始まりは一つの
あらゆるゲームのランキングを総なめした天才ゲーマーが異世界へと転生したのは。
だが一つ考えてみてほしい。
異世界は
そう、異常だ。
唯一神が天才ゲーマーを違う世界に転生させてしまったら。
これはそんな物語。
「ナーブギア、ねぇ」
無職童貞ニート。
三拍子揃った青年がソファでだらけながら携帯ゲーム機を弄っていた。
「折角異世界来たってのに、値段がこれじゃあドン引きだ。廉価版待つのもなんだかなぁ」
「にぃ、メール」
「あ~はいはい……ん? かやばあきひこ?」
世界は彼らを中心に回っていた。
「なるほど、空白に是非とも自慢のゲームを遊んでほしいというわけか……機体は寄越してくれるって書いてあるぞ。どうする白」
「自分の体動かすの、めんどい」
「そりゃまぁ完全同意だが仮想空間らしいぞ?」
「興味は、ある」
とんとん拍子に話は進み。
発売日まで時は進む。
……彼らはSAOの世界へ足を踏み入れた。
「じゃあいくぞ白」
「じゅんび、ばっちぐー」
せーのっ
「「リンクスタート!」」
Welcome to Sword Art Online!
始まりの街、第一層。
空白は全ての準備を完了させていた。
「よぉーし、やるぞ」
「おー」
空が少し……完全なへっぴり腰で剣を振るう。
それは一定の型をなぞり、システムアシストを受けてソードスキルと変化した。
「初級ソードスキル、スラント。単発斜め斬りで発動っと」
「……こっちも覚えた。ホリゾンタル。単発水平斬り」
仮想世界での戦いは初めてだが、空白に敗北はない。
それが例えエリアボスであったとしても、PVPでも、レアモンスターでも。
あらゆるゲームで必勝無敗の伝説を打ち立てていったのが「」(空白)である。
「じゃあ戦闘の初歩もわかったところで、やってみようか」
「階層ボスへ、れっつごー」
ボス討伐だ。
「これで、ふらぐは、たったはず」
「疲れを感じない体、よく動く手足……フルダイブ初めてだが、よく出来てるな」
空白は恐るべき速度で攻略を進めていた。
武器には耐久力があり、なくなると消滅してしまう。
そのため普通ならば、補給のために街に引き返したりするのだ。
ならば複数持ち込んだり、アイテムドロップを狙うのが定石……だが一層での武器ドロップは確率的にそうそうあるものではない。ゲームスタートしたばかりの空白には、武器を複数揃えるだけのコルもない。
そこで編み出したのが徒手空拳……要するにステゴロである。
アバターの恵まれた体格で繰り出される攻撃で、僅かながらもHPが削れるのだ。
「?」
「どーした白……あっ?」
ボス部屋に到着した2人だが、どう見ても結界のような壁がその先を塞いでいる。
侵入不可能領域、ということだ。
「おかしい。なにか見落としている?」
「に、にぃ!?」
その瞬間、空白は強制的に転移させられる。
次に目を開いた時、そこは始まりの街の広場だった。
プレイヤー全員が集められたような人混みに、押し合い圧し合いパニック状態だ。
「これは……白、しっかり握ってろよ」
ぎゅっ、と手を握る。
これだけ人が多いと、流される危険がある。
「 」は、2人で空白。
離れることはあってはならない。
続かない