問題児たちと(常識人の)幼馴染が異世界から来るそうですよ?   作:gobrin

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第二話 黒ウサギの長い説明だそうですよ?

「あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために三十分も消費してしまうとは。学級崩壊とはこのような状況を言うに違いないのデス」

 

黒ウサギは涙目で落ち込んでいる。もっと長くなりそうだったので、均が三人を頑張って説得したのだ。

それがなければ一時間は消費していただろう。問題児たちはそれほどの勢いだった。

 

「いいからさっさと説明しろ」

 

「十六夜ひどいなぁ……黒ウサギさん、頑張って」

 

自分の行動を棚に上げてそんなことを言う十六夜。

均は黒ウサギのフォローをする。

 

「うぅ……頑張りマス。ありがとうございます。あと、さんは付けなくてもいいのですよ?」

 

「いや、僕はこれでいいんですよ」

 

「均はいっつもこんなだ。てか、ホント早くしろよ」

 

「うっ、それではいいですか、御四名様。定例文で言いますよ?ようこそ″箱庭の世界″へ!我々は御四名様にギフトを与えられたものだけが参加出来る『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四名様は皆、普通の人間ではございません!その特異な力は様々なものから与えられた恩恵でございます。

『ギフトゲーム』はその″恩恵″を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界はギフト保持者がオモシロオカシク生活出来る為に造られたステージなのでございますよ!」

 

「初歩的な質問をしていい?貴女の言う″我々″とは貴女を含めた誰かなの?」

 

黒ウサギの話に飛鳥が尋ねる。

 

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある″コミュニティ″に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

(オイ……茶々入れるなよ十六夜……そろそろ黒ウサギさん可哀想だぞ)

 

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの″主催者″が提示した賞品をゲット出来るというとってもシンプルな構造となっております」

 

(……なんかこの数十分で黒ウサギさんが強くなった気がする……まあ、コレは単に怒っただけだね。気配で分かる)

 

「……″主催者″って誰?」

 

耀が控えめに挙手して尋ねる。

 

「様々ですね。修羅神仏が人を試す試練と称して開催するゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するコミュニティもあります。

特徴として、前者は自由参加が多いですが、凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。

″主催者″次第ですが、新たな″恩恵″を手に入れることもあるかもしれません。

後者は参加するためにチップが必要です。参加者が敗退すればそれらは全て″主催者″のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

「後者は結構俗物ね……チップには何を?」

 

「それも様々です。金品・土地・利権・名誉・人間……そしてギフトを賭けあうことも可能です。

新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑むことも可能でしょう。

ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然――ご自身の才能も失われるのであしからず」

 

(……ふーん。僕の力を悪用できるかも。しないけど)

 

「そう。なら最後にもう一つ。ゲームそのものはどうやって始めるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、期日内に登録していただければOK!商店街でも小規模のゲームを行っているのでよろしかったら参加していってくださいな」

 

飛鳥は黒ウサギのその発言に片眉をあげる。

 

「……つまりギフトゲームはこの世界の法そのもの、と考えていいのかしら?」

 

少し驚いた様子の黒ウサギ。

 

「中々鋭いですね。しかしそれは八割正解二割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!

そんな不逞の輩は悉く処罰します――が、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!勝者だけが全てを手にするシステムです。

店頭に置かれている商品でさえ、店側が提示するゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だということですね」

 

「中々野蛮ね」

 

「ごもっともです。しかしゲームの開催は全て自己責任。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」

 

黒ウサギは一通りの説明を終えたのか、一枚の封書を取り出した。

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。

新たな同志候補の皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ということで、ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが……よろしいです?」

 

黒ウサギは四人に確認を取るように聞く。

そんな中、十六夜が手を挙げて立つ。どこか真剣な表情を浮かべていた。

 

「待てよ。まだ俺が質問してないぜ?」

 

(あ、マジメな十六夜だ。久しぶりに見たなぁ。ちょっとおちょくろうか)

 

「僕も質問してないけどねー」

 

「揚げ足を取るなっての」

 

「……どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」

 

十六夜にずっと刻まれていた軽薄な笑みが、均におちょくられても戻らないのを見て、黒ウサギは構えるように聞き返した。

 

「そんなものはどうでもいい。心底どうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かって何か言ったところで何かが変わるわけじゃねえんだ。

俺が聞きたいのは………たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

 

十六夜は視線を黒ウサギから外し、他の三人を見まわし、巨大な天幕に覆われた都市に向ける。

そして何もかもを見下すような視線で一言。

 

「この世界は……面白いか?」

 

十六夜の目は真剣だった。それもそうだ。手紙には全てを捨ててこいと書いてあった。

それに従って来たわけだから、それに見合うものはあってほしい。十六夜、飛鳥、耀の三人はそう思っているんだろう。均は十六夜と再会できたためそこまでではないが、それでも多少は気になる。

十六夜の質問に黒ウサギは笑みを浮かべながら宣言する。

 

「YES。『ギフトゲーム』は人を超えたもの達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界よりも格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

四人の瞳に、期待の色がこもった。

 

 

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