転生したらディアルガだった件。
もう何千、何万と昔。
俺はただの高校生だったはずだ。
ただ俺が悩んでいる間に時は移ろい、いつのまにか精神は成熟し、停止した。
転生してまず驚いたのは四足歩行をする動物?のようなものであったことだ。青い肌の四足は爪のような鋼鉄が張り巡り、それが体を伝って縄文土器のように角張った模様を作っている。長い尻尾はなかったときに比べると後ろが重いと違和感を感じ、長めの頭は角が生えているかのように首を振りづらかった。
ディアルガである。吾輩は時を司る龍であり、神でもある時ポケモン。
曰く、現世に姿を表すと空間との調和が取れなくなり、世界が崩壊する、と言われるドラゴン◦はがねの属性を持つ伝説の存在である。
正直、俺tueeee!出来ると思って喜んだ。アンノーン以外誰もいない時間の狭間でグギュ!グバァッ!と叫びまくった。
凡そ一週間後にそんなご都合主義が罷り通るわけがないと気付いた。
まず、一つ。現実世界に行くことができない。行ったら最後、絶対に討伐されると分かるし、多分空間を司る相方が出てくる。もちろん転生したばかりの俺に対等な実力を持ちながら、過去の俺に何度も打ち勝ち負けしたようなやつに勝てるとは思わない。俺は慎重なのだ。無理はしない。
二つ。アルセウス様がマジで怖い。出会ったことはないが、そのような存在がどこかにいるのが分かる。それはその方が発する力を肌が敏感に感じ取っているのだろう。まあ、創造主!が俺の体を作ったしな、父?母?の感覚は何となく分かる。
三つ。俺、無性ですわ。そもそも生殖、必要ないですわ。
ちくしょょぉぉぉおおおおお!
許すものか、許すものか。我にかのような罪を与えしゴッドに批判を垂れずにいられるか!と頑張っては見たものの、運命を変えることは叶わず、俺は雄のマークも雌のマークもない、無性のままだ。
俺、つよいやつの相棒になります!
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真なる創造神、アルセウスは思った。
時空の神二柱の様子がおかしいと。
そも彼?は世界に干渉するつもりはなかったが、さすがに自分の子孫が自分の平穏を脅かすのであれば許すつもりは無かった。
どうやら彼らはそれぞれ代理を立てることによって戦争をおこなうようだ。
ふむ、どちらも面白い存在だ。
彼?は彼ら二柱に語りかける。此度の戦争、勝った方が時空神となり相手を取り込むと。
彼?は彼らの争いにいい加減飽き飽きしていたのだ。故にニ柱の様子を見ることはなく、人の営みを眺めていた。
故に彼?が気付くことはなかったのだ。ディアルガ、時の一柱が転生者であることを思い出したなんて。
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「それでな、お前には俺のためにもヒトガミを討伐して欲しいのだ!龍神と呼ばれし者よ!」
「貴様が何者か知らぬが、私の目的は最初から最後までヒトガミのみだ。指図されずとも何度やり直そうともやり遂げる」
ディアルガは世界最強の存在である龍神オルステッドにヒトガミ(空間の神の側)の討伐を依頼しようとしていたが、杞憂であった。なんの憂もなく毅然と答えるオルステッドにディアルガは正直引いた。
病んでんじゃねぇか。
そう彼はオルステッドの過去、現在、未来を見通している。もちろん討伐は必ず成功する。だが、今回は加えてあの空間のヤツまで出張ってくるのだ。同等以上の存在を写さない未来視ではどうなるか分からない。故に、協力体制を築こうとしたのだ。
オルステッドは冷たいものの警告は受け入れてくれているとわかったのでこのままで良いだろう。問題は二番目に重要な鍵だ。
ルーデウス◦グレイラット
ヒトガミを討伐する子の父親。世界の救世主の導き手である彼のフォローをしなくてはならない。彼をパルキアは絶対に取りに来る。そう考えて出産するまで見張っていなくてはならない。あと二日はあるが悪いムシが付かないようにしなくては!と空に飛び立っていった。
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時の龍、時神ディアルガ。
まさか、実在していたとは思わなかったが、今更姿を表すとは。
やつ自身にやはり目的、対となる神、空神パルキアとの小競り合いが最近なかったのは戦争の準備のためか。時空の狭間がいつもの何倍も静かであったのは疑うべきだったか。
龍神はかの蒼い神の忠告を思い出す。
ヒトガミに対して今まで以上に気をつけろ、か。やはり、対となる神が私の敵対するもの、ヒトガミについているのか。この戦いは神たちの代理戦争になるのだろう。推測ではパルキアが宣戦布告し、ディアルガは慌てて戦力を集めているというところか。
宣戦布告は今日か、昨日か。やつが時間に干渉すると相手側も空間に干渉できるようになる。そうなれば私は干渉され、為す術もなく八つ裂きにされるだろう。さきに権能を使った方が負けるというわけで時を渡らずに私のところまで来たのだろう。
しかし、やはり強いな。溢れ出る闘気が滝のようだった。まさしく真なる神。世界の創造神の実子である龍の力には祖から遠い私では届かぬだろう。
真の神たちは戦力を集めるだろう。
時神は私とそれに追従できるものを。
空神はヒトガミとその予知や狡賢さで奴隷を。
私の生涯をかけての大一番が代理戦争の一端になってしまうのは歯痒いが、実際にはヒトガミを殺せば全てが終わるだろう。代理戦争は私とヒトガミどちらが死ぬか、で勝敗が決まる筈だ。つまり、私はこれまで通りにしておけば良いだろう
⭐︎
俺がトラックに轢かれた衝撃を思い出していると青いナニカが見えた。それは白い棘のようなものが生えていて、真っ赤なさくらんぼみたいなものが付いている。
ああ、こんなものが目が覚めたばっかに見るものか。と諦観していると扉の開く音が聞こえて青いのはパッと消えた。
なんだったのかわからないが取り敢えずお前ら誰だよ。
自分が赤ちゃんであることに気付いて半年。
ハイハイができるようになった俺は家中を移動しまくった。机から落ちそうになったり、階段から落ちたりしたがまあ大丈夫だ。
だが、今の俺は困っている。なぜかというと、
目の前になんか、ときポケモンいるんですけど!?
アイエー!なんでディアルガなんで!?
俺はポケモンはあまり好きでは無かったが人並みに、小学校くらいには楽しんだ。そして、世代はダイヤモンドパール。俺が選んだのはパールだったが、なんでディアルガがこの世界に?
まさか、俺の転生特典ってやつか!時を止めて女の子にやりたい放題とか、時を戻して妻のロリ姿を犯したりとか
「我の能力をそんな破廉恥なことに使うでないわ!」
「…は?キィアアァァァァァァァァ!喋ったァァァァ!」
因みに両親と従者にバレないように結構小声で言った。
「つまり、あれか?お前は俺のマスターで俺はサーヴァントってことか?」
「実際には駒のひとつってところだな。チェスでいうとポーンの立ち位置だ。」
「全然使い魔レベルじゃねぇか!!」
通常のディアルガよりも小さくぬいぐるみのようになったこいつは前の世界のことを知っているらしい。なんでもこの世界は六面世界(一面を除いて崩壊)で前の世界とは構造が違うが神の一柱であるディアルガはいろんな世界に干渉できるらしい。
なんでも地球の漫画やアニメは大好きであるとか。こいつ最高かよ。
こいつが言うには『我はお主に力を貸してほしいと思っておる。お主の力は世界でも有数のものとなる筈だ。その原石を磨くダイアモンドのヤスリに我がなってやるから、お前はダイヤモンドになれ!』らしい。
ダイアモンドなのかダイヤモンドなのかダイヤモンドなのかハッキリして欲しい上に、お前はダイヤモンドになれ!ってなんだ?俺自身がダイヤモンドになれって言ってんのか?というツッコミは置いておいて。
世界有数の実力者?俺が?このニート、デブ、引きこもりの男の最低ラインを余裕で超えていた俺が?
「本当に俺は世界有数の強さを得れるのか?」
「実際にはお前の努力次第ではあるが、一応神がである我は嘘をつかん。」
「まじか、もし負けたりしたら?」
「そんなことになればもちろんお前の一族路頭に迷うだろう。それに、私が負けるというのは敵を対処しきれなかったということ、つまり味方の全滅を意味する。お前は死に、一族も死ぬやもしれん。」
「そ、そんなこ」
「だが!ここでお前が断ったとしても相手側に脅威として認識されているお前は狙われ続けるぞ。やつらは意地汚く、性格が悪いし、喧嘩っ早いし、殺意も高いし、出会い頭に殺そうとしてくる。ましてや自分たちが負ける可能性のある存在を無視するはずがない。大人しくこちら側に来ておけ」
ルーデウスは迷っていた。これが情報操作の可能性もある。彼は既に夢でお告げを受けている。ディアルガは悪神であり、この世の全てを壊さんとする存在であると。
故にお告げを信じるか、ディアルガを信じるかで迷ってしまっていた。
「…、ナニカユメヲミタカ?」
いきなりディアルガから今までとは違う雰囲気の覇気のようなものが放出される。目が赤く輝き、オレンジ色の線が薄く見えてきているように感じる。これポケダンの暴走状態のやつでは?
ルーデウスは決意した。こいつにはついて言ってはならない。お告げを信じようと。
「いや、見ていないが。それでも俺はどちらの味方にも付かないことを約束しよう。考える時間が欲しい。少しの間だけ待ってくれ」
「……分かった」
ああ、俺は失敗したのか。
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あぁ、名前ぐらい決めておけば良かった…
俺は、失敗した…
「待たせたわね!ルーデウス」
声がした。オルステッドが後ろに飛び退いた。目の前に真っ赤な糸が広がって目の前を埋め尽くした。小さな青いドラゴンが飛んできたような気がした。
そこにはエリス◦グレイラットとあれから見ていなかった時の神がそこにいた。
『グギュグギャァ!』
時の神が大きな咆哮をする。その小さな体に宿る力がやっと分かった。あのときの自分を超えた今だから分かること。泥沼だろうが、剣王だろうが、剣神だろうが、7大列強だろうが、龍神だろうが関係ない圧倒的な強さ。
この時を司る神は悪神だろうがなんだろうが、刃向かってはいけない相手だった、と言うことだ。
⭐︎
あれからディアルガの咆哮を合図にするようにオルステッドが戦闘を開始、エリスとオルステッドの戦闘が始まった。戦い方は心得たものの、生半可な実力ではオルステッドに敵わなかった。
「選べ! ルーデウス・グレイラット!
ヒトガミに付き、俺の手で全てを失うか!
俺に付き、共にヒトガミと戦うか!
貴様なら、俺の呪いの効かぬお前なら、己の意思で選べるはずだ!」
ルーデウスはロキシーの手を離し立ち上がる。
オルステッド、ではなく知らぬ存ぜぬを突き通すように脇に浮かんでいるディアルガと視線を合わせる。
現在の状況を鑑みるにディアルガ側のキングはオルステッドなのだろう。オルステッドが信頼できるのなら、ディアルガは悪神ではない。ディアルガが悪神でないならば、オルステッドは信頼に足る。
「エリス…、オルステッドじゃない、その青いドラゴンをどう思った?」
「そいつはドラゴンの癖にお人好しでバカよ。そんなやつ自分のことを神だと信じてるみたいだし、ありえないでしょ?神なんてみんな好き勝手に決まってる。あ、でもそいつ結構エロ助よ?私の着替えを覗こうとしたんだから!」
とんだ事実が発覚したが、後で問い詰めることにしよう。このエロドラゴン。
エロドラゴンはエリスの直感的に悪神の類ではない、むしろ良神では?
だけど、本当に家族を守れるのか?
「お前の悩んでいることに答えよう。オルステッド、その加護にはヒトガミからその人を守ることができる効果がある。」
「あの…一つだけ良いですか?」
「構わん、言ってみろ」
「えと…あのとき断ったことは怒ってますか?」
ルーデウスが今1番恐れていること。それはこの強大な神が敵に回ることである。正直、ルーデウスにとっては今が大切だ。もしヒトガミ側に同等の実力者がいたとしても、あのヒトガミの親玉だ。悪い奴に決まっている。だから、ここがターニングポイント。
ルーデウスにとって大切なのは家族の安全。将来英雄になるのかなどどうでもよく、ただ幸せに暮らせればそれで良い。
「何のことを言っているか知らん。我がお前を勧誘したのは初めてだ」
そんな訳無いだろう。この神を完璧に信頼、信仰しているわけではない。だが脅してこないヒトガミよりは安全だし、信頼できる…気がする。
「じゃあ…あなた方の下に着きます。家族を、守ってください。」
小さな小さなドラゴンから青い光が放たれたような気がして、ヒトガミから解放され、家族が安寧を得られると達成感と清々しさを感じた。
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力尽きた