ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝 作:ひいちゃ
これが最初に書かれたのは、ウクライナ侵攻の前なので。
というわけで、ご了承くださいませ。
さて、前回のサブタイの元ネタは、ガンダムX第4話『作戦は一刻を争う!』からでした。
当たった方はいますでしょうか?
あと、某所で『あの場でコロニー落としを邪魔するメリットは何もない』というツッコミがありましたので、それを反映して、ネオ・ジオンの妨害はカット。というわけで戦闘もありません。ごめんなさい;
でも次回は、ちゃんとバトルがありますのでそれまでお待ちを。
衛星軌道上。そこに浮かぶエンドラ級グワンドラ。
その艦が見守る中、コロニーが少しずつ進んでいく。目的地は……地球。
そのグワンドラのブリッジで、ラカン・ダカランが満足そうな笑みを浮かべていた。
その彼に副官が報告する。
「ラカン大佐、コロニーは無事にダブリンへの落着コースにのりました。このコースを維持すれば、間違いなくダブリンに落着します」
「そうか」
「しかし大佐、本当にダブリンに攻撃部隊を降ろさなくてもよいのでありますか?」
その問いに、ラカンは邪悪な笑みを浮かべた。
「良い。生き残りがいれば、このコロニー落としを許した連邦政府への反感を生み、反連邦分子を生むことにもつながる。それにだ。凄惨さを演出するには、被害を受けた生き残りもいたほうがいいとは思わんか?」
その笑みを見て、その答えを聞いた副官は醜悪さを感じたが、それは表情にほんの僅か出すにとどめた。
* * * * *
1:ジャンク屋ネキ
マジか!? マジでネオ・ジオンがダブリンにコロニー落としを!?
2:名無しのオールドタイプ
あぁ、原作ではそのはずやで。もうすぐ、奴らはコロニーを落とす。
3:ジャンク屋ネキ
マジかよ……。なんだってそんなことを。だって、エゥーゴやカラバはまだしも、連邦政府はネオ・ジオンに屈服したんやろ? そんな反感を育てる作戦を行う必要がどこにあるんだ?
4:名無しのオールドタイプ
それについて、俺がちょっと考えてることがあるんだが、いいか?
5:ジャンク屋ネキ
ん、なんや?
6:4改め考察ニキ
確かに、本来ならこの作戦はする必要がないものだった。
だが、カラバの奮闘と、ダカールを奪回したことで状況が変わってしまったんや。
7:名無しのオールドタイプ
というと?
8:考察ニキ
カラバの抵抗で、ネオ・ジオンは地上侵攻を遅滞させられてしまってる。そのことは、各地の連邦軍に抵抗する希望をいくらか与えてしまったかもしれん。
そこに、ダカール解放や。それでハマーンは、その件が連邦政府に抵抗する気力を与えてしまったかも、と考えたんやな、きっと。
9:名無しのオールドタイプ
ちょうどルウム戦役でヘロヘロにされ、本来の南極条約を受け入れようとしていた連邦が、レビル将軍の演説で、戦う気力を取り戻したように、か?
10:考察ニキ
そういうことや。ハマーンは、それを恐れてる。何しろ、ネオ・ジオンの所帯は小さい。ジオンよりもずっとな。地球連邦軍がネオ・ジオンを叩き潰す気になって、力を回復させ、動き出せば、自分たちはハエを指でつぶすように簡単に叩き潰されてしまう。それがわからないハマーンではないやろ。
11:ジャンク屋ネキ
それでか……。
12:考察ニキ
あぁ。それを回避するためには、連邦とエゥーゴとカラバを恫喝し、戦う気をへし折るしかない。そのためのコロニー落としや。そして脅しでもある。「これ以上抵抗するなら、今度はダカールに落とすぞ」と。
13:ジャンク屋ネキ
ということは、オレたちの奮闘が原因ってことか……?OTL
『マリハ、大丈夫? 顔、真っ青だよ?』
14:考察ニキ
まぁ、悪い言い方をすればそうなる。だが、これは仕方のないことや。『犠牲を覚悟したうえで、ネオ・ジオンと戦い続けて倒す』か『犠牲を避けるためにネオ・ジオンに屈服したままでいる』かの選択やからな。
15:名無しのオールドタイプ
まぁ、どちらが正しいか、なんて今はわからないけどな。
16:ラド
とはいえ、それに巻き込まれる連邦市民にとってはたまったものではないが。
前世の世界だったらまだしも、今世では連邦のお偉いさんがアレだしな。
というか、プルがそこにいるってことは、ネキ、病室おるんか?
17:ジャンク屋ネキ
あぁ。プルの看病のためにな。ジュドーも一緒におるで。
看病しながら掲示板に書き込みしてるから、ジュドーに『何してるんだ?』と変に思われてるが。
18:名無しのオールドタイプ
そうか。まぁ、ここは割り切るしかないと思うで。ネキたちがすることは、犠牲を少なくし、そして生じた犠牲を無駄にしないためにも、ネオ・ジオンを倒し、この戦争を早く終わらすことやと思うぞ。
19:ジャンク屋ネキ
あぁ、そうだよな……。ありがとう。おかげで、少しは元気が出たで。
『うー、プル、難しくてよくわかんないー』
20:名無しのオールドタイプ
まぁ、プルはまだお子様だからな。
21:ジャンク屋ネキ
『ぶーっ、子供だからと馬鹿にしてー!』
怒るなよ……。ジュドーが見てるぞ?
22:名無しのオールドタイプ
そうそう、ネキ。プルも。コロニー落としのことはブライトさんたちには言わないほうがいいぞ。『どうしてそのことを知ってる?』と変な疑惑持たれるからな。
23:考察ニキ
原作通りなら、どうせハヤトさんが情報持ってくるだろうからな。
24:ジャンク屋ネキ
うん、わかったやで。
25:名無しのオールドタイプ
あとそれと、その時には覚悟しとくんやで。脳内に阿鼻叫喚がダイレクトに届いて大変みたいだから。
原作でもプルはそれで錯乱しかかってたし。
26:ジャンク屋ネキ
そ、そんなにか……。わかったわ……。
『う、うん。私も覚悟しておく……』
* * * * *
ブリッジに行くと、そこでは小太りの、声がガイ兄ちゃんな男性が、ブライトさんと話していた。どうやら彼がハヤトさんみたいだな。
「二人をグラスゴーに降ろしてやって下さい! このままコロニーに落ちる様な場所に行ったら、カミーユは……!」
ハヤトさんはブライトさんにそう訴えていた。どうやら、コロニー落としの情報は、既に伝わってるみたいだ。
スレ民の話では、ハヤトさんはグリプス戦役で、カミーユを行動を共にしていた他、息子のカツをその戦いで失ったらしい。それはカミーユのことを心配するのも無理はないだろう。もしかしたら、カミーユのことを、もう一人の息子と思っているのかもしれない。
そこでオレは助け船を出すことにした。
「なぁ、ブライトさん。だったら、連絡艇に乗せて出してやるとともに、グラスゴーからマシュマーさんのサンドラを迎えに出してもらうのはどうかな? マシュマーさんだったら、それぐらいのことはやってくれるだろうし、あの人の性格からして、カミーユさんに害を加えることはないと思うんだけど」
「マリハ……」
「息子が死ぬのは本当に辛いことだと、オレも思うぜ。ハヤトさん」
ハヤトさんはそのオレを見て、何か驚いた顔になった。何かついてるのかな?
そして、その提案が届き、カミーユさんとファさんは、ファさんが操縦する連絡艇でダブリンから避難することになった。そしてその途中でサンドラに回収してもらい、グラスゴーに送り届けられる予定だ。
そしてカミーユさんとファさん、そしてハヤトさんがアーガマを出る時間になった。乗ってきた連絡艇に乗ろうとしたとき、ハヤトさんはブライトさんのほうを向き、こんなことを言った。
「私には、カミーユの瞳の奥にあるものが何か、訴えているものが何かわかりませんでした。ですが……彼女、いえ、彼女たちにはわかるのかもしれません。うらやましい話です」
そしてハヤトさんはアーガマを出て行った。
* * * * *
29:ジャンク屋ネキ
かくして、市民を避難させることになったんだけど、なかなか進まないなぁ。
30:名無しのオールドタイプ
まぁ仕方ないわ。コロニーが落ちてくると聞かされれば混乱も生じるだろうし。
31:名無しのオールドタイプ
ネオ・ジオンが邪魔しに来ないだけ、まだましとおもわにゃな。
32:ジャンク屋ネキ
でもどうして奴ら、邪魔しに来ないんや?
33:名無しのオールドタイプ
実際、こんなに混乱で避難が進んでないからな。あえて邪魔する必要もないんやろ。
34:考察ニキ
それに、生き残りが出れば、そいつらがコロニー落としを防げなかった連邦に不満を持ち、不穏分子となる可能性もあるからな。
35:名無しのオールドタイプ
それにしても、アウドムラにも避難民を収容してるけど、やはり避難は進まないな……。
36:名無しのオールドタイプ
この調子だと、半分どころか、3割も救えるかどうか……。
37:考察ニキ
おい、空見ろ空!
38:名無しのオールドタイプ
つ、ついにきよったか……。
39:名無しのオールドタイプ
コロニー!!
40:ジャンク屋ネキ
これが……コロニー落とし……!!
* * * * *
雲を裂くようにコロニーが姿を現した。その圧倒する迫力。言葉では言い表せないほどだ。
そしてコロニーはゆっくりと落下し、そして地上に激突!!
車が、人が、その衝撃で吹き飛ばされる。いや、それだけじゃない。建物も、まるで積み木崩しのように破壊され、吹き飛ばされている。
犠牲となった人々は、ある人は建物に叩きつけられ、またある人はガラスの破片に切り刻まれ、またある人は空に巻き上げられたところで地表に叩きつけられた。
それはまさに阿鼻叫喚。
そして―――!!
コワイヨー
イタイヨー
マダシニタクナイ!!
タスケテ!!
イキタイ、マダイキタイヨ!!
ダレダコンナコトヲシタノハ!!
ニクイニクイニクイ……!!
……!!
* * * * *
43:ジャンク屋ネキ
……!!
44:名無しのオールドタイプ
おい、大丈夫か、ネキ!?
45:名無しのオールドタイプ
しっかりしろ!
46:ジャンク屋ネキ
はぁ……はぁ……。な、なんとか大丈夫や……。
こりゃきつすぎるで……。この前、ダカールで負傷した時とはくらべものにならん……。
はっ、プル!?
『ああああああ!!』
プル、しっかりしろ!
47:名無しのオールドタイプ
やはりプルもか……。プルは、ネキよりニュータイプ能力高いからな……。感受性もネキとはダンチのはずや……。
48:名無しのオールドタイプ
しかも、まだ11の子供だからな……。残酷すぎるで……。
49:ジャンク屋ネキ
『なんか、恐ろしいような、暗いものが頭に飛び込んできて……怖い……怖いよ……』
大丈夫だ、プル。オレも、ジュドーも一緒にいるからな? よしよし……。
* * * * *
一方そのころ、コロニーが落ちる様子は、サンドラのマシュマーも目撃していた。
「ハマーン様、なぜこのようなことを……。私がハマーン様を信じていたのは何だったのだ……」
「マシュマー様……」
戦死した弟のゴットンに代わり、新しく副官になったボットン・ゴーが声をかける中、マシュマーはただ悩み続けていた。
「私がハマーン様に仕えていたのは、ハマーン様にこのような虐殺をさせるためではなかったはずだ……」
「……」
ブリッジクルーはただ沈黙する。やがて、マシュマーは決然な表情をして振り返る。
「決めた。私はこれからハマーン様と決別し、エゥーゴと合流する!!」
「な、なんですと!?」
ボットンが驚愕に眼を見開き、クルーたちが絶句する中、マシュマーは話を続けた。
「騎士道とは、ただ主に尽くすのみに非ず! 主が道を間違えた時には、それを正すのも騎士たる者の務めだ。例え、そのために主と敵対することになろうとも!」
「……」
「例えハマーン様であろうとも、コロニー落としなどという非道を働くことは許されない! 私はハマーン様と対決し、あのお方を倒し、そのお考えを、行いを正さなくてはならない!」
「……」
「ただ、この考えを諸君らに強制するつもりはない。私についていくことができず、ネオ・ジオンに戻りたい者がいるなら、このサンドラを退艦していってもかまわない。そうなっても、私は恨みはしない」
その返事はすぐに来た。最初にボットンが口を開く。
「何を仰います、マシュマー様! 私もマシュマー様に付き合います!」
それに続いて、ラド・カディハも口を開いた。
「それでこそマシュマー様です! 私もマシュマー様に従います!」
それからも退艦を希望する者は誰もいなかった。それを見て、マシュマーは感極まったような表情でうなずいた。
「よし、これから我々もダブリンに急行する! アーガマに通信をつなげ!!」
ファンアート募集中!
* 次回予告 *
コロニー落としの衝撃で頭がごっちゃになったけど、それで混乱してる暇はなかった。名誉挽回のために、グレミーがプルツーを出してきたからだ。
プル似でありながらオレにはわからなかったけど、プルにはわかってたみたい。
大きさに仰天してピンチなジュドーを助けるために出撃したプルに、オレも同行したけど、相手は思ったより強大で……。
その時、ジュドーの叫びが響いた。
次回、『ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝』
第21話『曇った空、散りゆく命』
不穏なサブタイトル……!
※次の更新は、4/2 12:00の予定です!
マリハの声、皆さんは誰の声で再生されてますか?
-
本多知恵子さん
-
本多陽子さん
-
甲斐田裕子さん
-
釘宮理恵さん