ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝   作:ひいちゃ

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前回のタイトルの元ネタは、Vガンダム第41話『父が作った戦場』からでした!
いかがでしたか?

さて、今回はコア3編の後編です!


Act.27『脱走者たちの船出』

 アクシズの付近に待機しているグワンバン。そのブリッジに立つグレミーに、副官のオウギュスト・ギダンが報告をもたらす。

 

「グレミー様、アクシズ及びその周辺宙域の制圧、完了しました」

「そうか。ご苦労だった」

「はっ。ですが……」

「なんだ?」

 

 グレミーがオウギュストに顔を向けて続きを促すと、オウギュストは済まなそうな顔をして続けた。

 

「残念ながら、アクシズ制圧のことは、ハマーンの工作員に突き止められた模様です。こちらで処理はしましたが、おそらくは、ハマーンに伝わるのは避けられないかと。それと、アレのことも……」

「それは痛いな……。だが、知られてしまったことは仕方あるまい。ハマーンにこのことが伝わる前に動くよう、スケジュールを前倒ししなければならぬ。『アレ』の発射準備と演説の準備、そして攻撃の準備を急がせよ。アレの発射と同時に演説を行い、本格的な交戦を開始する」

「はっ、了解しました」

 

* * * * *

 

 親父たちのレジスタンスが作った、鉱山小惑星キケロとコア3とをつなぐ秘密の通路。

 それとは別に、キケロとコア3の接続が完了し、宇宙港を通して行き来ができるようになってしまった!

 

 そして今、ネオ・ジオンの陸戦部隊が、その広い通路を通ってキケロ内になだれ込んできたのだ!

 

「反乱分子とガンダムチームは、このキケロに隠れている! 一人残らず引き摺り出せ!!」

 

 ネオ・ジオンの陸戦部隊は、反ネオ・ジオン派のレジスタンスたちを倒しながら、親父たちレジスタンスの首脳や、オレたちガンダムチームを捕らえるために進軍してくる。

 

「ガンマグループ、全滅の模様! デルタグループと連絡が取れません!」

 

 報告を聞いて、親父……ロイ・クトゥルが渋すぎる顔をする。

 

「そうか……。秘密通路のことが知られた以上、そこも抑えられてると考えたほうがいいかもしれないな。第四サブエアロックは?」

「あそこは大丈夫です」

「よし……そこから、ランチを使って脱出しよう。マリハ、護衛を頼めるか? ランチに乗って、お前たちの艦に避難することにしよう」

「おう! 確か第四サブエアロックだったら、そこにオレたちのMS(モビルスーツ)も置いてあるから大丈夫だと思う」

 

 そう言いながら、通路を走っていく。すると、途中でまた、ネオ・ジオン兵と鉢合わせ! 奴らの銃撃で、またオレたちと同行していたレジスタンスたちが射殺された。

 

「こなくそ!」

 

 オレたちも、負けじと応戦する。ジュドーもモンドも、そしてプルも、拳銃で反撃する。

 その銃撃戦の後、なんとか敵を倒すことに成功した。

 

「……っ」

 

 だが、戦いが終わってみると、親父が腕を抑えてうずくまっていた。腕から血が流れてくる。今の銃撃戦で負傷したんだろうか?

 

「だ、大丈夫か、親父? ちょっと待ってくれよ」

 

 そう言ってオレは、服の袖を破り、それを包帯代わりに応急処置を施す。パイロット訓練生の訓練の中でやってた応急処置の修練、まじめに受けといてよかった。

 

「あぁ、ありがとうマリハ。娘に手当してもらえるなんて、父親冥利につきるな」

「何言ってるんだよ、親父」

 

 よし、応急処置完了っと。

 

「しかしマリハ……お前は俺のことを恨みに思っていないのか? 軍に強制されてとはいえ、強化人間としての運命を背負わせてしまった俺に……」

「そんなこと思うわけないじゃんか。確かに、オレがプルクローンと知らされた時にはすごいショックだったけどさ。でも、その分親父には三年間、いっぱいお世話になったんだぜ。例え恨みがあったとしても、その恩の分でチャラになってるよ」

「マリハ……」

「それに、オレを生み出してくれたおかげで、オレにはジュドーたちといった、大切な仲間たちができたんだぜ。むしろオレのほうが感謝したいくらいさ」

 

 そう答えたオレに、ジュドーが横から茶々を入れながらこづいてくる。

 

「このこのー、嬉しいこと言ってくれちゃって」

「はは……良い仲間ができてよかったな、マリハ」

「あぁ」

 

* * * * *

 

251:ジャンク屋ネキ

というわけで、どうにかネェル・アーガマまで戻ってこれたやで。

 

252:名無しのオールドタイプ

おう、お帰り。災難やったな。

 

253:名無しのオールドタイプ

それで、被害はどうだったんだ?

 

254:ジャンク屋ネキ

もう散々だわ……。結局、エアロックまでたどり着けたのは親父含め4人ぐらい。後はたぶん、キケロの中で抵抗してるか、隠れてるか、捕まった、それか殺されたかやろな……と親父が言ってるわ。

 

255:ラド

それくらいしか残ってないんだったら、もう彼らだけではキケロの奪還は無理やろうなぁ。

 

256:ジャンク屋ネキ

そうだろうなぁ……。ルチーナはもちろん、エルやルーさんも助けだしたいところなんだが……。

 

257:名無しのオールドタイプ

まぁ、手はあるんだけどな。それをビーチャたちが考え付いてくれるといいんだが……。

 

258:考察ニキ

まぁ、いざとなれば、ネキから提案してもらえばいいんじゃない?

 

* * * * *

 

 しかし、オレが提案するまでもなかった。

 ネェル・アーガマに戻ると、マシュマーさんがしたり顔で提案してきたのだ。

 

「心配ない。要は、ネオ・ジオンからの干渉がなくなればいいのだろう? ならば、キケロとコア3との接続を物理的に断ち切ればいい。ネェル・アーガマにはそのための装備があるだろう?」

「接続を物理的に断ち切るための装備?」

 

 オレはそれが何か、とんと思いつかなかった。だが、さすがはビーチャ。ここまで艦長代理をしていることはあり、すぐに思い当たったようだ。

 

「そうか、ネェル・アーガマのハイメガ粒子砲か!」

「その通りだ。さすがにネェル・アーガマの艦長代理。よく気が付く」

「マシュマー様がそのような作戦を思いつくとは! これも弟ゴットンの教育のたまもの……いてっ」

 

 感極まったようにそう言うボットンさんの脳天に、マシュマーさんのげんこつが炸裂した。そこでマシュマーさんはこほんと咳払いをして続ける。

 

「それをもって接続部を撃ち抜いて破壊すればいい。そうすれば、キケロに残ったネオ・ジオン兵などどうにでもできる」

 

 マシュマーさんの提案した作戦に、親父もうなずく。

 

「なるほど、奴らの数が多すぎるなら、作業員たちを扇動して叛乱を起こさせ、奴らを制圧するのもいいかもな」

「そういうことだ」

 

 そこでビーチャが手を打ち合わせて言った。

 

「よし、それじゃその手でいこうぜ! 俺たちはネェル・アーガマでハイメガ粒子砲の発射準備を進める。マリハのおやじさんは、再びキケロに戻って扇動をお願いするよ。ジュドーとマリハとプルは、もう一度コア3に潜入して、エルとルー、ルチーナを救出してくれ。頼んだぜ!」

「わかった」

「おう!」

 

 そして作戦開始。オレとジュドー、プルの三人は、キケロに潜入する親父たちと別れて、MSでコア3へと向かっていくのだった。

 

* * * * *

 

 一方そのころ。

 

(すごいプレッシャーだ……ここではできない……!)

 

 ハマーンが執務する館の敷地に潜入したプルツーだが、屋敷の中に満ちているプレッシャーを前に、手を出すことができずにいた。

 

(となれば、キュベレイで襲うしかないか……)

 

 そう判断して、敷地から脱出する。そこにはルチーナが待っていた。

 プルツーは、ハマーンの館への潜入工作に際し、ルチーナも連れだしてきていた。

 

 戻ってきたプルツーに、ルチーナが駆けよる。

 

「こんなところで何を……?」

「どうでもいい。ここにいると死ぬ。だから逃げろ」

 

 そう言い放つプルツーの元に、キュベレイが下りてきた。

 

「どうして、私だけ……?」

「なぜだろうな……。ただの気まぐれだ。いいから行け。巻き添えを受けて死んでも知らんぞ」

 

 そしてプルツーは、キュベレイに乗り込み、再び館のほうへと向かっていった。

 

* * * * *

 

 オレとジュドー、プルが再びコア3に潜入していると、向こうのほうから誰が走ってきた。おや、あれは……?

 

「あれ、もしかしてルチーナじゃない? 私の妹の」

「いや、オレの義妹であって、プルのじゃないだろ。でも本当にルチーナだな」

「プルツーの元から逃げてきたのか?」

 

 そしてオレたちは無事にルチーナを保護することができた。後は、エルとルーだが……。

 

「ルチーナ、どうして?」

「あ、お義姉ちゃん。え、プルツー!? って、あ、プル」

 

 ルチーナは、やっぱりプルを見て、プルツーと間違えそうになって混乱してる。まぁ、プルとプルツー、オレはよく似てるからなぁ。そうなるのも無理はないよな。

 

「うん、プルだよー。それで、ルチーナ、どうしてここにいるの?」

 

 プルがそう聞いて、ルチーナはやっと、自分が何を話すべきかと再び思い出したようだ。

 

「プルツーが私だけを連れ出して、解放してくれたんです」

「プルツーが? なぜ?」

「わかりません……。でも、私だけ助かるのは嫌だから、こうして戻ってきたんです」

「私『だけ』ってことは、エルとルーさんはまだ、プルツーの隠れ家とかに?」

「はい。私、案内します!」

 

 そしてルチーナはエルとルーさんがいるであろう場所に向けて駆けて行った。もちろん、オレたちもあとに続く。

 

 ところが、そこではキャラさんのゲーマルクがエルとルーさんを回収して離脱しようというところだった。

 

「ちょっと、放しなさいよ、爆乳お姉さん!」

「助けてジュドー!」

「キャラ!」

『ふふん、二人を返してほしければ、とっとと私たちに降伏しな。行くよ、二ー、ランス!』

『『ははっ!』』

 

 そして飛び去って行った。く、せっかく救出できると思ったのに、なんてことだ……。

 そこでジュドーが。

 

「仕方ない。急いでキャラたちを追わなくちゃ! マリハ、お前とプルはルチーナを連れて、ネェル・アーガマに戻ってくれ。それから駆けつけてきてくれ!」

「わ、わかった! 気をつけろよ!」

 

 そしてオレはジュドーと別れ、ルチーナを連れて、MSが隠してあるコロニーの片隅の森に向けて走り出した。

 

* * * * *

 

 一方、ハマーンの館。その周辺では、警備を担当している、ハマーンの親衛隊のガザDと、プルツーのキュベレイが戦闘を繰り広げていた。

 さすがに親衛隊といえども、相手がプルツーでは荷が重いと言わざるを得ない。キュベレイのパワーと、ファンネルによる攻撃の前に、親衛隊は苦戦していた。

 

 その様子はさすがにハマーンにもわかってくる。さらに、その執務室に部下が駆け付けて報告してくる。

 

「ハマーン様、大変です! アクシズより連絡があり、グレミー・トトと、彼に同調する一部の隊が蜂起、アクシズを制圧したそうです!」

「なに? ふふふ、グレミーめ。私がアクシズを離れた今しか勝ち目がないとついに動いたか。もう少し、不穏分子をあぶりだすために泳がせておきたかったのだがな。それにしても、奴がこうして動くだけの力を手に入れるとは、報告があった例の財団のバックアップによるものか……」

 

 一方、敷地の中では、エルとルーを兵士に引き渡したキャラが、再び出撃しようとしていた。

 

「このゲーマルクの一斉砲火なら、キュベレイだろうがなんだろうがいちころだぁ!!」

 

 当然そんなことをしたら大変である。ここはコロニーの中なのだ。ニーとランスがあわててそれを押しとどめる。

 

「キャラ様、おやめください! コア3が壊れます!」

「ハマーン様やミネバ様はまだ屋敷の中です!」

「出撃するなら、せめてRジャジャで!」

「なに!? えーい、わかった。早く準備を済ませろ!」

 

* * * * *

 

「それにしても、どうしてこうもプルツーとやらの襲撃に感づくことができなかったのか……? む?」

 

 ハマーンがそう疑問を口にしながら、脱出しようとしたその時。

 

「ハマーン!」

 

 ドアを開けて、ジュドーと、彼に救出されたエルとルーが入ってきた。

 それを見て、ハマーンは得心がいった。

 

「ふふふ、お前か。わかったよ、お前がこの屋敷にバリアーを張っていたのか。そうでなくば、私がキュベレイに対応するのが遅れるはずがない」

「ジュドーの気配にぼーっとしていただけの話でしょ?」

 

 ルーがそう軽口を叩くが、ハマーンは涼しい顔である。

 

「小娘は黙っていてもらおうか。さて、脱出しなくてはならんのでな。そこを退いてもらおうか」

 

 と、その時。突然天井が崩れだした! 戦闘の被害が、館にも及んだのだ。

 

「だめだ!!」

 

 とっさにジュドーは、ハマーンとエル、ルーを押し倒すようにして、その場から離れた。その直後、彼らがいたところにがれきが降り注ぐ。

 押し倒されたままのハマーンが言う。

 

「なぜ、私を助けた? なんのつもりだ?」

「つ、つもりはなかった! こうなっちまっただけだ!」

「ふふふ……かわいい奴め。教えてやろうか? お前と私は同類だ。呼び合っているのさ」

「か、勝手なことを言うな!」

「そうよ、そうよ!」

「子供は黙っていてもらおうか!」

「子供ですって! 私はもう16よ! 小娘なら横のエルのほうでしょ!」

「なんですってー!」

「あぁ、もう! こんなところで口喧嘩している場合かよ!」

 

 そこに、ランスが駆け付けてくる。

 

「ハマーン様、ご無事でしたか! ……エゥーゴ!」

 

 ジュドー達を見つけたランスは銃を向けようとするが、ハマーンはそれを制した。

 

「よい。彼らには命を助けてもらった借りがある。今回は逃がしてやれ。ジュドー・アーシタ。期待しているぞ。お前が私の元にはせ参じる時を」

「か、勝手なことを!」

 

 そのジュドーの文句を聞き流し、ハマーンはランスと執務室を去っていった。

 

* * * * *

 

264:ジャンク屋ネキ

あーあー、派手にやってるなぁ。これじゃ迷うことはないな。プル、ZZ(ダブルゼータ)の操縦は大丈夫か?

『うん、任せて!』

 

265:名無しのオールドタイプ

そういや、キケロとネェル・アーガマのほうも作戦は順調なんだっけか?

 

266:ジャンク屋ネキ

あぁ。扇動はうまくいったらしい。今、ネオ・ジオンの奴らと絶賛戦闘中だそうだ。それで、戦況が傾いてきた頃合いを見てハイメガ砲を発射するって言ってたな。

『あ、あそこにいるのジュドーとルーとエルじゃない?』

 

267:名無しのオールドタイプ

あ、ほんとだ。みんな煤で薄汚れちまってるが。

 

268:ラド

おまけに、Rジャジャとガズアルとキュベレイの戦闘に巻き込まれて右往左往してるしなぁ。どこかで見たようなシーンだ。

 

269:名無しのオールドタイプ

ん? ネキに通信入ってるんとちゃうか?

 

270:ジャンク屋ネキ

あ、ほんとだ。

……ふんふん、ZZを代わってくれってさ。よし、プル、あそこに着陸するぞ。

『了解!』

 

* * * * *

 

「熱い、身体が熱いんだよー!」

 

 そう言いながらも、キャラはRジャジャのビームサーベルでファンネルを切り払っていく。

 一方のプルツーは、長丁場の中ファンネルを使っていて、かなり疲弊していた。

 そこに。

 

「キャラ!」

 

 ZZが突っ込んできて、Rジャジャの左腕をハイパー・ビームサーベルで切断した。その攻撃で、キャラはうろたえる。

 

「だ、ZZ!?」

「キャラ、思い出せ、俺のことを。アーガマでの生活のことを!」

 

 そう呼び掛けるジュドー。すると、ついに声が届いたのか、キャラが取り乱し始めた。

 

「やめろやめろー! 頭がごちゃごちゃするー!!」

 

 ぶんぶんとビームライフルを持った右腕を振り回すキャラのRジャジャ。その尋常じゃない様子に、ニーのガズエルがあわて止めに入る。

 

「およしください、キャラ様。冷静に! 今、ランスから連絡が入りました。ハマーン様がサダラーンに戻られたそうです。ゲーマルクもサダラーンへの搬送が完了したそうです。我々も引き上げましょう!」

 

 それを聞き、キャラはなんとか冷静さを取り戻した。

 

「そ、そうだな。どうかしていた……私は、どうしてしまったのだ……。ZZ、今度会った時こそ、お前を倒してやる!」

 

 そうしてキャラのRジャジャは、ガズエルと撤退していった。

 

「キャラの説得は無理みたいだ。すっかり変わっちまった……」

「洗脳された今の状態で、和解する道を探すしかないかもな」

 

 そう言葉を交わす、ZZのジュドーと、リャナンシィのマリハ。そこに。

 

「助けてくれたことには礼を言うよ。でもそれとこれとは別だ! ダブリンでの借りを返させてもらう!」

 

 キュベレイが後ろからビームを撃ってきた。それを二機は慌てて交わす。

 

* * * * *

 

 キュベレイはなんとか操作できる二機のファンネルとともにこちらを攻撃してくる。オレたちはそれをなんとかかわしながら、プルツーの説得を続けた。

 

『やめるんだ、プルツー! 君はこんなことをしていい子じゃない!』

『何をたわごとを!』

 

 そのプルツーに、オレのリャナンシィに同乗しているプルが訴えかける。

 

『戯言じゃないよ! ならなんで、ルチーナを助けたの!?』

『ただの気まぐれだ! それ以上の理由などない! 何なのだお前は!? なぜ私と同じ気配を持っている!? 不愉快な奴だ!』

 

 そのプルツーの言葉に、オレは後ろからのファンネルの攻撃をかわしながら言う。

 

「不愉快なのは当たり前さ。オレもプルも、お前と似たもの同志だからな!」

『なんだと!?』

『私はエルピー・プル。あなたの姉みたいなもの。そして彼女はマリハ。あなたと同じ子、私の分身なんだよ!』

『……!』

「お前はプルの激しい部分を受け継いだ子なのは確かだ。だけどそれだけでなく、彼女の優しい心も受け継いでいる。だから、ルチーナを助けたんだよ!」

『そ、そんなこと……! 違う、私はプルツー! グレミーの忠実な戦士だ!』

 

 そう言いながらも、プルツーのキュベレイの動きには、ダブリンで見たようなあの精彩はなかった。それこそが、彼女が動揺している証、そして、オレたちの言っていることが図星だという証だ。

 

 ジュドーが、そのプルツーの隙をついて、ZZがキュベレイを抑え込んだ。

 

『もっと素直になるんだ、プルツー! 自分の心を見つめれば苦しまずに……』

『苦しくなんかあるもんかぁ!!』

 

 キュベレイは全力をもって、最後の力を振り絞るかのように、ZZガンダムを振りほどいた。

 そしてそのままコロニーの外へ飛び去って行く。

 

『プルツー……』

 

 彼女の名を呼ぶジュドーの声が、通信機から聞こえてくる。

 ハイメガ砲発射準備完了の通信が入ったのは、その直後だった。

 

* * * * *

 

 そして。

 

「幸い、このキケロには、まだ生活できるだけの空気も水も食料もある。この小惑星で、どこか別のコロニーに移住するよ」

「そうか……。親父、くれぐれも気を付けてな。妹と仲良くやってくれよ」

 

 そして。ネェル・アーガマのハイメガ砲で、キケロとコア3は再び分断され、キケロの中にいたネオ・ジオン兵たちは、人数が少なくなったこともあり、みんな降伏した。

 今回の事件と同調して、グレミーが反乱を起こしたらしく、ハマーンもそちらへの対応を迫られ、キケロにかまっていられなくなった。かくして、キケロはとりあえずはネオ・ジオンから脱することができたのだった。

 

「お義姉ちゃん。いつかまた会いに来てね!」

「あぁ、ルチーナもそれまで元気でな。親父と仲良くな。とっても良い、オレにとっても自慢の親父だからな」

「うん。それからジュドー……」

「ん?」

 

 そこで、ルチーナがジュドーとプルのほうに向いた。

 

「プルツーって悪い子じゃないよ」

「あぁ、わかってる。プルの妹だもんな。悪い子のはずがないさ。連れ戻すことができたら、一緒に会いに行くよ」

 

 そしてオレたちは、親父やルチーナと別れ、再びネェル・アーガマで出発した。

 

 だが、そのオレたちに、ある凶報がもたらされる。

 ハマーンが、再び、今度はダカールにコロニーを落とそうとしていたのだ!

 

 オレたちはサイド3への進撃を一時中断して、奴らがコロニー落としの準備をしている、その宙域へと向かった。

 




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* 次回予告 *

ハマーンが、今度はダカールにコロニーを落とそうとしてる。ダブリンでの惨劇を知ってるオレたちは、それをさせるわけにはいかないと、ただちにそれを阻止しに向かった。
結果、それを阻止できたのはよかったんだけど、大変なのはそれからだったんだ!

次回、『ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝』
第28話『コロニーを撃つ巨光(オーロラ)

あれは……憎しみの光?

※次の更新は、4/23の予定です。

マリハの声、皆さんは誰の声で再生されてますか?

  • 本多知恵子さん
  • 本多陽子さん
  • 甲斐田裕子さん
  • 釘宮理恵さん

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