とある深い森の奥。人里離れた場所に人知れずひっそりと立たずむ屋敷があった。外観は明治維新より建築され始めたモダンで煌びやかな外国様式の洋館とは異なり日本古来の伝統的で落ち着いた
「ゴーマ殿。それは一体どう言う意味なのでしょうか?」
そんな状況下で沈黙を破り声が紡がれる。その声の主は上座の中央に座る少年で名を
「意味も何も言葉の通りだ。無惨討伐の経緯は聞いてる。俺の事を珠世から聞いて待っていたんだろ?やろうと思えば今すぐにでも無惨に引導を渡す事は容易い。だがそれでいいのか?無惨をただ滅ぼすだけで満足できるかって話だ。そこに居る全員…
「それは…」
鬼と…いや鬼舞辻無惨との暗闘から千年。ようやく巡ってきた一族の悲願にして千載一遇の好機。過去に無惨から離反し400年前から同盟を結んでいる元鬼の珠世殿により無惨に対する特効薬が漸く完成したという知らせを受け私は無惨討伐を決意した。柱達から時期尚早との意見や400年という実績はあっても元鬼の珠世殿に不信感を持ち罠ではないかと疑う者もいたが最終的に私の意思に皆従ってくれたのには感謝しかなく、そして迎えた決戦当日。万全の準備を整え鬼殺隊の総力を持って無惨討伐に望んだのだが結果は…なんとも中途半端になってしまったのには無念としか言いようがない。それをこの御仁は、どの様にかは皆目見当もつかないが皆の鬱憤を晴らし溜飲を下げる
ゴーマ殿。400年前あの鬼殺隊始まって以来の慶次の日として制定され
「お館様。我ら一同お館様の決断に従う所存。…ですが今回ばかりは提案をお受け頂けるよう伏してお願い申し上げたく」
その場の皆を代表してか一番の年長者であり炎柱である
「…………」
その願いに応えたいとは思う。だが…。
「無論、お館様の懸念も重々承知しております。確実を期するならば余計な事などせず即座に終わらせるが必定。万が一にでも取り逃す可能性など避けて然るべきだと」
「そうだね…」
そう、それを懸念し私は悩んでいる。
「感情を優先し目的を見誤るなど愚の骨頂。鬼殺隊に属する者として恥ずべき事でしょう。されど千年です。千年も掛けた結末に未練を残せば後悔となる。愚かかもしれませぬ。いえ、愚かでしょう。ですが嘘偽りなく本音を申せば納得のいく終わりを私は見たい。叶わず見られなかった者達の分も含め存分に。さすれば憂いなく新たな明日を歩んで行ける…私はそう思うのです」
普段は厳格で感情に振り回される事や、そのせいで失態を犯す
「ありがとう槇寿郎。皆の心を代弁してくれて」
「では」
「ああ、決めたよ」
おそらく私の迷いを察し先んじて嘆願してくれた真寿郎の気遣いに対し礼を言う。すると槇寿郎は私の意図を察したのだろう先を促してきた。なので決意を口にすると共に瞼を閉じ細く深く息を吸いゆっくりと吐き出す。そして…。
「ゴーマ殿。その提案…謹んでお受けしたいと思います」
私は目を見開くと
◇
さてさてさーて。残念無念は無惨だ愉悦しよう計画はーじまーるよー。ここから先は地獄だぞ?を地でいこうと思います!逝くのは無惨一人だけどな!愉悦部〜ファイ!オォー!ファイ!オォー!ファイ!オォー!ファイ!オォォォーーっ!
耀哉少年に詳細説明を俺は語るカクカクシカジカ。今の無惨の現状を。そして話す。マルマルウマウマ呪いの仕組みと実情と結果に伴う予想と予測を。今の俺はイイ笑顔をしていると自分でも分かる。下手すれば愉悦神父に匹敵……は流石にないな。アレは生粋の異常者だ。あんなんなろうと思ってなれるもんじゃない。説明しよう。愉悦神父とは言峰綺礼という地獄麻婆豆腐大好き人間で通称コトミーの事である。肩書きは聖堂教会所属の執行者にしてマジカル八極拳の使い手。個人的にマジカルのカルは獲物を狩るだと思う。俺の中では元祖愉悦マスターであり今頃はFate世界で元気に悪を誅し愉悦しまくっているだろう人物。かの第四次聖杯戦争当時、他者の不幸に至福を感じるなんて私は…ニチャア(愉悦)なんて言う性癖を自覚できず悶々と悩んでいたのを原作的に知っていたので転生者あるある改変を行うべく金ピカ野郎が覚醒させる前に接触して「お前の心は歪んでいるな?自覚していないのか…」なんて意味深に語るムーブを慣行。ルアーに食いつく魚並にフィシュ!したら徹頭徹尾それっぽく内面を説明して遠坂うっか凛パパさんを裏切るパターンなんかを例に自覚を促し愉悦するヤッバイ顔を鏡で見せてやったら半覚醒。そんで己の醜悪さに悩みだしたんで原作通りに吹っ切れないよう「じゃあ悪党とかなら
別方面にド綺麗になった麻婆神父の事はさて置き話を戻して計画に必要な確認事項を聞こうか。そうして俺は余計な回想を思考に挟みつつ耀哉少年達に向け実行に伴う詳細とこれからの流れを語るのであった。
◇
「…なるほど。確かにそれなら無惨に最も相応しい罰と言えますね」
全てを聞き終えた耀哉は感嘆の声を漏らす。長年に渡り一族を苦しめてきた呪いの正体。それが判明し納得がいったからである。無論なにも根拠がなく信じた訳ではない。証明に足るものを
「だろう?元々は奴に届くものを受け取らせてやるだけだ。というか放置したら駄目だからなこれ。説明した通り人が触れれば一溜まりもねぇ。たぶん一瞬で死ねるぞ」
そこにゴーマの合いの手が入る。その声は真剣で偽りを述べているようには到底思えない声色をしていた。
そのゴーマが見つめる先…それはもちろん自身の宝具であり現在は珠世達と無惨を外界から完全に隔離しているドームハウスである。その外観は本来なら白の半球状の物体なのだが今はその様相を著しく変えていた。具体的に何が?と言えば…黒いのだ。ひたすらに黒い。そうとしか言えない黒さなのである。もちろん宝具なので色が勝手に変わった訳ではない。かといってゴーマが知らぬ内にオルタ化した影響…なんて事でもバサスロットみたいな存在に宝具を奪い取られ黒くなった訳でもなかった。その理由とは単に白い姿が黒く見えるほど何かによって覆われているだけである。ステルス解除後は疎らだったそれは今はもう増えに増え白い外壁がほぼ見えないレベルにまで到達している訳で、その黒いのが何かといえば…。
「こんな気の塊…いや呪いを受けりゃよ」
そう呪いである。その映像はゴーマのスカウターから呪いによる現状を客観的に見せるべく共有されたもので概要を説明すると「気持ち悪いこれが?」とか「鍋に沸き立つ黒い泥?」やら「まるで黒い油虫でも集っているようだな」などと口々に酷評するも拡大した途端ほぼ皆が絶句していた。何故なら…。
「しかもよく見れば一つ一つが人の顔って…嫌すぎんだろ」
「この無数の黒い顔が全て呪い…」
「無惨を封じても尚これ程の犠牲者が。ならこれに私たち鬼殺隊の者も…」
群れをなす呪いが一つ残らず人の顔をしていたからである。苦悶を訴える表情や憤怒の形相を浮かべている様は見ていて生々しく正に呪いと呼ぶに相応しいと誰もが思う程のものであった。
「まぁ、見た目はどうあれ矛先が向かない限り影響はないから安心していいぞ。効果は…今から実証だな。夜も深け月も中天。頃合いも良い塩梅だし早速だがさあやろう。と、その前に一応最終確認という事で聞いておこうか。提案してなんだが、いいんだよな?やっても?」
絵面が悪すぎて嫌すぎる。まるでオタマジャクシの群れが集っている様に見えるし見た目が飛頭蛮かよ!とツッコミたくなる…そんな衝動を抑え俺は開始前の最終確認を耀哉少年に問う。こういう意思確認を疎かにすると
「ええ、かまいません。奴の身勝手により犠牲となった者達の無念少しでも晴らせるなら。そもそも鬼の大半も結局は奴に人としての生を奪われ狂わされた被害者でしかない。全ての責は無惨一人で負うが道理でしょう。故にあの者の無様で滑稽な最後を私達は見たい。いえ、見なければならないのです」
「そうか、ならいい。珠世もそれでいいか?」
つい思い出して殺意○波動に目覚めかけそうな忌々しい記憶はさて置き答えは分かり切っているが一応は珠世にも確認してみる。
「勿論かまいません。むしろ今以上の無様で滑稽な姿が見られると言うのなら願ってもない事です」
うん、だよね。知ってた。まったく持って問題ないな。
「と言う事で珠世。今からそっち行くからバリアの範囲拡張よろしく。余裕を考えて…3m程でいいぞ」
「ああ、
言葉の意図を読み取った珠世は即座に了承してくれる。話が早くて助かるわ。経験者はってやつだな。と、いう事で一泊置きシュン!っと一発瞬間移動。転移先は、もちろん珠世達の側でバリア内だ。目と鼻の先なんで気を探る必要もなく楽なもんよ。
「うへぇ、こりゃ気持ち悪りぃな。直接見ると気持ち悪さが段違いだ」
転移してそうそう視界いっぱいに広がる光景を見て俺は転移後の微妙な気持ち悪さも相まりげんなりする。いくらバリア越しとはいえ、よくもまあ珠世達はこんなもんの側に四六時中居られたもんだ。復讐心と恋心の賜物なのだろうが素直に凄えなぁと感心するぞ。
「まったくです。どこまでも不愉快にさせる男。死ねばいいのに」
わお、相変わらず無惨に対し毒舌ですなぁ珠世は。
「珠世様を不快にさせるなど万死に値する。…諦めの悪さだけは認めてやらんでもないが。チッ…」
ついでに愈史郎も毒付いているが…後半は明らかに意味合いが違うねぇ。察するに珠世との二人きりの
「よし、珠世。俺の身体に触れて合図と共にバリアを解除してくれ。その瞬間にこの場から離脱する。
「はい、承知いたしました」
「ゆっしーも触れろよ。じゃないと置き去りになるぞ」
一応、念のため愈史郎にも声を掛けておく。手違いで残ったら
「ゆっしーは止めろ!そもそも初対面の相手に馴れ馴れしいぞ貴様!」
「愈史郎、ゴーマさんの指示に従って下さい。いいですね?あと、ゆっしーは可愛いと私は思いますよ?」
「グッ…珠世様がそうおっしゃるなら。ゆ、ゆっしーと呼ぶ事を不本意だが許してやる」
はっはっはっツンデレー。心の底から尻に敷かれてんねぇ。肯定早すぎ。そんな愈史郎君には特別に【チョロ幸せ野郎】の称号を贈ろうではないか。…ちょっとだけ嫉ましいぞ恋愛やろうこの野郎。
「じゃあこれから三つ数える。零で実行だ。…いくぞ!三、二、一、零っ!」
いくらか嫉妬ゲージが溜まっちまったが、それは今後ゆっしーを
すると予定通りタイミングを合わせ珠世がバリアを解除し消失。そうなると当然な事に肉が一気に雪崩れ込んでくるのだが次の瞬間には俺達三人の姿はその場から一瞬で掻き消え虚しく空間を埋めるに留まるのであった。
補足説明:バリアを張っている珠世を転移させるとバリアごとへばり付く無惨の肉も一緒に転移する事になるため一旦解除する必要があった。バリアは気で出来ているので肉体の延長扱いって事で。
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