ノルース星戦記   作:YUKANE

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2026年度最初の話は地球連邦と関係がある星々と、ミルメリア含む交戦状態にある星々の説明回です。本当は25年度中に上げたかったですが、New world note in Earthの更新を優先したので年を越してしまいました。


宇宙で出会った仲間達

地球が辿った激動の歴史を見届けたノルース各国の使節団は、休憩時間に入っていた。用を足し、長時間の視聴に耐える飲み物や軽食を買う等して、次なる映像の視聴に備えていた。

ただ、順調に築き上げられた世界が数十年足らずで徹底的に壊され、そこから壊れた世界を上回る進歩を遂げた地球連邦の有様は見ていた者全てに強い印象を与えた。特に日本国の面々は自らが消えた事で地球の全てが一度壊れた事実に呆然とするしかなかった。

 

全人類の半分が犧牲となった凄惨で救いの無い戦争に悲観する者と、更地となった世界を立て直した人類の底力に感動する者。使節団の面々は2つに分かれた意見を持つ事になったが、復興を成し得た地球連邦の行く末を知りたがっていたのは同じだった。それは行動にも自然の内に現れ、映像視聴再会の5分前には全員がシアター室へ戻っていた。

 

『地球連邦を創立した人類は復興を進めながら、アーサー・ライネンの言葉を元に宇宙への進出を始めた。

2129年に160年ぶりとなる月への上陸を果たしてから、僅か3年後の2132年には火星への初上陸を果たした。両星への上陸を皮切りに定住拠点の開発が始まり、月には700万人が住む巨大都市 アルテミス・シティが、火星には400万人が住む都市 マーズ・エーテルシティが出来上がっている。』

 

シアターの明かりが消えて始まった映像は、赤く染まった火星の大地へ人類が降り立つ姿を写し出す。鉄分を含んだ赤い大地は火星の証であり、近い様で遠い火星へ降り立った事実は地球連邦創立から僅か51年で、かつての人類が成し得なかった偉業を果たせる程に再興が進んでいたと示していた。

映像は人の手が加えられていない月と火星の大地に観測基地が建てられる様子へ変わり、年月が経つに連れて基地の規模が大きくなるだけでなく、星のあちこちにドームに覆われた都市が構築されていく経過を見せられた。

 

宇宙服を着ないと生存すら出来なかった星に、人類がいつも通り住める都市が構築される有様は、宇宙の法則にすら勝ち得る技術を手に入れたのだと知らしめる様だった。特に自然に打ち勝つべく、空と海を汚し続けているグラ・バルカスの使節団は、宇宙の常識ですら綺麗に打ち破る地球連邦に圧倒されていた。

 

『月や火星に進出した人類が小惑星帯を超えた先へ歩もうとした矢先、火星の観測基地が地球の裏側にある未知なる星を見つけた。

地球と完全に正対した位置にあったが故に見つからなかった星に人類は歓喜し、宇宙進出を果たせる程の知的生命体の存在が確認されると、宇宙人とファーストコンタクトを果たすべく動き出した。しかしながら、同星から打ち上げられた有人宇宙船が火星へ向かっている事が判明し、2139年に火星宙域で異星人とのファーストコンタクトは果たされた。』

「あ、あの地形は·········」

 

月と火星を写した映像は一転し、太陽を挟んで地球に正対する星が写し出される。地球と同じく蒼い海と自然が生い茂る大地を持つ星の様子が写り、その地形にグラ・バルカスの使節団が目を見開いて驚愕する。

グラ・バルカスの驚きを知る間もなく、その星からやって来たであろう円柱型の宇宙船と、同じ円柱型をした地球の宇宙船が相対する映像へ切り替わった。

 

『その星の知的生命体は我々人類と同じ姿を持ち、最初は言語こそ通じなかったが、根気強い翻訳作業によって交流を果たせる程になった。

その星はユグドと呼ばれており、ケイン神国と言う国家が全域を治めていると判明した。エーシル神の元で発展したケイン神国との交流を進めていくにつれて、ユグドにもグラ・バルカス帝国と呼ばれている国が突如として消えると言う同じ歴史を歩んだ事が判明した。』

 

そのナレーションが各国の目をグラ・バルカスの使節団へ向けた。数年前に突如として現したぽっと出の国が転移国家だと知られたのは昨今の事が、グラ・バルカスが存在していた星がムーと日本国がいた星の真裏にあった事実は、何かしらの因果を感じずにはいられなかった。

当のグラ・バルカスの面々は統一間近だったユグドを奪われた嫌悪感を抱きつつも、200年以上に渡って星の主として君臨したケイン神国の実力に脱帽せざるおえなかった。

 

『国家転移と言う現実離れした現象を味わった仲間だと知った双方の距離は瞬く間に縮まり、2143年に友好条約が結ばれた。両星への大使館設置や文化的交流、月や火星での共同開発が始まった矢先、ある異物が火星にて発見された。地球もユグド製でも無い葉巻型の艦は、太陽系の外に惑星間航行を可能とする生命体がいる事を確信させた。

両星は太陽系を飛び出すべく“マーズ・シップレック”と名付けたこの船を解析し、これまでの船を凌ぐ大型宇宙船を創り上げた。地球とユグドで使用されたこの艦は宇宙船の劇的進歩の第一歩として刻まれている。』

 

地球連邦とケイン神国の友好条約締結の式典が写ったかと思えば、赤い火星に不時着した宇宙船が写し出される。不時着の衝撃で船体が真っ二つに裂かれてはいるも、この船が地球とケイン神国のどちらにも似つかない存在だとはハッキリと認識出来た。

次の映像では発見された宇宙船に類似し、葉巻型の船体に箱型の艦橋と短い砲身の砲塔を複数備えた姿をした軍艦が複数写り、字幕によってそれがインディペンデンス級宇宙戦闘艦*1と呼ばれるのを知らされる。既知のロケットや宇宙船から脱却した艦艇が艦隊を組む姿は、遥か未来を描いていたSF作品を思わせた。

 

『小惑星帯を超え、土星や木星・天王星へ進出する中、2158年太陽系の外から未知の艦隊が姿を現した。星系外から乗り込んで来た両星の緊張感は高まるも、それは杞憂に終わった。

艦隊を送ってきたのは太陽系の隣 レヴィン星系を治める“オルデラン”であり、かつての人類が打ち上げた探査機 ボイジャー1号の円盤を元に来訪し、友好的な関係を築くのが目的だと知らされた。円盤に刻まれた地球言語を認識していた事で翌年には友好条約がスムーズに締結され、地球は太陽系の外に初めての仲間を得た。』

 

小惑星帯を超えて、土星や木星の衛星と天王星へ人類が降り立った姿が映し出されたかと思えば、地球やケイン神国とは似ても似つかない姿の宇宙船が映し出される。両脇にヒレの様な構造物を生やし、先が窄まった船体は鯨を思わせ、インディペンデンス級を遥かに凌ぐ大きさはオルデランとの圧倒的な技術差を見せつけていた。

先進技術を掻き集めた最新鋭の艦艇が認知外からやって来た存在に呆気なく格下に落とされる様は、日本国やグラ・バルカスの艦艇と相対した文明圏外国家に類似していた。当の日本国とグラ・バルカスも、自らが接触した相手が抱く無力感を理解させられた。

 

『オルデランはワープ航法の技術を確立しており、“マーズ・シップレック”の機関さえ解析すれば実用化出来ると判明した事で、ワープ航法を確立するプロジェクトがオルデラン主導で始まった。

しかしながら、インペリアル星系とシス星系の星々で組まれたインペリアル星系連合がレヴィン星系へ侵入し、惑星の1つを占拠した事で2167年にインペリアル戦争が勃発。技術発展半ばだった地球とユグドも巻き込まれていった。

オルデラン艦隊はインペリアル星系連合の艦隊と互角の戦いを繰り広げたが、地球とユグドが用いていた高圧増幅砲はインペリアル星系連合の船に効かず、敵の砲撃によって一撃で沈められる一方的な戦いを強いられた。』

 

映し出された宇宙船の姿は鉛筆の様に尖った巨大艦を中心に、ヒックリ返したお椀型の船、魚の骨を思わせる互い違いな船体の船で構成された艦隊に変わり、次の瞬間にはオルデラン艦隊との戦いが勃発する。

 

オルデランの戦艦と真っ向から撃ち合ったインペリアル星系連合の巨大戦艦は、船内から爆発を幾つも起こして沈んでいく。駆逐艦らしき小型の艦も側面の巨大ミサイルを撃ち込んで、インペリアル星系連合の軍艦を幾つも撃沈していった。

しかしながら、地球連邦とケイン神国のインディペンデンス級が放った緑色の光線は軽々と沈んでいた筈の小型艦にすら効かず、寧ろ敵艦のビームが一発でも当たった艦は間違いなく沈んでいった。

 

最新鋭の武装を持ってしても傷すら付けれず、相手の攻撃では軽々と沈む地球連邦の艦隊の姿に見ている面々は息を呑む。ただ、日本やグラ・バルカスと言った幾多のも戦いで圧勝を収めた国々と、近年まで格下相手へ戦いをふっかけていたパールパディアの使節団は、戦った相手はこの様な心境だったのだと理解させられた。

 

『数々の惨敗を受けた地球連邦とケイン神国は艦艇の抜本的な改革を余儀なくされ、同時期に“マーズ・シップレック”の機関解析に成功したのも後押しして、大規模な艦艇刷新が開始された。

新たなる艦艇に求めるコンセプトは地球連邦とケイン神国で方針は異なっており、地球連邦は単艦でも戦闘可能にすべく武装力の増強を、ケイン神国は敵の攻撃を交わしながら攻撃すべく機動力を重視して設計された。

異なるコンセプトから生み出された両勢力の艦は、それぞれの特性を活かした戦いでインペリアル星系連合と互角の戦いを繰り広げ、年月が経つに連れて優勢へと転じた。最終的には2194年の海戦で占領された惑星を奪還した事と、同時期に各勢力で勃発していたミルメリアとの戦争へ注力すべく、翌年に戦争終結協定が結ばれた。』

 

30年近くに渡って繰り広げられた海戦の映像が絶え間なく映し出され、年月が経つに連れてエンケラドゥス級やドレッドノート級と言った現在も使われる艦艇の姿が現れてくる。先程とは打って変わって青く染められたビームは星系連合の艦艇を容赦なく破壊し、艦首の拡散波動砲は複数隻単位で纏めて沈めていった。

インディペンデンス級に類似したケイン神国の新造艦も卓越した機動力で攻撃を交わし、何倍も大きな巨艦に致命傷を与えていった。

 

映像の終わりには地球連邦の象徴とされるアンドロメダ級が姿を現し、あれ程苦戦していた星系連合の艦隊を呆気なく撃退していった。第三次クレイト沖海戦と題された戦の翌年には交戦勢力の艦艇が並んだ映像が写り、長き戦争が終わったのを表していた。

だが、見ている使節団面々はナレーションの最後に出て来た“ミルメリア”の単語に気を引かれていた。

 

『ミルメリアはインペリアル戦争禍の2185年に初接触し、同年には既に全勢力と交戦状態に陥った。ミルメリアは“全宇宙を統治する唯一の存在”と自らを呼称し、“惑星を占領している者から解放する”として戦闘を行っている。

ミルメリアは自民族以外を劣等な人種として扱い、占領惑星への民族浄化(ジェノサイド)を平然と行っている。特に皇帝直属の皇帝親衛隊はその思想が極端に強く、民族浄化に反対した自民族ですらも平然と殺めると言われている。ただ、捕虜には親衛隊に反発を持っている者もおり、国内にも亀裂が生じていると考えられる。』

 

先が窄まった四角柱の船体に幾つものカノン砲を備えたミルメリア艦艇の姿に全員が恐怖の冷や汗を流す。特に首都を襲撃された国々は何万もの国民を殺した相手への憎しみも募る。

加えて幾つもの星で民族浄化を行っている事実と民族至上主義の巫山戯た理由も合わさって、ミルメリアに対する憎しみは更に増していく。

ただ、ミルメリア内にも現体制への反発勢力がいる可能性は、少しばかりの希望にもなり得た。

 

『また、2191年にはガミラスと接触するも、ファーストコンタクト時の些細な生き違いによって交戦状態に陥った。一時冥王星の占領にまで至るも反抗作戦で奪還された。

戦争の拮抗とインペリアル戦争への注力が求められた事からオルデランの仲介で両勢力の講和が果たされ、後に友好条約も結ばれた。現在はガミラス本星の寿命が迫っている事から市民の移住も行われており、強固な同盟関係が築かれている。』

 

ミルメリア艦艇に代わって映し出されたのは、魚の様な目を持つ緑色の艦艇。蒼いビームと赤いビームで鮮やかに彩られた海戦や、冥王星の水色の大地を背景に撃ち合う姿は今までの勢力とは違うのだと認識させられる。

それを経て、ガミラス人らしき蒼い肌の人々と地球人が手を取り合っている映像へ切り替わり、地球へ降り立ったガミラス人の集団や地球人との交流する様子が写る。

 

『再興を遂げた地球連邦は星の外にも多くの仲間を得た。その中には戦争が起きた相手や、未だに戦い続ける相手もいる。だが、これからも新たな仲間を見つけるべく地球連邦は歩み続ける。』

 

そのナレーションを経て映像は幕を下ろし、使節団から拍手が起こる

 

「長らくの視聴ありがとうございました。ここからは映像に出てない勢力について、口頭で説明させて頂きます。

まずはガトランティスですが、こちらに関しては分かっている情報が少ないと事前にお伝えします。本星の位置や言語、人々がどの様な外見をしているか等の殆どが分かっておりません。

言葉によるコンタクトすらも果たせずに戦いが続いております。」

 

案内役の地球連邦軍士官によって補足めいた解説が始まる。彼が持つタブレットを操作し、巨大スクリーンに緑と白で構成された艦艇が写し出される。対話すらせずに、特徴的な回転砲塔から緑色のビームを撃ち込む姿は海賊や蛮族としか思えなかった。

 

「続きましてはボラー連邦です。銀河系に版図を広げる星間国家であり、ガミラスとも現在進行系で戦争を続けています。マーズ・シップレックはボラーの艦である為に、ある意味地球連邦の進歩を促進した存在でもあります。」

 

次に写ったのは縦に細長い艦艇が戦列艦の如く並んだボラー連邦の艦艇で、地球連邦軍とガミラスの共同戦線との戦いを見せられる。

 

補足含めて知らされた各勢力の人種や艦艇はどれも唯一無二の個性を持っていながら、一部を除いて友好的に接していた。類似点を見つけられないにも関わらず、対等に接する光景は民族共生を体現していた。

その光景はノルースの列強らにも響いていた。自らを誇示する竜人のエモールや、それを蜥蜴と罵ったグラ・バルカス、他民族へ興味を示さないアニュンリールの面々は惑星と言う大きな単位で相容れているにも関わらず、惑星内の小さな生息権で啀み合っているのを見窄らしく感じさせられた。

 

地球連邦の映像はノルース各国へ自らの出自や新たな仲間達を大きく知らしめた。多くの者は地球連邦や各勢力が叶う筈もない相手だと痛感し、自国を存続させる為にも地球連邦の存在が必要だと認識する大きなきっかけとなった。ただ、極小数ながらも疑惑を抱く者もいた。

*1
インディペンデンス級宇宙戦闘艦

火星で発見されたボラー連邦のクロトガ級をベースに、地球連邦とケイン神国宇宙軍の主力として、長距離の航海性能と強力な武装を兼ね備えた汎用艦として建造された。

小惑星帯での戦闘を考慮して機動力を上げるべく全長を短くした以外はベースと同じだが、機関だけは波動エンジンのコピーに失敗した為に共同開発の核融合炉に変更されている。

武装として艦首に搭載された大口径の電磁衝撃砲は長時間の装填が必要ながら、物理装甲にもダメージを与えられる。船体上下に3基積まれた連装の高圧増幅砲は速射性で電磁衝撃砲装填時の穴を埋める役目を果たす。船体側面に備える3連装魚雷発射管はレーダー反射面の減少と、機動性向上として格納式になっている。艦橋後方には積まれたミサイル発射管からはミサイルだけでなく、機雷も搭載できる。

既存の宇宙船を遥かに超える戦闘力と機動力を持つ事から地球連邦だけでなく、ケイン神国もグリカナ=ノシューダ級主力艦として配備されたが、インペリアル戦争の初期は高圧増幅砲が効かずに惨敗した。波動エンジンの実用化後は新造艦就役までの繋ぎとして一部の艦の機関が換装され、主砲を陽電子衝撃砲へ切り替えた。新造艦就役後は第一線を退くも、波動エンジン換装艦は練習艦や太陽系の警備を行う警察組織へ移管されて使用されている。

スペック

全長:120m

機関:デネブ-A008式/HU-11核融合パルスエンジン 1基→アルタイル-CA05式/PNC-110型波動エンジン 1基

動力源:サン-990A式/AQ1032型核融合炉 1基

武装:G-2137 22cm艦首電磁衝撃砲 1基

   EJ-554 17cm連装高圧増幅砲 3基→AT-4E 17cm連装陽電子衝撃砲 3基

   格納式3連装魚雷発射管 2基

   ミサイル発射管 12基

乗員:75名




・マーズ・シップレック
リメイクヤマト本編で出たボラー艦です。解析中にボラーの言語も判明し、それをガミラスとのファーストコンタクト時に使った為に戦争に陥った背景があります。

・ガミラス
投稿開始時には出さない方針でしたが、時間経過につれて出すのが必要だと判断して出しました。ガミラスの時系列はヤマト本編よりも遅めになっています。
余談ですがガミラスはミルメリアとも戦っています。

・ガトランティス
ガトランティスに関しては原作ともリメイク版とも全く違う存在として描きます。最もそこまで到達出来るか分かりませんが。
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