銀魂の世界に蓬莱のお姫様が迷い込んだ話   作:芋けんび

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最後に投稿してから日経ち過ぎィ!
息を吹き返したので続き上げます…



課題「迷廻廊の輪」

 

「桂ァ!今何キロ!?」

 

「唐突な鳥人間コンテストの名言はやめろ銀時ィ!」

 

進路を妨害するかの様に立ち塞がる天照院奈落を斬り捨てながら、自身の幼なじみであり、そしてまた、戦友である銀時にツッコミ入れる桂。

 

狙うは先代将軍の首のみ。攘夷戦争の忘れ土産を、雪辱を晴らす時が来たのだ。

 

「狂乱の貴公子にして、攘夷党の党首。攘夷戦争で白夜叉と共に破竹の勢いで幕府軍や天人軍に抵抗し続けた古き侍。吉田松陽の弟子達が再び肩を並べ、天に吼えようとは…。天変に遭いて、天を恨む者があろうか。如何なる凶事に見舞われようと、それは天が成し事。天が定めし宿命。天に抗うなど無意味だと知れ」

 

「ふむ…?卿の知り合いか?」

 

「いえ。過去に一度、刃を交えた事が。殿、寛政の遺児にございます」

 

「ほう。大獄の…。各地に散らばる攘夷を煽動せし活動家不穏分子は、大名公家に至るまで容赦なく粛清したと思っていたが…」

 

「殿、侍達はアレで終わった訳では有りませぬ。指導者を失い、侍達が次々と剣を捨てていく中、大獄よりある者を奪還せんと決起した者達があったのです。それがそこの者達です」

 

「先代将軍、徳川定定!貴様ら幕府の非道の行い、俺は片時も忘れた事は無かったぞ!俺達から師を奪い、侍の誇りをも奪った幕府に今こそ天誅を下さん!行くぞ、銀時ィィィィ!!」

 

「てんめぇ!行くぞって言いながら天上の遣い共を俺一人に押し付けて突っ走んじゃねーよ!それ見捨ててるのと何も変わんねぇだろうが!」

 

「うぉおぉぉぉぉぉ!!」

 

「人の話を聞けェェェェェ!!」

 

怨敵を目の前にして、やや猪突猛進気味の桂。背後から襲い掛かって来た天照院奈落を斬り捨てながら、銀時は桂の後を追いかける。

 

「まぁ…。囲まれてしまったわねぇ」

 

「ぐーやんよ。やはり主は神楽や新八達と共に先に逃げるべきだったのだ。主に摩訶不思議な力がある事は、先程見せて貰ったが故に理解はしている。だが、武器を持たずにこれだけの人数を相手にするなど無謀じゃろう。どうするつもりなのだ?」

 

「 云った筈よ。私の心配はしなくていいの。貴女達は自分の身を守る事だけに集中して頂戴な」

 

輝夜の言葉に、月詠は不満そうな表情を浮かべながらも素直に頷いた。

そして、彼女はクナイを構えながらこう告げる。

 

「わかった。じゃが、これだけは約束してくれぬか?絶対に死ぬでないぞ?」

 

「ええ、勿論よ」

 

輝夜の言葉を受けて安心したのか、月詠はそれ以上は何も言う事はなかった。

だが、そんな二人の会話に水を差さんとばかりに天照院奈落の構成員達が襲い掛かる。しかし、それは信女によって防がれた。

 

「余所見は禁物」

 

「今宵の月は沈まぬ。いや、沈まさせはせぬ」

 

月詠が地面を蹴って飛び上がり、クナイを天照院奈落の構成員達の首に向けて投げる。クナイは的確に彼らの首に命中し、彼らはそのまま息絶えた。

 

信女も負けじと刀を一閃し、次々と天照院奈落の構成員を斬り捨てていく。

 

「…………!」

 

すると、二人を相手にするのが不利だと判断したのか、一人の天照院奈落の男が輝夜へ狙いを定めた。戦場において武器を持たぬ者は無力でしかない。自身の身を守る術を持たない輝夜など、相手からすれば格好の餌食である。

 

「あの二人と比べたら何の危険性も感じないから当然私を狙うでしょうね。でも、それは少し浅はかじゃないかしら」

 

男が勢いよく錫杖を振り下ろすーーが、次の瞬間にはバラバラに砕かれ、地面に転がっていた。女が錫杖に手を触れていない(・・・・・・・・)にも関わず、だ。

 

男は何が起きたのか理解出来なかった。瞬き

をした一瞬の間に、自分の得物が砕かれていたのだから。

 

「えい」

 

鈴を鳴らすような可愛らしい声と共に、五つの玉の付いた枝を横に振るう。すると、輝夜の中心に息を呑むほど美しく光り輝く紅色の円形の物体が現れる。

 

そして、その中心の物体が一瞬強い輝きを放ちながら男目掛けて一直線に飛んで行った。

 

「がっ!?」

 

輝夜が枝を振った瞬間、男の身体がまるで見えない力に引っ張られるかのようにして勢いよく後方へ吹き飛んだのだ。そして、男は壁に強く叩きつけられ、そのまま気を失ったのか地面に倒れ伏した。

 

「うーん…。威力は可能な限り弱くしたつもりなのだけれど、まだまだ力加減が難しいわね」

 

輝夜は、自分の攻撃の威力が強すぎたことに少し反省をしているようだ。だが、その威力は並の人間を遥かに超えるものだった。

 

手も触れずに相手の得物を粉々にし、訳も分からない謎の玉が付いた枝を一振るいして紅く煌めく円形の物体を出現させる。

 

そして、その物体は凄まじい勢いで男目掛けて一直線に飛んで行ったのだ。この一連の流れが僅か数秒の間に起きたのである。

 

「能力が自由に使えないのがこんなに面倒臭いとは思わなかったわね。まぁ、この程度ならどうにでもなるのだけれど…あら?」

 

一人で駄目なら大勢で囲んで袋叩きにすればいい。目で合図し合った天照院奈落の構成員達が一斉に輝夜に飛び掛かろうと試みた。

 

だが、結果は先程と全く同じ。輝夜の周囲から赤く輝く物体が出現し、天照院奈落の構成員達目掛けて飛んで行く。

 

そして、彼らは先程と同じように吹き飛ばされた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「先代将軍、徳川定定。まさか、25時間テレビのチャリティーマラソンを見物しに来た先で、幕府の重鎮たる貴殿と相見える事になろうとは。江戸城前で欽ちゃんを一目見ようとずっとスタンバってた甲斐があったというものだ。幕府転覆の時は今!」

 

「だから何年前の話をしてんだっつーの!お前自分が指名手配されてんの本当に分かってんのか!」

 

銀時と桂は、定定を目掛けて突っ込んで行く。だがーー

 

「地獄の底に朽ちた鬼共が何故また天に逆らう? 天が定めし運命に噛み付くなど無意味と知れ」

 

天蓋で素顔を隠す男は、まるで機械音声のような冷淡な声でそう呟くと、桂の懐に入り込み腹部に手を翳して桂の体を吹き飛ばそうとした。

 

「ヅラァァ! ううううおおおォォォォォォォ!!」

 

銀時が叫び声を上げ、男の後頭部を勢いよく蹴り飛ばす。男はその衝撃で前のめりになった。

 

木刀を振り翳して追撃を仕掛けようとするが、男は銀時の攻撃を難なくかわし、そのまま後方へ飛び退いた。

 

「背後が隙だらけだぞ」

 

「………!」

 

先程吹き飛んだ桂が、男の背後から刀を振り下ろす。咄嗟に刀を持つ手を握って地面に桂叩きつけるが、第二波の攻撃が迫っていた。

 

銀時が階段の手すりを使って大きく跳躍し、男の頭上に飛び上がる。

 

「…成程。先程の攻撃は囮。本命は此方と云う訳か。だがーー」

 

錫杖を抜刀して頭上に迫る銀時の木刀を防いだ後、男はそのまま仕込み錫杖を振り回して壁に銀時を叩きつけた。

 

「結果は何度やろうと変わりはせん。奪われた師を救おうと立ち上がり、全てを失った日を忘れたか? 鬼は大人しく地獄に戻るがいい」

 

「へっ、馬鹿云うんじゃねーよ。俺がいつ鬼になったって? どっからどう見ても人間だろうが。天に昇るは月か太陽か。どっちか決めようじゃねーか。なぁ、天の遣い(パシリ)様よォ」

 

ゴト…

 

「……!?」

 

銀時と男の足元に球状の物体が転がってくる。タイマーには『10』と表示されており、それが段々と数が減っていく。

 

時限式の爆弾だった。

 

「オラァァァァァ!!」

 

一瞬だけ男の注意が逸れた事を見逃さなかった銀時は、そのまま男目掛けて木刀を振り下ろす。

 

男は咄嗟に仕込み錫杖で受け止めるが、銀時が男の肩を掴んで強引に壁へと押し付けた。

 

5、4、3・・・

 

銀時を引き剥がして抜け出そうとするが、追い討ちを掛ける様に、一本の刀が男の被る天蓋に命中する。

 

「…おのれ…!」

 

「離れろ銀時!」

 

「云われんでも分かってらァ!」

 

2、1・・・

 

バァァァァァン!!

 

タイマーのカウントが0に切り替わり、爆発音が城に響き渡った。

 

煙が舞い、周囲には焦げた臭いが充満する。

 

「……」

 

男は爆発に巻き込まれたものの、頬から僅かに血を流している以外は目立った外傷は殆ど無かった。

 

どうやら素顔を隠していた天蓋は爆発の衝撃によって吹き飛んだらしい。縮れた銀髪と血色の悪い肌。光の宿さない鋭い眼差し。顔には大きな刀傷の跡。

 

銀時はその顔に見覚えがあった。

 

「お前…」

 

「フッ。お前のその目は何時見ても変わらんな、白夜叉」

 

「そうか。通りで俺を知ってる訳だ。まさかお前のツラをもう一度拝む事になるたァ」

 

「どれだけの年月が流れようと、消える事のない心の痛み、苦しみ。大切なものを奪われる事の絶望」

 

男は、銀時に対して何か思うところがあるらしい。淡々とした口調でそう語る男の瞳からは、まるで心を持たない機械のような印象を受けた。

 

天照院奈落の構成員達が男の傍に控える。

 

「天に仇なした大罪人、悪逆非道の徒。貴様らが取り戻さんとした師、吉田松陽はもうこの世には存在せん。お前はまた同じ過ちを繰り返すつもりか」

 

「吉田…松陽…?」

 

「おや、殿は吉田松陽を覚えておいでで?」

 

「覚えておらんなぁ。踏み台になった芋虫の死骸など一々記憶しても無駄であろう。して朧よ、その吉田松陽とやらは何を仕出かしたのだ?」

 

定定は心底興味なさそうにそう答えた。

その言葉に、銀時と桂の表情が変わる。

 

「はて、私も覚えておりませぬ。ですが…確か、片田舎にて童共に剣と手習いを教えていたと記憶しております」

 

「それだけかね?」

 

「お言葉ですが殿、無闇に徒党を組むものあればこれも謀反の種として処理せよと仰せ使っております故」

 

「成程な。私の見立てに狂いはなかったようだ。吉田松陽…かような不届き者共を生んだが罪よ」

 

「黙れ…黙れェェェェェ!!

 

「待て!銀時!これは罠だ!」

 

目を血ばらせた銀時が定定に斬りかかる。しかし、彼の持つ木刀は虚しく空を切った。

 

「がっ…はっ!?」

 

男の拳が銀時の腹部にめり込む。肺から空気が一気に抜け、口からは血反吐が零れ出た。

男は銀時の首を掴んで持ち上げると、そのまま壁に強く叩きつける。

 

「……っ!?」

 

「経穴を突いた。自由に体を動かす事は出来ん。早く毒を抜かねば死ぬぞ」

 

そして、毒針を銀時の体に突き刺した。

 

「銀時ィ!」

 

桂が男に斬りかかるが、男はそれを難なくかわし、桂の顔に手を当てて気功波のようなものを放った。吹き飛ばされた桂は、そのまま地面へと倒れ込む。

 

「そこで見ているがいい白夜叉。お前の大切なものがあの日と同じように壊れていく様を」

 

「くそ……くそ! 動け!動けぇぇぇぇぇ!!」

 

天照院奈落の構成員達が銀時と桂に襲い掛かるが、ぐらりと体が突然揺れ、地面に倒れ伏した。

 

 

 

「大丈夫かしら?助けに入るのが遅くてごめんなさいね。前も後ろも囲まれて身動きが取れなくて…」

 

 

「か…ぐや…?」

 

 

上空から響く女の声。視線を上に彷徨わせると、ふよふよと空中に浮かび上がった輝夜の姿があった。




一人だけドラゴンボールみたいな事やってる…
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