ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝   作:ひいちゃ

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前回のサブタイの元ネタは、ガンダム0083の第4話、『熱砂の攻防戦』からでしたー!
当たった方はいるでしょうか?

さて、今回出てくるこの二人は、0088年当時は、このアフリカに潜伏していた、という設定にしています。
その後、オーストラリアのほうに逃れてきた、ということで。



Act.14『願い、娘よ』

 ミンドラは再び、ダカールに向けて砂漠を進んでいる。

 そんな中、ブリッジクルーへの弁当を持ってブリッジにやってきたオレは、そこにあるものを見た。

 

「あれは……?」

「村? おかしいな。確か地図では、あそこに町や村はないはずだったな、アリアス?」

 

 そう、砂漠に小さな村があったのだ。と言っても、バラックやテントが乱雑に集まっているだけの簡素なものだが。

 グレミーに聞かれて、オウギュストに代わってグレミーの副官となっているアリアスが答えた。その彼も首をかしげている。

 

「はい。確かそのはずですが……」

 

 と、そこに、通信オペレーターが報告を入れてきた。

 

「グレミー様、その村から通信です」

「なんと言ってきた?」

「『こちら、元ジオン軍アフリカ方面軍カークス中隊。現地にて潜伏するも、水、物資の残量少なし。物資救援求む』です」

「ほう……。ここにも、ジオンの志を抱いて潜む古強者がいたとはな」

 

 感慨深げに言うグレミーに対し、アリアスが答える。

 

「連邦はアフリカ大陸をあまり重視してはいませんでしたからな。残党狩りもそれほど厳しくはなかったそうです。だから、潜伏してる部隊も多いと思われます」

「なるほどな。よし、さっそくその村に向かうとしよう。同志に物資を援助しなくてはな」

「了解しました」

 

* * * * *

 

 その村に到着して物資を降ろしていると、作業を見ているグレミーとオレたちの下に、二人の人物がやってきた。

 30代ぐらいの、ジオン軍服を着た男と、リィナと同い年ぐらいの褐色の肌をした女の子だ。

 

「物資の援助、ありがとうございます。カークス中隊長、ヨンム・カークス中佐であります」

「ネオ・ジオン、地球侵攻作戦先鋒艦隊司令官、グレミー・トト中佐であります。こちらは、我が艦隊で保護している、リィナ・アーシタ嬢と、その侍女のマリハ・クトゥル嬢です」

「リィナ・アーシタでございます」

「マリハ・クトゥルでございます」

 

 オレたちがそう挨拶すると、カークスさんの後ろの女の子は、何か人見知りしたように彼の後ろに隠れた。その表情は、人見知りというより、オレたちに嫌悪感を持ってるという感じだ。

 

「申し訳ない。彼女……ロニ・ガーベイは、連邦軍の残党狩りで両親を失いまして……」

「そうですか……」

 

 カークスさんの話を聞き、オレはそうつぶやいた。

 おそらくそれで、連邦に対して、良い感情を持っていないんだろう。心を閉ざしてるように見えるのも、両親を失ったのが影響しているのかもしれない。

 オレたちに良い感情を持っていないのも、もしかしたらオレたちがエゥーゴの者だということに気づいたのかもしれない。

 

* * * * *

 

1:ジャンク屋ネキ

というわけで、ロニに嫌われてるっぽいオレ、涙目。

 

2:名無しのオールドタイプ

まぁ仕方ない。連邦軍に両親を奪われてるんじゃなぁ……。

 

3:名無しのオールドタイプ

エゥーゴも、連邦軍の一部みたいなものだしな。まぁ、あきらめるしかないで。

 

4:ジャンク屋ネキ

そうかぁ……。

 

5:名無しのオールドタイプ

ネキもしかして、ロニの心を溶かしてあげようとか考えてない?

 

6:ジャンク屋ネキ

!? なんでわかったんや!?

 

7:名無しのオールドタイプ

まぁ、ネキの性格を知っていればなぁ……。

 

8:名無しのオールドタイプ

でも、気持ちはわかるけど、無理はいけないと思うで?

 

9:名無しのオールドタイプ

戦火で両親を奪われた心の傷は、生半可なことでは消せないからなぁ。

 

10:名無しのオールドタイプ

ネキは親父を殺されたことないから、殺された子の気持ちわからんやろ?

 

11:ジャンク屋ネキ

そりゃわからんけどな。でもわからないなりにわかりたいと思うし、癒したいなら癒したいと思うんや。それっていけないことだと思うか?

 

12:名無しのオールドタイプ

ネキ……。

 

13:ジャンク屋ネキ

『わからないからって、感じる心を止めてしまってはダメなんだ。人の悲しさを感じる心があるってことを忘れたくない。それを受け止められる人間になりたい』。オレが前世で見たアニメで好きだった言葉や。

 

14:名無しのオールドタイプ

ネキ……。

 

15:ジャンク屋ネキ

な、なんだ、爆音!? ちょっと席外すやで。

 

16:名無しのオールドタイプ

おう、いてら。

 

17:ジャンク屋ネキ

あぁ、またな。

 

18:名無しのオールドタイプ

なぁ、お前ら。今のネキの言葉……。

 

19:名無しのオールドタイプ

あぁ。ガンダムUCだよな。

 

20:名無しのオールドタイプ

ネキ、見ていたアニメがガンダムだと知らなかったか、UCはアナザーだと思っていたかのどちらか説

 

* * * * *

 

 ミンドラの近くに戻ると、そこではミンドラのMS隊が出撃準備にかかっていた。

 オレは出撃準備の指揮をしていたグレミーに聞いてみた。

 

「どうしたんですか!?」

「衛星軌道上で襲ってきた奴らだ。おそらく、カークス中佐たちを狩りに来たのだろう」

「なんてことを……」

 

 オレは、あのティターンズ残党たちに対して、怒りを抑えきれなかった。

 いくらジオン残党とはいえ、こうして砂漠で細々として暮らしてる彼らを、点数稼ぎとばかりに狩るなんて。

 

 と、そこに。カークス中佐が慌ててやってきた。

 

「大変だ! ロニを、ロニを止めてくれ!」

「どうしたんです!?」

「ティターンズのMSが接近したのを見たとたんに、保管してあったザクⅠに乗って出ていったんだ!」

「なんだって!?」

 

 まさか、父と母の仇を討ちに行ったのか!?

 だけど、曲りなりにも1年前の新しいMSを相手に、旧ザクで挑むなんて無茶だ!!

 

「グレミー、何かオレに乗れるMSはないのか!? すぐに乗り込んで止めてくる!」

「予備のドライセンがある。それを使ってくれていい」

「頼む、マリハ嬢。ロニを助けてくれ!」

「わかった!」

 

 そしてオレはノーマルスーツを着ずに、ドライセンに乗り込みエンジンに火を入れた。

 

 だがその時、オレの脳裏にある疑問が浮かんだ。

 なぜロニがMSの操縦ができるか、と……。

 

* * * * *

 

 マリハの出撃を見送るグレミー。その彼にある通信が届く。

 

「オウギュスト副長か? なるほど……奴らの裏にはそういうことがあったのか。

 わかった、それでは至急、それ関連のデータをこちらに送ってくれ」

 

* * * * *

 

 さすがドライセンである。出撃して、そう時間も経たないうちに、ロニが乗った旧ザクが見えてきた。

 その時だ。オレの脳裏に、ロニの声が聞こえてきた。

 

(ティターンズ……連邦……許さない……許さない……!)

 

 これは……ロニの心の声……?

 そしてオレは察した。ロニがなぜMSを操縦できるのかを。

 

 だが今はそれより、ロニを助けるのが先だ。

 

 ところが、オレが追い付くより先に、やってきた残党軍のバーザムやハイザックが攻撃を仕掛けてきた!

 ロニの旧ザクは、それを必死にかわしながら応戦するが、やはり性能差がありすぎる。ロニがそれをかわすのがギリギリなのに対し、向こうは余裕でそれをかわし、反撃を返してくる。

 そうしているうちに、とうとうかわしきれなくなり、旧ザクの左腕が破壊された!

 

 そして、マラサイの一機が、ビームサーベルを片手に旧ザクに突撃してきた! そしてそれを突き立てようとする!

 

「マリハキーック!!」

 

 オレはドライセンのバーニアをフルパワーにし、一気に距離をつめ、そのマラサイを蹴り飛ばしてやった!

 しかし安心するのはまだ早い。横に回り込んだハイザックがビームライフルを構えた!

 

「くっ……!」

 

 オレのドライセンはロニをかばい、右腕を吹き飛ばされる! しかしまだだ! ロニをやらせはしない!

 オレは左腕にビームライフルを持ち直し、防戦を続ける。

 

 そのオレのドライセンに通信が入る。

 

『どうして……?』

「連邦でもエゥーゴでも、誰かを助けたいと思うのは当たり前のことだろ!?」

 

 そしてそのまま戦闘を続行。しかし、さすがに一対複数。しかもロニの旧ザクをかばいながらではかなりきつい。

 もう限界かと思ったその時。

 

 接近してきたマラサイが破壊された。村のほうからはミンドラのMS隊が。やっと味方が駆け付けてきてくれたのだ。

 

* * * * *

 

「な、なんだ……!?」

 

 ティターンズ残党軍のMSにあるデータが一斉に送信された。それを見た残党軍のパイロットたちは、皆、衝撃に表情を変えた。

 

 それは、彼らの組織への資金の流れを示すデータだった。

 

 そして、グレミー・トトの声が通信に乗って届く。

 

「ティターンズ残党の諸君。ご覧の通りだ。君たちの組織へは、アクシズの過激派、エンツォ・ベルリーニから資金が提供されている。全ては、私を追い落とし、ハマーン様の体制を揺るがすためである! そして、君たちのリーダー、サトウ大尉は、エンツォの手下であることが明らかとなった。そう、彼にティターンズとやらの理想など存在しない! 君たちは、エンツォと、君たちのリーダーの欲望の道具として使われていたにすぎないのだ! 君たちがこれを知り、どう考え、どう行動するかは、君たちに任せよう」

 

 その通信が終わるとともに、残党軍は戦闘をやめた。そして、一斉に、サトウの乗るバーザムに銃口を向ける。

 

「あ、あいつの言うことはでたらめだ! それに例えそうだとしても、ネオ・ジオンを討てるなら本望だろうが!」

 

 だが、彼の弁明は聞き入れられなかった。部下のMSから一斉に銃弾が放たれ、彼の乗るバーザムは穴だらけになった。サトウは苦悶の声も、憎悪の声もあげる暇すら与えられず絶命したのである。そしてバーザムは爆散した。

 

 ミンドラに対して通信が届く。

 

「我々はネオ・ジオンに降伏する。そして、ジャミトフ閣下の理想を裏切っていたことを、あの男の死をもってお詫びしたい」

 

* * * * *

 

 かくしてリーダーが自業自得の死を迎えて戦いは終わった。やれやれ、これで終わった……。

 と思うのはまだ早かった!

 

 ロニの旧ザクの右腕がぴくりと動き出したのだ! まさか、降伏したティターンズの奴らを撃つ気か!?

 オレは、ドライセンの左腕で、彼女の旧ザクの右肩をつかんで止めようとした。

 

『なぜ止めるの……!? パパとママの仇が……!』

「それ以上はやめな。それ以上踏み込んだらもう後には戻れないよ。あんたは、復讐の連鎖に巻き込まれてしまう」

『でも、それでも……!』

「いいかげんにしろ! あんたのパパやママはあんたにそんなことを望んでいるとでも思うのか!? 娘の幸せを望むのが、本当の両親じゃないのかい!? 憎しみが生み出した偽の両親に惑わされるんじゃない! 生きていたころ、両親があんたに何を言っていたのか思い出すんだ!」

『あ……』

 

 そして思い出してくれたようだ。ロニの旧ザクの右腕が再び降りて、その手からザクマシンガンが落ちた。

 

「ロニ……」

『連邦やティターンズを許したわけじゃない……誤解しないで』

 

* * * * *

 

 その次の日、オレは、カークスさん、ロニと、ロニの両親の墓前を訪れた。

 と言っても、木の板を墓標代わりに立てた質素すぎるものだが。

 

「カークスさん、ロニがMSを操縦できるのは……」

「あぁ。俺が教えたからだ……」

「ロニを自分たちの戦力とするために……」

「……」

 

 やはり……。果たしてそれが、ジオン再興のためなのか、それとも連邦への復讐のためなのかはわからないが……。

 だが、言わなければならないことがある。

 

「これ以上は何も聞きません。でも、一つだけ言わせてください」

「なんだ……?」

「オレには三年前から前の記憶がないんです。ですから一年戦争や残党狩りで家族を失ったあなた方の気持ちを本当にわかることはできません。ただ、とても悲しかったことだろうことはわかります」

「……」

「でも、だからといって、復讐と称して、関係ない人達を巻き込むのは間違っていると思います。そのことにロニを利用することも」

「……」

「『地獄を見たからって、他人にそれを押し付けていいってことはない』……オレが昔見たアニメビデオにあった、感銘を受けた言葉の一つです」

「マリハ嬢……」

「何を思って、何のために戦うかはわかりません。ですが、もう一度考えてみてください。何のために戦うのか。それが、あなたとロニの幸せにつながるのか、を」

「わかった。その言葉、しっかりと受け止めよう」

 

* * * * *

 

28:ジャンク屋ネキ

そういえば、カークスさんやロニって、ガンダムUCに出てきたあの二人だったんだな。

今になって思い出した。

 

29:名無しのオールドタイプ

そうやで。というか、今まで気づかなかったんかい。

 

30:ジャンク屋ネキ

あぁ。色々あって気づかなかったわ。

でも、カークスさんもロニも、考え直して、幸せになってくれるだろうか……。

 

31:名無しのオールドタイプ

きっと大丈夫や。ネキがあんなに必死になって動いて、そしてあれだけ説得したんやからな。

 

32:名無しのオールドタイプ

うん。きっと、原作とは未来が変わるはずや。

 

33:ジャンク屋ネキ

そうだな……うん、きっとそうだよな。

 

34:名無しのオールドタイプ

そうや。ところでネキ、さっき言ってた、『感じる心を止めてしまっては~』とか『地獄を見たからって~』って言葉、どこで知ったん?

 

35:ジャンク屋ネキ

あぁ。前世で借りた、ガンダムUCのビデオで知ったんや。

 

36:名無しのオールドタイプ

あぁ、やっぱり……。

 

37:ジャンク屋ネキ

嘘は言ってないで? あれ、アナザーガンダムやろ?

 

38:名無しのオールドタイプ

いや、それがな、ネキ。

 

39:ジャンク屋ネキ

???

 

40:名無しのオールドタイプ

ガンダムUCは1stのかなり未来の話なんや。だからあれはアナザーには入らないはずや。多分。

 

41:ジャンク屋ネキ

なんやて!? ガンダムUCはアナザーガンダムではないのか!?

……OTL

 

42:名無しのオールドタイプ

そうや。って、そんなに落ち込まんでも。

 

* * * * *

 

 と、スレ民とそんな会話をかわしながら、オレたちはダカールへの旅路を再開したのだった……。

 




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* 次回予告 *

到着したオレとリィナがダカールで見たのは、陳腐な話だけど、大人たちの堕落と腐敗だった。
オレは前世で色々見てきたからまだマシだけど、リィナはちょっと堪えてるみたい。
そんなリィナを気遣いながら、オレはアーガマがやってくるのを待っていたわけなんだが……。
ジュドーとリィナが再会したのもつかの間。ええ~!!

次回、『ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝』

第15話『マリハの血』

いてぇ!! ってそんなものじゃないよこれ!?

※次の更新は、3/15 12:00の予定です

マリハの声、皆さんは誰の声で再生されてますか?

  • 本多知恵子さん
  • 本多陽子さん
  • 甲斐田裕子さん
  • 釘宮理恵さん

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