです!エンプーサさんも、無理せず、落ち着いたら私とも仲良くしてくださいね!」
おずおずと、閉じた瞳を開いて、紅い瞳で私を見るエンプーサさん。
・・・初めて目が合ったけれど、この子も綺麗な瞳をしているなぁ。
「・・・モーちゃん。この子良い子だよぉ。私の事、本気で嫌ってないみたい。うぅ・・・疑って、ごめんなさい。」
急に謝りながらモルモーさんに泣きついたエンプーサさん。
え!?
私何か悪い事言っちゃったかな。
泣きついてくるエンプーサさんの頭を、困った顔で撫でているモルモーさんが口を開く。
「あぁ。気にしないでね、アズールさん。この子は他者の目を見て、その人の気持ちを感じる能力『窺い知る程度の能力』を持っているから、他者から向けられる目を異常に気にしていてね。アズールさんが、純真にこの子と仲良くしようとしてくれているのを能力で感じて、嬉しくてこうなってるだけだからねぇ。」
「ぐすん。ありがどうございまずぅ。アズールさん。ながよぐじでぐださいぃ。」
涙でグチャグチャになった顔で嬉しそうに笑うエンプーサさん。
能力に振り回されるのは辛いのは分かるから、この子の気持ちはすご〜く分かる。
「こちらこそ!よろしくお願いしますね、エンプーサさん!」
皆でニコニコと顔を見合わせる。
今日で知り合いが3人も増えた!
友達が増えるのは、嬉しい。
「あらあら♡プーちゃんにモーちゃんまで。ティアちゃん所の子が勢ぞろいねぇ。プーちゃんはいつものようにそそる格好してるわねぇ。後でお姉さんと一緒にお茶でも・・・」
「ひぃぃぃ。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
「ちょっと、レーヴァ!エンプーサに邪な目を向けてはダメだって昔から言っているじゃないか!あと、お茶ならあたしが付き合ったげるから、エンプーサには勘弁してあげなよ?」
「むぅ。残念だわぁ。まぁ、モーちゃんだけでも、お茶に誘えて良かったわ♡」
「・・・変な事はしないでおくれよ?」
「もちろん。ただ、久しぶりにお話したいだけよぉ♪」
夫人に声を掛けられるだけで震え上がるエンプーサさん。
・・・一体、夫人の目にはどんな気持ちが浮かんでいたのか・・・。
・・・まぁ、想像は付く。
モルモーさんは夫人とは長い付き合いらしく、慣れた様子だ。
なんにせよ、モルモーさんにクラウンピースさんにエンプーサさん。
いっぱいお友達が増えました!
お友達が増えた嬉しさからニマニマと顔を緩ませていると伯爵から声がかかる。
「ちょうど良かったアズール嬢。門番の話だが、キルケー嬢達が適任じゃあないかな。この方達は戦う力はあるし、モルモーとエンプーサ嬢、クラウンピース嬢に至っては、侵入者に対して有効な能力もあるし、僕とも付き合いが長いから、悪い妖怪じゃないって知ってる。信用できるからね。」
「うむ。アズール女史さえ良ければ。・・・私も貴女に恩がある。月光館に住み込みで門番として雇ってもらえないだろうか?」
伯爵の言葉にキルケーさんが頷き、門番に名乗り出てくれる。
他の皆も頷いているし、協力してくれるようだ。
「わぁ!皆さんが門番をして頂けるなら、心強いです!是非、こちらからもよろしくお願いします!」
これで、月光館の防衛事情は解決だ!
それに、月光館ファミリーが増えるよ!
賑やかになるなぁ、やったね!
「とはいえ、聖教会は紅魔館、月光館、夢幻館があるこの辺り一帯を迂闊に手を出してはいけない禁域として指定しているようだし、しばらくの間は安全そうではあるけどね。」
「そうなんですね。それでも、用心しておくに越したことはないです。皆さんよろしくお願いします!」
「「了解したよ」」
「了解だよ!」
「り、了解しました!」
「じゃあ、さっそく月光館に引っ越そうか!あたしはもうすでに月光館にお世話になってるから、他の子の部屋を借りに行こう!」
「あ、私もモーちゃん達に着いて行くわぁ。
そう言ってモルモーさんを先頭にキルケーさん、クラウンピースさん、エンプーサさんは月光館に向かう事になった。
夫人も着いてくると言った時には皆嫌そうな顔をしたが、本気では嫌がってはいない様子だ。
「アズール女史。」
月光館に向かおうとする面々を見て私も帰ろうかと思っているとキルケーさんが声を掛けてきた。
キルケーさんにお願いされて、皆から少し離れた場所に移動する。
「?どうしましたか?キルケーさん。」
「私はもう〖教会〗の教皇を辞したからか、殆ど力が残っていないが、この力についてアズール女史に伝えておこうと思ってね。」
そういうとキルケーさんは右手のひらの上に、感じた事の無い様な不思議な力の塊を出現させた。
「これは一体何ですか?何だか凄く神聖な力を感じますが・・・。」
「これは、人々の信仰によって生じた力だよ。〖教会〗内ではこの力の事を〖神力〗と呼んでいたね。・・・妖怪が持つ〖妖力〗でもなく、魔法に用いる〖魔力〗でもなく、人間が本来持つ〖霊力〗とも違う異質な力。」
キルケーさんは苦虫を噛み潰したような苦い顔をしながら説明を続ける。
「〖神力〗は様々な者に簡単に力を与え、そして持て余す力は人をおかしくしてしまう・・・」
そう話すキルケーさんは酷く悲しそうにしている。
「・・・元々〖教会〗の皆は良い子達ばかりだったんだよ?妖怪に困ってる人達を見ると放っておけないような正義感の強い子ばっかりで、それでも出来るだけ争いを起こさないように妖怪達にも、まずは話し合いをしようとするくらい大人しい子達ばかりだったんだ。」
昔を懐かしむように、幸せそうにはにかみながら話すキルケーさん。
「・・・そんな人助けを生涯続けてくれていた子供達がいつものように話し合いで妖怪とのいざこざを解決しようとしていたある日、その子達が話し合いをしていた妖怪達に無惨に殺害されてしまう事があってね・・・」
ギリギリと拳を握りしめるキルケーさん。
「もちろん私の可愛い子供達が殺されたんだ。相手の妖怪は私直々に徹底的に退治したさ。・・・ただ、あの日を境に子供達は力に飢えるようになった・・・。」
「・・・。」
「初めの内は私も妖怪に深い憎しみを抱いたさ。なんせ愛息子や愛娘が残酷な殺され方をしたんだ。こんな目に合わせた妖怪共を一匹残らず退治してやろうと考えた。その為の力としてこの〖神力〗を授かったんだと思った・・・。でも、私にはそんな愚行を止めてくれる家族達が居たんだ・・・」
そう言ってちらりとモルモーさん達を見るキルケーさん。
「・・・でも、私は止められなかった。私も、子供達が〖神力〗と憎しみに支配されている事に気付いていた。・・・でも、亡くなった子供達の遺族の子供達の気持ちを蔑ろにする事は、私には出来なかった。」
「・・・。」
「私の子供達、〖教会〗の人間は皆、昔の私と同じように、この〖神力〗にあてられて歪んだ思考と欲望に取り憑かれてしまっている・・・だから・・・。」
「・・・キルケーさん。」
「・・・君たちにとてつもない迷惑を掛けてしまった私にこんな事を言える資格なんて無い・・・無いのだが・・・。」
そこまで言ってキルケーさんは私の手を両手で握って深く頭を下げる。
握ったキルケーさんの手はか弱い少女の様に弱々しく、少し震えている。
「・・・あの子達を、どうか救ってあげて・・・。」
見た目相応の少女のように、まるで怯えているように、キルケーさんは綺麗な瞳に涙を浮かべながら震える声で弱々しく私に懇願した。
【後書き】
追記:クラウンピースさんの口調を修正しました。
本作品のクラウンピースさんは普段は『紺珠伝』での、ボーイッシュで『~だよ』と言う口調。
興奮すると、『三月精』での『~だぜ』の口調になるという、原作に準ずる設定を用います。
従って以前のセリフも差し替えました
サブタイトルも手抜きしちゃってましたので修正しました。
旧:対外政策開始2~門番求むです~
新: 第31話:地獄の三相女神の子供達~皆さんそれぞれ個性的で素敵ですね!~✿
サブタイトルの地獄の三相女神とは原作キャラ『ヘカーティア・ラピスラズリ』様のことです。
ややこしくて申し訳ありませんm(_ _)m
どうも、逆流性食道炎で入院することになったまほろばです。
・・・うぅ。
入院は嫌だぁぁぁぁぁ。
・・・まあ、検査入院らしいので1泊2日程度の入院ですが・・・。
ですので庇護録の更新は同じく1週間以内には投稿できそうです。
それはさておき、31話です!
今話は、ヘカーティア様ファミリーの面々との交流がメインの回です。
↓クラウンピースさんにからかわれて顔を赤くするキルケーさん
【挿絵表示】
↓キルケーさんをからかうクラウンピースさん
【挿絵表示】
↓夫人に怯えるエンプーサさん
【挿絵表示】
↓苦笑いのモルモーさん
【挿絵表示】
※Dairi様の立ち絵を規約に従って改変しています。
Dairi様いつもありがとうございます!!
今後キルケーさん達は、門番として面白おかしく月光館で暮らすことになりそうです。
さて、今話で、一旦第4章アズール復活編は締めくくって、次話から第5章へと進んでいきます。
少し中途半端な章の分け方かもですが・・・
さて、恒例ですが、今話での作業用BGMを勝手ながら紹介させていただきます。
まずは、東方原曲から
東方Project第13弾『東方神霊廟 ~ Ten Desires.』の4面道中曲。
『デザイアドライブ』
そして、DOVA-SYNDROME様より
MATSU様が手掛けるフリーBGMから
『時を刻む森』を作業用BGMに使用させていただきました。
これらの神曲を今話の作業用BGMに使用した理由や、感想など、活動報告にあげさせていただきますので、宜しければ御覧になってください。
感想などいっぱい頂けて作者はとっても嬉しいです。
庇護録はまだまだ続きますので、これからもよろしくお願いいたします!!