岸辺露伴 スタンド名 『ヘブンズ・ドアー』
16さいの時から『ピンクダークの少年』を連載している天才漫画家。
虹村形兆の弓矢により、スタンド能力が発現した。面白い漫画を描くことを重要視して、ネタ集めのためには手段を選ばない。
アインというものです。
今回書かせていただいたのは『岸辺露伴は動かない』と『ひぐらしのなく頃に』のクロスオーバーです。
ジョジョについては以前書いた『岸辺露伴は動かない 三女神』にて書いた通りかなり好きな作品です。
しかし、ひぐらしのなく頃にはそれ以上に好きな作品で、なんだったら「一番好きな作品って何?」と聞かれると「ひぐらし!!」と答えるほど好きです。
そんなひぐらし好きな人にとって作品作りは「あーでもないこーでもない」となって大変でした……
その代わりかなりこだわった作品になったので是非最後まで読んでいってください!!
読者の皆、神様って信じるか?
おっと……自己紹介が遅れたね。
僕の名は岸辺露伴。「ピンクダークの少年」を連載している漫画家だ。
それでは改めて、神様っていると思うか?僕はいると思っている……というかそれを体験した事があるからいないと言うのはおかしいな。
世界に信じられている神というのは様々で沢
山いるが、この日本では恐ろしい程神がいると伝えられている。八百万の神が代表的な例かな?
今回の話はそんな神様の内の一つ。とある村に伝えられている神『オヤシロ様』の話だ。
ポケットに入ってる携帯電話が震える。
場所が場所だからな……と少し小声で電話に出る。
「どうした?今日は連絡しないよう言っておいたはずだが?」
『先生!!今どこにいるんですか!?家に行っても居ないし……原稿取りに来たんですよ!!』
「オイオイオイオイ………」
編集の泉 京香が電話にも関わらず、耳を塞ぎたくなるほど大きな声を出す。
「原稿はもうデータとして送った。そして前から取材に行くと君に言っておいたぞ?」
『実際に取りに行く事で何か新しい事があるかもしれないじゃないですか!』
「ハァ……君は僕が何故中央じゃあなく杜王町という田舎に住んでるのか……忘れたのか?」
「まあいい。何にしろ僕は取材で3日は戻らない。諦めるんだな。」
『……どこに行くんです?』
むすっとしている彼女の声と反対の耳から目的の駅の名前が聞こえる。
僕は持っている本を閉じ鞄にしまい、席を立つ。
ドアが開き杜王町よりも田舎の綺麗な空気を吸いながら目的地の名前を口に出す。
「『鬼ヶ淵村』………いや今は『雛見沢村』と言うべきだな。」
『雛見沢村ですか……?それって……』
「ああ、もし僕がその村で失踪したら……」
僕はふと振り向き『何か』にニヤリと笑みを浮かべ、その視界は閉じたドアに遮られる。
「『鬼隠し』に巻き込まれた事になるな。」
その言葉と共に電車が大きな音を立てて走り出した。
それはまるで僕をここに置き去りにした様に……
「予約していた岸辺露伴ですが…」
「はい、岸辺露伴様ですね。お待ちしておりました。2泊のご予定ですがよろしかったでしょうか?」
「はい、大丈夫です。お願いします。」
「こちらが鍵になります。では、楽しい観光を。」
「ありがとうございます。」
フロントマンから鍵をもらいこの『興宮ホテル』の部屋を開ける。
中はまあ……シンプルな部屋だ。
ベッドに腰掛け荷物を下ろし、最低限の荷物を身につける。
さて……早速だが行くかな。
そう言うと地図を手に持ち今日向かう予定の場所にひと通り目を向ける。
そして少し息をついてベッドから立ち雛見沢村へ向かうためドアを開いた。
「フム……この角度がいいな……少し書いていくかな。」
目の前の水車小屋を指で作った四角でアタリをつけ、スケッチを始める。
道端に座ることは邪魔になるから道の端に立ち、持ってきた大きめのスケッチブックの1ページを埋めていく。
「やはり予想していた通り……ここはいいものが描けるな。ここまで田舎と思える場所はそうそう無いし、ドンドン描きたくなるッ!」
まるで初めて康一くんと会ったときのように………いや、あそこまでではないが創作意欲が湧いてくる……ッ!!
現代には珍しい民家に明らかにこの村をまとめているであろう屋敷、延々と続く畑を思い出す。
そんな事を考えていると道の先から楽しそうな笑い声と共に2人の男女が歩いてくる。格好から学生かな。
「こんにちは!」
「こんにちはー!」
「……あぁ、こんにちは。」
「なんか富竹のおじさんみたいですね。圭ちゃん。」
「いや……?富竹さんと違ってこっちは大物っぽいな!」
「……富竹?」
目の前の茶髪で活発なの男子と緑髪のおとなしい女子が話しかけてきた。
まあ、現地の人に話を聞くのは考えていたから別にいいが……いきなり知らない人の話を始めるのは困るな。
そんな感情を読み取ったかの様に茶髪の男子が話を続ける。
「あーすみません。富竹さんはここに写真を撮りに来ている人なんですよ。そんな風に見えて……」
「あの人はいつになったら有名になるんですかね……それで、あなたは普通に観光ですか?」
「うーむ……観光とは違うな。取材だ。」
「取材……ですか?それじゃあ記者さんとか?」
「いや、漫画家だ。漫画家の岸辺露伴さ。」
「岸辺露伴ッ!?あの!?」
突然大きな声を上げる男子とそれに驚く女子。
おや、ファンだったか?そうだったら申し訳ないな。見抜けもしないなんて……
「うちの親父がファンなんです!あの……露伴先生!サインとか頂けないですか?大喜びすると思うので……」
「あぁ……君のお父さんがか。まあ君が読んでないのは置いておくとしよう。ホラ、サインだ。」
「は、早いですね……そんなに有名な人なんですか?」
「ありがとうございます!あぁ!親父によれば確かに作風や内容は万人受けするものじゃないらしいけど、誰もが認める天才漫画家だ!」
彼の言葉じゃないとはいえ、そこまで褒められるとは嬉しいな。是非彼らにも読んで欲しいが……
そうだな、彼らに取材するのもいいかもしれない。少し聞いてみるか。
「その代わりとはなんだが、取材を受けてくれないか?」
「取材ですか?いいですよ!俺に答えられる事ならなんでも答えますよ!」
「け、圭ちゃんがいいなら私もいいですよ……?」
「ありがたい……!それじゃあ早速なんだが……」
彼らを見て僕はこの村に来たらまず絶対に聞くと考えていた事を口に出す。
「君たちは………『オヤシロ様』って信じてるか?」
「…………」
「…………」
「………ッ!?」
2人の表情が急に無くなる。まるで感情を落とした様に……恐ろしく不気味な雰囲気がこの空間を支配する。
少しの間無言の空間が続き、カナカナ……とひぐらしの鳴き声が響く。
「「………っぷ。アッハハハハ!!!」」
「な……なんだ!?」
突如2人がその静寂を破る様に声を出す。
2人はその静寂な時間が無かった様に話しかけてくる。
「いやー……すみません露伴先生。笑っちゃって。」
「最初の質問が『オヤシロ様』なんてびっくりですね圭ちゃん。どこで知ったんですか?」
「あ、あぁ……色々調べてな……」
「それで、君たちは『オヤシロ様』を……
「『オヤシロ様』はいますよ?露伴先生?」
「この村のみんなが知ってることですよ?」
「………なッ!?」
今彼らは『いる』と言ったのか……!?『信じてる』じゃあなく、『存在している』と断定したのかッ!?
しかもこの村のみんなが……?どういうことだ……?その言い方だと…………
『オヤシロ様』は今もこの村で生活しているということになるのか…………ッ!?
「露伴先生……?どうしました?」
「顔色が悪い様ですが……大丈夫ですかね?」
「……心配してくれてありがとう。だけど僕は大丈夫だ。」
「そうですか。それじゃあ、もう暗くなってきましたし私たちは帰りますね。」
「露伴先生ッ!サインありがとうございました!それじゃあまた!」
「ああ……じゃあな……」
彼らはそのまま帰って行った。本当だったら今の事について『ヘブンズ・ドアー』を使って確かめたり、他にも取材として聞きたいことがあったがそのまま帰した。
もしも彼らを本にしたり、問い詰めたりすると『オヤシロ様』から何かされるかもしれなかったからだ。あの『富豪村』の時の様に………
僕は少し痛む頭を抑えながらホテルに戻る。
だんだんと暗くなっていく道には不気味にひぐらしの鳴き声だけが聞こえていた。
夜は明けて2日目の取材………と行きたいところなんだがなァ…………
「ゴホッ………くそッ!よりにもよってこの日に体調が……くゥ……」
喉の違和感と頭痛に苦しみながらどうするべきか考える。
取材は中止……?いやそれはないな……
…………病院に行くか。
「すいません……ここの近くに病院はありますか?」
「病院ですか……?興宮に一応ありますが、ここからだと雛見沢の診療所が一番近いですね。」
「雛見沢の……わかりました。ありがとうございます。」
「いえいえ……お大事に……」
昨日受付してくれたフロントマンに病院の場所を聞き、そこへ向かう。
午前は潰れるが……しょうがないか。明日取材そのものができなくなるよりかマシだな。
「入江診療所……か。田舎にしては中々立派なものがあるな……」
少し歩いて到着した入江診療所の中に入る。中には……爺さん婆さんだけでそこまで人はいないな。
受付で事情を説明して席に座ると程なくして名前を呼ばれる。
「岸部さーん。岸辺露伴さーん。こちらの診察室までお願いしまーす。」
「行くか。よっと……」
席を立ち診察室の中に入る。
目の前には白衣を着た茶髪の眼鏡をかけてる人とナース服を着た金髪の女性がいる。
「こんにちは。入江診療所の所長の入江京介です。」
「よろしくお願いします。」
「岸辺露伴さんは頭痛に喉の痛み……ですか。わかりました。抗生物質のお薬を出しておきましょう。」
「はい。」
「うふふ………入江所長?彼は……ですよ?」
うん?なにやら耳打ちでナースが話している。何か気になるところがあったのか?
所長は最初からわかってるようで「はいはい……わかりましたよ」みたいな顔をしているが……
「岸辺さん。それともう一ついいですか?」
「ン?なんでしょう。」
「今この村にちょっとした流行病がありまして、予防接種という事で注射をしてもよろしいでしょうか?お代はいただきませんから。」
「……はぁ、あのですねぇ。そんなタダで何かをするだなんておかしいと思うに決まってる……わざとらしすぎるな。断らせてもらうよ。」
「そ、そうですか……わかりました。3日の滞在なら大丈夫でしょうか……」
「でも!少しでも異変を感じたらすぐこちらまで来てくださいね!」
その入江所長という人は念を押すように僕に話した。……その真剣さとは打って変わって後ろのナースは不気味にニヤニヤしているが。
少し不安になるな……まあ、それがとても重要なものだとしたら死ぬ気で止めてくるはずだ。簡単に引き下がったなら気にするものでもないな。
ひとまず薬をもらい、その診療所を後に取材を続ける事にした。
薬を飲み、体調が良くなったところで今日はどこに行くのか歩きながら考える。
ここは昨日描いた……ここは今描くべきではない……
そう考えているといつの間にか空には赤く染まった夕日が広がっていた。
「……もうこんな時間か。あまり描けなかったな。やはり無理をするべきではなかったかな?」
誰もいない道で独り言を呟くとそれに応えるようにカナカナ……とひぐらしが鳴く。
まるで昨日の事を思い出させるように。
「……昨日のあれはなんだったんだ。彼らの言う通り本当に『オヤシロ様』が実在するとでも言うのか……?」
「『オヤシロ様』はいますよ?」
「ッ!?」
そこに立っていたのは1人の女性だった。
ただそれだけならよかった。しかし僕の目の前にいる女性は………
「なんだッ!?コイツは一体ッ!?」
白と青の服を赤黒く染め、手には鈍く夕日の光を反射させる鉈が握られていた。
そしてその顔は昨日の2人の様に表情が無く、しかし目はこちらを睨む蛇の様に威圧感があった。
咄嗟にペンを持ち、空中に絵を描きあげる……ッ!
「お前何者だッ!!『ヘブンズ・ドアーーーッ』!!」
「きゃっ……」
目の前の女性の顔が本になっていく。
これが僕の幽波紋『天国への扉(ヘブンズ・ドアー)』
人を本にしてその人の記録を読んだり、そこに文字を書き込むことができる。
その書き込んだ言葉はその人の記憶、意識となり逆らう事ができないという能力だ。
……が、今回はその内容を読む為だけに使った。
「竜宮 礼奈……1969年7月28日生まれ……『かぁいい』物を見るとお持ち帰りしたくなる……自分の事はレナと呼んでほしい……なんだ?少し変わっているが、至って普通の人だな……」
気絶している彼女……竜宮礼奈を抱えながらページを捲る。
ほう……友達は面白い奴ばかりだな。会ってみたいが……
特にこの『圭一くん』と『梨花ちゃん』とやらは一度会ってみたいな。
家族情報も今までの経験も見ていくが……結構大変な思いしているなァ……
浮気に離婚……それなのに大変な道を行く所に好感が持てる。
『恋』に恋してる所とか恋愛マンガならいいキャラになりそうだ。僕は描かないけどな。
「……ゴミ山の中からかぁいい物を探す事が趣味……今日は奥の方に欲しいものがあったから色々便利な鉈を持ってきた……」
「腕を派手に引っ掛けて血が沢山出てしまった……手当てはできたけど、この血ちゃんと落ちるかなぁ……」
「なんだ……そういうことか……」
彼女の見た目に納得がいき、そろそろ元に戻そうかと考えページをさらに捲る。
「………ム!?なんだこれは……ッ!?」
しかしそのページを捲った事に僕は後悔した。
『オヤシロ様が見てる』『オヤシロ様がついてくる』『オヤシロ様の足音が聞こえる』『オヤシロ様はいつもいる』『この村を離れた人をオヤシロ様は絶対に許さない』『オヤシロ様が……』『オヤシロ様が…...』『オヤシロ様ガ……』『オヤシロ様が…..』『オヤシロ様が…..』『オヤシロ様ガ…..』『オヤシロ様が….』『オヤシロ様が….』『オヤシロ様が….』『オヤシロ様が…』『オヤシロ様ガ…』『オヤシロ様が…』『オヤシロ様が…』『オヤシロ様ガ..』『オヤシロさマガ..』『オヤシロサまが..』『オヤシロサマ』『オヤシロサマ』『オヤシロサマ』『オヤシロサマ』『オヤシロサマ』『オヤシロサマ』『オヤシロサマ』『オヤシ………………
「……は、はは。これはもはや信仰を超えて狂信だな……」
ページいっぱいに書かれた『オヤシロ様』の文字を見て引き攣った笑いが出る。
……何か違和感がある。まるで忘れ物をしたが、何を忘れたのかわからないような……
昨日まで言おう言おうと思って当日友人と会ったら、何を言うかを忘れたような……
「………ハッ!!この文だッ!『オヤシロ様が見てる』と『オヤシロ様はいつもいる』……」
『オヤシロ様』はいますよ?露伴先生?
この村の全員が知ってる事ですよ?
昨日言われた言葉が頭をよぎる。
さも当然の様に言っていたその言葉……
そして今、目の前にいるコイツも同じ事を言っているじゃあないか……ッ!
「オイオイオイオイ………」
ひぐらしの鳴く声がどんどんと大きくなる。
気のせいかそこら中から目線を感じる。
ガサガサと何者かが近くの草むらを動く音が聞こえる。
まさか……今ここにいるのは僕とコイツだけじゃあないのかッ!?
「……落ち着くんだ。ひとまずコイツに今見た事は忘れる事を書き込んでおいて……」
『岸辺露伴と会ったことと、そこで見た事を忘れる。3分後に目が覚める。』
「…………」
『岸辺露伴を攻撃できない。』
最後の一文は正直少し悩んだ。彼女は特に僕を攻撃する様な要因は無いが……念のためだ。
彼女の『オヤシロ様』への信仰度合いは最早狂信レベルだ……
もし、この僕が『オヤシロ様』を嗅ぎ回っていると知った時……彼女が何をするのかわからないからな。
普段ではあり得ない様な警戒を抱いて彼女の本となった顔を閉じる。
そして、少し早足で僕はこの雛見沢村を離れた。
気がつくと僕はまた雛見沢村にいた。
正直ここまで来たことを全く覚えていない……
だがまあ……滞在する最終日も取材をすると考えていたからな。良しとしよう……
「昨日はあまり取材にはならなかったから……どこに行くとするかな。」
独り言を呟きながら歩いていくと、すっかり忘れていたあるメモ帳の事を思い出した。
基本的には取材の際に何処へ行くのかを現地で決めているが、この雛見沢村の取材は3日間という限られた時間で取材をしなければいけなかった。
そこで、事前に何処へ取材に行くのかをまとめたメモ帳を準備していたのだが……存在を忘れていた。
「民家……園崎家……集会所……学校……は今日は休みだろうし行ったとしても意味がないな。」
ペラペラとページを捲っていくが大体は1日目に終わらせたものだった。
そして最後のページを捲るとそこには大きく『古手神社』と書かれていた。
「……フム『神社』か……!」
早速手持ちの地図を開き古手神社に歩き出した。
少し長めの階段を登ると小さな村にしてはかなり立派な神社だった。
とはいえ、特に何もない日だ。人は誰もいない。
辺りを見回してみると豪華な神社には似合わないボロボロな物置小屋がある。
「こっちには何が……?ほぅ……」
少し歩くと見晴台に出る。そこは雛見沢村を見渡す事のできる場所だった。
思わずため息が出てしまう風景に僕はすぐさまスケッチブックを取り出し黙々とペンを走らせた。
カリカリカリ……とペンの音。
カナカナカナ……とひぐらしの鳴き声。
絵を描いていくといつのまにかひぐらしが鳴くほど日が傾いていく。
「………ここで待っていれば現れると思っていたさ。」
『あぅ……!?』
ゆっくりと立ち上がると体を後ろに向ける。
手に握られたペンが描くその絵はとても酷いものだった。
「ようやく会えたな。……オヤシロ様?」
『あぅあぅあぅ………』
巫女服を着て角を生やしたその子供はとても困ったように浮かんでいた。
『な、なぜ僕が今ここにいる事に気付いたのですか……?僕が丁度やって来た瞬間に……なぜ…‥?』
「簡単な話さ。スタンド能力の応用だ。」
僕のスタンド「ヘブンズ・ドアー」を自分の元に『戻し』そう答えた。
「僕のスタンドはどちらかというと遠隔操作型……と言っても康一くんのエコーズには敵わないけどな。」
「近距離しか行けないスタンドとは違って僕の後ろ姿を遠くから見る事ができる。」
『つ、つまり……ッ!?』
驚いた表情を見せる『オヤシロ様』を満足げに見てペンの先端を突きつける。
「僕自身が囮になったって事だな……まァ、その代わりスケッチは酷い出来だが。」
『…………ッ!』
「それじゃあ君の事を読ませてもらおう……ってオイオイオイオイ……何処へ行くんだ?」
『オヤシロ様』が神社の方へ逃げていく。
流石に僕の『ヘブンズ・ドアー』で自分の事を読まれたくないという事か……
だが、僕のスタンドは文字を飛ばして発動する事もできる……!
「残念だったなッ!!ヘブンズ・ドアーー!!」
『ハッ……!』
「な、何ィ……ッ!?」
今確かに命中した……はずだったッ!
コイツ……ッ!いつの間にあんなに遠くに行ったんだッ!?
……いや、この感じ僕は知っている。まるであの無敵のスタンド……『星の白金(スター・プラチナ)』の様な……ッ!?
「ま、待てッ!!!」
神社へ向かう曲がり角でその姿を消す『オヤシロ様』
これでもかなり鍛えてるが……あれは浮遊していたから機動力はあちらが上手だろう……
そんな事を考えながら同じ曲がり角に差し掛かると、思い切り何かにぶつかった。
「うぉッ!?」
「みぅ……っ!?」
そこにいたのは先程の『オヤシロ様』とはまた違った巫女服を着ている子供だった。
「つつ……すまない。前を見ていなかった。」
「みぃ……大丈夫なのですよ〜」
目の前の子供が声を上げる。紫髪の小さな子だ。
……そんな事を考えている暇はなかったな。
辺りを見渡しても『オヤシロ様』の姿は無い。
「君ッ!角が生えている奴を見なかったか!?」
「…………みぃ?僕にはよくわからないのです〜」
「わからない?『見てない』と言うならいいが、『わからない』という事は……」
「何かを知っているな……ッ!?」
「……………」
少女はその姿に似合わない大人の様な表情で笑みをこぼし、こちらを覗いてきた。
「わからないと言ったらわからないのよ?わかるかしら『岸辺露伴』?」
「………もうそういった事は昨日も一昨日も体験しているからな。手っ取り早く済ませてもらおうッ!」
「『ヘブンズ・ドアー』!今、心の扉は開かれる……」
「……ッ!?」
ペンを走らせ、少女の顔を本に変える。
急いでいるんでね。さっさと今のページまで飛ばさせてもらおうか。
パラパラと顔のページを捲っていくと、先程の体験が記されているページに辿り着く前に『見えてしまった』
「………オイオイオイオイ。まさかコイツは……!?」
急いでそのページまで戻し、その前後も確認する。
読むたびに冷や汗が流れ、後悔の感情が大きく膨らんでいく。
「そういえば昨日の竜宮礼奈のページにもあったじゃあないか……なぜ僕はそれを忘れていたんだッ!!!」
「だとすると……まずいッ!コイツを本にしたのは失敗だったかッ!!!」
そこに書かれていたものは特に何もない『少女』の記録だった。
だが、その一文……そしてそれ以外の情報……それらが『少女』からオヤシロ様の『生まれ変わり』へと認識を改めるものになった。
「『古手神社』……その跡取りである巫女……そして祀ってるのは『オヤシロ様』……コイツは古手家……!!」
「完全にアウトだ……ッ。僕は言うなればオヤシロ様の身内をたった今『攻撃』した……ッ!!!」
先程までの逃げる『オヤシロ様』とは違い、敵対する『オヤシロ様』になってしまったという事だ……ッ!
少し身を引いた瞬間、この少女はこちらに手を伸ばしてきた。
「な、何ィーーッ!?」
「バカなッ!?まだ『ヘブンズ・ドアー』は解除していないはずッ!?なぜ動けるんだッ!?」
その手は僕の首をしっかりと掴み、ギリギリと力を加えていく……!
爪が食い込み、首が締め付けられるのを感じる……!
必死にその手を振り払おうとその腕を掴むが、意識が朦朧とし始め力が入らない。
「や、やめろ……ッ!」
「やめろォォォーーーーーッ!!!!!!」
暗闇に飲まれる視界とその先に見える『オヤシロ様』……
最後に見えた『オヤシロ様』の呟く一言を最後に僕は意識を失った。
『ごめんなさい』
そして目が覚めると僕はホテルのベッドで体を起こした。
結局あれが夢なのかどうかはわからない。
フロントは何も言わなかった。
あれが夢でなければ4日目の滞在……ならもう1日の宿泊費も取られるはずだったが、3日分だった……
ならあれは夢?……それにしてはよく出来すぎているな。
「あの一文……明らかにオヤシロ様を知っているものだった。それもその存在が実在している様な……」
ポケットに入れている携帯が震える。そういえば泉くんには取材中一切連絡してなかったな。
そう思いながら応答のボタンを押し耳にスピーカーを当てると、予想以上の大声を出した彼女の声が耳を震わせた。
『露伴先生ッ!?ようやく繋がったッ!!!』
「…………ハァ。君はそんな大きな声を出さないと生きていないのか?もう少しボリュームを抑えろ……」
『あ、ハイ……ってそうじゃなくて!!』
なんなんだ……「ようやく繋がった」と言っていたが、そんなに電話を掛けていたのか?
『昨日の取材から帰ってくる日に全く連絡が取れなかったんですよ!?…………もしかしていたずらですか?本当に心配したんですからね?』
「……いや、すまなかったな。色々とあって一日だけ取材を延長したんだ。」
『それならそうと言ってくださいよォ〜〜!!『鬼隠し』とか言っていたんですから本当に失踪したらどうしようかと……』
「悪かったって……その代わりネタはしっかりと集まった。ちゃんと仕事にして返そうじゃあないか。」
『そうですか……?』
若干不服そうな声をして彼女は答えた。
確かに康一くんを不安にさせてしまったかもな。何かお土産とお詫びとして買って帰るかな。
「それじゃあもう切るぞ。」
『あ、わかりました。気をつけて帰ってきてくださいね。』
「………あぁ、そうだ。泉くんってスイーツとかよく食べるよな。」
『な、なんですか?突然……まぁ、食べますけど』
「帰ったらおすすめの『シュークリーム』でも教えてくれ。『神様』も認めるくらい美味しい奴をな。」
『梨花ったら……夜ご飯前なのにこんな所にキムチとお酒を持ってくるなんて……悪い人なのですよ……』
「いいじゃない……少しつまむだけよ。」
夕焼け空を見上げている半透明な友人を見る。
その表情は遊び終わった子供の様な……そして村を見守る母親の様な……複雑な表情をしていた。
「彼はどうしてあなたの事が見えたの?私以外に見れる人がいるなんてねぇ……」
『彼らは不思議な力を持っているのですよ。それこそ私達の様な次元の壁が一枚違う所にいる様な者も見慣れている……そんな人達なのです。』
「ふーーーーん……まあ、私には関係ないけどね。」
角を撫でながら口にしたその答えは正直私にはあまり理解できなかった。
でも、彼が不思議な力を持っているのはこの目で見たからよくわかる。
「羽入……?何故彼はああなってしまったのかあなたにはわかっているのでしょう?」
「村人でもなんでもない彼がそうなったのか……」
『…………僕がその答えを言うのはつまらないのですよ♪』
「はぁ……?」
楽しそうに笑う羽入はまた暗くなっていく空を見上げる。
その様子に少しイラっときた私はキムチを多めに口に入れ辛さをよーーーく味わうようにゆっくりと咀嚼した。
『ふぎゅぅぅぅぅぅ……!!!か、辛いのでひゅぅぅぅぅ!!!!!!』
「……こんぐらいにしといてあげるわ。感謝しなさい?」
『梨花の鬼ぃ……!あぅあぅあぅ……ま、まだ辛いぃぃ……』
じたばたと転がる羽入を見て満足するとワインを少し口に含んで喉を潤す。
「梨花ぁーーー!!夜ご飯にしますわよぉーー!!」
遠くの方から沙都子の声が聞こえる。せっかくワインをグラスに入れたのに……と思いながら一気に残ったワインを流し込む。
『はひゅぅぅぅぅ………りひゃ!!ひっきにのまないでほしいのれひゅ!!』
「梨花ぁーーー!!せっかく魅音さんと詩音さん達が今日帰って来たのですから、早く帰ってくるのですわぁーー!!」
「今行くのですよーー!!」
そう言うと倒れる羽入を置いといて沙都子の声がする方向に歩き出した。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!!
いかがだったでしょうか?結構謎が残る様な書き方をしましたが……
この物語の真実について思いついた人は是非コメントしてください!!
後々真実についての話を投稿するかも……?