とある酒の席で、剣を学校に置くのは如何なものかと、ゴドリック・グリフィンドールはサラザール・スリザリンに言われた。


本作には『原作設定からの著しい乖離』が多数含まれます。
その辺りを一切考慮しない思い付きの産物ですので、最大限ご注意ください。
また、そこ関連の突込みは一切なしにお願いします。わかったうえでやってるので。

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グリフィンドールの六法全書

「いやだって……我輩はロケットで、ヘルガがカップ、ロウェナがティアラだろ?」

「ああ……そうだけど」

 

 深夜。出来立てのホグワーツ校舎のとある一室で、二人の男性が酒を飲みつつ語らっていた。

 

 片方の美丈夫はサラザール・スリザリン。もう一方はゴドリック・グリフィンドール。

 このホグワーツを創設した四人の賢者。その内の二人である。

 

 酒の力もあって二転三転する話題が『ホグワーツに安置する己の宝』へと変わったのは、なんの捻りもない偶然であった。

 

「そうだけど、ではない。ここは学び舎なのだから、そういう暴力に寄った代物置くのは違うと思わないかね?」

「えー、でもカッコいいだろ、剣。しかもゴブリンに作ってもらった特別品だぜ?」

「うむ、まあ、その辺については同感だが、しかしペンで戦うべき学徒が剣を握りかねないと考えると本末転倒ではないか。もっと平和的な代物にした方が良いと我輩思うのだ」

 

 サラザールの言葉は一見正しいが、単純に安置するだけで別に象徴として掲げるわけでもないのだから剣を置いたところで特に問題は無い。

 よしんば置いたところで、武器と言えば杖である魔法族が剣を握る可能性も薄い。ましてマグル嫌いのサラザールであればそこは重々承知のはず。

 

 実の所、普段から少々気に食わない所のあるゴドリックへの嫌がらせの様な問いであった。

 普段は怜悧な思案の末に飲み込まれる諸々の皮肉が噴き出たのは、やはり酒の力か。

 

「うーむ、よし! 確かにあれは俺の宝だが、それでもホグワーツへ置くにはちと物騒が過ぎるな! 別のにしよう!」

「うむうむ、それがよかろうて」

 

 正直、サラザールはここまで上手くいくとは思っていなかった。

 まあ上手くいったところで、『だからなんだ』止まりの話でしかないのだが。

 

◆◇◆◇

 

 ハリーは念じる。

 フォークスが組み分け帽子を持ってきた意味は分からない。

 それでもそれはダンブルドア差し金だ。きっと何か意味があるのだろうと、ハリーは無邪気な信頼の下、組み分け帽子をかぶっていた。

 

 視界の外でぎゃあぎゃあ聞こえる音は、フォークスがバジリスク相手に時間稼ぎをしてくれているのだろう。

 ならば自分の役割は、そうして稼がれた時間の間にダンブルドアの期待する成果をこの帽子から取り出す事。

 

 そうしてハリーが念じる中、突如としてハリーの頭を衝撃が襲う。

 

 視界の中で星を躍らせながら、ハリーが組み分け帽子から取り出したのは。

 紛う事なき『六法全書』であった。

 

「なんだこれ!?」

 

 13歳の少年には似つかわしくない代物に思わず絶叫したハリーだが、あるいはその絶叫こそがバジリスクに隙を生み出したか。

 フォークスが握りつぶした眼球を二つ、ハリーの目の前に放り出した。

 

 バジリスクの強大な武器の一つである魔眼が潰されたのだ。

 

 だがまだだ。まだ半分だ。

 ハーマイオニーの持っていた資料によると、バジリスクには牙にも猛毒がある。ハリーの死は依然として濃厚なままだ。

 

 後ろでリドルが何かを叫んでいる。蛇語だろうが、六法全書の重みで頭がグワングワンするハリーには聞き取れなかった。

 だがにじり寄る死の気配が『鳥に構わずハリーを殺せ』という意味であったことを想像させる。

 

 分厚いコイツ(六法全書)なら、せめて鈍器にはなるだろうか。

 

 年齢不相応の修羅場がハリーに無謀な考えを生み出させる。

 とはいえ、法律の序文など読み上げるよりはいくらか効果的であろうというのもまた事実。

 

「うおおおおおお!!?」

 

 ハリーは自分でもどういうテンションなのか分からないまま、六法全書を思いっきりバジリスクに投擲した。

 しかし相手を見もせず、投擲に適した形状のものでもなく、その訓練もしていない上、ただでコンディションがぐちゃぐちゃのハリーが投げた所で、狙い通りにバジリスクへ当たるわけもなく。

 

 無様に上方向へすっぽ抜けた。

 

「ははは! なんだそれは? マグルだってもう少し洗練された戦いをするぞ!」

 

 いよいよ万策尽きた。

 

 そうハリーが絶望した時、奇跡が起きた。

 

 さて、このバジリスクであるが、実の所、正当な飼い主は『サラザール・スリザリン』……つまりはゴドリック・グリフィンドールを唆して剣と六法全書をすり替えた、ある意味諸悪の根源である。

 ゴドリックとは反目気味な彼も酔いが醒めてから流石に少々反省した。

 

 しかし素直に謝るのは彼のプライドが許さないし、そもそもそこまで反省もしていなかった。

 

 そこで彼は最低限申し訳なく思ってると主張すべく、自らのペットに『すり替えた六法全書に対する絶大な脆弱性』を付与していたのだ。

 

 結果、ハリーが投げた六法全書は外れたが、空中で開いたことで不可解な挙動を起こし、バジリスクの背中に着弾。

 あまりの激痛にバジリスクはのたうち回り、ちょうどリドルと日記に向いたところで全てを牙がはじけ飛んだ。

 

 バジリスクの牙によるショットガンという『どういう恨みを買ったらそんな仕打ちを受けるのか』と疑問視したくなる様な攻撃を受け、トム・リドルは完全に消滅した。

 

「えー……あっジニー!」

 

 あまりにもあんまりな展開に、何もかも追いついてこないハリーは当初の目的を思い出して、濡れた床を蹴った。

 そこにちょうど六法全書があったので躓き、ハリーは少し泣いた。


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