問題児たちと(常識人の)幼馴染が異世界から来るそうですよ?   作:gobrin

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第五話 あの和装ロリの登場だそうですよ?

「……ッ!調子に乗るなよ!クソガキィ!!」

 

「『止まりなさい』。質問に答えてもらうわ。どうやって脅迫して、その後も言うことを聞かせているの?『そこに座って答えなさい』」

 

飛鳥の言葉に力が宿り、ガルドがもの凄い勢いで椅子に座る。騒ぎを聞きつけて出てきた猫耳店員も驚いて目を丸くしていた。

 

(なんだ、これ……飛鳥さんがガルドを支配している?)

 

均が思考を進める中、ガルドの口が言葉を紡ぐ。

 

「相手のコミュニティから女子供を攫ってゲームを受けざるを得ない状況に圧迫していった。そして子供を人質にとって、吸収したコミュニティに言うことを聞かせている」

 

「その子供たちはどこに幽閉されているの?」

 

「もう殺した」

 

その場の空気が凍りつく。ガルドが何をしているか予想していた均でさえ、自分の耳を一瞬疑った。

 

(…………まさか、そこまでだなんてね)

 

「初めてガキどもを連れてきた日、泣き声が頭にきて思わず殺した。それで自重しようと思ったが、親が恋しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降は連れてきたガキはその日に全部まとめて殺すことにした。けど身内のコミュニティの仲間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの死体は証拠が残らないように腹心の部下が()

『黙れ!!』

グフッ……」

 

飛鳥の、先ほどよりも凄みを増した言葉でガルドが黙る。どさくさに紛れて、我慢の限界がきていた均がガルドの下顎を殴り上げていた。

 

「さすがは人外魔境の箱庭の世界。ここまでの外道とは中々出会えないわ……ねえ、ジン君?」

 

飛鳥の冷ややかな視線にジンは慌てて否定する。

 

「か、彼のような悪党は箱庭でもそういません」

 

「そう?それはそれで残念」

 

「ジン?今の証言でこのクソ虎は箱庭(の法)で捌けるの?」

 

「捌いちゃ駄目です!裁いてください!」

 

「あ、つい本音が。それで、どうなのかな?」

 

「厳しいです。彼がやったことは勿論違法ですが、裁かれる前に箱庭の外に逃げられたらそれまでです」

 

「そう。なら仕方がないわ」

 

飛鳥が苛立たしげに指を鳴らす。

それが合図だったのか、飛鳥の力が解除された。

 

「こん、こ、この、が……ガキどもがぁぁぁあああ!」

 

ガルドが激昴するとガルドの身体が膨張し、体毛まで変化した。通称、ワータイガーと呼ばれる混在種だ。

 

「テメェら、どういうつもりか知らねえが……俺の上に誰がいるかわかってんだろうなぁ!?箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が

『黙りなさい』。私の話はまだ終わっていないわ」

 

先ほどと同様にガルドの口が閉じられる。が、先ほどとは違い、制限されていない身体――丸太のように太い腕――が飛鳥に襲いかかる。

しかし、均がガルドと飛鳥の間に割り込み、――ガルドを背負い投げで投げ飛ばした。勿論周りには被害が出ないようにだ。そしてすかさずガルドをひっくり返してうつ伏せに変える。

間髪入れずに耀がガルドを押さえつけ、少女の細腕には似合わない力で、ガルドの腕を捻り上げる。

耀に組み伏せられたガルドはなぜか身動きが取れず、悔しそうに飛鳥を見上げることしかできない。そこに飛鳥の声が降り注ぐ。

 

「ガルドさん。私は貴方の上に誰がいようと気にしません。それはジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した″打倒魔王″だもの」

 

飛鳥に自分の目的を明確な言葉にされて最初は少し怯んだようだが、ジンは決意を宿した目で答える。

 

「……はい。僕らの最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間たちを取り戻すこと。今更そんな脅しには屈しません」

 

「つまり貴方には破滅以外の道は残されていないのよ」

 

「くそがぁ……」

 

動けないため、ガルドは悪態しかつけない。

 

(ざまぁないね……おっといけない、抑えよう)

 

「だけどね。私は貴方のコミュニティが瓦解する程度のことでは満足できないの。貴方のような外道はズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきだわ」

 

飛鳥が悪戯を思いついた少女のような笑みを浮かべながら、

 

「そこでみんなに提案なのだけれど」

 

素晴らしい提案をした。

 

「私たちと『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の″フォレス・ガロ″存続と″ノーネーム″の誇りと魂をかけて、ね」

 

 

 

 

 

「な、なんであの短時間で″フォレス・ガロ″のリーダーに接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備するお金も時間もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」「聞いているんですか四人とも!!」

 

「「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」」

 

「黙らっしゃい!!!」

 

ピッタリ揃った言い訳に黒ウサギは激怒。十六夜はニヤニヤと笑って見ている。均も怒られつつもニヤニヤしていた。別に特殊性癖の持ち主ではない。

目があった二人は悪そうな笑みを深める。そこで十六夜が止めに入った。

 

「別にいいじゃねえか。見境なく喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」

 

「十六夜さんは面白ければいいと思ってるのかもしれませんけど、この″契約書類″を見てください」

 

″契約書類″とは″主催者権限″を持たないものたちが主催者となってギフトゲームをするときに必要なもので、そのギフトゲームに関する情報が記載されている。

今回は、均たちが勝った場合ガルドは全ての罪を認め、正しく裁きを受けコミュニティを解散する。

負けた場合、今回に限らずガルドの罪を黙認することとなっている。

かなり自己満足な内容だ。

 

「はあ、仕方がない人達です。まあいいデス。″フォレス・ガロ″程度なら十六夜さんが一人いれば楽勝でしょう」

 

その言葉に十六夜と飛鳥、均が不服そうな顔をする。

 

「何言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」

 

「あら、分かってるじゃない」

 

「当然だね。十六夜なんて参加させない」

 

「だ、駄目ですよ!御四名はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

 

「そういうことじゃねえよ黒ウサギ」

 

「この喧嘩、売ったのは僕たちですから。十六夜には関係ないです」

 

「はっきり言うな、均。ま、そういうわけだ。俺が手を出すのは無粋なんだよ」

 

「……もう、好きにしてください」

 

「あはは……じゃあ今日はコミュニティへ帰る?」

 

黒ウサギの落胆した様子にジンが苦笑しながら聞く。

 

「あ、ジン坊っちゃんは先にお帰りください。ギフトゲームが明日なら″サウザンドアイズ″に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと」

 

「″サウザンドアイズ″?コミュニティの名前か?」

 

「YES。″サウザンドアイズ″は特殊な″瞳″のギフトを持つ者たちのコミュニティ。箱庭の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」

 

「ギフト鑑定というのは?」

 

「ギフトの秘めた力や起源などを鑑定することです。自分の力を正しく把握していた方が引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出所は気になるでしょう?」

 

同意を求める黒ウサギの声に三人は複雑な表情で返す。均はさしたる興味もなさそうだったが。

思うところはそれぞれあるのだろうが、拒否する声はなく五人と一匹は″サウザンドアイズ″に向かう。

 

その途中、並木道に桜の木のようなものがあり、それを見た飛鳥がとても不思議そうに呟く。

 

「桜の木……ではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けているはずがないもの」

 

「……今は秋だったと思うけど?」

 

「いや、まだ初夏になったばかり……そうか、均が言ってた奴か」

 

「うん、たぶんね。僕たちは別の時間軸、というか世界から呼ばれたんだと思うよ。その証拠に……僕は十六夜がいなくなってから半年経ってから手紙を受け取ったから。でも呼ばれたのが同一世界の同一人物の十六夜でよかった。最初聞くの怖かったんだよ。お前のことなんか知らねえって言われたらどうしようかってね」

 

飛鳥がきょとんとしている。少しややこしいから何を言っているのかわからないんだろう。

 

「それで、黒ウサギ。均の仮説はあってるのか?」

 

 

「はい、その通りです。均さんが言うように皆さんは違う世界から召喚されているのです。十六夜さんと均さんは例外のようですけど。

元いた時間軸以外にも歴史や文化などに所々違いがあるはずですよ」

 

「それは、パラレルワールドってやつか?」

 

「ただしk

「いや、たぶん違うよ十六夜。これは恐らく立体交差並行世界論だ。僕の考えはあってるかな?黒ウサギ」

はい、あっていますよ。よくわかりましたね。でもセリフを横取りするなんてひどいです」

 

「あー、ごめん。黒ウサギに遠慮するのはやめたんだ。僕より強いのはわかるけど尊敬する対象じゃない気がするんだよね。なんて言うんだろう。ペットみたいな?」

 

「そんなことより均。なんだよその立体交差並行世界論ってのは」

 

「黒ウサギのペット認識がそんなこと扱いですか!?ひどいデス……。あ、均さん、十六夜さん。着きましたのでその話はまたの機会にお願いします」

 

言われて均たちが見ると、ちょうど支店の女性店員が看板を下げるところだった。その女性店員に、黒ウサギは滑り込みでストップを、

 

「まっ」

 

「待ったなしですお客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

かける事もできなかった。黒ウサギは悔しそうに店員を睨みつける。

 

「なんて商売っ気のないお店なのかしら」

 

「全くです!閉店時間の五分前に客を閉め出すなんて!」

 

「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切出入りを禁じます。出禁です」

 

「出禁!?これだけで出禁とかお客様を舐め過ぎでございますよ!?」

 

(店員さん全く退かないなあ。ここは僕が行こうかな?)

 

わめく黒ウサギを脇によけて交渉役を変わる。

 

「貴女、店員さんですよね?店長さんをお呼びしてほしいのですが」

 

「オーナーは今はいません。話だけなら伺いましょう」

 

「そうですか、嘘はよくありませんよ。…………中に少なくとも一人、遠い所にかなり強い方がいらっしゃるじゃないですか。まあいいです、一つ確認したい事がありまして」

 

「っ!?……なんでしょう」

 

「ここを強引に突破してもかまいませんか?」

 

「……修繕費はあなた方に請求しますよ」

 

「大丈夫ですよ。貴女ほどの実力があればわかると思いますが、貴女相手なら何も壊さずに抜けられますので」

 

均は気負う事もなく告げる。

 

「……参りました。それで本日のご用件は?」

 

「分かってくれて助かります。ギフト鑑て

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」

いをお願いします、って言おうと思っていたんですよ」

 

(何かが店内から爆走してきて黒ウサギにぶち当たって吹っ飛ばしてるなんてあるわけがない。きっと幻覚だ。うん、そうだよね!)

 

「おい、均、逃避すんな。ところで店員、この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

 

「ありません」

 

「なんなら有料でも」

 

「やりません」

 

二人は割とマジでやり取りしていた。

ちなみに飛んでいった白髪の着物を着た幼い少女は黒ウサギの胸に頭を埋めてなすりつけている。

 

(………なにやってんの、こいつら)

 

「十六夜、いい加減にやめなよ。────あと、あの子強いよ。気をつけてね」

 

「……マジかよ」

 

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

 

「黒ウサギに会うために決まっておるだろに!では、続きを……」

 

少女が喋ってるにもかかわらず、黒ウサギは白夜叉と呼ばれた少女を引き剥がし、店に向かって投げつける。

くるくると回転した少女を、十六夜が足で受けとめた。

 

「てい」

 

「ゴバァ!お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受けとめるとは何様だ!」

 

「十六夜様だぜ。以後よろしく和装ロリ」

 

「返し方が小学生レベルだよ、十六夜。白夜叉様……でしたか?僕は平均と申します。以後お見知り置きを」

 

「うむ。おんしは礼儀正しいの。均と言ったな、覚えておこう。それに対して小僧!この礼儀正しさを見習わんか!」

 

「チッ。おい、均。猫かぶんのやめろよ」

 

「なんのことかな?」

 

しらを切る均。と、そこで一連の流れに呆気に取られていた飛鳥が白夜叉に声をかけた。

 

「貴女はこの店の人?」

 

「おお、そうだとも。この″サウザンドアイズ″の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢の割に発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

 

「オーナー。それでは売上が伸びません。ボスが怒ります」

 

冷静な声で女性店員が釘を刺す。

 

白夜叉が目線を逸らし苦言を聞き流した後、白夜叉の私室で話を聞いてもらえることになった。

 

 

 

 

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構える″サウザンドアイズ″幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティ崩壊後もちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

なんとも適当に流す黒ウサギ。その隣で、耀が小首をかしげながら質問した。

 

「その外門って何?」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、強大な力を持つ者たちが住んでいるのです」

 

黒ウサギが箱庭を上から見た図を書く。

その図を見た四人は口をそろえて、

 

「……超巨大玉ねぎ?」

 

「超巨大バームクーヘンではないかしら?」

 

「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

 

「僕もバームクーヘンに一票」

 

うん、と頷き合う四人。その感想に黒ウサギはガクリと膝をつき、白夜叉は楽しそうに笑って頷いた。

 

「ふふ、うまいこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。

更に説明するなら、ここは東西南北の四つの区切りの東側に当たり、外門のすぐ外は″世界の果て″と向かい合う場所になる。

あそこはコミュニティには属していないものの、強力なギフトを持ったものたちが住んでおるぞ――その水樹の持ち主などな」

 

十六夜が手に持つ水樹は、十六夜が世界の果てで蛇神を物理的にぶちのめして手に入れたものだ。

黒ウサギが十六夜を引っ張って戻ってきた時、そんな話題が出た。

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

「へぇ?じゃあオマエはあの蛇より強いのか?」

 

「だから十六夜、さっき言ったでしょ。白夜叉様は十六夜より強いって。やめときなよ」

 

白夜叉が均の言葉に意外そうな目を向ける。均が彼我の戦力差を把握していたのが意外だったのだろう。

 

「ふふん、当然だ。私は東側の″階層支配者″だぞ。この東側の四桁以下のコミュニティで並ぶ者のいない、最強の主催者なのだからの」

 

その言葉を聞き、均を除く三人が瞳を輝かせる。

 

「なら、貴女のゲームをクリア出来れば、私たちは東側最強ということになるのかしら?」

 

「無論、そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間がはぶけた」

 

「あーあ。どうなっても知らないからね」

 

均は頭に手を当てて、呆れた表情を浮かべる。

彼女たちと触れ合ったのは少しの時間だが、それでもどんなことを言い出すのか予想が付くようになっていた。

三人は闘争心を剥き出しにして白夜叉を見ている。

均は素知らぬ顔をして、出されたお茶を飲んでいた。

 

「抜け目がない童たちだ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

 

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?均さんも止めてください!」

 

「僕には無理」

 

慌てて止めようとして援軍を求める黒ウサギにきっぱり断る。無理なものは無理だ。白夜叉も片手で黒ウサギを制した。

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」

 

「ノリがいいわね。そういうの好きよ」

 

「ふふ、そうか。――しかしだな、ゲームの前に一つ確認しておくことがある」

 

白夜叉が懐から″サウザンドアイズ″の旗印――向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶で不適な笑みを浮かべた。

均はこれから起きるだろう事態に備えて、心の中で少し身構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おんしらが望むのは″挑戦″か―――それとも″決闘″か?」

 

 

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