ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝 作:ひいちゃ
今回のタイトルの元ネタ探しにも挑戦してみてくれると嬉しいです。
あと、次回はいよいよネキの初MS戦が見られるかもしれませんw
「アーガマは?」
シャングリラの市街地を走る
ゴットンはマシュマーのほうを向いて答える。
「はい。昨夜から……」
「こ、こら、ちゃんと前を向いて運転しろ!」
「え、う、うわっ!」
あわや赤信号の交差点に突っ込むところだった二人であった。
「す、すみません。それで、昨夜から、ジャンクの山をうろうろしているようです」
「そうか」
ゴットンからの報告に、マシュマーは関心がなさそうに、そっけなく答えた。
彼とて、アーガマの動向を気にしていないわけではない。だが、アーガマがしばらく隠れるつもりというのであれば、急いで叩きに行く必要はないだろう、と考えていたのである。
「ところでゴットン」
「なんです?」
「私はコロニーを視察しなければならん。ついていくのであれば、その服を着替えろ」
「え、なぜ?」
「そんな服装で、コロニーの視察ができるか! 私の任務の妨げになるだろうが!」
そう、ゴットンはこの期に及んでも、アクシズの軍服を着ていた。そんな服装では、住民を警戒させるだけである。
着替えるべく、近くのパーキングエリアに車を走らせるゴットンの脇で、マシュマーは思いを巡らせていた。
(血を見ずにアーガマを手に入れられればベターだ。その上でコロニーの様々なものを見ておけば、ハマーン様が地球圏の政治を執る時のお手伝いが出来る)
* * * * *
一方そのころ、スラム街のジュドーの家。そこに、一人の少女がやってくる。
ジャンク屋仲間の一人、エル・ビアンノである。彼女はジュドーの部屋の窓までくると、そのガラスをたたいてジュドーに呼び掛けた。
「ジュドー起きて! アーガマの居場所が分かったんだよ!」
「えっ、何だって!?」
トランクス一枚の姿で窓を開けるジュドー。さすがにこれにはエルも赤面した。
「止めなさいよ!!」
「おー、照れてやんの!」
そう言ってエルをからかうジュドー。そこに。
「お兄ちゃん!」
「げっ、リィナ!」
「何よ、げって! またZを盗みに行く気でしょ!」
「り、リィナには関係ないだろ!」
そう言うジュドーだが、リィナも止まらない。止まる気もないが。
「そんな犯罪するよりパイロット候補生になれば、収入もあるだろうし、生活も規則良くなるだろうし、そっちのほうが……」
「嫌だよ俺、パイロット候補生なんて。そんなことするよりは、ジャンク屋や、Z盗むほうがましさ!」
そう言ってジュドーは窓から飛び出し、エルとともに走っていった。
それを見送ってリィナはぷんぷんと怒りが収まらない様子。
「もう! どうにかしなきゃ! マリハやファさんだったら、相談にのってくれるかな……?」
* * * * *
3:名無しのオールドタイプ
なんだかんだ言ってる間に、このスレも2スレ目突入かー。感慨深いなぁ。
4:名無しのオールドタイプ
いや、めでたい!
5:名無しのオールドタイプ
ここ数日、アクシズの攻撃もないし、いい話や。
6:ジャンク屋ネキ
すまんな、みんな。今日はあまり話せなくて。
7:名無しのオールドタイプ
いいっていいって、仕方ない。
8:名無しのオールドタイプ
確か病院で、ファの手伝いやっけ?
9:ジャンク屋ネキ
あぁ。ファさんが病院でカミーユの看病するっていうからな。
オレも、アーガマの仕事が非番だし、手伝わせてほしいってお願いしたんや。
10:名無しのオールドタイプ
殊勝なこっちゃな。
11:ジャンク屋ネキ
まぁ、転生前からボランティアには興味があったからな。
授業やら講義やらで忙しくて出来なかったけど。
12:名無しのオールドタイプ
それなら、ボランティアの学部に行けばよかったものを。
13:ジャンク屋ネキ
その当時、やりたいことがボランティアとは方向が違ってたんや。
現世でボランティアのようなことができてよかったやで。
14:名無しのオールドタイプ
エエハナシダナー(´;ω;`)
15:ジャンク屋ネキ
おっと、ファさんに頼まれたから席外すわ。
皆、適当にだべっててや。
16:名無しのオールドタイプ
おう
17:名無しのオールドタイプ
いてら。
* * * * *
「よいしょっと……ファさん、これでいいですか?」
オレはカミーユを車椅子に乗せて、ファさんに声をかけた。
「えぇ。ごめんね。色々手伝わせて」
「いいんですよ。オレから言い出したことですから」
何しろ、ファさんはカミーユがこんなことになってしまって辛いだろうに、それでもそれを我慢して、彼のために色々世話をしているのだ。オレの手伝いなんてそれに比べれば大したことではないし、手伝わなければバチが当たるだろう。
「それでファさん。カミーユさんの具合は、発症当時からするとどうなんですか?」
「うん……。ハサン先生が言うことには、当時に比べれば少しよくなってるけど、それでもまだだって……」
「そうですか……。ファさんは、カミーユさんの幼馴染なんですよね?」
オレがそう聞くと、ファさんはどこか懐かしいような、悲しいような表情を浮かべた。
「えぇ。私がお世話を焼くと反発したりね、後、カミーユって名前で呼ばないでって何度も言われたわ。女の子っぽい名前だからって」
「あぁ……」
そういえばカミーユって名前は、男でも女でも使える名前だって、何かで聞いたことがある。日本でいう「カオル」とか「ヒロミ」とかそういった名前のようなものなんだとか。
それは確かに呼ばれたくない気がしなくはない。
と、ファさんの目から涙が一筋……。
「ファさん……?」
「ご、ごめんね。昔のことを思い出して懐かしくなっちゃった。本当に私たち、遠いところまで来ちゃったみたい……」
そう言って、ファさんは車椅子のカミーユに視線を向けた。
「修理が完了したらアーガマはこのコロニーを出ていく。そうなったらカミーユとは……」
「あ……」
オレはふと声をあげた。アーガマが修理を終えてシャングリラを出ていくことになれば、アーガマのクルーであるファさんは、この病院に入院しているカミーユと離れ離れになってしまう。それはとてもつらいだろう。ファさんにとっても、カミーユにとっても。
話を聞いていたオレに一つの考えが浮かんだ。オレがファさんにしてあげられること。
と、その時だ。
(危ない!)
「え?」
後ろを振り向くと、一台のエレカがこっちに突っ込んでくるところじゃないか!
「きゃあ!」
「ファさん!」
オレはカミーユごと、ファさんを押し倒すようにして、車をかわした。
車椅子がエレカと激突してスクラップになる。
「ファさん、大丈夫ですか? カミーユさんは?」
「えぇ、私は大丈夫。カミーユも、下が芝生だったからけがはないみたい。一応、先生に診てもらったほうがいいと思うけど……。助けてくれてありがとう……」
そこに。
「三人とも、大丈夫ですか? あわや事故に巻き込むことになって申し訳な……い……?」
* * * * *
59:ジャンク屋ネキ
なぁ。なんか目の前に、白いタキシードを着た、キザそうな兄ちゃんがやってきて、オレに言い寄ってきたんだけど、誰だこいつ?
【LIVE配信】
60:名無しのオールドタイプ
誰だこれ……って、マシュマーさんじゃねぇか!
61:ジャンク屋ネキ
マシュマーさんって、この前ジュドーが戦っていたアクシズの士官さんか?
62:名無しのオールドタイプ
そうや。
63:名無しのオールドタイプ
確か原作ではファに一目ぼれするんだけど、まさかジャンク屋ネキに一目ぼれするとは、驚いたわ……。
64:ジャンク屋ネキ
されてるオレにとっては、他人事ではないんだけど……。
なんか、オレのことを「なんという優しさ」とか「白衣の天使そのもの」とかべた褒めしてるんだが……。
65:名無しのオールドタイプ
まぁ、ネキがいいことしたのは確かなんだから、ありがたくもらっとき。
66:ジャンク屋ネキ
ふぅ……「何か私にできることは?」というから、「できればこの病院にご寄付を」「それとあまりこの病院の近くでは戦闘沙汰は起こさないで」とお願いして、三人で逃げてきたやで。
67:名無しのオールドタイプ
お疲れ。
68:名無しのオールドタイプ
カミーユはどうしたんや?
69:ジャンク屋ネキ
あぁ。車椅子がスクラップになったからな。オレがおんぶして連れてきた。これでも、普通の13才よりは力あるからな。そんなに大変じゃなかったやで。なんで力あるかわからんけど。
70:名無しのオールドタイプ
お疲れ。でも振られたマシュマーさんが哀れなり。
71:名無しのオールドタイプ
お近づきになってやればよかったのに。
72:ジャンク屋ネキ
勘弁や。オレ、身体は女やけど、心は男子大学生のままやで。
73:名無しのオールドタイプ
そうやった!
* * * * *
マシュマー・セロは、二人の少女と一人の少年が駆けて行った病院のほうを見つめ続けていた。
彼の心には、年端のいかない身ながら、エレカから二人をかばった少女の姿が焼き付いていた。どこかで見た気がするが、どこでだろうか?
でもそれより、今の彼は少女の優しさと、彼女たち三人の境遇に思いを致し、心を痛めていたのだ。
そしてつぶやく。
(ふむ、下町に咲く一輪の華か……そしてあの二人……乱れた社会が、二人を悲劇へと追い込んだのだ……黒髪の彼女には、暗い未来しか見えていない……)
それは、少女がかばった二人……カミーユとファには当てはまっただろうが、そのかばった少女、マリハが聞いたら噴飯ものだろう。
ゴットンがやれやれといった表情を浮かべているのがその証拠である。
* * * * *
オレたちが新しい車椅子にカミーユを座らせたところで、誰かがやってきた。
おや……あれは……リィナじゃないか?
「どうしたん、リィナ? ここにやってくるとは珍しいな」
「はい。あ、ファさんもいたんですね。よかった、二人に相談したいことがあって」
「いいわよ、そこのベンチでお話しましょう」
そして中庭のベンチまでやってきたところで、リィナの話を聞く。
なんでも、ジュドーはまだZガンダムを奪うのをあきらめていないらしい。リィナは、そんなジュドーに、それよりはとアーガマのMSパイロット候補生になるよう説得したが、聞き入れてもらえなかった、という。
「そうなの……」
「はい……。私、パイロット候補生になれば、お兄ちゃんも真っ当になってくれると思って……」
まぁ、リィナの気持ちもわかる。でもなぁ……。
「でも、ジュドーの気持ちもわかる気がするな」
「え?」
オレは聞き返したリィナのほうを向いて話しはじめた。
「パイロット候補生になるってことは、MSに乗って戦うことになるんだぜ? そうなれば敵を殺すこともあるかもしれない。ジュドーはそれが嫌じゃないのかな?」
「あ……」
「リィナはさ、ジュドーがMSに乗って戦い、人を殺すことをどう思う?」
「それは……あまり良い気がしないです……」
「リィナが嫌な気がするんだから、当の本人であるジュドーはなおさらじゃないかな? 戦う理由が見出せたなら話は変わってくるかもしれないけどさ」
スレでは、「ネキがまともなことを言ってるぞ!」とか「どうしたジャンク屋ネキ! 悪いものでも食べたのか!?」とかそんな書き込みがあふれてるが気にしないでおく。
「それじゃ、マリハはどうなの? アーガマで働くことにしたけど、戦うこともあるのよ?」
「そりゃあ、オレだって人を殺すのは嫌だし、怖いよ。まだ13なんだから当然だろ? でも、シャングリラのみんなやアーガマのみんなを守るためだったら、戦う覚悟は持てると思う。それに……」
「それに?」
ファさんの問いかけに、俺は空を仰いで言った。
「オレ、ブライトさんが許せばだけど、パイロット候補生になろうと思ってる。オレがパイロットになって、ファさんの代わりに戦えるようになれば、ファさんはこのままカミーユのそばにいられるからな」
「あなた……そんな理由で……!」
「それだけじゃないぜ?」
そして身体を戻して、今度はファさんのほうを向いて続ける。
「カミーユさんを見て思ったんだ。何かで聞いたんだけど、カミーユさんは戦争のせいでああなっちゃったんだろ? また戦争が起これば、カミーユさんのような犠牲者や、ファさんのように悲しむ人が出てくるかもしれない。だから、オレが戦うことで戦争が終わるのが早まれば、その分、そんな人が減るんじゃないかって」
またスレに、「ネキがまともなことを!?」とか「ネキに一体何が!?」って書き込みがあふれてるけど、引き続きスルー。
「だけど、これはオレだけの考えだ。ジュドーに押し付けるのはダメだと思う。ちゃんと彼が戦う理由を見出して、納得したうえで戦わなきゃダメだと思うんだ。そうだろ? ファさん」
オレがそう聞くと、ファさんはかすかに微笑んで。
「そうね」
とうなずいた。
ファンアート募集中です!
* 次回予告 *
ゲモンは、ジュドー達はもちろん、他のジャンク屋からの評判も悪いんだ。もちろんオレも好きじゃない。
でも、そんな彼がマシュマーさんと手を組んだから、さぁ大変!
オレははじめてZガンダムに乗ってバトルすることになるし。
あ、ちょっとジュドー、そんなところにいたら危ないって!
次回、『ガンダムZZって作品の世界に転生してきたプル似のTS転生者だけど、ヤザンとかいう人にゼータ強奪を持ちかけられてます~ガンダムZZ別伝』
第4話『倒せ! ゲテモノMSゲゼ!!』
ゲゼを倒すのが先か、オレがおせんべいになるのが先か?
※次回は、2/10 12:00の予定です。お楽しみに!
マリハの声、皆さんは誰の声で再生されてますか?
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本多知恵子さん
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本多陽子さん
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甲斐田裕子さん
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釘宮理恵さん