更木剣八に転生したら剣ちゃん(幼女)だったんだが   作:凜としたBTQ

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 ────外ハネショートに悪い奴はいねえ(唐突な性癖の開示)




剣ちゃんとルキアってあんまり絡みないけどやちるちゃんと同じ外ハネショートだし相性は良さそう

 私は孤独だった。

 

 私のことを養子にした四大貴族の一つである朽木家では流魂街出身というその出自から腫れ物のような扱いをされ、私が朽木家へ養子となったことで幼少の頃から共に過ごした友である恋次には距離をおかれた。

 

 真央霊術院(しんおうれいじゅついん)を卒業した後、十三番隊に配属されてもそれは同じだった。

 

 朽木家という名を恐れ、新米である自分にへりくだる先輩隊士。

 同期の隊士達は皆逃げるように傍を離れ、貴族という立場から私は入隊した後もまともに仕事すらさせて貰えなかった。

 

 まるで人形だと思った。

 愛でられ、机の隅に置かれ、いつの間にか忘れ去られるような、そんな哀れな人形のようだと私は私自身のことを思った。

 

 私は弱かった。

 

 真央霊術院(しんおうれいじゅついん)でも成績で劣る私は恋次と別の組になり、新たにできた友と楽しそうに語らう恋次の後ろ姿を見た私は自身の心の弱さに気づいた。

 

 昔みたいにもう、声を張り上げることができなくなっていた。

 叱咤されても言い返せないほど、自分に自信がもてなくなっていた。

 先を行く友を見て、喜びではなく悲しみを覚える自分に嫌悪した。

 

 私が養子となった朽木家は四大貴族と呼ばれる尸魂界(ソウルソサエティ)の中でも有数の名家だ。

 

 現当主であり私の義兄でもある白哉兄様は護廷十三隊六番隊隊長を務めるほどの実力者であり、その強さも霊圧も四大貴族の朽木家の名に恥じぬ才気溢れるものだった。

 

 そんな兄に対して私はどうか。

 

 霊圧も、斬術も、白打も、歩法も。名家である朽木家の名に泥を塗ってしまうほど劣っている。

 唯一鬼道は得意だが、それも霊術院の頃の話。護廷隊の中では並程度の実力でしかなかった。

 私は自分が死神としての才能がないことに気づいていた。

 

 けれど、それでも良かった。才能がないのならその分努力すればいい。

 朽木家の名に恥じぬよう、これから強くなるために努力しようと奮起することができた。

 

 そう思って入隊したのだが……周りは私にそんなものを求めていなかった。

 

 ────朽木さんはそこにいていいよ。

 ────朽木さんは何もしなくていいよ。

 

 強くなろうと思い入った先で、私の居場所はなかった。

 周囲の皆は私を特別扱いした。その扱いも、朽木家の養子となった以上仕方のないことだと自分に言い聞かせた。自分に嘘をついた。

 そんな自分が、凄く嫌だった。

 心の弱さに、飲み込まれそうだった。

 

 私は本当に、護廷十三隊(ここ)に居て良いのだろうか。

 私の心は何処にある?

 私は、何の為に十三隊(ここ)に居る。

 

『そんなもんお前。決まってんじゃねえか。“戦って”、“守るため”だろ!』

 

 そんなときだ。

 あの人と会ったのは。

 

 初対面なのに妙に馴れ馴れしくて、言いたいことをはっきり言ってきて、苦悩する私をその太陽のような笑顔で笑い飛ばしてきて。

 

 一緒に修行をつけてくれたのが、嬉しかった。

 修行の後に昼餉を共にするのが、密かな楽しみになっていた。

 

 空を見上げると、いつも見えていた雲が消えていた。

 そこには青い大空がどこまでも広がっていて、久しぶりに本物の空を見た気がした。

 

 太陽が、私を照らしていた。

 

 

 

 

 

『……全滅だそうだ。彼女の部隊は』

 

 唐突に。突然に。私の足元に影が差した。

 

 海燕殿には妻がいた。

 女の身で第三席にまで上りつめた女傑でありながら、聡明で優しく、美しい人だった。

 憧れた。あんな風になりたいと思った。

 ────私の理想だった。

 

 そんな人が、殉職したという報せだった。

 

 あれだけ晴れていた空は、いつのまにか雲で覆われていた。

 

 私は浮竹隊長と海燕殿と共に、その虚の棲み家へと行った。

 

『俺一人で行かせて下さい』

 

 何故。その時私は阻めなかったのだろう。

 

 『ああ……』

 

 彼の征く手を、命を懸けて。

 

『海燕殿!!』

 

 海燕殿の斬魄刀が消滅した。

 あれがあの虚の能力なのだろう。危険な能力だった。

 

 助けに行こうとした私の手を、浮竹隊長の手が掴んだ。

 

『海燕を助けて……それで奴の誇りはどうなる?』

 

 ──誇りが何だというのか。

 ──命に比べれば誇りなど、比べるべくもないものではないか!

 

 そういって手を払い飛び出そうとする私を、浮竹隊長は血が滲むような声で咎めた。

 

『……いいか、よく憶えておけ。戦いには二つあり、我々は戦いの中に身を置く限り、常にそれを見極めなければならない』

 

 そのときの浮竹隊長の表情は、自分自身へ言い聞かせているように私には見えた。

 

『命を守るための戦いと────誇りを……守るための戦いと……!』

 

 私はその言葉に、一歩も動けなかった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 海燕殿が殉職したあの日から、私は毎日のように修行場へと足を運んでいた。

 

 流魂街、犬吊(いぬづり)の片隅にある名もなき広場。

 それが私と海燕殿がいつも訪れていた修行場だった。

 

 あの人に鍛えてもらった場所。あの人と共に在れた場所。

 そんな思い出の場所は、今では私一人しか訪れる者がいなくなっていた。

 

 それがどこか寂しくて。けれどもどうしても離れられなくて。

 

 私は今日も、この場所に訪れた。

 

「よお」

 

 そんな私のもとに、散歩をするような気軽さでその人は来た。

 

 漆のように艶のある黒髪を無造作に跳ねさせ、毛先に結いつけられた美しい鈴の音が私の耳を打つ。

 

 ────護廷十三隊十一番隊長、更木剣八。

 

 多くの隊士が所属する護廷の中でもたった十三人しかいない隊長の一人にして十一代目剣八を襲名した、護廷最強の戦闘集団……十一番隊の隊長。

 

 その幼い容姿とは裏腹に戦いのときは剣八の名にふさわしい圧倒的な強さを誇り、護廷の中でも最強と名高い存在だ。

 私のような一般隊士が言葉を交わすことなどおこがましいと思えるほどの、雲の上の存在だった。

 

「更木隊長!? ど、どうして此処に……? 何か御用でしょうか……?」 

 

「ただの散歩だよ。オレは流魂街の出身だからな。……別にこの辺ブラついてても不思議じゃねーだろ」 

 

 いや凄く気になるんですが……。

 

 とは流石に言えず、これ以上追求するなという謎の圧が更木隊長にあったのでここでこの話は終わりにした。

 

 何故わざわざこんな場所に来たのか気にはなるが……藪をつついて鬼がでたらたまったものではない。

 それに彼女は隊長だ。平隊士である私なぞ、十把一絡げの存在でしかない。すぐに私に興味を失うだろう。

 特に強さを第一とする十一番隊の隊長ともなれば……尚更だ。

 

「それで、お前。浮竹んとこのやつだろ。名はなんつーんだ」

 

 よいしょ、という可愛らしい掛け声とともに、少し離れた切り株へ腰かけた更木隊長は眼帯をつけていない左目でこちらをじっと見つめながら尋ねてきた。

 

「え……? あ、はい! 朽木ルキアと申します」

 

「ふーん、ルキアっつーのか。オレは更木剣八だ。よろしくな。……鍛錬していたんだろ? オレのことは気にせず続けてていいぞ」

 

「え、いやその……。わ、わかりました!」

 

 できれば気になるのでこのまま去ってくれるとありがたいのですが……とか考えていたら、内心を察せられたのか不機嫌になった更木隊長の霊圧が私を襲った。

 

 象と蟻ほどの差のある剣吞な霊圧が一瞬全身を覆うも、とっさに返事をしたことですぐにその霊圧はすぐに穏やかなものへと切り替わった。

 

 しかし一瞬とはいえ更木隊長の霊圧に触れた私は、緊張のあまり鍛錬に身が入らず、思ったように身体が動かせなくなってしまう。

 そしてこのままではまずいと焦り、さらに泥沼へとハマる悪循環が生まれていく。

 

 他所とはいえ隊長に対し腑抜けた姿を晒してしまったことを恥じた私は……少しでも失態を挽回しようと唱えた双連蒼火墜(そうれんそうかつい)の鬼道が片手から暴発し────更木隊長が座っているところへと放ってしまった。 

 

「……ッ!? も、申し訳ございませんッ!!」

 

 私はすぐに更木隊長のもとへ駆け寄ると、土煙が晴れたその場所には……呆然とした様子で固まっている、傷一つない更木隊長がそこにいた。

 

「えぇ……」

 

 頬杖をつきながら思わずといった様子で呟く更木隊長に、私は慌てて身体を折り曲げ謝罪の意を示す。

 

 そんな無礼な行いをしてしまった私に対し更木隊長は片手をあげて「気にすんな」と言い放ったあと、座っていた切り株から腰を上げてブンブンと頭を振ることで髪についた砂埃を払っていった。

 

 その姿を見てまるで子犬のようだと思ってしまった私は悪くないだろう。

 そんな野性味溢れる可愛らしい姿を見て緊張がほぐれたのか、私は先程とは異なり、更木隊長に自然と声をかけることができた。

 

「申し訳ございません更木隊長……私が汚れを払いますので、あちらを向いて貰ってもよろしいでしょうか?」

 

「ああ、悪いな。こうでいいか?」

 

「はい、ありがとうございます。……更木隊長はお優しいのですね」

 

 私に非があるのは明らかなのに、何も言わないでいてくれる更木隊長。

 ここまでくれば、私に気を遣ってくれているのだろうということは理解していた。

 

 何故更木隊長が私に対して気を遣っているのか。

 実際に話してみるまで考えもしなかったが……心当たりは一つしかなかった。

 

「更木隊長は……海燕副隊長とは仲が良かったのですか?」

 

「……まぁ、悪くはなかったな。金平糖もよくくれたし。子供扱いしてくるのはムカついたが」

 

「海燕副隊長らしいですね。誰に対しても平等といいますか……。こんな私なんかにも良くしていただきました」

 

「……こんなとか言うなよ」

 

 そう言って手櫛で髪を整えていた私の方へ振り返り、更木隊長は真剣な表情で見つめてきた。

 

「自身を貶めるような言葉は、お前を信じてくれた者への侮辱だ」

 

 その言葉に私は何も言えなかった。

 その言葉に反論するということは、私に心を預けてくれた海燕殿への侮辱に等しい行為だと気づいたからだ。

 

「……わ、私は」

 

「────自分を許せない、か?」

 

 それでも何か言おうと口を開いた私は、更木隊長の一言でその先の言葉を失った。

 

「浮竹から聞いたよ。お前が最後を看取ったんだってな」

 

 心臓が早鐘を打つ。

 周囲から音が消え、更木隊長の髪に結われた鈴の音だけが、この静寂の中でやけに響いて聞こえた。

 

「奴の誇りを踏みにじってでも、助けるべきだったと考えているのか?」

 

 私は最後まで手を出さなかった。

 そして海燕殿の誇りは守られた。

 

 でも、それでも私は……あのときの行為が正しいものであったのか、その答えを出すことができないでいた。

 

「……わかりません。私は、助けに行くべきだったのでしょうか……」

 

「そんなのオレが知るかよ」

 

 俯く身体から縋りつくように声を絞り出た私に、更木隊長はあっけらかんとした表情で答える。

 そんな突き放すような言葉を聞き目を伏せる私に、更木隊長は「ただな」と続けてその口を開いた。

 

「強くなければ助けたい奴も助けられねえ。お前がもし次に誰かを助けたいと願う場面に出くわしたとき、どうするのかはわからねーが……身を挺して庇う必要のないくらいには強くならねーとな」

 

 そういってそっぽを向く更木隊長を見た私は一瞬きょとんとした顔をした後、自然と笑みが浮かんできた。

 

 なぜ更木隊長が十三番隊舎ではなくこんな流魂街のはずれにまでわざわざ足を運んでくれたのか気づいた私は、その不器用な優しさと激励に少しだけ胸のつっかえが取れたような気がした。

 

「────はい! あの、もしよろしければ私に稽古をつけていただけませんか?」

 

 私はこの少しの間で、自分の中の印象がガラリと変わった目の前の小さな隊長の優しさに感謝をする。

 そしてソワソワしながらこちらを見る更木隊長に苦笑しながら、前へ進むための一歩を踏み出そうと声をかけた。

 

「────ああ。いいぜ」

 

 そういって無垢な笑みを受かべる更木隊長を微笑ましく見ていた私は────この後の地獄の稽古に後悔することになるとは、まだ知る由もなかった。

 

 

 

 

 




 というわけでヒロインのルキアちゃんでした!

 正確には準主人公とのことですが、準主人公でありヒロインですね。
 尸魂界編のルキアちゃん曇らせで一体何人の性癖を歪ませたんだ……。市丸ェ……。
 雛森ちゃんといい……全く、許せませんね!(誉め言葉)
 筆者は曇らせは好きだけど耐性はないのでいつも致命傷を負いながら読んでいました。

 ちなみにルキアは原作同様一護を庇ってフィッシュボーンDさんにパクパクですわ!されます。
 (されないとBLEACHが始まらないからね。仕方ないね)
 ルキアは原作よりちょっとだけ強くなってますが、何故かフィッシュボーンDさんも原作より強くなってた感じですね。(一体何染の仕業なんだ……)

 そして潰えるチャドと話のネタの霊圧。
 続きを書くとしたら……ルキアちゃんがお兄様達に捕まったところからですかね。

 最近あつがなついので失踪します。(死語)
 
 
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