ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝 作:ひいちゃ
さて、今回はなんでしょう? ヒントはZガンダムですw
気が付くと、オレはミンドラの医務室みたいなところにいた。でも、どこか微妙に違う。別のエンドラ級なんだろうか?
だけど、医務室で目覚めたのはこれで二度目だな。
そこでふと思い出した。ここまでに起きたことを。
あぁ……リィナをかばって重傷を負った後、治療を受けてこの船に引き取られたのか……。またしばらくネオ・ジオンから離れられなさそうだが、まぁ、リィナとジュドーが再会できてアーガマに戻れたみたいだし、それでよしとするか。
そう思っていると、医務室の扉が開いて、誰かが入ってきた。それは……。
「目が覚めたか、マリハ・クトゥル。助けることができて何よりだ」
「まさか、あんたに助けられるとはな、マシュマーさん。礼を言わせてもらうよ」
そう。軍服が袖がない若干ワイルドなものになっているが、薔薇の騎士ことマシュマー・セロだった。よく見ると、目つきもちょっと鋭くなっている。
「当然のことをしたまでだ。君には立ち直るきっかけを与えてもらった借りがあるしな。それに、私が助けたわけではない。礼を言うなら、部下のラド・カディハに言うのだな。彼が処罰されるのを恐れず、部下を率いて君を助けてくれたのだ」
「そうだったのか……。マシュマーさん、彼を処罰するわけないよな?」
「むろんだ。傷ついた者を助ける騎士道にのっとった行い、罰するわけにはいくまい」
よかった。その雰囲気や顔つきから、かなり厳しさが感じられたが、根は騎士道を奉ずる、あのマシュマーさんのままのようだ。
「既に、アーガマには捕虜返還交渉を打診してある。もうすぐアーガマに帰れることになるだろう。それまでゆっくり身体を休めているといい」
「あぁ、ありがとう。そうさせてもらうよ」
オレがそういうと、マシュマーさんはかすかに微笑んで、医務室を出ていった。
でも本当によかった。強化されたと聞いたから、どんな風になったのかと思ったが、根は前のままのようだ。
* * * * *
1:ジャンク屋ネキ
というわけで、なんか助かったジャンク屋ネキです。久しぶり。
2:名無しのオールドタイプ
ジャンク屋ネキ!
3:名無しのオールドタイプ
ネキ! 心配したで!
4:名無しのオールドタイプ
本当に助かってよかったで……!(涙 ラドニキ、本当にお手柄やで!
5:ラド
本当に間に合ってよかったで……。処分を覚悟して助けたかいがあったってもんや……。
6:ジャンク屋ネキ
まさか、スレ民に助けられたとは。真実はなんとやらだな。
それで、この船にいる経緯なんだけど、どうなったん?
7:ラド
あぁ。まずは病院にて本格的な治療をしたんだけどな。治療が終わったところで、エゥーゴ&カラバの攻勢が激しくなってきて、ネオ・ジオン軍がダカールから撤退することになったんや。それで、ネキを病院に残しておくわけにはいかない、ということで、マシュマー様の船、サンドラに収容することにしたってことやで。
8:ジャンク屋ネキ
そうだったのか……。色々と手間をかけてしまってすまんな。
9:ラド
謝らなくてもいいで。病人をそのままにしておくわけにはいかんかったし、療養するなら、ちゃんと清潔なところのほうがええやろ。それに、収容することを決めたのは、マシュマー様だったしな。
10:ジャンク屋ネキ
そうか……。
11:ラド
でも本当に危なかったで……。お医者様の話では、もう数十分病院に来るのが遅ければ助からないって言われてたからな。
12:名無しのオールドタイプ
うわぁ……。
13:ラド
でも不思議なこと言ってたな。ネキの身体、いくらか遺伝子レベルで強化されてるみたいって言ってたわ。それのおかげで助かったって。
14:ジャンク屋ネキ
マ?
15:ラド
あぁ。もし普通の人の身体だったら、絶対間に合わないところだった、って言ってたわ。
16:ジャンク屋ネキ
マジか……。
17:名無しのオールドタイプ
またネキに対する謎が増えてきたなぁ……。
18:名無しのオールドタイプ
ジャンク屋ネキ、強化人間疑惑か……。でも、精神は全然安定してるし、普通の人にしか見えないもんな。
19:ジャンク屋ネキ
あぁ。ただ、普通の人とは違うのは、ちょっと思い当たりあるねん。ラニの一件で、彼女の心の声が聞こえたり、ハマーンやプルと接触した時に、何かビジョンが見えたりとかな。
20:名無しのオールドタイプ
そうか……。そういえば、カミーユと初めて会った時にも、ビジョンが見えたとか言ってたな。
21:ジャンク屋ネキ
まぁ、強化人間だろうがニュータイプだろうがネクスタントだろうが、オレがオレである限り、気にせんけどな。出自について悩むだけ損やろ。
22:名無しのオールドタイプ
ポジティブやな、ネキ。それとネクスタントは作品が違うで。
* * * * *
一方、こちらはアーガマ。捕虜交換の申し出は、既にこちらにも届いていた。
「やっと、マリハが帰ってくるのか。本当によかったぜ……」
と安心したように言ってるのは、涙ぐんでるモンドだ。彼は、マリハが重傷を負ってネオ・ジオンに引き取られたと聞いた時から、彼女のことをとても心配していたのだ。毎日、ジュドーにマリハについての続報がないか聞いてくるぐらいに。
「あぁ。こんなにうれしいことはないぜ。本当によかった」
ビーチャもそう言うが、それに対してジュドーが苦言を言う。
「ビーチャ、お前なぁ……。確かにマリハが帰ってくることは嬉しいけど、ルーのことはいいのかよ」
「あんなアーガマを置いていくような女のことなんか知るかよ」
「もう。誰のせいで、ルーがアーガマを出ていったと思ってるの?」
ルーのことをつまらなさそうに吐き捨てるビーチャに、リィナがそう怒る。
「俺のしたことなんか大したことないだろ? なのに怒って出ていっちまいやがってよ」
「今、自分がどこにいるのか、もう一度自覚して考えてみたら?」
「うぐ……」
エルの言葉に、ビーチャはぐうの音も出ないほどに言葉に詰まる。
そう、ビーチャは今、アーガマの独房の中にいるのだ。彼がしでかしたことによって。
そこで、大気圏突入での戦いで助けられ、居候としてアーガマに居ついていたエルピー・プルがぽつりつぶやいた。
「ルー、大丈夫かな……? 戻ってきてくれるといいけど……」
そのプルに、ジュドーが意地悪そうに返した。
「大丈夫だよ、プル。帰ってこなかったら、ビーチャをルーの分まで、1日24時間働かせればいいんだから」
「なんでだよ!?」
そう、ビーチャ以外のみんなから心配されるルーがどこにいるかというと……。
* * * * *
「まったくあいつら……もうこれ以上付き合いきれないわ!」
ルーはそうぷんぷん怒りながら、ウェイブライダーを飛ばしていた。
事の始まりは、ダカールを出発してすぐの戦闘。
そこでビーチャは、なんとルーの
何はともあれ、そんなことをされたら、ルーならずとも怒るのは当然のこと。かくしてルーは、仲間を人質や盾にするような奴らと一緒にいるのは御免と、堪忍袋の緒を切ってしまい、家出ならぬ艦出を敢行した、という次第である。
とはいえ、戦いが終わってすぐに飛び出したので、食料とか水とかの準備ができているわけではない。艦出を決行してしばらくすると困ることになった。もう、「無人島に家出」のエピソードの〇び太の心境である。いや、ルーはドラ〇もんについて知らないのだが。
「うーん、困ったなぁ……。どこかで補給しないと……。いっそ、ネオ・ジオンに寝返っちゃうとか?」
そんな不穏なことを言いながらウェイブライダーを飛ばしていると、あるものを見つけたようだ。
「あんなところに町が? ラッキー! 神様が、かわいそうな私に助けをくれたのね!」
さっそく見つけた町……ガルターヤの近くにウェイブライダーを着陸させ、適当にカモフラージュさせると、ルーはるんるん気分で街へ向かっていった。
* * * * *
一方、こちらはグレミー。原作では撃墜されて、流れ流れて死にかけながらガルダーヤにたどり着いた彼だったが、こちらではちゃんとミンドラに乗ってやってきていた。
とはいっても、この町から離れたオアシスにミンドラを着陸させた後、砂漠用のジープに乗ってやってきたのだが。さらに言うと、ガルダーヤは諸事情で検問が厳しいので、偽名と変装と賄賂を使って潜入に成功している。
そこまでして、グレミーがここに潜入した理由。それは……。
「それでは、ディドー殿、よろしく頼みます」
「こちらこそ。町解放のため、ネオ・ジオンの支援を受けられることに感謝する」
町にある酒場の一角にある小部屋で、グレミーが握手した男は、ディドー。民兵組織『青の部隊』のリーダーである。
今回、グレミーは、ミンドラ隊と『青の部隊』との提携交渉のために、ここに訪れていたのである。
さて、交渉を成立させたグレミーが、ディドーの後に続いて小部屋を出ると……。
(あ、あれは……!)
グレミーはある人物を見つけてしまった。そのことに、再び彼の胸はときめいてしまう。今まで休眠状態だった彼の恋心に、再び火がついたのだ。
彼はさりげなく、ルーの隣に座ると、マスターに言った。
「マスター、隣のお嬢さんに、何かソフトドリンクを」
「あいよ」
「ありがとう……って、え!?」
ルーは隣を見て、驚き、次の瞬間には顔をしかめた。何しろ隣にネオ・ジオンの士官が座っていたのだ。しかも、なぜだろう。何か苦手な感じがする。
だが、そのルーの表情は、彼女に会い、一瞬にして脳内がピンクに染まったグレミーには見えなかったようだ。
「久しぶりですね、ルーさん。こんなところで再会できるとは」
「そ、そうね、おほほほほ……。というか、私はあなたに会ったことはないし、あなたのことを何も知らないんですけど?」
「そういえばそうでしたね。あなたにこうして会えたうれしさから、つい間違ってしまったようです」
「そう。でも言っておくけど、私から情報を抜こうとしても無駄よ。今の私は、ただの脱走兵なんだから」
「そうなのですか? あれだけの実力を持ち、美しいあなたがアーガマを脱走するなんて、何があったのです?」
そのグレミーの言葉に、ルーは彼に半眼を向けた。
「あなた、この前の戦いのことを忘れたの? 私に会えたうれしさとやらでボケちゃった? 私を盾にするあいつらに嫌気がさして逃げ出してきたのよ。あなたこそ、どうしてここに?」
「あなたに言っても大丈夫かどうか迷いますが……」
そう考え込むグレミーだったが、やはりルーを前にすると甘くなってしまうようだ。
結局、機密よりルーへの愛が勝り、口を開いてしまう。
「いいでしょう。今のあなたは脱走兵なんだから。実は、このガルダーヤを我が軍の拠点にするために攻略作戦を進行中でして。その一環として、ガルダーヤの白人からの解放を目的とする『青の部隊』との交渉に来ていたのです。利害は一致していますからね」
ネオ・ジオンの作戦の情報の一環を聞き、ルーは席を立とうとしたが思い直した。自分は今はアーガマの脱走兵。彼らとは関係ないのだから。
「それはそうとルーさん。泊る所がなくてお困りでしょう? ミンドラを近くに停泊させているので、そこに泊まりませんか?」
「いいの? というか、いかがわしいことをしようとしたら、けり倒すわよ」
「しませんよ! これでも、女性には優しくしなさいと教育は受けています」
「ならお世話になろうかしら。ただ、気が変わったら、こっそりミンドラを出ていくかもしれないわよ?」
「かまいませんよ。あくまで客人としてお迎えするだけで、捕虜扱いというわけではありません」
「それならお言葉に甘えるとしましょうか」
そしてルーは、グレミーとともにミンドラに向かっていった。
その後、グレミーが副官代理のアリアスに苦言とお小言をもらったことは言うまでもない。
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* 次回予告 *
いよいよガルダーヤの町で俺を引き渡すことになった。
でもとんでもないことに、そこにグレミーと青の部隊が、街を手に入れようと攻めてきたんだ!
オレたちは頑張って町を守ろうとするけど、やっぱりルーさんがいないと大変。ルー、カムバーック!
次回、『ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝』
第17話『ルー・リターン』
えぇ、貴方たち本気なんですか!?
※次回の更新は、3/21 12:00の予定です!
マリハの声、皆さんは誰の声で再生されてますか?
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本多知恵子さん
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本多陽子さん
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甲斐田裕子さん
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釘宮理恵さん