Jホラー界不動のヒロインにTS転生してしまったらしい 作:peve
DbD貞子ライジングの配信になんとか間に合いました。
注意点があります。
今話では、今までとは違う人物視点および三人称視点での描写が一部存在します。
今話(2話分予定)で主な登場人物の紹介は一区切りつくことになります。
次話からだんだん、お話の時間を進めていく予定です。
次話投稿前に、今話までの範囲で注釈の追記を行うことも予定しています。
お手数をおかけしますが、ご興味がおありの読者様には再読をお願いすることになりますため、ご了承いただければ幸いです。
闇の中に
いつもそうであるように。
とはいえ、子宮から這い出た瞬間の体機能の不完全さに馴れるものではなかった。
感覚器に齎される情報を、論理性をもって評価することが出来るまで数か月。
漠然とした思考が形を取り戻すまで更に数か月。
生理的な欲求に理性が優越するまでには、年単位の時間を必要とする。
個体生命として不完全なホモ・サピエンスの、それは限界ともいえる過程であった。
少なくとも、
情報に乗せて自らの遺伝子を伝播する認識の災害。
女の胎より出でて、数日で成人程度の身体機能を獲得する怪物。
分化した性腺を併せ持つ両性具有にして、自らの胎で
そのような、何物からも独立した
人類の営みを敵視し、憧憬するかの
かの存在の執着を禊ぐことが出来ない以上、今生においても、いつか必ず。
あの女は生きている限り必ず足跡を残す。
そうした生き方しか出来ない女だ。
来るべき遭遇に備え、こちらの出方を決定するため、情報を集め始めなければならないな──
などと。
生後1か月の赤ちゃん、
きらきらと瞳を輝かせながら、喜色を浮かべて自分の世話を焼こうとする餓鬼の顔をはっきりと認識できるようになって、その名前を意味のある音として聞き取ることができたとき。
彼の柄にもなく──外見上はこれ以上ないほど相応しい行為だったが──本気の絶叫を上げることになった。
奇しくも生後4か月。
ある世界において、
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私の6歳違いの弟・りゅーくんは、それはもう賢い子である。
かわいいかしこいりゅーくんなのである。
本人の前でそう言ったら、ものすっごいしかめっ面をされたけども。
男の子って、かわいいって言われると微妙な反応をする。気持ちはわかるよ。私前世が男だしな。でもそんなところもかわいいのです。
りゅーくんは本が好きで、暇さえあれば物置部屋から、お父さんが持ってきては積み置きしてある本を読んでいる。
多分内容がどうとかじゃなくて、文字を追うことが好きなんだと思う。
この間なんて、イタリア語かフランス語かわかんないようなアルファベットの並んだ本を熱心にめくっていた。きっと小学校に上がる頃には、アルファベットや漢字も読めてしまうだろう。かしこい。
そして私は、そんなふうに何かに熱中しているりゅーくんを眺めるのが密かな楽しみだったりする。
直接見ているのがバレるとりゅーくんは嫌がってしまうので、鏡越しだとか、廊下の先からだとか、りゅーくんの気に障らないように気を付けている。
たまに奈緒子の視線が痛いこともある。しかたないことである。
もう少し歳を重ねれば、りゅーくんも学校に行き始めて、男の子コミュニティの一員となるのだ。
それを考えると、この顔のいい少年を猫っ可愛がりできるのは今だけだろう。
私のブラコンが止まらないのは、
りゅーくんが生まれてその名付けを聞いたとき、私は動揺したものだった。
りゅーくん。
フルネームは山村
映画『リング』の主人公の一人にして、呪いのビデオの犠牲者となり、『らせん』では人類総貞子化計画の主犯となった疑惑のある、あの高山竜司と同じ名前である。
動揺した私、絶対悪くない。
流石に
そうやって最初こそ目が回る思いを味わったけど、今はすっかりその才器の虜になってしまったお姉ちゃんなのである。
ちなみにりゅーくん、奈緒子とはあまり相性が良くないのか、お話しているところを見たことはあんまりない。
なぜ相性が良くないかというと──これはまだ仕方のないことだと私は思うのだが、奈緒子がとにかく、りゅーくんに対しては口下手で、つっかえつっかえになってしまうのだ。
「あのこ、わたしのこときらいだもん」
と、奈緒子は泣き言をこぼしていたこともある。
りゅーくん、相手が大人でも子供でも、要領を得ない相手とのコミュニケーションを打ち切りがち。
奈緒子、そもそも他人とお話したことが少なく、男の子相手はなおのこと苦手でちぢこまりがち。
ふたりとも、人付き合いの方法はおいおい上手になっていこうね。
と、お姉ちゃんは思っているのであった。
そんな感じで。
なんでも自分で出来る風で、自分から他人に手を伸ばすことの少ない弟から急に質問をされたので、私はちょっとだけテンパってしまったのである。
3年生の春休みも終わりかける頃、いつものように奈緒子といっしょにお布団に入る準備をしているときだった。
寝る前の読書(日課。えらい。かしこい。)を終えたのだろう、お父さんの書斎から出てきたりゅーくんが私に声をかけた。
「貞子、ちょっといいか」
りゅーくんは基本、私のことを呼び捨てにする。
背伸びしている感があって、これはこれでかわいいので、つい許してしまっていたところ定着してしまったのだ。奈緒子は逆。呼び捨てにすると恨めしそうな
「どうかしたの? お母さん呼んでこようか?」
なんだろう、と心当たりの用事を口にしてみたが、りゅーくんはふるふると首を振った。
「いや、そうじゃない。ちょっと貞子じゃないとわからないかもしれないことがあって」
「私じゃないと?」
はて。
心当たりがないのだが。
それでも、弟の力になれるなら、と意気込んだ私を見定めるように上から下まで眺めると、りゅーくんは妙な質問を投げかけてきたのだ。
「別に興味が出てきたわけじゃないんだが……最近、変な予知とか見てないか?」
「予知?」
「例えばこう──」
声を潜めるりゅーくん。
超能力のことを話題にしたがらない子だ。疑問に感じることなく私は頭を近づけた。
本当になんだろう。
やっぱり千里眼とか能力だとか領域展開ーだとか、男の子心に興味出てきちゃったのかな。
そんな私の想像は全然外れていて。
続けられた言葉はあまりにも脈絡がないもので、私は困惑するしかなかったのだ。
「──火山の噴火とか、何か怖いものを視ていないのか」
アンケートのご協力ありがとうございます。
初投稿、大好きな原作ということで、感触がとても気になります。
よかったら、評価、そして感想、ご意見をぜひ、よろしくおねがいします。
多くの読者様にお読みいただけて、感謝しきりです。
皆さまのアクセス、評価、感想を見るたび、モチベーションにつながっています。
ありがとうございます。
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