ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝   作:ひいちゃ

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前回のサブタイトルの元ネタは、ガンダムZZ第22話『ジュドー、出撃!』からでした。なぜ出撃ではなく発進になっているかという、ナレーションしておられるジュドー役の矢尾さんが、『出撃』を『発進』と読み違えてしまったことになぞらえてのことです。

さて、プルとはここから一時お別れ。彼女はこの後、原作通り、刷り込まれてアーガマを攻撃するものの、今回はオウギュストの誤射で大気圏突入してしまい、そこをジュドーに助けられて、アーガマの居候になるルートになります。


Act.12『大気圏突入』

1:ジャンク屋ネキ

おー。地球が見えてきたなぁ。でも、前世で見たのに比べると、ちょっと色が暗く見えるな。

 

2:名無しのオールドタイプ

まぁ、宇宙世紀は、前世よりも環境破壊が進んでるみたいやからな。アフリカなんか、もうほとんど砂漠になってるで。

 

3:ジャンク屋ネキ

はえー……そうなんか。このまま進んだら、地球に人類が住めなくなるんじゃないのか?

 

4:名無しのオールドタイプ

ところが、少なくとも223年までは、人類はかろうじて住めているんだよなぁ

 

5:名無しのオールドタイプ

その後に、恐怖の共食いの時代が来るけどな。

 

6:ジャンク屋ネキ

そうなんか……。さすが地球やな。

 

7:名無しのオールドタイプ

とはいえ、そんな地球に甘えているわけにはいかないけどな。

 

8:名無しのオールドタイプ

さて、いよいよ大気圏突入となるが……。

 

9:ジャンク屋ネキ

何か問題が?

 

10:名無しのオールドタイプ

ガンダムで大気圏突入といえば、敵襲というのがお決まりだからなぁ……。

 

11:ジャンク屋ネキ

あぁ、そういえばそうか……。

 

12:名無しのオールドタイプ

まぁ、毎回毎回起こるわけじゃ……。

 

13:名無しのオールドタイプ

1st『大気圏突入』

Z(ゼータ)『大気圏突入』『キリマンジャロの嵐』

ZZ(ダブルゼータ)『燃える地球』

起こってるぞ。

 

14:名無しのオールドタイプ

あ。

 

* * * * *

 

「プルを衛星軌道上に残していけ、と?」

 

 ミンドラのブリッジで、副長のオウギュストが艦長であるグレミーにそう確認していた。

 

「そうだ。本隊の降下時に、エゥーゴが邪魔をしに来る可能性がある。その際の迎撃に力を借りたい、とのことだ」

「なんと……」

「まぁ、建前だろうな。本音は、私からプルを引き離したいか、それともプルのNT(ニュータイプ)能力を見極めたいか……」

 

 思わぬ横やりに、グレミーに苦渋の表情を浮かべた。

 

(ハマーンめ、私が裏でやっていたことに感づきはじめたか。だが、まぁいい。『アレ』も密かに連れてきている。いざとなれば『アレ』に任せる手もある)

 

「それで、どうなされるのです?」

「ハマーン様からの要請となれば、無視するわけにもいかないだろう。副長はガンドラに残って、プルの監視と、迎撃の指揮を頼む。もしもの時には、プルにアレを施すことも許可する」

「了解いたしました」

 

* * * * *

 

 そして。俺がブリッジに行くと、グレミーがプルと何かもめていた。

 

「どうしたんだ、グレミーさん?」

「あぁ、マリハか。事情があって、プルを軌道上に残すことになったのだが、彼女がな……」

「だってだってだってー。マリハと別れるなんて嫌なんだもん! どうしてもというんだったら、キュベレイで大気圏突入してやるー!」

「そんなことできるわけないだろう。いい加減聞き分けなさい」

「やだやだやだー!」

 

 そこで俺はため息をついた。本当にプルのわがままは度が過ぎるんじゃないかと毎回思わざるを得ない。教育係誰だよ……あ、グレミーか。

 

 やれやれ、仕方ない。

 

「グレミーさん、ここは俺に任せてくれないか?」

「あ、あぁ」

 

 そして俺は、グレミーの許可を得ると、プルに近づいて何事かを耳打ちした。

 するとプルはにこっと笑って……。

 

「うん、わかった! プル、ここに残る!」

「え?」

「は?」

 

 とたんに軌道上に残るのを了解したプル。それに、グレミーもオウギュスト副長も目を丸くしている。

 

「マリハ、いったい何を言ったんだ?」

「大したこと言ってないよ。この後、アーガマが、本隊の大気圏突入を阻止しに来るよ、と言っただけ」

「なるほどな」

「??」

 

 俺の説明を聞いて、グレミーは納得したが、オウギュスト副長はまだわかっていないようだ。

 つまりだ。アーガマがやってくる、ということはジュドーもやってくる、ということ。そうなれば、プルはまたジュドーと会えるというわけだ。

 

「決まりだな。それでは副長、プルとともに、ガンドラに移乗し、本隊が来るまで待機していてくれ。その後は、本隊とともに降下するように。ダカールで会おう」

「了解であります」

 

 そして、オウギュスト副長とプルは、ブリッジを去っていった。

 

* * * * *

 

 そして、二人がミンドラと共に航行していた艦の一隻、ガンドラに移乗し、それと別れて大気圏突入の準備をしていたころ。

 またもやティターンズの残党の襲撃があった。

 

 本当にしつこい奴らだな。それに、数も前から減っていないように見えるし、どこからあんなにMS(モビルスーツ)がわいてくるんだ?

 

 そんなことを思っている俺をよそに、ミンドラともう一隻からMS隊が出撃していった。

 

* * * * *

 

「またもや、奴らの襲撃か。しかし、あの戦力の回復力はどこからくるのか……。ふむ、オウギュストに、あのティターンズ残党の裏を探るように伝えてくれ」

「了解しました」

 

 オペレーターに指示すると、グレミーは再び前を向いた。

 大気圏突入前というきわどい戦いの前に、アクシズのMS隊はやはり苦戦を強いられていた。しかも、残党軍は、理想のためには死んでも悔いなしと言わんばかりに、残り時間など関係なく戦いを挑んでくるのだ。

 

 だが、そんな中でも、隊長のアリアスが駆るバウの奮闘で、残党軍はどんどん数を減らしていく。

 しかしその間も、ミンドラとバウの高度はどんどん下がっていき……ついに限界高度を超えてしまった!

 

 敵の隊長機は、これで厄介なアリアスを始末できると判断したのか、憎らしいことに降下中のHLVに乗り込み、そのまま降下してしまった。

 

 アクシズ軍のMS隊は、それぞれ母艦に戻ることができたが、アリアスのバウはミンドラから離れすぎたこともあり、帰還するのはかないそうにない。このまま燃え尽きるしかないかに見えた。

 

 アリアスは覚悟を決めた。

 

* * * * *

 

20:ジャンク屋ネキ

なんてこった……!

 

21:名無しのオールドタイプ

でも、あれはどうしようもないな。かわいそうだが……。

 

22:名無しのオールドタイプ

諦めるしかないんじゃね? アクシズの有能な士官が失われるのは、エゥーゴとしては儲けものと割り切るしかないと思うで。

 

23:ジャンク屋ネキ

冗談じゃないで! 目の前に死のうとしてる奴がいるのに、そんなに割り切っていられるかよ!

 

24:23

す、すまん。

 

25:名無しのオールドタイプ

だけど、そんなこと言われてもな……。

 

26:ジャンク屋ネキ

なんとか、彼を助けだす方法は……。何か……!

 

27:名無しのオールドタイプ

ん、そうやネキ! あれや! 1stの大気圏突入や!

 

28:ジャンク屋ネキ

1stの……そうか!!

「グレミーさん! あのバウと通信をつないでくれ!!」

 

* * * * *

 

 落下していくバウの中で、アリアス・モマは最期の瞬間を待ち続けていた。

 

「死にゆくことは怖くはないが……これ以上、ネオ・ジオンのために戦えないのが心残りか……無念だ……」

 

 だがそこに。

 

『諦めるのはまだ早いよ、バウのパイロットさん!!』

「!?」

 

 通信スクリーンに、メイド服を着た少女の姿が映し出された。

 

「お前は……リィナ嬢の……しかし、もう助かるすべなど……」

『やってみなきゃわからないだろ! いいから、動力炉を止めて、融合炉の冷却材を放射して!』

「冷却材を?」

『あぁ! そしたらシールドを構えて、冷却材が対流するようにするんだ! そうすれば、無事に大気圏突入できるかもしれない! やらないよりはマシだろ! 隊長なんだから、やってみせなよ!』

 

 そう立て続けに叫ぶ少女に、アリアスは苦笑を浮かべた。そして。

 

「口が減らない娘だ。いいだろう、やってみるか。グレミー様配下にアリアスありということを知らしめてみせよう」

 

 そしてコンソールを叩き、動力炉を止めると同時に、胸部ダクトから冷却材を放出する。止める前に、シールドをマウントした左腕は、前方に構えるようにロックしている。

 

 そして……ついに、アリアスのバウは大気圏突入することに成功した。

 

 彼は一息つくと、冷却材の残量を確認したうえで、動力炉を再稼働させる。そして一言。

 

「一時はどうなるかと思ったが、命を拾うことができて幸いだった。あの娘には感謝しなくてはな」

 

 そう言うと、彼は下半身であるバウ・ナッターを切り離して放棄し、上半身をバウ・アタッカーに変形させてミンドラに帰還した。

 

* * * * *

 

 大気圏に突入した後、件のアリアス隊長が俺の部屋にやってきた。

 

「ありがとう。君のおかげで助かった。礼を言わせてもらう」

 

 隊長さんにそんなことを言われたら、とてもこそばゆいな。

 

「ど、どうも……」

「君には多大な恩をもらった。私にできることがあれば言ってくれ。可能なことならなんでもしよう」

「べ、別にお礼なんていいって。ただ、あんたたちが命を大事にしてくれたらそれでいいよ」

「わかった。その言葉、胸を刻ませてもらうとしよう」

 

 なんか俺、ネオ・ジオンの人たちに、すごい感謝されたりしているんだが、いいんだろうか。俺はエゥーゴの者なんだが。

 

 そんなことを言ってる俺の目に、アフリカ大陸の砂漠が映ってきた。

 




ただいま、ファンアートを募集してます!

* 次回予告 *

地球に降下したオレは、すごい人に会った。地球に残って、連邦軍相手に、骨董品レベルのMSで抵抗活動だって。
そんな人に、エゥーゴのオレが手を貸していいのか迷うけど、袖すりあうも何かの縁! 心の中でジュドーに詫びつつがんばるぞ!

次回、『ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝』

第13話『熱砂のロンメル』

目をかけられちゃったけど、いいのかなぁ?



※次の更新は、3/9 12:00の予定です!

マリハの声、皆さんは誰の声で再生されてますか?

  • 本多知恵子さん
  • 本多陽子さん
  • 甲斐田裕子さん
  • 釘宮理恵さん

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