明日は18時と22時の2話投稿です
ちょこっと時系列表
夕方 ほむら 魔女から仁美を助ける。
夜 ほむら 恭介の手を義手にする。
↓次の日
夕方 さやか 恭介の『田園』を聞く
同日夕方のほむら←今話
つまり13話からの時間の続きです。
エルキドゥside
『マスターの言っていた佐倉杏子が見つかったよ。けど本当に近いところにいるんだね。』
「そうよ。元々佐倉杏子は巴マミとタッグを組んで三滝原を守っていた魔法少女。マミさんと道を違えた後も、比較的近隣にいるわ。……もしかしたら、巴マミを気にしているのかもしれないわね。」
『マスターは佐倉杏子の事を優しい人だと認識しているんだね。』
「そうね。利己主義を謳いながらその本質は面倒見のいい少女。つくづく嫌になるわね。」
「マスターは彼女が嫌いなのかい?」
「いいえ。彼女を冷たく突き放す世界が、よ。」
僕にはマスターの渡り歩いてきた世界は分からない。
だけど、多分マスターは結構彼女が好きなんだと言うことは分かった。
▼▲▼▲▼
「いたわね。」
マスターが屋根の上から街を
『みたいだね。やっぱり経験を積んだ魔法少女は違うね。魔力の流れがちゃんと洗練されていだからすぐ分かったよ。
血のように赤い髪を大きなリボンで一本にまとめて、街の大通りを歩く少女が1人。片手には紙袋いっぱいのリンゴを持ち、反対の手で林檎をほうばっている。
「私達魔法少女は魔力な流れなんてほとんど意識していないわ。それは佐倉杏子も変わらないはず。」
『なおさらすごいことだよ。無意識で操作してるんだからさ。』
そうこうしていると赤髪の少女は自然体のまま大通りを行き、途中で路地裏へと左折した。
「声をかけるにはいいチャンスね。」
マスターも屋根伝いに佐倉杏子の後を追う。
そしてマスターがまさに路地裏に屋根から飛び降りた時、
一本の槍がマスターへと飛翔する。
と同時、路地を塞ぐ形で結界が展開される。
マスターはノータイムで魔法少女化するとギリギリのところで盾で槍を受け止めそらした。
しかし、それは身動きの取れない空中では致命の隙を晒す事になった。
息する間も無くマスターのすぐ真横まで、槍を腰のあたりに振りかぶった態勢で佐倉杏子が
ただの魔法少女なら、ここで一撃入れられて終了。
いつもの暁美ほむらなら、時間停止で間一髪回避してそのまま佐倉杏子の後頭部に銃を突きつけてから戦闘再開。
だがしかし、今回はどちらでもない。
なぜなら、僕がいる。
マスターの能力が働く前より、さらに素早く実体化。
佐倉杏子の顔が驚愕に変わる。
おそらく野球よろしくマスターの横腹を槍でフルスイングしようとしたのだろう。
それを僕は槍の穂先を掴んで、勢いを殺さず槍を待った彼女を壁に叩きつけるように振るう。
しかし、彼女はあっさりと
槍を手放し遠心力に任せ自分が張った結界まで飛び、壁を蹴り器用に衝撃を殺して猫のように地面に着地する。
そしてこめかみにマスターの拳銃を突きつけられた。マスターお得意の時間停止だ。
佐倉杏子はさらに槍を魔法で精製し、一薙ぎする。
がしかし、まさに瞬間移動のような能力でさらに裏に回り込まれて拳銃を突きつけられた佐倉杏子はようやく手を挙げて降参した。
「なんとも面倒な奴に目つけられたみたいだね、私は。」
「さすがにヒヤリとさせられたわ。」
「息一つ切らさずよくゆうよ。それで、私になんの用だよ。ピクニックにしちゃあ随分と物騒なもん持ってるじゃん。」
「貴方の力を見込んで交渉をしにきたのよ。」
「銃を突きつけられてちゃ話もできないね。」
マスターが佐倉杏子からゆっくりと、銃口を上げて離す。
「それにそこの緑のとお前2人の相手は厄介だ。」
といいつつも、マスターの方に振り向いた佐倉杏子にはまだ余裕が感じられた。僕ら2人を相手にして、逃げきるぐらいの自信がまだあるのかもしれない。
「暁美ほむらよ、そして貴方の名前は佐倉杏子。」
「暁美ほむらね。それとそこの緑の名前は教えてくれないんだね。」
「エルキドゥと言うわ。私の協力者にして秘密兵器。」
「へぇ、ヒヤリと来たってのは
「だからそう言ってるでしょう。そして私は今、他の協力者を探している。そして私は貴方に頼みたいと思っているわ。」
「そもそも暁美ほむら、アンタは何をしようとしてんだよ。私に何して欲しいんだよ。手伝って欲しいっていうなら、話はそれからだろ。」
「そうね。なら一度場所を変えるべきね。」
その時、パトカーが数台通り過ぎる。
ドップラー効果で変形した音がこの細い路地裏まで響く。
「ならいい店あるから案内してやるよ。」
「そう。それにしても表が騒がしいわね。」
「最近はATMとかが破壊されてたりする事件がしばしば起こるらしいね。まぁ、どうせ大したないから行こうぜ。ただちょうど今私の懐はあったかいから奢ってやるよ。」
そう言って佐倉杏子はりんごが入った紙袋のりんごし下からお札を見せてニヤリとした。
「いっそ堂々としたものね。」
マスターは短く息を吐いた。
▼▲▼▲▼
「まさか…ね。」
本当にまさか…だね。
「まさかあの流れでラーメン屋に連れて行かれるとは思わなかったわ。」
さすがにマスターの頭の中にも1ミリもなかった候補だっただろうね。
マスターが批難するような目で佐倉杏子を見た。
それを佐倉杏子はモノともせずに受け流す。
「腹が減ってるとイライラして話が進まないっていうからな。」
「ラーメン食べたかっただけでしょう。」
「まぁ、私がラーメンの気分だったんだよ。」
「それに私の人生だ。私の好きに使うね。」
「私とエルキドゥの時間でもあったんだけれど。」
「でも美味かっただろ?あの店。」
「…そうね。素直に認めるべき所は認めるべきね。悔しいくらい美味しかったわ。」
「僕も満足したよ。」
「ならいいじゃねえか。」
カラカラと佐倉杏子が笑う。
なんとなくマスターも呆れたような、いまいち怒るに怒れないような様子だった。
佐倉杏子のこの憎めない所が彼女の持つ不思議な魅力の一つなんだろう。
「そろそろ本題に入ろうか。」
公園のベンチに腰掛けつつ佐倉杏子が言った。
陽の光も落ち、あたりは薄暗くなっていた。
「ほむらは何がしたいんだよ。」
佐倉杏子の纏う雰囲気が一変する。
真剣さの色が滲む。
「『ワルプルギスの夜』を倒したい。協力して。」
マスターは淡々と即答する。
「それだけか?」
「『ワルプルギスの夜』はたくさんの魔女の集合体よ。倒せばしばらく困らないだけのグリーフシードを落とすでしょうね。」
「私が聞きたいのはもっとお前の気持ち的部分なんだけど、それだけ?」
「どう言うことかしら。」
「なんでほむらは『ワルプルギスの夜』を倒すんだ?」
「『ワルプルギスの夜』を倒す事自体が目的なのか?」
「『ワルプルギスの夜』を倒すのは通過点だろ?」
「他の魔法少女のため?街の人の安全のため?復讐するため?強敵と戦いたいから?家族友達を守るため?」
「暁美ほむら、お前は『ワルプルギスの夜』を倒したその先に何を見てるんだ?」
「そんなの決まってるわ。」
「ーー親友との約束を守るため。親友を助けるためよ。」
キッパリと宣言する。
「そっか。」
佐倉杏子がマスターを眩しそうに見た。
「私もやるとするか。『ワルプルギスの夜』退治。」
「感謝するわ。」
「感謝なんていらないね。グリーフードに名声、得るものは沢山ある。だからこれは私の選択だ。私は私のために、私のやりたいようにやるさ。」
佐倉杏子はそう言ってニヤリと笑った。
そして言いたい事を言ったからか、くるりと背を向けて歩き出した。
今度はマスターが眩しそうに目を細めた。
「また連絡するわ。」
佐倉杏子は手だけ振って答える。
「本当にお人よし…。」
『これは私の選択だ。私は私のやりたいようにやる。』
そのセリフは自分がどうなっても巻き込んだ
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夕方〜夜 ほむら 杏子に接触する←New