なお、純真無垢なお姫様は「これが江戸では当たり前の言葉」だとすぐ信じる模様。
銀時が謎の声に悩まされてる中、勝手に話がトントン拍子で進んでいき、いつの間にか缶蹴りをする事になっていた。
この場から引き剥がす目的であった爺やと見廻組副長の信女も何故か巻き込んで。
わぁーと楽しそうな声と共に一斉に全員が散っていく。
『江戸城ってこんな大きいのね。私、なんだかワクワクしてきちゃったわ』
「何がワクワクしてきちゃっただ。人の気も知らないで勝手にテーマパークに来ました!みたいなノリで楽しんでじゃねーよ。つーか、誰だテメェは。何処にいんだ」
隣にいる新八や月詠には聞こえないくらいの小声で姿が見えない相手に「正体を現せ」と話し掛ける。
『私は永遠を楽しむ者。永久を生きる月人よ』
「なに厨二病みてェなこと言ってんだ。そういうのはな、やってる間は楽しくても、将来大人になった時に恥ずかしくなんだよ。悪いことは言わねェ、穴があったら入りたい青春を送りたくなかったら今すぐやめなさい」
『厨二病…?初めて聞く病名だわ。永琳だったら何か知ってるかしら…っと、そうじゃないわね。それよりも、余り城中で目立った行動をしない方がいいわ。貴方達、どうも
「監視だァ?そんなの解ってるぜ。そこの番犬だ『そうじゃないわ』…おい、言葉を遮んじゃねーよ」
不満げに眉を下げつつ言葉を漏らす銀時。
「(この女の声、どっかで聞いたことあんだよなァ…。昨日の飲み屋のねーちゃんにも似てるような気はすんだが…いや、まさかな)」
同時に、鈴が鳴るような綺麗な女の声には聞き覚えがあった。
「お前、もしかし「早く缶を蹴るんじゃ銀時!」」
「あーもう!黙れ!今いい所なの!そもそも何で俺までこんなガキの遊びに参加しなきゃならねーんだ!ドちきしょうが!どうせ城の中嗅ぎ回ってんのがバレたら首が飛ぶんだ!やってやらァァァァァァ!」
『あっ、待っ…』
一瞬聞こえた制止の声は銀時には聞こえなかったようで、そのままやけくそ気味に叫んで空き缶を全力で蹴り抜く。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!──んっ!?」
「騒がしいぞ、そよ。全くお前は…。少しは将軍の妹という自覚を持て」
旋回しながら真っ直ぐ飛んでいった空き缶は、偶然にも障子を開いた人物にぶち当たる──その直前、大きく旋回していた空き缶の動きが、徐々にスローモーションになり鈍くなっていく。
「………」
否、
空き缶だけではない。
自由気ままに晴空に流れる浮雲でさえ動くことを止め、庭にいた銀時達、城内の人間らも不自然な格好のまま静止していた。
しかし、直ぐにまた何事もなかったように動き始める。
「や、やっちまった…」
ただの空き缶とは思えない強烈な爆発音と共に砂埃が舞う。
両目を見開き、口元をパクパクさせながら「やべぇ…やべぇよオイ」とうわ言のように繰り返す。
「将軍かよォォォォォォ!!」
不運にも銀時が蹴った空き缶は現将軍、「徳川茂茂」の額に直撃してしまった。
急いで将軍の元に駆け寄る。
「ぬああァァァァァァ!!ちきしょう…俺はどうしたらいいんだ…将軍を、将軍を殺っちまった!殺っちまったよ!」
『
「な、何をしとるんじゃ銀時っ!?」
「俺は空き缶をただ蹴っただけだ!そしたら急に将軍が障子を…!」
ドンドン!と、畳を乱暴に殴りながら必死にこの場を上手く切り抜けられる方法を頭の中で考える。
こんなことが人にバレでもすれば、打首獄門は避けられないだろう。
「落ち着け銀時。気を失ってるだけじゃ。早く手当をせねば…」
「白髪とパツキン見っけ。あれ……?」
「何だ、どうした?」
「貴方達の他に一瞬人の気配を感じた…ような気がしたから咄嗟に刀を抜いたんだけど、気の所為だったかも知れない。ほんの僅かなものだったから」
「ああそうかい。だったら俺に刃物向けるのやめてくれない?俺を処すつもりかお前。ん?もしかして、お前もこの"変な声"って聞こえたりする?」
『い、いきなり問答無用で斬り掛かるなんて…!江戸の人達は随分と血の気が多いのね』
「声…?何の話?」
「だから、この声「缶踏んだ」人の言葉遮んなって言ってんだろうが!!そしてそれ缶じゃねぇ!」
缶蹴りの鬼をやっていた信女が、将軍のジョイスティックを当たり前のように踏みつける。自分が踏んでいるモノが缶じゃないとわかると────
「バラした方が早い」
「お前の早まり方が早ぇ!」
「将軍さま、先代将軍、定定さまがいらっしゃいました。如何なさいましょうか?」
「はっ!?やべぇ!早く証拠隠滅して何とか誤魔化さねェと!」
「待て銀時。わっちにいい考えがある」
「やめろ!この流れからそのセリフは確実に悪いフラグが起こる前触れじゃねーか!」
『…神楽ちゃん達は全然帰って来ないわね。こんなに騒音を立てているのに…』
◆◆◆◆
銀時が現将軍を誤って
新八と神楽を城の外に連れ出した半目の白服の男、『佐々木 異三郎』
エリート出身揃いの見廻組の局長で、丁寧な口調と礼儀正しい物腰だが、本姓は傲慢かつ冷徹。並々ならぬ野心を内に秘めた男である。
「さ、佐々木さん…それってどういうことですか?」
「どういうことも何も、今言った通りです。先代将軍は傾城を利用したんですよ。国崩しの道具として。そうして傾城という餌にまんまと引っかかった抵抗勢力を狩り…彼は将軍の座に昇りつめた」
佐々木は感情の読み取れない無表情かつ半目で重々しく先代将軍と傾城について語る。
「そんな…。じゃあ、あの約束は…」
「形骸した幕府に未だにしがみついて己の傀儡となる将軍を擁して愚かな狩り続ける…そんな男が秘密を知る道具を外に連れ出す、なんて虫のいい話をすると思いますか?」
黙り込む2人を他所に、隊服のズボンから愛用の携帯を取り出す佐々木。
「ここは我々に任せて早くメルアドだけ私に教えて帰りなさい。此処はもう彼の狩り場なんです」
「いや、メルアドってそもそも僕らは携帯なんて持ってないんですが…」
「携帯がない?いけませんね…では、君達にも新しい携帯をあげますからこれで私のアドレスを登録して下さ」
そんな時、佐々木の背後にキラリと光沢を帯びた『何か』があった。ソレはみるみる佐々木の心臓に迫っていた。
しかし────
「…がっ!?」
苦しそうな誰かの声が聞こえてきたかと思いきや、木製の格子を突き破って覆面の男が倒れ込んでくる。
「うわ!?ひ、人が急に…!」
「こいつ、手に刀を持ってるネ。ひょっとして佐々木を狙ってたんじゃないアルか?」
神楽の言う通り、白目を剥いて倒れた覆面の男の手には刀が握られていた。
「…なるほど、確かに少々お喋りが過ぎましたからね。秘密をベラベラ話した相手を始末しに来ても何もおかしくはありません。ですが、ここで一つ疑問が残ります。それは──」
自分の命が今まさに取られていたかも知れない、そんな状況だったにも関わらず、顔色一つ変えない佐々木。
「誰がこの刺客を気絶させたのか、です。このエリートである私が気付きもしなかった”暗殺者”を私に察知されずに気絶させるとなると、余程実力持った人物である事は紛れも無い事実です」
「エリートは別に関係ないんじゃ…。そもそも、何でそんな冷静なんですか佐々木さん。貴方、今
「…ぐーやん?」
「え、急にどうしたの神楽ちゃん。輝夜さんがどうかしたの?」
「ぐーやんの気配をほんの少しだけまた今感じたアル。でも、前回と違って一瞬で消えたネ…何で?」
「直ぐ…消えた?輝夜さんは昼頃に僕達とすぐ別れた筈じゃ──」
三人に近付く影が五つ。
足音のする方を方角を見ると、役人と思わしき男が皆一様に驚いた表情している
「聞いていた話と違うではないか!…まぁいい。見廻組局長の佐々木異三郎殿。貴方にはそこの賊とその仲間を城中に手引きし、幕府重臣を殺害した容疑がかかっています」
「んだとぉ!誰が賊だゴラァ!」
「ちょっと!神楽ちゃんっ!?」
「あの狸ジジィは私が邪魔でしょうがないようですね。私は逃げも隠れもしませんので、どうぞ煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」
姫さまの能力がチート過ぎるため、物語の進行を考えた上では多少なりとも弱体化させるしかなかった…
不甲斐ない作者をどうかお許しください。
輝夜の戦闘描写はあった方がいい?
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できればあった方が良い
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無くてもいい
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作者に任せる