気が付いたら俺は俺を見下ろしていた。
何を言ってるかわからねぇと思うが………って前もこのくだりやったな。
このバカは何を言ってんだ?と思っているそこの君。本当なんだよ。
幽体離脱みたいに俺の身体が地面に鎮座していて、俺は俺を見下ろしてるんだよ。
うん、やっぱり何を言ってるのかわからねぇな?俺もさっぱりだ。
「……てかここどこだよ」
見渡す限り砂しかない。
四方八方砂だらけ。綺麗な夜空に照らされて幾千万の砂が光り輝いております。
天国にしてはユミルちゃんがいないぞ?まさか地獄か?
いや、そもそも俺は森で糞王とその糞兵士をモグラ叩きしてたよな?いや叩いてたのはユミルちゃんだけどさ。
ガチで死んじまったか?ここが三途の川もとい三途の砂浜か?それとも渡りきった後か?
せっかくスーパー巨人パワーを手に入れて糞王殺して、これからユミルちゃんと結婚してイチャイチャウフフなラブラブ生活を送れると考えていたのに全て無に帰ったのか?マジ?
俺の第二の人生は終了でココはもしかして転生部屋?
クソ萎えるけど、もし第三の人生あるなら異世界チートハーレム物でお願いします。もちろんヒロインは貧乳金髪美少女で!……おいロリコンって言ったやつ表出ろ。
……………うーん?
本当に死んだ後か?こんだけ馬鹿なこと考えるほど頭回ってんのに死んでるのか?まあ転生なんて超絶摩訶不思議な事を体験してるし、ココがあの世です!って言われても納得はするけど、俺のIQ53万な脳は違和感を感じ取ってるぜ。
「そう、何かとんでもない違和感が………お?」
もう1人の
いや違うわ!よく見ると脚がムカデみたいに沢山あってどちらでもないわ。めちゃくちゃキモイけどなんだコイツ?
意識が朦朧としてたから全然覚えてねぇけど、水に落ちた時に俺とユミルちゃんに近付いてきた奴に似てる気がする。
なんでココに?こんな砂と空しかねぇのに生物が生きていけるんか?
『キィ』
「え、気持ち悪。ミミズなのに鳴くん?足?触手多すぎない?キモいなお前」
『………』
「え!言葉通じるタイプ?いや違うんだって!今のは心の声がダダ漏れっていうか、いや思ってない。そう一切思ってないよ」
『…………』
「悪かったよ!謝るってすまん」
『キィィ』
「許してくれる?ありがとうね」
『キィ』
「もしかしてキィしか喋れない?もうちょい意思疎通方法ないかな?ココがどこで君がナニで今何が起こってるのか教えて欲しいんだけど」
「キィキィ」
俺の言葉に頭を縦に振る触手ミミズ。なんか意外に可愛いか?いやダメだやっぱキモいわ。ほら、なんかこっちに触手伸ばしてきてるし。
「うわ指に触手絡めてくるな───」
突如の閃光。
眩むほどの光が触手と接触した指から放たれ俺の体が巨人になった。
「おぉーー!?」
意識飛ぶ前に作った時は、無理しすぎて皮なしの上半身だけっていうスプラッタ仕様だったけど、今の俺は違う!
全身しっかりある!しかも初回の時みたいに強そうな姿だ!
前世でどんだけ筋トレしても手に入らなかった理想のゴリマッチョボディがここに!!ほぼ人外っぽいのが残念だけど。
まぁ巨人になったユミルちゃんをお姫様抱っこできそうだしヨシッ!
「ってアホな事してる場合じゃねぇよな」
そうだわ。俺はユミルちゃんを庇って血を流しすぎてぶっ倒れたんだ。
最後に見たユミルちゃんの顔、めっちゃ泣きそうだったし早く戻ってあげないと、ただでさえトラウマ抱えまくりのユミルちゃんが不安で泣き崩れちゃう!
巨人の身体からさっさと降りて帰り方を聞かねえと!
スーパーヒーロー着地だ!!
ドゴン。と鈍い音が周囲に響いた。
「さて、見事なスーパーヒーロー着地だった。完璧だったな」
頭のてっぺんまでついた砂を払いながら謎生物に近づく。果たしてこいつが教えてくれるかどうか。おい、着地は成功したからな。別に失敗したから流してるわけじゃねぇぞ、、。
「おい、触手ミミズ!」
『………』
「あー!あー!ごめん!怒んな!!触手伸ばしてくんな!?」
「ミミズ、じゃねぇな!ムカデ先輩!ここからどうやって戻るんだ!?」
『キィ』
「だからその鳴き声じゃ分かんねぇって!」
焦る俺を他所にムカデ先輩はスルスルと俺から離れて砂の地面を這っていく。
その後を追うように視線を上げると空が眩しいくらい輝いた。
「……マジかよ」
夜空だと思っていた暗闇の真ん中に、光り輝く巨大な柱が立ち上った。
一本の柱っていうか、細いもんが何本も重なって出来たような。てか上の方が枝分かれを始めてまるで大樹のような形になっていく。幾筋もの光が宇宙の果てまで伸びているように見えてクソ神秘的だ。
『キィ……』
ムカデ先輩がその光の樹を指し示すように触手を揺らし、俺の指に触手を絡ませてくる。痛くしないでね?
「っ………」
キーンと耳鳴りみてぇのがする、なんだ?脳に流れ込んでくるみてぇな。
『……オレがこの世を……を貸せ』
『すべ…の……民に……』
『オ…の名前は…エレン……』
誰だ?誰かいるのか?名前?頭がクソ痛え……!!
「やめろ!!」
『キィ』
「ああ、言えばやめてくれるんや。え?何?なんなの今の?」
『キィキィ』
「なるほどね。完全に理解した(してない)」
『キィキィキィ』
ムカデ先輩がまた触手を伸ばしてくる。今度は痛くしないよ。って言ってるみたいだ。心で感じた。信じられねぇけど頼るのがコイツしかいねぇからなぁ。
とりあえずさっきの意味不明は全部終わってから考えよう。後回しだ後回し!!
「や、優しくしてね…?」
シュルシュルと触手が指に絡んできた。ちょっとエッチな気分にならんわ。
「ん??」
急に脳内にインスピレーションが湧いてきた。夜中の3時まで起きてると謎に湧いてくる力みてぇな感じで、だ。
ここは『道』
時間も空間も存在しない、すべての巨人の力が交わる場所。
そして、この無限にある砂を使えば、現実の肉体を修復することも、巨人の体をいくらでも作り出すこともできる………らしい?
「なるほど……?全然わからんがムカデ先輩が俺達を助けてくれたわけね」
俺は足元の砂をひとつかみ手に取った。
サラサラとした、不思議な感触。これが俺たちの血肉になるのか。
………!!これをユミルちゃんの胸に当てれば、まさか……!!いや落ち着け俺。今度ユミルちゃんと一緒に来て試すまで焦るんじゃない。
「ふぅ………サンキューな、ムカデ先輩!」
『キィ』
「アンタが俺とユミルちゃんに、生きる力をくれた。巨人のパワーについては原理はさっぱりだけど、持ちつ持たれつでやっていこうぜ!とりあえず、俺の体を超特急でフルリペアしてくれ!」
砂を握りしめ、強く念じる。
現実世界で、俺の帰りを待っているたった一人の大切な女の子のために。
「すぐ戻るぜユミルちゃん……!!」
光の樹が眩く輝き、俺の意識は再び強烈な光に飲み込まれていった。
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「……っ、ハァッ!!」
大きく息を吸い込み、跳ね起きるように目を開けた。
視界に飛び込んできたのは、クソどんよりとした灰色の空と森の木々。血塗れ煎餅になった人間の数々。
「ヤマ……!?」
横から信じられないものを見るような、それでいて心の底から安堵したような声が聞こえた。
「ユミルちゃん!!」
そこには、涙で顔をぐちゃぐちゃにしたユミルちゃんがいた。
血溜まりの中で、冷たくなっていくはずだった俺の手を必死に握りしめていてくれたようだ。天使や。
俺は自分の体を確認した。矢が刺さって千切れかけていた右腕も、動かなかった足も、跡形もなく綺麗に治っている。
あの『道』での時間は現実ではほんの一瞬の出来事だったらしい。身体にブッ刺さってた矢とかどこいったんや?不思議パワーすぎるけど、今は後回しだ。
「ごめん、ただいま」
俺はなるべくいつものように軽く笑って見せると、ユミルちゃんは大きな瞳からポロポロと大粒の涙をこぼし、俺の胸に勢いよく飛び込んできた。
「わぁぁぁぁぁん!!ヤマ………っ!!」
「おっと!!ごめんな心配かけて」
子供のように声を上げて泣くユミルちゃんを新しく作り直された腕でしっかりと抱きしめる。あったけぇ。ほんとにお互い生きてて良かった。
お久しぶりです|ω・`)
進撃の巨人を久しぶりに全巻見ましたがやはり最高に面白いですね!!