市丸ギン「時系列とか、整合性だとか、そないな細かいこと気にしてたら、君……ハゲるで」
「暇だな」
あの大戦から数年の月日が流れた。
鳥が陽気に歌い、花が多く咲く過ごしやすい季節。暇を持て余した青年は一つ大きく欠伸をする。
オレンジの髪を揺らし、ブラウンの瞳を眠たげに細めた青年──黒崎一護は死神代行である。
町の人々を虚から護る者。それが死神と呼ばれる調整者。
その代行として人知れず町を護るのが彼、黒崎一護だ。
比較的、虚が出現しやすい重霊地の空座町とは言えども、稀にではあるが虚が全く出ない日もある。今日もそうだった。
実に平和な休日の昼下がりだ。
「寝るか」
進学し、大学生となった一護の授業態度は、彼の見た目とは正反対に非常に真面目である。生来、努力家である彼の成績は良く、課題を長く持ち越すこともない。
そのような理由から彼は 現在、暇である。そして、ポカポカと陽気な気候。
これはもう昼寝をするしかないと決めた一護はベッドへと身を投げ出した。
「ふ~」
日の光を浴びて温もりが籠った布団。暖かさに包み込まれ、至福の時を感じながら一護はゆっくりと瞼を下ろす。
「久しぶりだね、黒崎一護」
窓の外から声がした。
一護は弾かれたようにベッドの上から飛び上がる。間髪入れずに自室──二階の部屋である──の窓へと目を向ける。
聞こえてはならない声だ。ここで聞こえる訳がない声だ。聞いてはいけない声だ。
その声は一護の警戒を最大限に引き上げる。
窓から差し込む日の光を後ろに一つの影が一護を見下ろしていた。
「藍……染……?」
「改めて言おうか。久しぶりだね、黒崎一護」
一護の目線の先、その窓の向こうには仇敵の姿があった。
藍染惣右介。
一護が死神代行となり、現世、尸魂界、虚圏で戦う元凶となった人物だ。
「なん……で……?」
かつての戦いの後、藍染は収監されたと聞いていた一護は目を大きく開く。
自分の全力以上の力を出して、やっと勝てた相手だ。多くの仲間と力を合わせて、やっと勝てた相手だ。その上、今の藍染は前に戦った時よりも間違いなく強いことを一護の感覚が教えていた。
──霊圧を……全く感じない。
かつての戦いの後、父である黒崎一心から藍染の霊圧が感じ取れなくなったということを一護は聞いていた。一心、曰く、力の差が余りにも大きく隔たっている場合、霊圧を全く感じとることができなくなる、と。
「ッ!」
カラカラと軽い音を立てながら窓が開かれる。
腕を軽く伸ばせば簡単に届くほどの近い距離。それにも関わらず霊圧を感じとることができない。
喉が乾く。冷や汗が流れる。思考が止まる。
あまりの異常事態に死神化することすら思考の外にある。
窓から一護の自室へと入ってきた藍染は柔和な笑みを崩すことなく一護へと話しかける。
「なんで、と君がそのような疑問を口にするとは。かつて言わなかったかい?」
窓から差す光が藍染の顔に影を作る。
「君を喰らうのは全てが終わった後でいい、と」
そこで一護は藍染の手に死神代行証が握られているのに気がついた。
いつ取ったのか悟らせることのない神業。
やられたと一護が思った時には全てが終わっていた。死神代行証がなければ死神化はできない。尸魂界や現世の仲間からの応援を期待しようにも藍染の霊圧は一護でも感知することができない。その上、藍染のことだ。自分が尸魂界から抜け出した痕跡の隠蔽工作も完璧だろう。
絶望的だ。
そのことを理解してしまった一護は唇を噛み締める。
「何だよ……何が……何がしてぇんだよ、アンタは!」
「マ◯オカートだ」
「上等だ。アンタがその気なら……ん? ん? ……何て、今、何て言った?」
「マ◯オカートをしよう」
「……は?」
「解らないか? マ◯オカートをしようと言ったんだ」
「意味はわかっても意味がわからねぇ! どういうコトだ? 騙そうとしてるのか? そうなんだろ、そうだよな?」
「騙すつもりはないさ。ただ君たちが誰一人理解していなかっただけだ。私の本当の姿をね」
「どういうコトだって訊いてんだよ!!!」
藍染は指を立てた。
「Edge of the Silence……私の決め台詞だ」
「は?」
「声を……そう声を荒げるな、黒崎一護」
藍染は悠然とした態度を崩さず、一護の部屋にあるテレビの前に腰を下ろす。
「そんなに驚くことは無いだろう? 私はただ……」
テレビの電源を点けた藍染は一護に向き直る。
「……拘束され、暇だったからY◯utubeの動画を見続けただけだ。そして、Vt◯berになっただけだ」
「真面目に刑に服せよ!」
と、そこで一護の脳裏に疑問が過った。
テレビの入力切り替えボタンを押している藍染に訪ねる。
「待て。何でアンタがY◯utubeとか知ってるんだ? 尸魂界にはスマホとかないはずだろ?」
「雛森君が現世のPCを、日番谷隊長が現世のスマホを差し入れしてくれた」
「何やってんだよ、あの二人……」
どこか遠い目をする一護だが、彼の様子に気がついていないのか、はたまた、その彼の様子を楽しんでいるのか藍染は話を続ける。
「君はY◯utubeの能力は何だと思っている? 相反する二つのもの──視聴者とVt◯berの境界を支配するものだと? 違う。Y◯utubeの真の能力とは見ている者と見られている者の心を繋ぎ一体化する能力だ」
「そんな怖い動画サイトがあってたまるか」
「解らないか? そこでは、護廷十三隊の全隊員よりも多くのVt◯berたちが様々なゲームに興じている。彼らが遊ぶ姿を見るだけで我々は癒される。そのような奇跡と呼ぶべき全てがY◯utubeによって具現化されたものだといっているんだ。そのことは君も解るだろう?」
「いや、訳わかんねぇ、マジで」
「私はY◯utubeの真の力に気づいていた。いや、Y◯utubeの力というと語弊があるな。正確にはVt◯berの諸先輩方の楽しい配信が心を繋ぎ一体化することに気づいた」
「だから、訳わかんねぇって、マジで」
「ならば、訊こう」
いつの間にか藍染は懐から取り出したゲーム機を一護のテレビに接続していた。
「君は何のためにスマホにY◯utubeのアプリを入れている?」
「買った時に勝手に入ってただけだ。使ったことはほとんどない」
「なん……だと……!?」
「戦った時にも、そんな顔一度もしなかったじゃねぇか!」
少し、ほんの少しと本人は認識したいようだが、目に涙を浮かべた一護の叫びを無視し、藍染は矢継ぎ早に一護に質問を繰り出す。
「黒崎一護。君はVt◯berの配信を毎日見ないというのか?」
「見たことない」
「にじ◯んじ所属のVt◯berは何人言える?」
「よく知らねぇけど一人も会ったことがない」
「……ホ◯ライブの6期生、秘密結社hol◯Xの風◯いろはについてどう思う? 彼女は清楚を貫き通せるのか、それとも、る◯あやラ◯ィのように殻を破れるのか。君はどう思う?」
「よく知らねぇけど殻は破った方がいいんじゃないのか?」
「清楚キャラを私は好ましく思うが……しかし、清楚キャラが虚のような声を挙げるのは賛否両論だ」
「虚のような声って……化け物かよ」
「そうだ。崩玉を従えた私でさえも未だ至っていないチャンネル登録者数100万を優に越えている異才だ。そして、私が頂点に立つためにいつか越えなくてはならない壁だ」
「そうか……」
目の前の現実から逃避したい。そう思って呆けていたのが悪かったのだろう。
いつの間にか一護の手にゲーム機本体──テレビとケーブルと繋がっているゲーム機とは違うものだ──が握らされていた。
「全Vt◯ber1超絶かわいいのは兎◯ぺこらだが、全死神1つよつよVt◯berなのは私だ。今日は、それを証明するために来た」
「誰だよ、兎◯ぺこらって」
「全Vt◯ber1超絶かわいいVt◯ber だ。君も彼女の名前を覚えて検索して野うさぎになるといい」
「……そっか」
藍染への質問は理解できない言語へと変換されることに気づいた一護は全てを諦めた。ここにコンがいれば、彼に全てを押し付けて逃げ出したかったが、残念ながら彼の姿は見当たらない。勝手に出かけていって、比喩的な表現になるが、どこかで羽を伸ばしているのだろう。
翼を折って青すぎる空に向かって、あの汚いぬいぐるみを放り投げてやりたいと思う一護には全ての準備を整えた藍染に注意を向ける余裕など欠片もなかった。
自分に似せて作られた画面の中の3等身のキャラクターを死人のような濁った目で見ながら、一護は自分が持たされているゲーム機を藍染が操作しているのをどこか遠くで感じていた。
「さあ、行こうか。理の涯へ」
「ゲームスタートって言え!」
ピーという音と共にフラッグが振られた。虹色に輝くコース。11人のプレイヤーが一斉に走り出す。
「遅い」
「あ! てめぇ! ズルいぞ!」
スタートダッシュを見事に決めた藍染は一護を大きく引き離す。
一護も幼い頃、マ◯オカートをプレイしたことはある。が、ブランクがある。それこそ、10年以上のブランクだ。藍染や他のプレイヤーと同じようにスタートダッシュを決めることなどできはしなかった。
「狡い? チート? この世界には最初からそんなものはない。あるのはただ厳然たる事実のみ。この世界に存在する全てのプレイヤーは自らに都合の良い“事実”だけを“仕様”と誤認して生きる。そうするより他に生きる術を持たないからだ。だが、世界の大半を占める力無きものにとって、自らを肯定するに不都合な“チート”こそが悉く仕様なのだ」
「てめぇだけ良いコントローラーを使って、テレビに画面を映してるじゃねぇか!」
「……」
黙る藍染。
──なんというか……ゲームっていっても、こんな奴に負けたくねぇな。
液晶画面つきのゲーム機本体を握る一護の手に力が入る。
一護の闘争心に火が着いた。同時にルーレットが回る。ガチャガチャとボタンが音を奏でる。
「死ねッ!」
一護が投げた緑甲羅が藍染に当たり、藍染がクラッシュする。
「あまり強い言葉を遣うなよ!!! 弱く見えるぞ!!!」
「いきなり大声出すんじゃねぇ!」
コーナーを曲がる時に体をこちらに傾けてきた藍染の体を蹴りながら一護は画面の中の藍染を追走する。
──ここで……アイテムを取る!
藍染の視線は前に向いている。後ろから迫る一護を見向きすることはない。
縦に重なったはてなブロックを取り、再び一護のルーレットが回りだす。
「ナイス!」
キノコだ。金色のキノコだ。
先ほどガチャガチャとボタンを押していた時に気がついた。Lボタンでアイテムが使える。使い方は理解した。
後はタイミングだけ。
──思い出せ。
虚との戦いを。石田と共に戦ったメノスとの戦いを。恋次との剣八との白哉との。グリムジョーとのウルキオラとの。銀城との。ユーハバッハとの。そして……藍染との戦いを。
今までの戦いの中で学んだ戦いの空気、呼吸。つまりは洞察力だ。
──ここだ!
「行けぇ!」
「進化には恐怖が必要だ。今のままではすぐにでも滅び消え失せてしまうという恐怖が……待て待て待て、待つんだ黒崎一護」
アイテムの加速により一護は一気に先頭集団に入り込む。
抜かされた藍染は慌てて一護に声をかける。
「え? 嫌」
一護が操るキャラクターは一周目を回りきり、二週目に突入。ついでに、縦に重なるはてなボックスを取っていく。
だが、藍染にも意地がある。先頭集団には及ばないものの、藍染の現在の順位は六位。巻き返しも十分、狙える。
だが、中堅の順位は上位を狙いつつ、下位から抜かれることを防がなくてはならない難しい順位。
カーブに差し掛かり、ドリフトを決めようとする藍染。だが、藍染よりも内側、ギリギリのインコースを攻めてきた名も知らぬプレイヤーが彼の操るキャラクターへと衝突する。
「貴様ッ! 近づくな! 霊圧知覚を持たぬ人間は私の力を感じないが霊体そのものが私の力に耐えられないのだ。……近づくなッ!」
──このままでは……。
ほんの少し迷った後、藍染は一護へと声をかけた。
「黒崎一護。どうかな? 少し手を組まないか?」
「複雑な気分になるからやめとく」
「なぜだ! あの戦いで君が勝利できたのは私の力あってこそだろう!」
「……これっきりだからな」
「ああ、もちろんだ。ところで、君は何のアイテムを持っている?」
「バナナ」
「ならば、そのコーナーへ投げるんだ。勿論、インコースということは解っているな」
「ああ、わかった」
やる気がないように感じる一護の投げ遣りな声。だが、藍染の指示には従う。
自分よりも頭のいい十三番隊隊長の浮竹。その彼をも騙しきった藍染の策謀には、敵とはいえ一護も一目置いている。
協力するならば、彼の指示を信頼した方がいいという判断を一護は下した。
だが……。
「目に見える裏切りなど知れている。本当に恐ろしいのは目に見えぬ裏切りだよ、黒崎一護。破道の六十三 雷吼炮」
「え?」
突如、稲光が一護に落ちる。目の前にはクラッシュした自らに似たキャラクター。
アイテム、サンダーの効果だ。
「てめぇ! やりやがったな! 協力しようって言ったすぐ後に裏切るってどういう神経してんだよ!」
「全ての生物は自分より優れた何者かを信じ、盲従しなければ生きてはいけないのだ。そうして信じられた者はその重圧から逃れるために更に上に立つ者を求め、上に立つ者は更に上に信じるべき強者を求める。そうして全ての王は生まれ、そうして全ての神は生まれる。そして、これからは……」
マシンを駈り、颯爽と一位に躍り出た藍染は高らかに宣言する。
「私が天に立つ!」
「うるせぇ!」
怒鳴り合いながら二人はスタートゲートを通りすぎる。
一位が藍染、二位が一護。そして、三位以下も団子状態であり、予断を許さない状況だ。
デッドヒート。それを変えるために、抜きん出るために必要なのはただ一つの手段。
ルーレットが回り出す。
「お! 青い甲羅だ」
「!?」
ただ一つの手段。
それはアイテムで敵を邪魔することのみ。
「そんなアイテムを使わせると思うか? こんなもの……」
「おらァ!」
青い甲羅が藍染に当たった瞬間、周りを──甲羅を投げた本人である一護をも巻き込み爆発する。
「なん……!?」
「……だと……!?」
側を通りすぎる何台ものマシン。
二人の順位が一気に下がる。二人の間にこれまでにない緊張感が走る。
「何故、そう間合いを取らない? 確実に当てたいのか? それで近づいて撃つべきと考えたのか? それとも……」
藍染の声は酷く冷たい。
「……近づいて確実に当てることで私の足を引っ張りたかったのか? だとしたら下らないことだ」
「でも、そういうゲームだろ?」
「勝者とは! 常にゲームがどういうものかではなく! どう在るべきかについて語らなければならない!」
「でも、今のお前の順位、ビリだけどな」
「くっ!」
走り出す藍染だが、再びクラッシュ。くるくると回るマシン。最後尾である自分に攻撃を加える意味は少ない。一体、どこから誰が何故?
一瞬、目を見開いた藍染だったが、彼の聡明な頭脳はすぐに答えを導き出した。
「そういえば少し前に君はバナナを投げていたな。今更そんな小細工は使うまいと油断していたよ」
「お前がバナナをここに置けって言ってたんだけどな」
一護の言葉が藍染の胸を抉る。だが……ルーレットが回り、そして、止まり、藍染が微笑む。
「抜き損ねたな、黒崎一護。今のが私の最後の隙だ」
「お前、ビリだろ? 何を言ってんだ? 寝言か?」
「……親子だな。黒崎一心にも同じことを言われたよ」
「うぇ……」
心底、嫌そうな顔をする一護だったが、懐かしく、それでいて、耳によく馴染む音楽がしたことに気がつき、耳を澄ませる。
「──それは──……」
「……スターだ」
軽快な音楽と共に藍染の体が光り明滅する。
スターというアイテムの効果は単純。無敵だ。敵を粉砕し、敵の攻撃を受け付けず、速度も上がる。
「警戒する必要が最早、無いのだ。感じるのだ。スターを従えた私の体はかつて尸魂界に於いて比肩するものの無かった私の能力の全てを遥かに凌駕し始めている」
「待て!」
一条の光となった藍染は一護を抜き去る。七色にコースよりも強く輝く藍染の姿は正しく星であった。
「青甲羅ですら、最早躱すには値しない!」
勝った。順位は下位ではあるが、黒崎一護には勝った。これで私の力が証明される。
藍染が勝利を確信した瞬間のことだ。
「はてなボックスが輝いている──これは」
スターの効果が切れた。
「順位が下位の場合のみ、出現する確率が高くなる禁じ手。九十六番 犠牲破道」
「破道じゃねぇけどな」
「“弾頭火葬”」
「破道じゃねぇけどな」
「侮っていた。私のスターで下がった順位を利用して即座に強アイテムを引き当てるとは──」
「……月牙を打ち込みてぇ」
「アイテムと一体になるとは。これがアイテムの本来の形なのか!?」
「……無月を打ち込みてぇ」
ゴール手前、大砲の弾と化した一護が藍染を轢き、そして、FINISHという文字が表示される。一護の勝利だ。
「……満足か?」
「滲み出す混濁の紋章不遜なる狂気の器湧き上がり否定し痺れ瞬き眠りを妨げる爬行する鉄の王女絶えず自壊する泥の人形結合せよ反発せよ地に満ち己の無力を知れ破道の九十黒ひつんぐっ……!」
「お前ッ! お前、今、本気で打とうとしただろ!」
一護は早口で詠唱をする藍染の口を慌てて押さえる。なんとか間に合ったようで、破道は発動されなかったようだ。
冷や汗を拭う一護を尻目に藍染はそそくさと無言でゲーム機を片付けていく。
全ての片付けが終わり、ゆっくりと立ち上がった藍染は窓へと足をかける。
「黒崎一護」
「ん? なんだ?」
「また来る」
そう言い残し、夕日で赤に染まる空座町に姿を消した藍染へと一護は叫んだ。
「もう来んな!」
それからしばらく経っての夜のことだ。笑って息も絶え絶えの織姫から内容がさっぱり聞き取れなかった電話の後にY◯utubeのURLが一護のスマホへと送られてきたのは。
頬を引きつらせながら一護はURLから動画を再生する。
そこに映っていた、いや、声だけしか入っていなかったが、それは自分の声に間違いはなかった。呼吸ができなくなるほど笑う織姫の様子で予測はできていた。できていたが、耐えることができるかは別問題だ。
「藍染! どこだ、藍染!」
死神化して、一護は夜の空座町を駆ける。仇敵の首へと斬魄刀を振り下ろすために。
ベッドへと叩きつけられた一護のスマホには動画が流れていた。その動画の内容は先日の藍染とゲームをした時のもの。それをいつか見た藍染の姿を模したアバターが藍染の声で解説しているという動画だ。
一護にとって悪夢のような話だが、再生数は1万どころか、10万へと届きそうなほどの人気動画となっている。
投稿者の名前は蛹籃はんぺん。
全身、頭まで白いボディスーツに包まれたアバターで、一護がかつて見たことがある崩玉と融合したばかりの藍染の姿と瓜二つのものであった。