問題児たちと(常識人の)幼馴染が異世界から来るそうですよ?   作:gobrin

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はじめまして、gobrinというものです。

楽しんでいただけるよう頑張りますので、温かく見守っていただけると幸いです。


YES!ウサギが呼びました!
第一話 問題児たちと常識人が集まるそうですよ?


三人の問題児に不思議な手紙が届いた。

 

三人は様々な理由からその手紙を開く。

 

その内容は、

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの″箱庭″に来られたし』

 

というものだった。

 

そして、一人の黄昏れている少年の下にもその手紙は届いていた。

 

「ハハッ……そうだね。二人はもういないし……僕がこの世界に留まる理由がもうない。みんなのことが少し心残りだけど。ごめんね、みんな……僕は行くよ。もう一度、話がしたかったな……十六夜、ししょ――」

 

そこまで呟いたとき、少年の視界が変わった。

 

 

 

 

「え?う、うわあ―――!!」

 

少年が気がついたら、なぜか上空四千m程のところにいた。

 

「これっ、落ちてッ――!!!」

 

(ここが――師匠が言っていた″箱庭″か!!)

 

少年は本能的にそう察する。この場所、この世界に不思議な懐かしさすら覚えていた。

幕のようなものを幾つか通ると、勢いはだいぶ弱まった。

少し余裕ができた少年が下を見ると……湖。

 

「………へ?」

 

他の三つの水音とともに、少年は湖に落ちた。

 

 

 

 

湖に落ちた四人のうち二人が、陸に上がりながら罵詈雑言を吐き捨てる。

 

「し、信じられない!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだマシだ」

 

「いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう。身勝手ね」

 

少年を含めた四人が服を絞る。そして、三毛猫を抱えた少女が呟いた。

 

「ここ……どこだろう?」

 

「さあな。世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」

 

と、ヘッドホンをつけた少年が答える。

その声を聞いて、少年は、言葉にできない感情に包まれた。

 

(ああ……声でそうじゃないかと思ったけど……やっぱり……)

 

「まず間違いないだろうけど、確認しとくぞ。お前達にも変な手紙が?」

 

その問いに上品そうな少女が答える。

 

「そうだけど、まずは″オマエ″って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後気を付けて。それで、そこで猫を抱きかかえてる貴女は?」

 

「………春日部耀。以下同文」

 

「そう、よろしく春日部さん。じゃあ、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

ヘッドホンの少年はヤハハ、と笑いながら答えた。

 

(ああ、やっぱり十六夜だ……)

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

飛鳥はそれに不敵な笑みで応え、最後の一人に目を向けた。

 

「最後に、さっきから何も喋ってない貴方は?」

 

「……十六夜、僕のこと、わかる?」

 

「ん?誰だお前………って!お前、均か!?」

 

「そうだよ、十六夜。飛鳥さん、僕の名前は平 均(たいら なお)。よろしくお願いします。耀さんも」

 

「え、ええ。よろしく」

 

「……こちらこそ」

 

飛鳥も耀も、少々驚いているようだ。耀の方はわかりづらいが。

 

「でもお前……どうして?」

 

「僕も十六夜が居て驚いたよ。手紙には『友人、家族を捨て』って書いてあったからね。でも、いなくなった十六夜に会えて素直に嬉しい」

 

「そうか……ってちょっと待て。いなくなった(、、、、、、)?まさか手紙が届いた時間が違うのか?」

 

「その辺は後で話そう。あと、鈴華と焰が寂しがってたよ」

 

「ん、そうか。お前に面倒任せちまったのか。悪いことしたな」

 

「十六夜が謝ることじゃないよ。結局僕もこっちに来ちゃったんだし」

 

「え、ちょ、ちょっと待って。二人は知り合いなの?」

 

状況を把握できていない飛鳥が慌てて遮る。

 

「ああ、こいつとは昔馴染だよ」

 

「……なぜ?何もかも捨ててきたはずでしょう?」

 

「僕にもよくわかりません。十六夜にもわからないと思います」

 

「そう。わかったわ」

 

均が首を横に振ると、飛鳥もこの場で議論することではないと考えたのか引き下がった。

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね。説明がないままでは動きようがないもの」

 

「……。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

「僕も激しく同意しますよ」

 

(というか十六夜は確実に気づいてるよね)

 

均が勿体ぶる十六夜にジトっとした目を向けるのと同時に、十六夜がニヤリと笑った。

 

「――仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れてる奴にでも話を聞くか?」

 

(ほら、やっぱり)

 

「あら、貴方も気づいてたの?」

 

飛鳥が気づいていたと知り、均は少々驚いた。

 

(飛鳥さんもか。すごいな。全員僕よりは霊格がはるかに上(、、、、、、、、)だし。……でも、飛鳥さんは霊格の割には大したことないと思ってたんだけど。読み違えたか)

 

ついでに、さりげなく失礼なことを考えていた。

 

「当然。かくれんぼじゃほぼ負けなしだぜ。そっちの猫を抱いてる奴と均も気づいてたんだろ?」

 

「気配丸出しだからね、あの人。流石に気がつくよ。僕が君に勝てる数少ないことだしね」

 

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

 

「……へぇ?面白いなお前」

 

均を除く三人はこの理不尽な招集に対する苛立ちを殺気に変えて、隠れていた人物に向ける。

均はその点では特に思うところもないのか、チラリとそちらを見やるだけだった。

と、そこで隠れていた人物が現れた。

 

「や、やだな〜御四名様。そんな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?」

 

ウサ耳を生やしたスタイルの良い少女だった。

 

「バニーガールか?」

 

「痴女かしら?」

 

「変態?」

 

「初対面の人の顔を怖いとか言ってくるし、まあ露出狂の類ということでいいんじゃないですか?」

 

十六夜、飛鳥、耀、均の順で反応する。

均は地味に傷ついていた。

 

「皆様、失礼が過ぎます!それと最後の方ごめんなさい、適当に言いました。貴方様は全然怖くありませんので許してください、黒ウサギは露出狂でもありません。他の皆さんは落ち着いてください」

 

シュンと落ち込む均に律儀に謝る黒ウサギ。

しかし、その律儀さが今回は仇となった。

 

「あ?俺達は何の前振りもなしに呼ばれた挙句、湖に叩き落とされた上で全身ずぶ濡れにさせられたんだ。ついでに今、均と扱いで差別された。これじゃあ怒りを静めるなんてとてもできねえなあ?」

 

(十六夜……意地悪だな……それはさすがに理不尽……)

 

「同感ね」

 

「同じく」

 

(アレ、二人も乗っちゃった!?……そうか、そういう人達か。これからは楽しくなりそうだね)

 

均は十六夜との付き合いのおかげか、この発言で、飛鳥と耀の二人も相応の問題児だと悟った。

 

「まあまあみんな、落ち着いて」

 

黒ウサギが不憫になってきてカバーに入る。

 

「そ、それは黒ウサギの責任外のことなのですよ……。庇っていただいてありがとうございます。優しいんですね」

 

「いえいえ。ほらみんな、この人もこうして謝ってるんだし、ね?」

 

「駄目だぜ均、それで許すと思うか?」

 

(あ、駄目だ。こうなったら何言っても聞かないや。黒ウサギさんに心の中で黙祷を捧げよう)

 

均は長年の付き合いから十六夜が止まらないと悟り、恐らく残る二人もそうだろうと予想すると説得を放棄した。黒ウサギを見捨てたとも言う。

 

「ま、待ってください!ここは一つ穏便に黒ウサギの御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?できればそちらの方からも説得お願いします!」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「ごめんね、黒ウサギさん。こうなったら僕には無理だ。止められない」

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪そして救援が見込めません」

 

黒ウサギがバンザイのポーズを取り、降参の意を示す。

が、その眼は四人を値踏みしているようだった。

 

そんな黒ウサギに耀が近づく。そしてウサ耳を根っこから鷲摑み、

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

可愛らしいかけ声とともに力いっぱい引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心の為せる業」

 

「自由にもほどがあります!」

 

だが不幸にも、このやりとりはさらなる好奇心を呼んだようで……。

 

「へぇ?このウサ耳って本物なのか?」

 

「……。じゃあ私も」

 

今度は十六夜が右耳、飛鳥が左耳を摑んで……。

 

「ちょ、ちょっと待――」

 

左右に引っ張った。

黒ウサギの声にならない絶叫が森中に響き渡る。

その間、均はずっとその惨状から目を逸らして、心の中で黒ウサギに向かって合掌していた。

 

 




読んでいただき、ありがとうございました。
主人公の立ち位置を軽く説明しておこうと思います。

平 均:十六夜の幼馴染。一緒にカナリアの家で暮らしていたことがある。金糸雀の弟子。金糸雀に″箱庭に行くことになる″と伝えられていた。

とまあ、こんな感じです。
興味を持っていただけた方は、次も読んでいただけると嬉しいです。
期待に応えられるかはわかりませんが。
感想その他、お待ちしております。
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