魔法科高校の劣等生〜我が世界に来たれ魔術士〜 作:ラナ・テスタメント
テスタメントです。
スマホに変えて書かなくなっていたのですが、オーフェンアニメ化の報を聞きまして
続きを書いてみようと慣れぬスマホでの執筆と相成りました
慣れぬ執筆で文章もおかしいかもですが、良かったらまたお付き合い下さいませ
ではオリエンテーション編⑤どうぞー♪
「おーほっほっほ! 無様ねモブ!」
「くくぅ……!」
せめて崎はつけてやれ――そう思いつつ、達也は四つ目のチェックポイントにおける結果を眺める。
お嬢様もかくやとばかりに(と言うかお嬢様なのだが)、頬に手を添えて高笑いを上げるは千葉エリカ。そしてその前に屈するは我等がモブ崎ならぬ森崎駿である。チェックポイントの前で待ち伏せされ、挑まれるもこれで四回。その全てで達也たちは彼等の班に勝利していた。
しかし、と達也はちらりと今回の戦利品を眺める。水が入ったペットボトルに、サバイバルセット、薪と炭、そして今回の米俵10kg。本来は一人頭1kgなのだろうが、分けるのが面倒との事で米俵で渡されている。言うまでもないが、もうこの段階で大荷物だ。しかも協力体制故に三回チェックポイントの課題を行う必要がある為、どうしても足が遅くなっている。幸い他も足が鈍っているので順位に変動は無いが……。
(やはりオーフェン先生も捻くれてるな)
これも彼の狙いだとなんとなしに悟り、苦笑する。チェックポイントで勝てば勝つ程荷物が増え、結果として遅くなるようにオーフェンは仕向けていたのである。幸い達也たちは協力して荷物を小分けにしているので何とかなっているが、他の班はそうも行くまい。実際、最初のほうで上位だった班は既に”いなくなって”いた。
足が鈍った所をやられたのだろう。今頃もかもか――――! と叫んでいるのが目に浮かび、達也は心底同情した。
「お兄様? あの、何故十字を切って……?」
「ん? ああ、済まない。ついな」
心の中だけで十字を切っている積もりだったが、実際やっていたらしい。きょとんとした深雪に微苦笑していると、戦利品を得たエリカが荷物持ち(レオ&幹比古)を連れて悠々と凱旋して来ていた。
「よくやってくれたな、エリカ」
「ふっふーん♪ どんなもんよ!」
褒める達也にピースしながら胸を張る。今回の課題は障害物競争……と言う名の天然アスレチックで、木から木へと飛び移りながら進むと言うものだった。そしてエリカはモブ……では無かった森崎含む他の班二人にストレート勝ちを納めたのである。流石、千葉家の娘と言うべきか。
「さて、後チェックポイントはいくつあるか……」
「貰った地図にはチェックポイントは記されてないのかい?」
荷をレオと担いで来た幹比古の問いに達也は首を振る。地図はルートがおおざっぱに書き込んでいるだけであり、チェックポイント等は特に記されていなかったのである。
(だが、問題はここからか)
「……達也、俺の見間違いじゃなけりゃあなんだが、こっから先って」
「ああ、オーフェン先生が言っていたポイントがある」
ここからしばらく進むと道が三つに分かれており、そこはそれぞれ不帰の砂漠、獅子千尋の谷、魔霊の廃墟と名が付いていた。確か砂漠には大砂虫、谷には怪鳥、廃墟には致死性の毒ガスが吹き出しているとか。
「……どれも禄なルートじゃないな」
「じゃあどうする? いっそ外れる?」
「いや、それは止めておこう。絶対ろくでもない事になるから」
エリカの提案を即座に却下する。恐らくと言うか確信を持って言えるが、ルートから外れた場合二度とこの森から抜け出せないとかも十分に有り得る。そうして戻って来たらもかもか室行きだ。
「ならどうするんだ? こんな大荷物持って砂漠超えとか勘弁だぞ」
「本格的に砂漠超えるならこんなものじゃ済まないだろうけどな」
レオに苦笑し、彼とは逆の理由で砂漠は却下する。もし砂漠超えするなら水、食料他の準備が圧倒的に足りない。まぁオリエンテーションで超えられる砂漠等、砂丘くらいとは思うが……。
(いや、オーフェン先生ならともかくあの執事絡みの場所だ。それも期待出来ないな)
どの道砂漠は無理と判断する。後あるのは獅子千尋の谷と魔霊の廃墟か。
「レオ。この荷物背負って谷を超えるのは大丈夫か?」
「俺は問題無いけどな……」
ちらりと他のメンバーを見る。いくら魔法を併用したとしても、この荷を持って谷を超えるのは体力が持ちそうに無い。特に美月が危険か。スクルドやエリカは平然しているが、ほのか、雫、深雪も心配である。谷をただ超えるだけならともかく、チェックポイントとついでに怪鳥が襲って来るとか言っていたので、やはり避けた方が無難か。だとするなら残るルートは一つ。
「廃墟しか無いな」
「いや、廃墟って達也くん。そこって毒ガス出てるんでしょ? 致死性の」
さらりと決めた達也にエリカがすかさず突っ込む。まさかオリエンテーションでそんな危ないものをと思いたいが、やはりあの執事だ。全く油断出来ない。スクルドを見ると、呆れ顔で頷いて見せた。だが……。
「相手が毒ガスなら問題無いさ。深雪、頼めるか?」
「もちろんです。お兄様」
達也の頼みに、にっこりと頷く深雪。このオリエンテーションは魔法を使用可なのだ。なら毒ガス程度、深雪にはなんら問題とならない。自慢の妹に頷き返し、さて決まったなと思った所で。
「廃墟だな! よし、そこのチェックポイントで決着付けてやる……!」
意気揚々と吠える森崎が居た。四連敗もしてまだ懲りてないのか、いやと言うより。
「……わざわざ待ってたのかモブ?」
「せめて崎はつけろぉぉぉぉぉ!」
「すまん、心から本当に」
「マジに謝るなよそろそろ泣くぞちくしょう!」
泣くのかモブ崎、それでいいのかと内心突っ込みつつ、達也は呆れるような視線を向ける。
彼の班員も「もう止めようぜ」「モブ崎、勘弁してくれ」と訴えていたが彼は聞き入れようとしない。ある意味根性が入っていると言えた。
「……まぁ、好きにするといいが」
「そのスカし顔を吠え面かかせてやるぜ司波ぁ!」
……そんな自分は自分でも見たい気がする。そう達也は心の中で思った、その瞬間!
「ではお見せしましょぉぉぉぉぉぉぉぉぉう!」
聞き覚えがありすぎる声が聞こえ、同時に“降って来た”ものに、あんぐりと吠え面をかくのであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
一瞬、その場に居た全員が確かに我を失っていた。降って来たものを見てだ。言うまでもなく、それはもかもか室、そして超時空はた迷惑執事たるキース……! いっそ優雅とも言える手つきで彼はこちらを指し示し、もかもか室の手が広がってーー。
「みんな、逃げるよーーーー!」
叫び声が間近で聞こえ達也たちは、はたと我を取り戻す。同時にもかもか室の手が襲いかかって来た。
「っーー!」
間一髪しゃがみ込み、回避する。頭上をもかもか室の手が通り過ぎ、それは別の生徒、森崎と同じ班の男子生徒を捕らえた。
「ひっ……いやだ、いやだいやだ! た、助けて……!」
「こ、小林! 待ってろ今助け」
「ダメだ森崎。もう……」
「うるさい!」
もう一人の班の生徒から静止されるも聞かず森崎はエア・ブリットを発動。手を無数空気弾が打ち付けるが一向に堪えない。そのままもかもか室は小林なる生徒を飲み込み。
「も、もかもかーーーーーーーー!?」
直後、悲鳴が上がった。あれでそれな感じの、断末魔が。
「小林ーー!」
「ふ、まずはお一人です」
「貴様……!」
もかもか室の屋根に立つキースを森崎は睨みCADを構える。だがそれを達也が引き止めた。
「やめろ森崎。無駄だ」
「ぐ、司波……!」
「あれに生半可な魔法が効かないのは解るだろう? それより今は逃げるべきだ。彼の犠牲を無駄にするな……!」
「く……っ!」
よりにもよって達也からの忠告である。当然森崎はくって掛かろうとするが、ちーんと言う音と共に排出され、真っ白になった小林氏を見て呻くに留めてくれた。流石にあれを見ては思う所があったのかくるりと振り返り駆け出す。達也もすぐに走り出した。深雪たちはもう前を走っており、かなり先まで進んでいた。よく見るとスクルドがほのかと美月を抱えて誰よりも前を走っている。
(いや、そもそも最初に叫んだのは彼女だ。……流石だな)
伊達に同居はしていない。突発的なキースにも見事に対応してくれる。そしてもかもか室は逃げ遅れた生徒たちを飲み込み終わり、ようやく動きはじめようとしていた。その上で座布団敷いて正座し、茶なんぞを啜っている執事を苦々しく思いながらも、達也は足を早めた。
この先は森の切れ目、ついに最終チェックポイントである魔霊の廃墟なる毒ガス地帯に突入するーー!
はい、オリエンテーション編⑤でした。次終わるとはなんだったのか(汗)
申し訳ない。次回こそ終わる予定であります。
そして二年もお待たせした事に改めてお詫びを(汗)
申し訳ありませんでした。
また読んでいただければ幸いです。
ではでは、また次回をお楽しみにです