やはり俺のぼちキャン△は間違っている。   作:乱A

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(`・ω・)今回、視点変更が多いいです。
後、以前から時々使うけど「=」で挟む部分はナレーションの声で脳内再生してください。


第十話「四尾蓮湖キャンプと牛鬼オバケ」

「牛鬼、おばけ、都市伝説、都市伝説…としでんてつ…」

「それじゃ亡霊じゃなくキングなボンビーが出て来るぞ」

 

少しばかり驚かせすぎたのか、志摩は青い顔をしてぶつぶつ呟いている。

 

「丑三つ時になる前に寝れば良いだけだろ」

「…それもそっか」

 

諦めたのか割り切ったのか志摩は平常運転に戻りトコトコと歩いて行く、ちょろい女だぜ。

対岸に辿り着くとこんなに良い景色と場所なのに俺達の他にはテントが一つだけとほぼ貸しきり状態である。

 

「さてと、何処にするかだが」

「向うに直火OKの場所があるよ」

「じゃ、其処にするか」

「うい」

 

そして場所を決めると何時ものごとく程々に距離を開けて其々にテント設営にかかる。

志摩のテントは吊り下げ式で俺のはスリーブ式である。

 

「よし、新記録」

 

キャンプを始めた頃はけっこう手間取ってはいたが、流石に半年以上もやっていれば手馴れて来る。

同じ様にテントを張り終えた志摩が携帯バーナーで沸かしたお湯でココアを作ると俺にも勧めて来た。

 

「比企谷も飲む?」

「おう、サンキュ」

「前から聞こうと思っていたけど比企谷はこっちに引っ越して来る前もキャンプしてたの?」

「いや、こっちに引っ越して来た時にカブと一緒にキャンプ道具一式爺ちゃんに貰ったんだ」

「そうなんだ。私もキャンプ始めたのは中一の時にお爺ちゃんにテントを貰ったのが切欠なんだ」

「案外爺ちゃん同士キャンプ仲間だったりしてな」

「だったら面白いね」

 

=ビンゴである=

 

「さてと、俺はちょっと散歩して来るわ」

「じゃあ、私は火を熾してまったりしてる」

 

そう言いながら志摩は焚き火グリルを組み立て始めた。

 

「お、志摩の晩飯はひょっとして焼肉か?」

「ふふふ、比企谷だけに抜け駆けはさせない」

「で、何の肉を買って来たんだ?」

「……途中、ゼブラに寄ったけど豚肉とカルビしか無かった」

「まあ、焼肉やるには季節外れだしな。俺の時はちゃんとした肉屋で買ったし」

「そ、そんな裏技があったなんて……」

 

いや、裏技ってそれほど大したものじゃないだろう。

 

「まあ、俺の晩飯は鳥鍋作るから分けてやるよ」

 

そう言うとorzとうな垂れていた志摩はがばっと顔を上げて目を輝かせていた。

この食いしん坊さんめ。

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

カシャリ

 

山並みや湖面に映る紅葉などを撮りながら歩いて行く。

我ながら中々出来の良い写真だ、後で戸塚達にも送ってやろう。

 

「こんにちは、ひょっとして向うのテントの方?」

「え?ひゃ、はい、そうでしゅ」

 

うわ~、また噛んでしまった。

俺達のより本格的なテントだし、調理道具なんかも充実している。

かなりのベテランキャンパーの様だ。

これから料理をするのだろう、テーブルには材料や調味料が乗せられており、その他には料理酒……と思ったら酒その物だった。

 

「グビグビ、うい~~」

 

テーブルの向こう側にはこの時間に既に出来上がっている女性がビールを飲んでいた。

 

「じゃ、じゃあお邪魔しました」

「はい、どうも」

 

軽く会釈してその場を後にする。

カップルかな?カップルだろうな~~。

リア充砕け散れ。

 

 

 

はい、まったく成長していません。

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

なでしこ~

 

ヴー、ヴー、

 

「う、うぅ~ん」

 

あれ、そうかあたし温泉入ってのんびりしてたら寝ちゃってたんだ。

あ、八幡君からラインだ。

 

 

八《四尾連湖なう》

 画像(湖畔に写る紅葉と夕焼け)

 

な《うわー、綺麗だね》

 

八《だろ、来て良かったよ》

 

な《あたしも今度行きたいなー》

 

八《ま、機会はあるさ》

 

な《八幡君は一人なの?》

 

八《一人で来たんだが、偶然志摩も同じ場所だった》

 

 

……八幡君とリンちゃん、二人一緒なんだ。

 

 

な《へー、そうなんだ》

 

八《今から晩飯の準備だ、撮った写真は月曜日にやるよ》

 

な《うん、楽しみにしてるね。じゃーねー》

 

八《おう》

 

 

 

 

そっか、八幡君とリンちゃん、二人でキャンプしてるんだ。 

 

チクンッ

 

「あ、あれ?今の…何?」

 

何か胸が痛かった。

八幡君………、あれ?

 

「四尾連湖の写真…、こうよう……、ゆうやけ………」

 

え~~と、ゆうやけってことはゆうがたで、ゆうがたはよるのまえで……

 

「あ、あきちゃん!あおいちゃん!もう4時過ぎてるよーーーっ!」

「あふぇ~~」

「うぎゃぁーーーーーっ!思いっきり寝過ごしたぁーーーーっ!」

「あかんって~、それは私のおまんじゅうや~~」

「寝ぼけてんじゃねえーーーーーっ!」

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

八幡~

 

散歩を終えてテントに戻ってみると志摩が焚き火グリルの前でうな垂れていた。

 

「何があった?」

「…比企谷、火が……火が点かない」

 

どうやらありったけの着火材を使っても炭に火が移らず火が熾せないらしい。

 

「まあ、さっきも言ったけど俺の鍋食わせてやるから今日の所は焼肉は諦めて…」

「やだ、やきにくがいい」

 

まいった、すっかり拗ねてやがる。

俺は着火材なんか持って来てないし、かといって他の物で代用出来るほどベテランでもないし…、ベテラン?

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

志摩~

 

ふう、何時まで眺めていても火が点くわけでもないしいい加減諦めるか。

 

「おーい、志摩」

 

比企谷の声が聞こえたので振り向いてみると誰かを連れて来ていた。

 

「ベテランさんを連れて来た」

「火が点かないんだって?」

 

ベテランさんはグリルの中の炭の具合などを調べる。

 

「これは備長炭だね。火力も強いし長持ちもするけど火が点き難いんだ」

 

そう言ってベテランさんは成型炭を持って来てくれてグリルの中に入れて火を点ける。

 

「後は程好く火が熾った所で崩して、その上に備長炭を乗せればじきに点くよ」

「有難うございます」

 

一時はどうなるかと思ったけどこれでようやく焼肉が食える。

 

「二人は一緒にキャンプしてるの?」

「い、いや~~、違いまスヨ。同じ学校で偶然同じ場所になったダけデすヨ、はイ」

 

…たしかにそうだけど、其処まで必死になって否定しなくてもいいじゃないか。

 

「あはは、じゃあがんばってね」

 

ベテランさんは手を振りながら戻って行き、私達も食事の準備をする。

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

八幡~

 

「よし、丁度いい頃合だ」

 

鍋の蓋を開けると野菜や鶏肉がぐつぐつと煮えており、我ながらだが食欲をそそる出来栄えだ。

 

「こっちも焼けたよ」

 

志摩の方も焼き鳥や豚バラなどがジュージューと油が跳ねていて美味そうだ。

 

「ねえ比企谷、さっきのお礼に少しおすそ分けしない」

「そうだな、じゃあ持って行くか」

 

そしてそれぞれの料理を使い捨てのお椀と皿に乗せてベテランさんのテントへと持って行く。

 

「すみません」

「あれ、さっきの人達」

「先ほどはお世話になりました。お返しといっては何ですがどうぞ」

「うわ~、美味しそうだね。別に気にしなくても良かったのに」

 

ベテランさんは俺達の料理を受け取ると、自分達の鍋の中から何やら掬い出している。

その傍らで彼女さんは未だに飲み続けている。

 

「じゃあ、これはお返し。ちょっと作りすぎちゃって」

 

そう言って差し出して来たのはジャンバラヤである、これも美味そうだ。

 

「ひょっと、あんたらひ~~、あひゃひのひゃけを~~」

「はいはい、酔っ払いは気にしないでね」

 

苦労しそうだな、彼氏さん。

 

「ありがとうございました」

「ご馳走になります」

「こっちこそありがとう、気をつけてね」

 

お返しのお返しを受け取って俺達は自分達のテントに戻る。

ジャンバラヤ、鍋、焼き鳥、鍋、焼肉、ジャンバラヤ…と、ローテーションで食べて行く。

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

志摩~

 

「食ったな~~」

「食べ過ぎた」

 

さすがに量は多かったけど残すのはもったいないので完食した。

焼肉に使った炭を種火にして焚き火を熾し、すっかりと暗くなった湖面を見つめる。

 

「ねえ比企谷」

「ん、何だ?」

「比企谷はこっちに来てからキャンプを始めたって言ってたよね」

「ああ、まあ子供の頃は爺ちゃん達とキャンプはよくしたけど」

「そうなんだ」

 

お爺ちゃんとって事は山梨でしてたって事なんだよな。

じゃあ、子供の頃に比企谷に会った事とかあるのかな?

 

「ふあ~~、俺そろそろテントに戻るわ」

「あ、うん、お休み」

「おう、お休み~」

 

比企谷はテントに戻り、私はココアを飲みながら考える。

 

「また聞けなかったな」

 

何故一人で山梨に来たのか、何故一人暮らしなのか。

色々と話す様になって、以前よりずっと仲良くなったとは思うけどやっぱり怖くて聞けない。

 

「何時か聞ける様になるのかな?……なれたらいいな」

 

月を見上げながらそう思う。

 

 

 

 

 

=丑三つ時=

 

 

「うう~ん、水分取りすぎた。トイレ」

 

用を足してテントに戻る際に湖面を見ると星空が映っていた。

 

「綺麗だな、やっぱり私湖畔でのキャンプが好きだな」

 

そんな風に湖面を見つめていると…

 

『ヴモ~』

 

「……うそ…だよね」

 

そうであってくれと横を向くと其処には黒い影に大きな角が。

 

『ヴモォォ~~~』

「ひえあぁぁーーーーー!」

 

嘘嘘嘘嘘うそうそうそうそぉーーーーーー、ホントに出たぁーーーーーっ!

 

 

 

 

「う゛もあ~、あ~、頭痛い~」

「ちょっとお姉ちゃん、夜中に徘徊するの止めてよ。もー、頭に枝なんか付けて」

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

「う、うぅ~ん」

 

夕べは酷い目にあった、まさか本当に出るとは。

後は……、比企谷にばれる前に早く自分のテントに戻らなくちゃ。

 

「そ~と、起こさない様に」

 

幸い、比企谷は向こう側を向いているので大丈夫だろう。

 

「お休み」

 

よく寝ている比企谷に挨拶をして”比企谷”のテントを出て行く。

 

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

八幡~

 

「お休み」

 

ザッザッザッと足音が離れて行く。

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

お休みじゃねえよーーーーーーーっ!

何だよアイツ、何なのアイツ、何してくれちゃってんだよアイツ!

何で俺のテントで寝てんだよ、ふと目が覚めたら目の前に志摩の寝顔があるって、心臓止まるかと思ったわ!死ぬかと思ったわ!

叫び声上げなかった俺を褒めたい、よくやったぞ八幡!頑張ったぞ八幡!

 

そしてスマホを見ると……

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

何してんだよ俺、何してくれちゃったんだよ俺、何で志摩の寝顔撮っちゃってんの?

目を覚まさなかったから良かったけど、ばれたら通報ものだぞ!

 

でも……

 

「可愛いな」

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

可愛いじゃねぇだろうがぁーーーーーーーっ!

あーーーーーー、もう!あーーーーーー、もう!

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

志摩~

 

テントに戻り、寝袋を片付けようとすると……

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

何がお休みだよ、お休みじゃないだろうがぁーーーーーーっ!

何だよ私、何なの私、何してしまったんだよ私!

いくら怖かったからって何で比企谷のテントで寝ちゃったんだよ私!

心臓ドキドキして、ホントよく眠れたよ私。

 

そうしてスマホを見ると…

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

何してるの私、何しちゃったの私、何比企谷の寝顔撮っちゃったの?

目を覚まさなかったから良かったけど、ばれたらどうなっていたか。

 

でも…

 

「意外と寝顔可愛いんだ」

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

可愛いじゃないだろぅーーーーーーーっ!

あーーーーーー、もう!あーーーーーー、もう!

 




(`・ω・)甘酸っぺぇーーーーーーーーーっ!
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