まどマギAlter 暁美ほむらとエルキドゥ   作:名取クス

7 / 17
……助けて、ください Bパート

禍々しい世界に闊歩する異形。

実に怪物の住処(すみか)にふさわしい光景だ。

 

「エルキドゥ!」

 

「戦闘だね!分かるとも!」

 

顕界。

破壊になんの余念も要らない。

ただ壊す。砕く。命じられるままに。

 

球体にネズミのような尻尾の生えた使い魔達。霊体(僕の体)の一部を鎖へと変えまとめて田楽刺しにする。

 

病院のような待合室と看護婦の姿をした使い魔。地に魔力を通して局地的に制御を奪い、大地の形を大剣大槍に変えて足元から使い魔を貫く。

 

自在な変化で己を改造し他者を改造し、その都度最適な兵器への転じて立ちふがる障害の一切合切を悉く吹き飛ばす。

 

「間に合って…!」

 

この魔女結界は迷宮のようになっていて刻一刻と姿を変える。

単純に後ろから追いかけたって先に入った巴マミや鹿目まどか達には追いつけない。

入ったタイミングが違えばスタート地点が違い、さらにはその道順もバラバラに組み変わる

 

しかし必ずどの経路でも核心部へと続いている。

 

ゆえにこそ、マスターは今道を急いでいる。

先に中心へと至るため。巴マミの命運、引いては鹿目まどかを残酷な運命(魔法少女化)から救うため。

 

わらわらと溢れる使い魔達。

しかしそれはこの暴虐の嵐の前ではないも同然。

真っ直ぐにひらけた視界を暁美ほむらは駆け抜ける。

 

「魔女の魔力が邪魔をするけど見えたよ。これは……鹿目まどかが孤立しているね。」

 

「…!!まかさ迷宮化の時の影響で!」

 

「エルキドゥ!まどかを守って。」

 

『了解だマスター。先に行くよ。』

 

マスターの事も大事だ、しかし今はマスターからの命令が第一だ。

僕は全力で持って兵器としての役割を果たす。

無慈悲に無感動に。

鹿目まどかを護る、それがマスターの願いなのだから。

 

エルキドゥside out

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

ほむらside

 

「まどかを守って!」

 

『了解だマスター。先に行くよ。』

 

今はどうしようもなく悔しい。本当なら、私が真っ先に駆けつけたいのに。

事前に予想もしていたのに。 

だけど今はイレギュラーなサーヴァント頼みで。

エルキドゥの力は予想以上だった。

戦闘においては私は決して敵わない。

それがどうしようもなくなく羨ましい。

それだけの力が私にあればまどかを。

親友を何度も泣かせる(やり直す)ことはなかっただろうに。

 

「……お願いまどか。無事でいて。」

 

「……どうか間に合って。エルキドゥ。」

 

「私がきっと救ってみせるから。」

 

走る。走る。走る。

使い魔も

 

「……ッ!!」

 

ーーヒュン!

 

私が飛び退いたコンマゼロイチ秒後。

私が居た場所への一発の射撃。

マミの事だ。わざと外したのだ。

 

明確な威嚇を込めた発砲。

 

「会いたくはなかったのだけど。」

視線の先には美樹さやかと鋭い目をした巴マミ。

マミに握られたマスケット銃の銃口からは僅からながらの煙。

 

何よりもこの場にキュゥべえがいない。

それが意味する事態に、暁美ほむらはどうしようもなく焦っていた。

 

新たなマスケット銃を魔法で作り、装備するマミ。

今すぐにでもまどかの所に行きたいのに、行かせてくれ雰囲気ではない。無意識にギリって歯がなる。

 

「…今回の魔女は私が狩る。貴方たちは手を引いて。」

 

「そうもいかないわ。可愛い後輩が迷子なの。」

 

「鹿目まどかの事なら私が安全を保証する。」

 

「ただでさえ信用できないのに、特に鹿目まどかに関して貴方を信用すると思って?」

 

私もマミさんも、譲らない。譲れない。

睨み合う。

 

突如床に魔力反応。

いつのまにか仕掛けられたマミの魔法が私を襲う。

飛び出すリボンが容赦なく縛る。

 

「馬鹿!こんなことやってる場合じゃ!」

 

「もちろん怪我はさせるつもりは無いけど、あんまり暴れされたら保証しかねるわ。」

 

あまりの事態に焦りの火だけがメラメラと大きくなる。

 

「今回の魔女は今までの奴とはワケがちがう!」

 

「大人しくいていればちゃんと解放してあげる。ーーさやかさん行きましょう?」

 

「待って!…ぐっ」

 

ますますリボンの締め付けがキツくなり声も出なくなる。

さやかもちらちらこちらを見ながらマミの後ろについていく。

 

「……エルキドゥ。お願いだから、まどかを助けて。

「魔女からも、キュゥべえからも。」

 

半ば祈るように、私は呟いた。

絶望がジワジワと私の心を黒く染める。

 

As you wish (おおせのままに)。マスター。』

 

『いや、wishは実現の可能性が低いんだったね。それよりは…』

 

「エルキドゥ!」

 

As you hope(必ず成し遂げる),マスター!』

 

確固たる意思に、我を思い出す。

私もこんな所でぐずぐずしていられない!

行かなきゃ!まどかが危ない!

 

何も変えられない、そう嘆いていた。

暁美ほむらの心に、にわかに希望の光がさした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。