Pada awalnya langit dan bumi sudah dekat, dan manusia menghubungkan hidupnya dengan hadiah yang tuhan pencipta akan mengikat tali dan menggantung dari langit, tetapi suatu hari Tuhan Penciptaan menurunkan batu. Orang tua pertama kami berteriak kepada Tuhan, "Apa yang harus saya lakukan dengan batu ini - beri saya sesuatu yang lain." Tuhan menarik batu itu dan menurunkan pisang sebagai gantinya. Orang tua pertama kami berlari dan makan pisang. Kemudian terdengar suara dari surga, dan dia berkata, "Kamu telah memilih pisang, dan hidupmu akan seperti kehidupan pisang. Ketika pohon pisang memiliki anak, pohon induknya mati. Begitulah cara Anda akan mati, dan anak-anak Anda akan menempati posisi itu. Jika Anda telah memilih batu, hidup Anda akan menjadi tidak berubah dan abadi seperti batu.
初め天と地の間は近く、人間は、創造神が縄に結んで天空から垂し下してくれる贈物によって命を繋いでいたが、ある日、創造神は石を下した。我々の最初の父母は、「この石をどうしたらよいのか。何か他のものを下さい」と神に叫んだ。神は石を引き上げてバナナを代りに下して来た。我々の最初の父母は走りよってバナナを食べた。すると天から声があって、「お前たちはバナナを選んだから、お前たちの生命はバナナの生命のようになるだろう。バナナの木が子供をもつときには、親の木は死んでしまう。そのようにお前たちは死に、お前たちの子供たちがその地位を占めるだろう。もしもお前たちが石を選んだならば、お前たちの生命は石の生命のように不変不死であったろうに。
――――スラウェシ島アルフール族に伝わりし古の神話より抜粋――――
このようにバナナ型神話というのは人類の祖が二者択一の選択を神から迫られた時、目先の益に飛びついた事で後の不利益を被る教訓のような話の事を意味している。地球の世界各地にはアルフール族に伝わる神話と似たような逸話が存在しており、祖先の愚かさによって人間は寿命を得てしまったという結末で話は終わるんだ。
日本の神話にも実は似たような話がある。国津神であるオオヤマツミが娘のイワナガヒメとコノハナノサクヤビメを天孫であるニニギに嫁がせた際、醜いイワナガヒメを嫌って美しいコノハナノサクヤヒメのみと婚姻するという最近流行の婚約破棄をニニギがかました事で同様の結末を迎えているんだよね。華々しい花が繁栄の象徴であり不変の岩が長寿の象徴だったんだ。バナナは出て来てないけど、これも立派なバナナ型神話の一種。
最も有名なバナナ型神話はアレだろう。旧約聖書の創世記に登場する生命の樹と知恵の樹。蛇に唆されて禁じられた実を食べたアダムとイヴが楽園を追放された話。人間は繁栄に必要不可欠な叡智を手に入れた代わりに永遠の命をもたらすとされる生命の実を食す事が叶わなくなったという地球でもトップクラスに有名な逸話。
人類の原罪や神への不服従、罪に対する罰なんかの点が強調されて本題が霞んでしまっているけれど、これも元々は人類の死の起源を説明したバナナ型神話の一種だったんだ。
バナナはこんな感じで繁栄と約束された終わりを意味する神話的逸話を内包している。
あの有名な知恵の実も本当はリンゴじゃなくてバナナだったんじゃないかって説があるくらい。実は知恵の実がリンゴだっていう描写は旧約聖書にはないんだよね。ラテン語を翻訳する際『malus』って邪悪を意味する形容詞をリンゴって名詞に誤翻訳したのが由来だったんじゃないかと言われているんだ。リンゴは生命・愛・感情・豊穣を象徴していて地母神ガイアの黄金のリンゴのように不老不死をもたらす神秘的な果実すら存在している。うん。どっちかというとリンゴは知恵の実というより生命の実だよね。ギリシャ的に考えて。
また、バナナとリンゴって心理学じゃ男性器と女性器を意味する隠語でもあるからさ、セットで運用すると更に意味深で良い感じ。知恵の実イチジク説さんは果樹トレントにイチジクが無いので不採用です。残念。
「地球において古代より最もポピュラーな果実であるリンゴには不変性があり永久を象徴するに相応しかった。それと比べ毎年、収穫しては次代に植え替えるバナナは繁栄と死を関連付けやすく人類の生態と結びついた。その有様が果樹トレントにも影響を与えてこうなった訳だね。かくあれかし。そのようにあれと望まれたのさ」
「では、二人の急激な変化は果樹トレントの実が原因なのですか……」
「そうだね。肉体が強化された戦士タイプのゴブリンは魔法が使える可能性が閉ざされ、年老いて肉体が弱まった術士タイプのゴブリンは武器を手に戦えなくなった。能力にある程度の制限を加える代わりに急激な進化を促す魔法果実。それが生命の実と知恵の実なんだよ」
そう僕は得意げにウィッシュへと語りかけ。
背後で話を聞いていた進化したゴブリン達はそれを聞き果樹トレントへと頭を垂れた。Nランクの雑魚デーモンが小さな群れならリーダーになれるRランクに進化できたんだ。そりゃ感謝するよ。うん。
この説明、全部、単なるデマカセの嘘なんだけどね!
単にちょうど良いタイミングで進化したゴブリンが戦士タイプと術士タイプだったから屁理屈こねくり回して果樹トレントの実のおかげだって嘯いただけ。
念の為、密かに採取したRリンゴとRバナナを一欠片口にしたけど、単なる魔素豊富な果実だった。果樹トレントが能動的にゴブリンを進化させた訳じゃない。
2体のゴブリンが進化した本当の理由は……まだRランクとはいえ白蛇の杖というレガリアを持った正当なゴブリンの王であるウィッシュに認められて、一部の者にしか辿り着けない聖域に導かれ神と対面し、僕直々に高位デーモンであるSR黒き仔山羊の守護する神秘的な果実を下賜したってのが大きいかな。第一世代の方は元から進化する寸前だったとして。頭髪ゴブリンの方はレガリアの素材としてリンゴの果樹トレントを利用してたのが神秘獲得に良かったのかも。リンゴトレントはトレント達の長みたいなものだしさ。他のトレントに比べたら多少、濃い神秘値をしているんだ。
でも、この事実をそのまま伝えるのは芸がない。このまま同じ方法でNゴブリンがRゴブリンに進化するんなら良いけどね。デーモン界隈じゃ逸話は達成した者が増えれば増える程に効力が弱まると言われている。極端な話、ゴブリンが成人したら僕にお目通りして果実を貰うって儀式を定期的に開けば必ず進化するのかって問われればNOと答えざるを得ない感じだね。誰しもが達成可能な逸話に果たして価値などあるのかって事だと思う。
まあ、それでも僕がSSRやURだったら有り余る神秘値で底辺なら進化をしたと思うけどね。SRじゃ可能か微妙だし実際にやろうとすると凄い面倒くさい。
その点、デメリットと引き換えに進化を促す果樹トレントがあればこの問題はクリア出来る。
進化の方向性が偏るってリスクが二の足を踏ませるし、果樹トレントに実る魔法果実は限られているから逸話の無制限な乱造も防げるんだ。
らしい逸話も地球にあるし、地球の逸話だろうと価値があるのは既に判明している。
暫くは果樹トレントの実をNランクに与えるのを禁止して、この逸話が浸透するのを待とう。それでトレントの神秘値が進化するまで溜まれば本当に進化を促す魔法果実を実らせるようになると思う。
これが本当に成功したら意図的なSRトレントの育成法を編み出した事になるね。
うん。自力で進化してくれるか不安なマンドレイクもあるし挑戦する価値はあるな。
下手したら僕のデーモン特徴に嘘吐きが追加されちゃうから慎重にやらないとね。
これから聖域に生えている『知恵の実』『生命の実』を無断で口にするのは重罪です。
盗人は前人達の伝統に従って古式ゆかしく追放なのであしからず。