問題児たちと(常識人の)幼馴染が異世界から来るそうですよ?   作:gobrin

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最近忙しくて全然更新できなかったorz

お待たせしました。


あら、魔王襲来のお知らせ?
第一話 問題児たちが北側に行こうとするようですよ?


″ペルセウス″とのいざこざから一か月後。

 

飛鳥は朝の惰眠をむさぼっていた。

心地よく目覚めた彼女が二度寝を敢行しようとしたとき――

 

コンコン、とドアを叩く音が耳朶を打った。

 

「えっと、春日部です。年長組の子と朝ご飯を持ってきた。飛鳥は、起きてる?」

 

「…………………」

 

さあ困った。

 

二度寝をしようとしたときに起こされること程苛つくことは…………結構あるが。

まあそれはそれとして。

 

飛鳥は以前いた世界ではお嬢様だった。

それ故″二度寝″なるものを経験したことがない。

今日はそういう気分になったから二度寝を楽しみたい。

だが、わざわざ起こしにしてくれた友人の厚意を無為にするのも心苦しい。

その二つで葛藤していた飛鳥だったが、今日は欲が勝った。

 

あと五分だけ。そう自身に言い聞かせ、飛鳥はさらなる快楽を求めて意識を手放そうとする。

 

――コンコンコン。

 

「飛鳥……?寝てるの……?」

 

困ったような、寂しそうな声が飛鳥の耳に届く。

だが、眠いものは眠い。飛鳥は頭から布団をかぶりなおす。

 

―――コンコンコンコン。

 

回数が一回ずつ増えていくノック。

しかし飛鳥は申し訳なさを胸に抱えながらも、意識を本格的に手放―――

 

コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン。

 

「ごめんなさい。私が悪かったわ」

 

朝の死闘の結果は、耀の勝利で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

場所は変わって″ノーネーム″本拠地下三階にある書庫。

 

そこでは二人の人物が眠りこけ、一人の人物が本を読みながらその様子を見守っていた。

 

寝ていた二人の内の一人――十六夜が少しだけ意識を覚醒させ、寝ているもう一人――ジンに話しかける。

 

「………ん………御チビ、起きてるか………?」

 

「………くー………」

 

「寝てるか………」

 

そこに、起きていた人物――均が苦笑いを浮かべて声をかける。

 

「そりゃあ十六夜の読書ペースに合わせてたら限界がくるって」

 

「均は平気なのか………?」

 

「僕はちょいちょい寝てたからね。大丈夫」

 

「そうか……。じゃ、お休み………」

 

「うん、お休み」

 

十六夜とジンは気持ち良さそうに寝息を立てる。

いくら十六夜といえども、朝早く本拠を出る→帰ってきたら読書→朝早く本拠を出る→(以下略)という生活サイクルでは限界がきたのだろう。

 

そんな中、飛鳥達が慌ただしく階段を駆け下りてきた。

 

「均君!十六夜君!何処にいるの!?」

 

飛鳥は十六夜の姿を認めると、散乱した本を踏み台にして、十六夜の側頭部に飛び膝蹴りを放った。

――別名、シャイニングウィザード。飛鳥は大技で十六夜を強襲する。

 

「起きなさい!」

 

「させるか!」

 

「グボハァ!?」

 

その強襲をジン=ラッセルという名の盾の側頭部で受けきった十六夜。

 

ジンは錐揉み回転しながら吹っ飛ぶ。

だが飛鳥はその結果を見ることなく均をも強襲。

…………下を向いて読書にふけっていたら、寝ていると勘違いされたようだ。

それよりも、飛鳥はこんなに身体能力が高かっただろうか?

 

「均君、貴方もよ!」(飛鳥、再びシャイニングウィザード)

 

「そんな大技喰らうわけにはいかない!」(均、飛翔中のジンをむりやり捕獲、盾として装備)

 

「ぐげふゃっ!!」(ジン、均にまで盾にされて三回転半を経て本の山に着弾)

 

その光景を見たリリと耀が驚く。

 

「ジ、ジン君がぐるぐる回って吹っ飛びました!?大丈夫!?」

 

「…………側頭部を膝で蹴られて大丈夫なわけないと思うな。しかも二回」

 

突然の事態に混乱しながらもジンに駆け寄るリリ。

眉一つ動かさずに合掌する耀。

慌てるリリを微笑ましいと穏やかな表情で見守る均。…………こいつ頭大丈夫か?

 

ジンを吹っ飛ばした張本人は、特に気にすることなく腰に手を当てて叫ぶ。

 

「均君、十六夜君、ジン君!緊急事態よ!寝ている場合じゃないわ!」

 

「そうかい。それはありがたいがお嬢様。側頭部にシャイニングウィザードはやめとけ。俺は頑丈だから兎も角、御チビの場合は命に関わ」

 

「って、僕を盾に使ったのは十六夜さん達でしょう!?」

 

本の山から起き上がるジン。それを見て素朴な疑問を覚えた均が一言。

 

「あれ?生きてたんだ」

 

「均さん!!?まさか死ぬかもしれないと思った上で盾にしたんですか!?」

 

「均君も十六夜君も大丈夫よ。だってほら、生きてるじゃない」

 

飛鳥の結果しか見ていない非情なお言葉。

 

「デッドオアアライブ!?飛鳥さんはもう少しオブラートにと黒ウサギからも散々」

 

「御チビも五月蝿い」

 

・十六夜の(リアルな)投書攻撃!

・ジンの頭に直撃!

・角が当たった!

・会心の一撃!

・ジンは後方に吹っ飛んだ!

 

という流れで先ほど以上の速度で飛んでいったジン。

 

リリはもうパニックに陥っている。

 

 

だが、そんなことは気にせず、十六夜は不機嫌な顔をして飛鳥を睨む。

 

「……で?人の快眠を邪魔したんだから、相応のプレゼンがあるんだよな?」

 

殺気の篭った視線にかまわず、飛鳥は手に持っていた招待状を十六夜に渡す。

 

「いいからこれを読みなさい。絶対に喜ぶから。均君も」

 

「うん?」

 

「わかった」

 

不機嫌そうな十六夜と、いつも通りの均が招待状に目を通す。

十六夜が声に出して読んだ。

 

「双女神の封蠟……白夜叉からか?えー何々?北と東の″階層支配者″による共同祭典――″火龍誕生祭″の招待状?」

 

「そう。よくわからないけど、きっとすごいお祭りだわ。均君も十六夜君もわくわくするでしょう?」

 

どこか自慢げに言う飛鳥に対し、腕を震わせる十六夜と眼を輝かせる均。

均は″祭″と名のつくものに目がないのだ。

 

「オイ、ふざけんなよお嬢様?こんなクソくだらないことで快眠中の俺は強襲されたのか?しかもなんだよこの祭典のラインナップは!?

『北側の鬼種や精霊達が作り出した美術工芸品の展覧会及び批評会に加え、様々な″主催者″がギフトゲームを開催。メインは″階層支配者″が主催する大祭を予定しております』だと!?

クソが、少し面白そうじゃねえか行ってみようかなオイ♪」

 

いつもの十六夜からは考えられないようなテンションの上がりっぷりだった。

 

「楽しそう!僕も、僕も賛成!!」

 

そしてこれまたいつもの均からは考えられない程の豹変ぶりだった。

 

「ノリノリね」

 

飛鳥の言う通り本当にノリノリだった。

十六夜はすでにいそいそと制服を着込んでいる。

均も明らかに上機嫌で準備していた。

 

そんな様子を見て、リリが必死に止める。

 

「ま、ままま、待ってください!せめて黒ウサギのお姉ちゃんに相談してから……ほ、ほら!ジン君も起きて!皆さんが北側に行っちゃうよ!?」

 

「北……北側!?」

 

北側に行くというワードが聞こえたジンが飛び起きる。

中々頑丈だ。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!北側に行くって、皆さん本気ですか!?」

 

「え?うん」

 

「そうだが?」

 

均と十六夜が言葉を返す。

 

「何処にそんな蓄えがあるというのですか!?ここから境界壁までどれだけの距離があると思っているんです!?リリも、大祭のことは皆さんには秘密にと―――」

 

「「「「秘密?」」」」

 

四人の声がハモった。

ギクリ、としたジンが失言に気がついて振り返るが―――ちょっと遅かった。

 

邪悪な笑みと怒りのオーラを放つ十六夜・飛鳥・耀の三人の問題児。

均は、いつもよりにこやかな笑みを浮かべていたが………………目が笑っていない。

 

「………そっか。こんな面白そうなお祭りを秘密にされてたんだ、私達。ぐすん」

 

「コミュニティを盛り上げようと毎日毎日頑張ってるのに、とっても残念だわ。ぐすん」

 

「ここらで一つ、黒ウサギ達に痛い目を見てもらうのも大事かもしれないな。ぐすん」

 

「僕的にはいっぺん地獄を見せたいんだけどね。ぐすん」

 

泣き真似をする裏で、ニッコリと物騒に笑う四人。

その笑みを見て、冷や汗ダラダラの可哀想な少年少女。

 

 

――この時の均の心境。

 

(さて、まずは哀れなジン君に地獄を見てもらおうか、な?)

 

…………ジンよ、南無。

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し後。

 

 

「く、黒ウサギのお姉ちゃぁぁぁぁん!た、大変――――!」

 

″ノーネーム″の魔王に荒らされた農園跡地を見ていた黒ウサギとレティシアの下に、リリが血相を変えて走ってきた。

 

「リリ!?どうしたのですか!?」

 

「じ、実は飛鳥様が均様と十六夜様と耀様を連れて………あ、こ、これ、手紙!」

 

かなり慌てているリリから手紙を受け取った黒ウサギ。

そこには、こう書かれていた。

 

『黒ウサギへ。

北側の四〇〇〇〇〇〇外門と東側の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。

貴女も後から必ず来ること。あ、あとレティシアもね。

私達に祭りのことを意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合、()()()()()()()()()()()()退()()()()。死ぬ気で捜してね。応援しているわ。

P/S ジン君は道案内に連れていきます』

 

黒ウサギは、それを読んだ後たっぷり硬直し、手をワナワナ震わせて、叫んだ。

 

「な――――何を言っちゃってんですかあの問題児樣方ああああ――――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンを拉致ってきた四人は、いつも通りに″六本傷″のカフェテラスに陣取っていた。

 

「それで、北側まではどうやって行けばいいのかしら?」

 

飛鳥が口を開いた。

耀が自分の考えを述べる。

 

「んー、でも北にあるっていうなら、とにかく北に歩けばいいんじゃないかな?」

 

間違ってはいない。確かに間違ってはいない。

だが、その無計画さに一同は思わず苦笑した。

 

「で?我らのリーダーは何か素敵なプランはないのか?」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべながらジンに問う十六夜。ちなみに均はニコニコしている。

ジンは大きくため息をついて、答えた。

 

「予想はしてましたけど………もしかして、北側の境界壁までの距離を知らないのですか?」

 

「知らねえよ。けどそんなに遠いのか?」

 

怪訝そうな十六夜。それに対して、ジンは頭を抱えて答えた。

 

「やっぱり何も知らずに出発していたんですね………なら説明する前に聞いておきますけど。この箱庭の世界が、恒星級の表面積だという話は知っていますか?」

 

え?といった様子の飛鳥と耀。

均と十六夜は、頷いていた。

 

「それなら黒ウサギから聞いた。けど箱庭の世界はほとんどが野ざらしになってるって聞いたぞ。それに、大小はあっても、この都市以外にも街は存在するとも」

 

「あれ?ちょっと待って、ジン。まさか、都市の大きさを恒星に対する比率で考えるとか言わないよね?」

 

均の脳裏を嫌な思考が過る。ジンに否定してほしくて、均は問いかける。

しかし、返答は非情なものだった。

 

「え、均さんすごいですね。確かに、箱庭都市と他の街では表面積を占める割合が段違いです。でも、よくわかりましたね」

 

嫌な予感は的中するものである。

十六夜は警戒しながら、ジンに再び問いかける。

 

「まさか、恒星の一割ぐらいを都市部が占めている………とか言わねえよな?」

 

「さ、さすがにそれはありえませんよ。比率といっても、その数字は極少数になります」

 

それを聞いて、均は内心胸をなでおろしていた。

能力がら、均は日頃から色々なことを比率で考えている。

それでこの考えが浮かんだのだが………びっくりするようなことを言われなくてよかった。

 

「そ、そうよね。それで、この場所から境界壁まではどれくらいの距離があるの?」

 

飛鳥もホッとしながら回答を催促する。

ジンは思考しながら、言った。

 

「ここは少し北寄りなので、大雑把でいいなら………九八〇〇〇〇kmくらいかと」

 

「「「「うわぉ」」」」

 

その莫大な距離を聞いた四人は、同時に様々な声音で声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、黒ウサギとレティシアは、コミュニティの年長組の子供達に手伝ってもらって均達が領地内にいないことを確認していた。

 

「食堂にはいなかったよ!」

 

「大広間、個室、貴賓室、全部見てきた!」

 

「貯水池の付近にもいない!」

 

「お腹空いた!」

 

一人だけ違うぞ。

 

「それはまた後でな。……それで、金庫はどうだ?」

 

レティシアが黒ウサギに状況を尋ねる。

黒ウサギは力強く返答した。

 

「コミュニティのお金に手を付けた形跡はございません!均さんなら自腹で境界門を起動するだけのお金を持っていますが、以前皆さんが話していた時に十六夜さんが『お前から金なんて借りられるかよ』と言っていたので均さんのお金を使うことはないと思われます!上手くすれば外門付近で捕まえることが可能です!」

 

そして、レティシアが招待状を送ってきた白夜叉のところへ行くことを決めた後、黒ウサギは髪を淡い緋色に染めながら、爆走していったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻ってカフェテラス。

 

飛鳥がテーブルを叩いて立ち上がっていた。

 

「いくらなんでも遠すぎるでしょう!?」

 

飛鳥の叫びにジンも負けじと叫び返す。

 

「ええ、遠いですよ!箱庭の都市は、中心を見上げた時の遠近感を狂わせるように出来ているため、肉眼で見た時との差異が大きいんです!」

 

だから止めましょうってあれほど言ったんじゃないですかーッ!!とジンが叫ぶ。

 

こんなに叫んで店側の迷惑にならないのだろうか?

 

その横で、十六夜は冷静に考察し、均は素直に感心していた。

 

「なるほど。ここに呼び出されたとき、地平線が見えたのは、縮尺そのものを誤認させるようなトリックがあったわけか」

 

「さすが、神様の箱庭だ。でも、なんでそんなトリックが必要だったんだろう?」

 

「さあな」

 

……ただ感心していただけでなく、新たな疑問を見つけていたようだ。

 

ジンは叫びまくって幾ばくか落ち着いたのか、先ほどよりも静かに四人に問いかける。

 

「今なら笑い話で済みますから………皆さんも、もう戻りませんか?」

 

「断固拒否」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

「他と同様」

 

その返答にジンは肩を落とす。

だが、四人もあんな挑発的な手紙を残してきたため引くに引けないのだ。

 

「黒ウサギ達にあんな手紙を残して引けるものですか!行くわよ三人とも!」

 

「おう!こうなったら駄目で元々!″サウザンドアイズ″に交渉に行くぞゴラァ!」

 

「行くぞコラ」

 

「いざとなったら脅してでも祭りに行ってみせる………!」

 

少し自棄気味な十六夜と飛鳥。ノリで乗ってみた耀。祭りに行きたすぎるあまり、ちょっとアブナイ人と化している均。

この四人は、ジンを引っ張って″サウザンドアイズ″の支店に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 




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