新大陸でまともに死ねるとは思っていない。
例えば地脈でエネルギーを大放出して世界を滅亡しかねない巨大モンスターだったり、地殻変動を何度も起こすモンスターだったり。そんなものをオレは愛して愛して調査団に危険が及ばないようにという建前の元、何度も討伐しに行っている。
調査団の拠点であるアステラもセリエナもオレを歓迎してくれて、今や第二の故郷のような場所になっている。新大陸渡航以来のパートナーである受付嬢も、肩を並べて狩猟ができる陽気な推薦組も、一時ペアになった勝気な推薦組も、皆を引っ張りながらも気にかけてくれる調査班リーダーも、緩急のついた判断を下す総司令も、好奇心を後押ししてくれる大団長も、皆のことが好きだった。誰にでもオレは恋した。こんなに魅力的な人に囲まれて、世界で一番幸運だとすら思う。
性的嗜好が特殊であることは幼い頃から自覚があった。人間でも竜人族でもアイルーでも、モンスターでも。惚れ症で恋多きオレは狩猟中でも構わず勃起してしまう。仕方ないだろ、最高にカッコよくて可愛い好きなやつが目の前にいて自分を見てて、愛しいとか通り越して憎いだとか殺してやるとか、襲うなら殺すと吠えた途端に向かってくるんだ。興奮もする。弱って怯えた目を向けられるのも好きだが、数多く生きるモンスターの中でも最後まで足掻き続けて向かってくるモンスターがいっとう好きだった。
刀身が肉を裂く感触も、槍がずぶりと沈んでいく感覚も、砲撃で焦げた肉の匂いも、裂傷の痛みも、火傷の熱さも、前後不覚になった気絶も、モンスターとの交合で得られた感触は形のない宝物だ。リオレウスに地面に叩きつけられた衝撃も、イビルジョーに全身の骨を噛み砕かれた感触も、今思い出しても脳髄が痺れるほど興奮する。
そんなことをしているから何度もキャンプ送りにされてしまうし、調査団の皆に心配をかけたこともあった。調査班リーダーに何回叱られたかなんて、途中から数えるのをやめた。毎度の事ながら「無茶な狩猟はするな」と口酸っぱく言われているが、既にヘブンベリー並に酸っぱくなっているに違いない。
いくら好きな調査班リーダーでもそのお願いだけは聞けなくて、申し訳ないと思いながらも今日もオレはクエストを受ける。新大陸調査に何度も現れる古龍喰らいの古龍。その特殊個体。生態系の自浄作用を担う傍若無人の権化。悉くを殲ぼすネルギガンテ。
調査を兼ねた討伐クエストで、場所はネルギガンテの根城だ。渓谷にできたすり鉢状の窪地は、山頂からの気流を和らげており寝床にするにはうってつけだった。岩の切れ目を縫って進めば、棘の手入れをしているネルギガンテを見下ろすことができる。胸を高鳴らせながら降り立つと、侵入者として鋭い眼光を浴びた。威圧感のある咆哮が渓谷に響く。武器を手に取る瞬間がやけに遅く感じて、感覚が研ぎ澄まされていくのを自覚した。