映画のスーパーヒーロー着地をみて人形たちはふと思いついた。「これ私たちでもできるんじゃね」

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映画のスーパーヒーロー着地をみて人形たちはふと思いついた。「これ私たちでもできるんじゃね」
人形たちが映画の真似をするようです。


スーパー人形着地

 グリフィン第二十支部O地区。時々パラデウスや鉄血人形が迷い込んでくるくらいでいたって平和な地区だ。二年前まではパラデウスや鉄血人形の中規模な襲撃が頻繁にあったが、パラデウスに愛車を壊され髪の毛と血管がブチ切れたこの地区の指揮官、バー・コードにより撃退された。それ以来、野良犬が迷い込んできたレベルでしか鉄血もパラデウスもやってこない。

 今日は人も寄り付かない河川敷に鉄血を見かけたと通報があったので出動したが、いたのは壊れた銃を持っていたリッパー一体で、弾代節約のために殴り殺させた。

 

 コード指揮官はご機嫌だった。P7とART556により破壊された愛車、クラリスが戻ってきたのだ。人形に壊されたのだから会社負担で修理できないかとグリフィン会計部の若者に額が血で赤く染まるまで土下座をし、なんとか会社負担にしてもらい、先ほど修理が終わった愛車が帰ってきた。それだけではなく今日の出動もリッパー一体だけなのも大きい。報告書を書くのがとても楽だった。

 普段は自分のことをハゲとか時代遅れのバーコードとか、端末のコード読み取り機を当ててくる忌々しい人形共だが、今日はサイダーとスナックでも差し入れしてやろう。

 そう思い定時を過ぎた後、クラリスに乗り、街の食料品店でサイダーとポテトチップス一ダースを買ってきた。買ってきたものは家事人形に渡し、指揮官も車から降り、地下駐車場を出た。

 

 入り口の前につくと、人形たちが集まって騒いでいる。皆一堂に屋上を見ている。指揮官も屋上を見てみると、数名の人形たちが立っていた。まさか飛び降り自殺かと焦ったが、指揮官に気づいたグリズリーにそういうのではないと説明を受けた。

 彼女によるとみんなで映画を見ていて、スーパーヒーロー着地のシーンで人形たちなら実際にできるんじゃないかと思ったらしい。映画が終わった後、複数名の人形が名乗りを上げた。T-5000とKLINが挑戦し、膝を潰して修復室行き。カルカノM1891が挑戦して華麗に成功。Vectorも挑戦して成功。

「Vector君がねぇ。彼女はそういうのは付き合わないと思っていたよ。それはそれとしてT-5000君とKLIN君の件はゆっくり聞かせてもらうからね」

 グリズリー曰くVectorは付き合い悪くないらしい。彼女が副官を担当するとき、昼食に誘っても毎回断られている指揮官は意外に感じた。

 

「次はAK-15が挑戦するよ。指揮官も応援してあげて」

 他の人形と一緒に応援する気にはなれなかったが、止めるのも無粋だと思い、指揮官は黙って見ていることにした。髪の毛こそないが、多少は若者のノリを理解する心はある。

 昔は妻と映画館巡りをしたこともあるし、スーパーヒーロー着地の名前の由来となった映画も、上映開始されてすぐ妻と見に行った。

 最近はどんな映画をやっているのだろうか、今度妻のサーシャと映画でも見に行こうか。そんなことを考えているとAK-15が飛び降りた。

 

 人形たちはAK-15は普通に成功するだろうと思っている。映画みたいにコンクリートにヒビを入れながら豪快に着地すると考えていた。MDRはネット掲示板に動画を載せるため撮影していた。

 

 AK-15は着地を決めようとしたが、勢いあまってアスファルトを粉砕し、地下にあった何かをつぶして着地した。そしてカメラを持っているMDRの方を向く。このAK-15、何気にノリがいい。

 

「この着地方法は非効率ですね。目立ちます」

 そう言ってAK-15は去っていった。

 

「あれってもしかして指揮官の車だよね・・・・・・」

 

 グリズリーはいつの間にか近くにいた指揮官に問いかける。この基地の駐車場は来客した人間のために入り口の下あたりに作られている。作戦で使う軍用車は別なのだが、私用車等も地下駐車場に止めている。そして特殊作戦用人形がふざけて飛び降りることなど想定していない。指揮官の愛車はものの見事に潰れていた。廃車確定だろう。

 

 グリズリーは何回か指揮官に呼びかけてみたが、反応がない。ショックで声もでないのだろうか。

「また、修理すればいいよ。それに、移動には基地の車を使えばいいじゃ・・・・・・」

 グリズリーが言い終わる前に指揮官は倒れてしまう。

 指揮官が頭を打たないよう、慌てて抱き留めるグリズリー。

「指揮官、しっかりして・・・・・・」

 

 

 人形たちの呼びかけに指揮官はまったく反応しない。

 

 

「しっ、死んでる」

 

 

 


 

 

 

 

 2月10日:グリフィン支部における人形たちのヒーロー着地は禁止されました。ヒビの入った地面の修理費は誰が出すのか考えてください。あなたたちの指揮官ですよ。

 追記:MDRが撮影してネットに挙げた動画は削除されました。





グリフィン第二十支部O地区:指揮官が自宅から通勤できるくらい平和な地区。

バー・コード指揮官:今回の主人公でバーコードハゲ。特技は土下座による謝罪だが、やるときは毛根を犠牲にしてでもやる。
妻と娘と犬がいて家から基地に通勤しているが家庭に居場所はない。唯一の居場所は愛車のクラリスの中。人形たちに壊された愛車はまた壊れた。人形たちに対しては恋愛感情はない。ハゲネタでいじられまくってるからそりゃね。ショック死した。
享年五十二歳。愛車のクラリスと共に眠る。


グリズリー:車好きで指揮官とは仲がいいし、指揮官の娘とも仲がいいが二次創作にありがちな恋愛感情を指揮官に抱くことはない。
グ「恋愛感情?ハゲたオッサンだよ。ありえないって」



スーパーヒーロー着地:もとは三点着地だが、某映画で主人公がこう呼んだため広まった。膝に悪い。

AK-15:そんな膝に悪いスーパーヒーロー着地をしても平気な人形。強い。そしてさり気なく色々やってくれる。



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