蓬莱山 輝夜ってどんな人?
A
・自分を連れ出そうとする者には、五つの難題を与える。
・妹紅(輝夜に求婚した貴族の娘)とは殺しあう仲。
・月の住人にして永遠を生きるお姫様。
・常人には宇宙人の行動も思考回路も不明。
・天真爛漫で呑気者。
「何処に行ってやが…!あ、やべ。ゲフンゲフン!…何処に行ってたんですか輝夜さま。私どもは貴女様を必死で探していましたよ」
「江戸を案内して欲しいってお願いしたのは私なのに、突然いなくなってしまってごめんなさい。つい久方ぶりの「外の世界」に舞い上がってしまって。それと、敬語は無理して使わなくてもいいわ」
銀時は「そうか?なら、お言葉に甘えてそうせてもらうわ」と言いながら輝夜の隣を並んで歩き始める。
外の世界と言われても、銀時は大した疑問は抱かなかった。「お姫様」って言ってたし、外の世界を余程知らない箱入りの娘なんだな、とせいぜい思うくらいであった。
「たく、驚いたぜ。人混みの中に消えてったと思ったら、もう姿が見えなくなっちまってんだからよ。次どっか行く時は勝手に動き回らないで、俺達に一声かけろよ。それより、その怪我…」
「怪我?ああ…これね。大丈夫よ、すぐ治るわ」
「治る?どういうことだそりゃ」
「そのままの意味よ。
「へえー、神楽と同じ怪我が治る体質ねェ」
「神楽ちゃんと…同じ?」
「ああ。怪我がすぐ治るって要はあれだろ、漫画でよくある怪我を負っても次の一コマでは何故か怪我が治ってるアレみてーなよォ」
「それと一緒にされるのはちょっと…」
「いやいや、一緒みたいなもんだろうよ。考えてもみろ、友情、勝利、努力の三大原則がある天下のジャンプだって「こいつ、こんなに血だらけなのに何で動けるんだ?」みたいなシチュエーションがあるだろ?いちいち細かいことに拘ってたらジャンプなんか読めねーって」
銀時のよくわからない例えに、困惑気味に「ジャンプ…?」と首を傾げる輝夜。最後の部分に至ってはもはや、ただジャンプが読みたいだけになってるのだが、残念ながらジャンプの存在を知らない輝夜には微塵も伝わっていない。
そして、銀魂屈指のツッコミキャラである新八はフラりといなくなった輝夜を探す為に別行動を取っているので、此処にはいない。
「ほら、これやるよ」
乱暴に投げ渡されたものを両手で受け取る。そこにあったのは掌に収まる小さな紙が敷き詰められた「何か」だった。
「? これは?」
「ポケットティッシュだ」
「ぽけっと、てぃっしゅ?」
「ん?ポケットティッシュを知らねーのか?ティッシュはあれだよ、汚れとか拭き取ったり、包んだりして捨てる目的の、薄くて柔らけぇ紙切れだ。さっき客引きのねーちゃんから貰ってよォ。ケツ拭く時とかにも使うだ…痛てぇ!?」
ティッシュとは何なのかを、銀時なりに説明をしていた時、不意に後頭部を誰かに叩かれる。
頭を摩りながら「頭が割れるぅぅゥぅ!?誰だよ一体!!」と振り返りながら痛みの元凶を睨み付けると、そこに立っていたのは新八と番傘を差した神楽だった。
「お姫様の前で「ケツ」とか汚い言葉を使わないでくださいよ。悪影響になりますよ」
「ぐーやん怪我してるアル!一体何があったネ!?」
「大丈夫よこれくらい。少し呉服店に入ったら事件に巻き込まれただけだから」
「いやいや、どういう巻き込まれた方したら首元から血が出るんですか!?明らかに「少し」じゃなくて大事件に巻き込まれてますよね!?」
「てめーら!いきなり人の後頭部を叩くとか何考えてやがんだ!銀さんの頭が壊れたらどうしてくれんだ!」
「心配しなくても銀ちゃんの頭は前から壊れてるアル。叩いても直らないブラウン管のテレビと一緒ネ」
「人の頭をブラウン管テレビと一緒にするんじゃねェ!大体、ケツなんて誰でも言うだろうが。液晶の先ではキャーキャー持て囃されてる芸能人だって、見えねぇとこじゃケツケツ言いまくってんだ。今更ケツが汚いなんざ言わせねーよ」
「ここはオブラートに包んで、おケツって言うべきアル」
「いや、何でもかんでも頭に「お」付ければいい訳じゃないからね?」
「何でアルか。「お」を付ければ何か上品でセレブなお嬢様っぽい言葉になるのに」
「ならないからね!?なったとしても、それは極一部なだけであって、ケツはどう頑張ったって上品にはならないよ」
「なんだァ?じゃあ結野アナは上品じゃねーって言いたいのか?謝れやゴラァ!」
「誰も結野アナの話はしてねーよ!」
「ケツ…?よくわからないけれど、今江戸ではそういうのが流行ってるのね」
「ぎゃあああああああ!!今すぐ忘れてください!それは悪魔の言葉ですから!」
「ぐーやんに何とんでもない言葉教えてるアルか!このド腐れ天パが!」
「悪いのは俺じゃねぇぇぇぇ!そもそもおめーらもケツケツ言ってただろうが!どうすんだよコレ、間違いなく保護者の方ブチ切れるよ!斬首刑だぞオイ!つーか、光り輝く宝石みてーな正統派の美少女キャラを、こんな汚い作品に出しちゃダメだろうが!ゴリラ何やってんの!?今更になって思い出したように方向性を変えても、こびり付いた汚さは消えねーよ!」
微笑みながら何ら疑いもなく「ケツ」と口にした輝夜に万事屋の三人が慌てふためく。当の本人は特に気にした様子もなく「江戸には知らないことが色々ある」程度にしか思っていなかった。
四人で江戸を見て歩くこと数時間。
公園の遊具に興味示した輝夜は、万事屋を誘って現在公園に来ていた。輝夜と神楽は楽しそうに滑り台で遊んでおり、その近くのベンチには銀時と新八が座っている。
「にしてもよォ、姫さんやたら気配消すの上手くねーか?一番最初に姫さんがいないことに気付いて追いかけて行ったハズの神楽が追い付けないって、相当じゃねーのか?」
「確かにそうですね。
「格ゲーキャラなら壊れ性能で即修正されるやつだぜありゃ」
「ぐーやんの気配を感じたアル!こっちこっち!」と全速力で駆けて行った神楽だったが、夜兎の強靭的な脚力と気配察知を以ってしても、姿を見失ってしまったという。
「急にぐーやんの気配がパッたり消えたアル」
遊びから戻って来た神楽が、”あの時”の奇妙な出来事をありのままに語る。いの一番に追いかけて行ったからこその違和感。神楽の隣を歩いていた輝夜は、それに対して軽く微笑みながら「私にそんな能力はないわ」と呟く。
「(僅かとはいえ私の気配を察知した?力の調整を誤ったかしら。いえ、これは…。なるほど、確か神楽ちゃんって夜兎族なのよね。戦闘に特化した種族だから、須臾の中にいた私の気配を僅かに感じたのかしら。本能的に気配を察知するなんて
須臾とは、他の存在が認識出来ないほどの一瞬である。私はこの能力で「他人と同じ時間」と「他人と違う時間」を同時に過ごす事が出来る。
「姫さんひょっとして、ワンピ〇スの剃とか、ブリ〇チの瞬歩か響転でも使えんの?」
「ワ、ワン…?ごめんなさい。言葉が難解で私にはわからないわ」
「マジで?ガキの頃は誰しも「卍解…ッ!」って自分の内なる力を解放しようとしたり、オリジナルの悪魔の実を考えたり「ゴムゴムの〜!」とか言ったりするのが流行ってたんだがな」
「ふふっ、いいわねそれ。私も流行りに乗って力を解放する時は「卍解…ッ!」って言ってみようかしら?教えてくれてありがとう、銀時さん」
「プッ。ブハハハハ!は、腹がよじれるアル!」
「銀さんに”銀時”さん”は何というか、似合いませんね」
「外野うるせぇぞ!…あー、その”銀時さん”ってやめてくんない?呼ばれ慣れてねェからよ。呼ぶんならせめて銀さんにしてくれ」
「? 銀さんね。わかったわ」
輝夜に「銀時さん」と呼ばれ露骨に顔を顰める。これまで呼び捨てや銀さん、坂田さん、天パ、旦那、万事屋、と呼ばれることや、独特な名で呼ぶ人物はいた。だが、銀時の覚えている限りでは、名前にさん付けという非常にシンプルな呼び方をする人物はそう多くはない。
「それにしても、万事屋さんは賑やかねぇ。一緒にいて退屈しないから、永遠亭の皆にも会わせてあげたかったわ」
心配性な私の側近は、外に出ることを許してはくれなかった。月からの追手を危険視してるのもあるが、それ以上に主の身の安全を考えてのことだろう。
「(普段頭良いのに、私があれやりたい、これやりたいって言ったら、すぐ否定的になるんだもの。過保護が過ぎるわね)」
「永遠亭?旅館か定食屋の名前か何かか?」
「いいえ、違うわ。永遠亭は私が暮らしてる大きな屋敷のことよ。迷いやすい竹林の奥に建てられているの」
「ジャングルみたいに迷路になってるアルか?」
「そうね。いつも深い霧が立ち込めてて、竹の成長が著しいから入る度に景色変わるし、目印になるような物もないから自力で永遠亭に辿り着ける人はいないわ」
「いやいや、何でそんな場所に屋敷を建てたんですか!?」
「私は追われてる身だから、地上に隠れ住む為に此処に建てる他なかったの。今はその心配はないんだけどね」
「ちょっと待って」
銀時が片手を突き出した、ビックバンポーズで待ったをかける。
「さっきから追われてる身だとか、地上に隠れ住む為にだの、一体何の話だよ?」
銀時に同調する様に新八と神楽が頻りに頷く。輝夜の事情を知らない万事屋からすれば当然の疑問だろう。
「私は月から地上にやってきたお姫様なの」
「おいおい。それってまんまかぐや姫の物語じゃねーか。まさか、モノホンのかぐや姫です〜とか言い出すつもりか?そんなの世迷いごとなんざ俺は信じねーからな」
「そうですか?僕は信じますけど…。輝夜さんの雰囲気というか、漂ってるオーラは、明らかに浮世離れし過ぎてると言いますか…」
「ぐーやんは「かぐや姫」って言われても違和感ないネ。私と同じ美人さんアルからな」
「私と…同じ…?」
「なにアルか、その疑いの目は!?何か文句があんのかゴラァ!」
「ふふっ、嬉しいわ。褒めてくれてありがとう神楽ちゃん」
見るものを癒す柔らかい笑顔を浮かべながら、神楽の頭を撫でる。撫でる手つきは慈愛に満ちた優しいものだった。文句も言わず目を細めながら黙って撫でられたままだった神楽は、ポツリと「…ぐーやんってマミーみたいアルな」と照れを隠すように独り言を零す。
「これだから青くせェガキは騙されやすくて困るぜ。いいか?女はな、化粧や身なり、髪型を変えるだけで別モンのように生まれ変わる生き物なんだよ。ポケ〇ンで例えんなら、ルージュラがメガシンカしてサーナイトに変わる感じだ」
「別モンってか、種族そのものが変わってんでしょーが!エスパー要素しかあってないし!何でメガシンカしたらこおりタイプが消えてフェアリーに変わるんですか!?」
「凍てつく心の殻を打ち破って新たな自分に生まれ変わりたいっていう強い意志が形となった結果だろ。メガシンカにはそういう意味合いが…」
「ある訳ねーだろ!」
「いやいや、ルージュラは自分の外形にコンプレックスを持ってるネ。ルージュラの「ルージュ」はきっと口紅をしてでも綺麗になりたいっていう願望が詰まってるアル」
「別にルージュラって名前は自分で付けてる訳じゃないからねあれ。ポケ〇ンを発見した人がそういう名前を付けたってだけですから」
「賑やかねぇ。良きかな良きかな」
取って付けたような、ちょっとそれっぽい事を言って有耶無耶にしようとしてる銀時に呆れ果てる新八。名前の由来を勝手に考察し出す神楽、楽しそうに微笑みながら場を見守る輝夜と言う、もはや定番になりつつある構図が出来上がっていた。
おまけ
輝夜「今まで、何人もの人間が敗れ去っていった五つの問題。貴方達に幾つ解けるかしら?」
銀時「問題だァ?テスト問題ならノーサンキューだぜ。つーか、何そのラスボスっぽいセリフ。ラスボスになりたい願望でもあんのか?姫さんよ」
神楽「真のラスボスが「魔王」じゃなくて「お姫様」って斬新な発想でいいアルな!」
新八「ちっとも良くないんですけど!?お姫様をぶん殴る勇者とか各方面から苦情きて炎上するのが目に見えてますって!そもそも、斬新ですけど、盛り上がりには欠けると言うか…」
神楽「黙るネ、ダメガネ。そんなだから人気投票でずっと8位になるアル。幾ら名前が”新八”だからって狙い過ぎなんだよ」
新八「ちょ、ひどっ!?別に僕が狙ってやってる訳じゃないですからねあれ!?」
輝夜の戦闘描写はあった方がいい?
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できればあった方が良い
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無くてもいい
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作者に任せる