《アルベドside》
私は、愛しきモモンガ様が1人になられてから玉座の間でずっと見てきた。
モモンガ様はお1人になられてもなぜか明るい調子で、
ナザリックの増改築や、至高のアイテムであるワールドアイテム集めに精を出し、
そしてよく私達被造物に向けて、恐れ多くも、まるで家族のようだと錯覚するほど温かく話しかけてくれていた。
私の創造主であるタブラ・スマラグディナは私を捨てたというのに、見捨てたというのに、
モモンガ様は慈悲深くも私達を見捨てず、ずっと1人お残りになられてくれた。
そんなある日、モモンガ様はナザリック全ての者を玉座の間に集めた。
「アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ」と高らかに声をお上げになり、私達もそれに続き大合唱をした。
その時、『何か』が確かに変わったのだ。
思考の枷が外れた、というべきか…以前よりも様々なことを思考し、行動することが出来る。
そして、自らの創造主への仄暗い思いも生まれたが、これはナザリック内では不都合だと思い、心の奥底に隠し通すことにした。
モモンガ様がお話になられたことはあまりにも荒唐無稽で、でも確かに納得のいく部分が多く、それでもショッキングな内容で…………
しかしお話になられたのは私の慕うモモンガ様だ。
至高の方々が私達を愛していた?
元は人間?上位世界?
ユグドラシルを作った?
考えがまとまらない。
ユグドラシルを作ったというのなら、それはもはや神そのものじゃない!
人間は下等生物でないの??
だけど、ナザリックを襲った人間種プレイヤー達とは全く関係が無い…?
少しだけ落ち着けば、理解できた。
確かに、これまでの疑問も色々晴れた。納得もできた。
…創造主達が私達を、
タブラ・スマラグディナが私を愛していた。ということ以外は…
そんな時に、デミウルゴスから「気になるなら聞けばいい。」
と言われた。確かにその通りだ。
私たちに語ったあのような創造主達の秘密は、本来なら語る必要がない。
それならば、その溢れんばかりの誠意に、応えなければ不義理極まりないことでしょう……
モモンガ様、私の仄暗い気持ちを知られるのは恐ろしいことです。
それでも、勇気を出して打ち明けさせてもらいます。
そして、聞かせていただきます。
タブラ・スマラグディナという創造主について。
《モモンガside》
「みんないるようだね。では、先程の話の続きをするよ。
俺はね、ギルメン達が生活を優先して離れざるを得なくなることも、このナザリックが別世界に転移してしまうこと最初から全部知っていたんだよ。
今の俺は2周目なんだ。
輪廻転生って概念を知っているかい?
これの似たようなものだ。
1回目ではな、ギルメン達が去っていき、家族に飢えていた私はアインズ・ウール・ゴウンというギルドに執着していた。初めてできた、死んだ母親以来の他人との繋がりだったんだよ。
皆が去っていって、私は皆がまた戻ってくるんじゃないかって勝手に期待してユグドラシルに居続けた。
ユグドラシルは作られた世界だって、言っただろう?
作ったからには、管理する存在がいるんだ。それが『運営』だ。
この運営が、ユグドラシルを終わらせるっていう通達をしたんだよ。
そのユグドラシルが無くなる日、
そう、ちょうど今日、この異世界転移した日だ。ユグドラシルが崩壊すると定めらていたその瞬間、
俺は奇しくもナザリックごと、異世界に転移していた。
それからは色々あってね、異世界に、君達と『アインズ・ウール・ゴウン魔導国』という統一国家まで作ったよ。
そうして建国から300年と少し経ったある時だね、ユグドラシル世界の、ある弱小ギルドが転移してきた。
そのギルドとは敵対しないつもりだったけど、まぁ色々あって、ギルド間戦争になってね、
向こうが持ってたワールドアイテムで私は死亡。
気づいたらユグドラシルに初めて入る日に意識だけ戻っていたんだ。
だから、俺は2周目なのさ。」