もしサイタマの強さが全国的に知られていたら。 作:注いでってー
最近、テレビでは連日のように取り上げられ、ネットでもサイタマの強さについて様々な話題が飛び交っている。
そして現在。
「……はぁ」
サイタマは窓の外を眺めながら、深いため息をつく。
「なんでこんなことになったんだ……」
本人には、全国的な人気者になったという自覚がほとんどない。
サイタマにとって大事なのは、もっと身近なことだった。
「今日はスーパーの特売日なんだぞ……」
そう。
今日は肉が安い。
卵も安い。
その他の食材も普段より安く買える。
サイタマにとっては非常に重要な日なのだ。
しかし――。
外に出れば人が集まる。
少し歩けば声をかけられる。
スーパーに行けば、買い物どころではなくなる可能性が高い。
「俺、ただ買い物したいだけなんだけどな……」
そんなサイタマのぼやきが部屋に響く。
その時だった。
ピンポーン。
「……ん?」
サイタマが玄関の方を見る。
「誰だ? こんな時に……」
最近はインターホンが鳴ること自体、そこまで珍しくない。
ジェノスが訪ねてくることもあるし、フブキがやって来ることもある。
とはいえ、今日は特に約束をしていたわけではない。
「……まあ、いいか」
サイタマはダルそうに玄関へ向かう。
そして、玄関のドアを開ける。
「開けるの遅いわよ。サイタマ」
「うわっ……お前か……」
そこにいたのは、地獄のフブキだった。
「何よ! その顔!」
「いや……別に」
「絶対に『また来たのか』って思ったでしょう!」
「……ちょっとだけ」
「ちょっとじゃないでしょ!」
フブキは不満そうに頬を膨らませる。
しかし、そんなことを言いながらも、フブキはすっかりサイタマの家に慣れている。
サイタマも、フブキがこうして突然訪ねてくることには、もう慣れていた。
「まあ、入れば?」
「言われなくてもそうするわよ」
フブキはそう言って、サイタマの横を通り抜ける。
「お邪魔するわね」
「はいはい」
部屋に入ったフブキは、そこでジェノスの姿を確認する。
「いつも通り…ジェノスもいるわね。」
ジェノスはフブキに軽く視線を向ける。
「もちろんだ。俺は常に先生を観察しないといけないからな。」
フブキはサイタマを見る。
「最近、あんた大変でしょう?」
フブキは呆れたように言う。
「全国的に有名になったせいで、家の周りに人が集まってるじゃない。」
「……そうなんだよ。」
サイタマは途端に真顔になる。
「なんとかできないかな。」
「何を?」
「俺の家の周りに人が集まってきて困るんだよ。」
サイタマはため息をついた。
「今日はスーパーの特売日だから、色々買わねえといけねえのに……」
「やっぱりそこなのね。」
「だって肉が安いんだぞ。」
「……あんた、本当に変わらないわね。」
フブキは苦笑する。
「でも、今の状況じゃ仕方ないでしょうね。あんたが外に出たら、すぐに人が集まるでしょうし。」
「だから困ってるんだよ。」
「それで――」
フブキはサイタマを見る。
「そう言うと思って、今回は特別に買ってきたのよ。」
「……何を…?」
「肉」
「肉!?!?」
サイタマは驚いた顔をする。
「ほ…本当か!?それ…!」
「ええ、牛肉、豚肉、鶏肉、そして野菜…すべて高級食材で揃えてみたわ!」
その一言を聞き、サイタマはフブキが持っていた袋を覗くと…
本当に牛肉、豚肉、鶏肉、そして野菜、しかも全てが高級品であった。
「な…!!!お…お前…さ…最高かよ!ヤバい!しかも…全部2000円超えてるぞ!」
ジェノスはそんな二人を見ながら、少し考える。
「つまり、先生が買い物に行けないことを考慮して、食材を持ってきたということか。」
「そういうこと。」
「なるほど。」
ジェノスは納得したように頷く。
サイタマはジェノスに
「ジェノス、今日はすき焼きだ!」
「承知しました、先生」
「私も手伝うわ」
フブキも立ち上がる。
「じゃあ野菜でも切ろうかしら」
「お前、料理できるのか?」
「できるわよ!」
「いや、なんとなくできなさそうだと思って」
「どういう意味よ!」
フブキが怒鳴る。
そんなやり取りをしながら、三人はすき焼きの準備を始める。
外では、今日もサイタマを一目見ようとする人々がいる。
テレビでは、S級1位となったサイタマの話題が流れている。
全国的には、もはや「世界最強のヒーロー」とまで呼ばれ始めている男。
しかし――。
「先生、肉は最初に入れますか?」ジェノスが尋ねる。
「あったりまえだ!肉を最初に入れねえやつは弱虫だ!」
フブキが呆れたような言い方で
「どういう意味よ…」
「サイタマ、これくらいでいい?」
「おう。」
「やべぇ…美味そう…!ジュルル」
本人たちは、そんな世間の騒ぎなど気にすることなく。
ただただ、高級肉を使ったすき焼きを楽しもうとしていた。
サイタマにとっては、S級1位になったことよりも――。
「今日、高級すき焼き食えるの最高だな!」
そのことの方が、よほど嬉しい一日だった。
〜~〜~~~~~~~
しかしその裏で…とある男がサイタマに対して闘争心を燃やしていた…
「まさかこんなふざけたハゲが俺より人気…?いくらS級1位になったとはいえ納得できない…」
久しぶりの投稿となってすいません!色々立て込んででいつの間にかこんな時間が経ってました…!時間って短い…!
今回はのほほんとした回を書いてみました。次は本格的に書いていこうと思っています。いつ続きを書くかどうかは分かりませんが、待っててくれる人はよろしくお願いします!