それと、恵那視点で地の文と()に分けるのって変だとは思いますが、あえてこの形を取りました。
斉藤~
さて、困った。
何が困ったかと言うと目の前の親友である志摩リンの事だ。
「う~~~~~」
図書室のカウンターにうつ伏せで倒れこみ、ずっと唸っている。
多分、土日の四尾蓮湖でのキャンプが原因なのだろうが今日一日、この状態である。
どうしたものかと思っているとリンはスマホを操作して写真をスライドしていく。
そして数枚目の写真を見た私の口から「ぶほふぁっ!」と変な声が出た。
(な、何これ?何で比企谷君の寝顔が?)
ただ単に比企谷君が写っているだけなら何時もの様にからかってる所だけど流石にコレはからかえる範囲を超えている。
うすうす気付いてはいたけどやはりこれで確定だ。
(やっぱりリンってば比企谷君の事好きなんだよね)
私が居る事には気付いていないらしくスマホの画面を眺めながらニヨニヨしている今の内にリンのお団子を一旦解き、ちょっとしたアクセントを加えて改めて纏める。
(ここまでやって気付かないって逆に凄いよね)
さてと
「あ、比企谷君だ」
「うひゃおういっ!」
髪型いじくっても反応しなかったのに比企谷君の名前出したら反応するって……
「さ、斉藤?」
「やっほー」
慌ててお手玉してたスマホの画面を待ち受けに戻すがもう遅い、寝顔の画像はすでに確認済みだ。
「あれれーおかしいぞー。なにをそんなにあわてているのかなー」
「にゃ、何でもないじょ」
顔を真っ赤にしながらスマホを隠す様に抱きしめる。
くそう、可愛いな。
カシャリ
思わずその姿を撮影する。
「ちょ、ちょっと待て。何故写真に撮る?」
「いや、何となく」
「何となくって、いいから消せ」
「だが、断る!」
リンは私のスマホを奪おうとするがそうはさせじと右へ左へと移動させる。
「あんまり暴れると比企谷君のスマホに誤送信しちゃうよ」
「うっ、うう~~」
「じゃあそろそろ帰るね」
これ以上しつこくすると本当に送信されると思ったのか、「う~~」と唸りながらも大人しくなる。
「大丈夫、大丈夫、本当に送ったりしないから」
「信じられるか!」
「そんな事したら、からかうネタが減るからそこは信用してくれていいよ」
「なおさら悪いわ!」
マフラーを括り、鞄を掴んで扉に手をかけて振り向きざまにリンに話しかける。
「でも、冗談抜きで告白した方が良いよ」
「だ、だから比企谷とはそんなんじゃ…」
「はいはい」
「人の話を聞けーーーっ!」
図書室を後にして歩きながらも思う。
(初々しい二人を見てるのも楽しいけどやっぱり告らせたい)
まあ、現実問題として比企谷君の方が問題なんだけどね。
ー◇◆◇ー
廊下を歩いていると、あまり人は通らない裏口に比企谷君がいた。
丁度良い、リンとの事を煽ってみようとそ~と近づくとスマホを眺めている様でその画面を後ろから覗きこむと「ぶほふぁっ!」と変な声が出た。
(な、何でこの人リンの寝顔撮ってるのっ!?)
ひょっとしてリンのテントに忍び込んだのかと思ったが、よくよく見るとテントの色がリンのとは違う。
つまり……
(リンが比企谷君のテントに忍び込んで寝顔を撮ってそのまま寝て、その後に目を覚ました比企谷君がリンの寝顔を撮ったっていう事か)
何やってんのよ、この二人。
というより何でリンは比企谷君のテントで寝てるの?
比企谷君は私が後ろにいる事に気付いていないらしく写真をスライドさせていく。
山並みや湖畔に紅葉の写真に夕食であろう、鍋と焼肉の写真。
そしてリンと二人で撮った自撮りの写真、そして最初の寝顔の写真に戻る。
もう確定だろう、比企谷君もリンに惹かれているのは間違いない。
実際、「う~~~~~」と唸りながら写真を見ている彼の耳は真っ赤だ。
さてと
「あ、比企谷君だ」
「うひゃおういっ!」
覗き込んでいた事がばれない様に、曲がり角まで戻って名前を呼ぶ。
「さ、斉藤?」
「やっほー」
慌ててお手玉してたスマホの画面を待ち受けに戻すがもう遅い、寝顔の画像はすでに確認済みだ。
「あれれーおかしいぞー。なにをそんなにあわてているのかなー」
「にゃ、何でもないじょ」
顔を真っ赤にしながらスマホを隠す様に抱きしめる。
くそう、こっちも可愛いな。
カシャリ
思わずその姿を撮影する。
「ちょ、ちょっと待て。何故写真に撮る?」
「いや、何となく」
「何となくって、いいから消せ」
「だが、断る!」
比企谷君は私のスマホを奪おうとするがそうはさせじと右へ左へと移動させる。
「あんまり暴れるとリンのスマホに誤送信しちゃうよ」
「うっ、うう~~」
「あはは」
軽く笑うが此処までのくだり、リンと全く一緒だよ。
本当にこの二人、相性が良いな。
「大丈夫、大丈夫、本当に送ったりしないから」
「信じられるか!」
「そんな事したら、からかうネタが減るからそこは信用してくれていいよ」
「なおさら悪いわ!」
「でも、冗談抜きで告白した方が良いよ」
「だ、だから志摩とはそんなんじゃ…」
「はいはい、じゃあ私帰るね」
「人の話を聞けーーーっ!」
…ほんとーに相性良いなこいつら、さっさと告ってほしい。
ー◇◆◇ー
志摩~
くそう、斉藤め変な事言いやがって。
告白だって……、それが出来れば苦労なんかしないのに。
そんな事を思いながら廊下を歩いているとすれ違う皆は不思議そうな顔をしながらこっちを見てくる。
「何なんだ?」
下駄箱に行くと丁度比企谷も帰るところらしく靴を履き替えていたのでさっと壁に隠れる。
今日はずっとこの調子で比企谷からは逃げてばかりだ。
ちゃんと向き合って話がしたいけど、どうしても二の足を踏んでしまう。
比企谷がいなくなるのを待ってから靴を履き替えて私も家へと帰る。
ラインでなら話が出来るかな?
スマホを取り出してとりあえず挨拶を打ち込む。
リ《…よう》
八《お、おう》
さて、これからどう話を繫げていけば良いのかだが…向うも何だかぎこちないのは気のせいかな?
リ《どんな感じ?》
八《まあ、そんな感じだ》
そんな感じってどんな感じだよ。
ああ、自分でも何言ってるのか分からない。
リ《なんと言うか…うん、四尾蓮湖楽しかったね》
八《まあな。次は夏辺りに行ってみたいまである》
リ《そうだね。私は期間限定で冬だけキャンプしてるんだけど、ああいう所なら夏に行っても良いかも》
八《冬だけ?なんか勿体無いな》
リ《何だか冬キャンプが好きなんだ》
八《まあ、人の好き好きに文句言わないけどさ》
リ《今度は春からも続けるかどうかは考えてみるよ》
八《それが良い。お前とのキャンプも結構楽しいしな》
リ《ありがと》
…ラインとはいえ、けっこう普通に話せるな。
ちょっと気にしすぎたのかもしれない。
私が比企谷のテントに忍び込んでたのもばれていない筈だし。
八《へるぷみー》
リ《何があった?》
八《各務原に見つかった》
リ《がんばれ》
八《一人だけ逃げる気か》
リ《 (・ω・)ノシ 》
ラインの画面を閉じると何処からか『ぶちょう、八幡君を捕まえました』『よーし、でかしたぞなでしこ部員』『おす!』とか聞こえて来た。
そうだよな、気にしすぎなければ良いんだ。
そう思えば気分もすっきりして家に帰る足も軽くなった気がした。
明日からは比企谷とも普通に話せるだろう。
ー◇◆◇ー
八幡~
くそ、各務原め。
結局あの後、野クルのメンバーにレクチャーみたいな事をさせられた。
野クルに入部したつもりは無いのにな。
それにしても、ラインとは言え志摩とは普通に会話出来たな。
ちょっと気にしすぎたのかもしれない。
俺が寝た振りしてたのもばれていない様だし。
そうだよな、気にしすぎなければ良いんだ。
そう思えば気分もすっきりして家に帰る足も軽くなった気がした。
明日からは志摩とも普通に話せるだろう。
ー◇◆◇ー
志摩~
皆が変な顔してたのはこの所為か!
家に帰り、顔を洗おうと洗面所の鏡を見てみればそこには比企谷みたいなアホ毛がちょこんと生えていた。
「さ、斉藤め!」
こんな事をするのはあいつしかいない。
何してくれてるんだよ、何度櫛を入れてもぴょこんと元に戻る、何かの呪いか?
でも、おそろいと思えば……
じゃ、ないよ!せっかく気分落ち着いて来たのに!
まあ、お風呂入ったら元に戻ったけど。
「もったいなかったかな」
じゃ、ないよ!
=翌日=
斉藤~
さてと、どうやらあの二人はお互いに寝顔撮り合ってる事には気付いてないみたいだし、今日もあの調子なんだろうな。
仕方ない、私が一肌脱ぎますか!
「あれ?」
「おす、志摩」
「うい、比企谷」
「今日も良い天気だな」
「休みだったら丁度良いキャンプ日和だったのにね」
「それな」
何普通に会話してるの?
と言うよりもう見た目ただのカップルじゃない。
さっさと付き合ってよ!
(`・ω・)本日の勝敗、斉藤の負け。(骨折り損のくたびれもうけ)