黒羽盗一のショーを見に来たが、すごい人気だな…
じつは今日は結構ワクワクしていたりする。前世も含めて私はマジックショーをいうものを見たことがないからね、仕方ない仕方ない。
しっかしうーん、あのとき私の仕事に首を突っ込みかけた時とはちょっと雰囲気が変わったなぁ。まぁ大人になったんだろうな。
ベンニーアちゃん情報によると、ファントムレディは絶賛活動中らしいけど怪盗キッドはまだ生まれてもないみたいだし、となると今は交際中ってことか。
いやぁ、彼と話すのが楽しみだなぁ…
「ねえ、ディオ。あなた彼に何かちょっかいかける気でしょ?」
「おっ、シャロン、君もだいぶ私のことがわかってきたね。まぁ、ちょっかいというか、とりあえず彼と話してみたくてね。
もしよければ彼のパトロンになろうかと思って。」
「へ~…あなたが彼に興味を持つなんて…
まさかディオが私をショーに誘うなんてと思ってたけど、彼には“なにか”あるのかしら?」
「…きみはいったいわたしを何だと思っているんだい?
なーんにもないよ。わたしは生のマジックをこれまで見たことがなくてね、昔から興味はあったものの縁がなかったんだよ。そしたら最近友人から彼について聞いてね、いい機会だからと気楽な友人が私の他にいなさそうなシャロンを誘ったってことさ。」
「あなたこそ私を何だと思っているのよ…たしかに気楽な友人はあまりいないけど。
でもどうやって話すつもりなの?約束でもしてるの?」
「もうメールを送ってアポもとっているよ。幸いなことに、私の友人達のコネクションから先に話を通すことができてね、アポをとるのにも苦労せずに済んだんだ。シャロンも来るだろう?」
「あら、言ってなかったかしら?私は彼と面識あるわよ?まぁ顔見知り程度だけど…」
「(まぁ知ってたけど、)そうだったのか…それなら色々話がスムーズに進むかもな…さぁ、ショーも終わってそろそろ約束の時間が近づいてるし行こうか」
《黒羽盗一side》
今日のショー終わりに、私のパトロンになりたいという資産家と会うことになっている。
調べてみたら、なにやら日本フリークで有名な資産家らしいが、奇特な人もいるものだ。たしかに成功してるとは言っても私はまだ若造だ。
このショービジネスの世界では実力だけで生きていけるわけではないし、なによりコネクションが特に大事だと嫌という程理解した。
そういう意味でも、今からの出会いは私の人生を変えるのかもしれないね。
コンコン「約束していたブランドーです。」
「どうぞ」
ガチャ
「こんにちは。Mr.黒羽。ディオ・ブランドーと申します。先程のショーは見事でした。マジックというものを生で見たことがなかったので始終興奮してしまいましたよ。」
ブランドー氏は美しい男性だった。髪も声も顔も雰囲気も声の抑揚、なによりあの甘いのにどこか”凄み”を感じさせるあの目。
どれもこれも「美」という言葉がしっくり来る。
「ハァイ、Mr.黒羽。シャロン・ヴィンヤードよ。私たちは前に会ったわね。今日は私は彼の付き添いよ。気にしないで話を進めてね。」
女優のシャロン・ヴィンヤード…たしかに彼女とは面識がある。私の変装術を彼女に請われて教えた。弟子とも言えるな。といっても内緒の関係だが……
「やぁ、どうも、Mr.ブランドー。Missヴィンヤード。私のショーを楽しんで貰えたようで嬉しい限りです。ダラダラと話を待たせるのもなんですし、早速話を進めましょうか。ええと、なにやら私の支援をして頂けると伺いましたが…」
それからはトントン拍子に話が進み、私はかなりの良条件でパトロン契約を得ることができた。
ショーをする場所も規模も時間も私が決めていい。好きなようにすればいい、と。
支援をしたいのはこちら側だから、チケットと年間予定表を送ってくれてたまに食事会などを共にしてくれれば良い、と。
初めはあまりにも良すぎる条件になにか裏があるのではないかと思ったが、どうやら彼は資産管理や仕事以外は趣味にほとんど時間を費やすような人らしい。その一面が日本フリークと…
そしてなんと、かなり若く見えるがブランドー氏はシャロンよりも歳上らしい。信じ難い………
「ブランドー氏は、なぜそこまで日本文化を気に入っているんですか?」
「それは私も気になるわね…教えてくれないかしら?ディオ。」
「君もディオ呼びでいいよ。というのも、シャロンには昔軽く話したが、私の先祖が漂流していた冒険家気質の日本人と縁を持ったらしくてね。しかもその日本人は修行僧というか、なんというか、いわゆる仙道というものを極めていたらしく、先祖がその彼から教わった仙術が代々伝わっているんだよ。いわゆる呼吸法みたいなものだね。そのおかげが、私はかなり若作りでね、そんな不思議な家系だ。源流とも言える日本文化に興味を持たないわけがないだろう??
幸い資産も余っていたし、特に戦後はGHQが刀を含めた日本文化の結晶を接収していったし集めるのに苦労はしなかったさ。
しばらくしたら、お気に入りをいくつか残して日本に返還したいとは思ってるがね。」
「不思議な縁もあるものだな…仙人というやつか??確かに東洋にはそういう伝説はあるが、それもどちらかというと中国だろう?日本から、まさか海を越えて実在を匂わす話があったなんて……」
「ディオ、あなた…あれは話を誤魔化す嘘かと思ってたし私もスルーしていたけど、まさか本当だったの???」
「嘘みたいな話だろう?これが実は本当なのさ。まぁ見た目はあまり変わらないが老化はきちんと進んでいるよ。手記曰く、長生きはするけどいきなりぽっくり死ぬらしいよ。私の親も見た目若々しいままサクッと死んだし、間違いない。(大嘘)」
意味が分からないし、マジックよりもマジックな話だがもう深くは考えないようにしよう……
私の新しいパトロンはどうやらずいぶん愉快なお人らしい。これからなんだか楽しくなりそうだ。