ファントムソサエティ。それはメガテン世界に転生した転生者達が創設した新興退魔組織である。
組織に所属する転生者達は今日も日本各地で悪魔と戦ったり、装備やアイテムを生産したり、掲示板で駄弁ったりしている。
その中の一人であるデビルサマナー六車南天は、ある出来事をきっかけに四国で戦うことになった。



どくいも様の【カオス転生ごちゃまぜサマナー】を始めとする各種のメガテン二次創作に触発され一作書いてみました。
メガテンシリーズが好きな方はどうかよろしくお願いします。

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デビルサマナー六車南天 Lv43

 四国は愛媛県の郊外、暗い山林の中。

 常日頃から薄暗く人が寄らないこの一帯は異界と化していた。

 

 異界、それすなわち神話伝承を原型とした異種生命体悪魔の闊歩する魔境である。

 人と異なる理で思考し生きる彼等の多くは人間にとって有害な生命体。

 故にこの森林は常人が一度入れば出る事は出来ない危険地帯だ。

 

 特に四国全域は根の国伝承が根強くあるせいで、死にまつわる悪魔が出現する事が多い。

 ましてや現在は数年前からのGP(ゲートパワー)、すなわち異界より出現する悪魔の強力さを示す数値が上昇を続けているのだ。

 どれ程危険な悪魔が出るか分かった物でなかった。

 

 ほら、現に今、この場でも。

 

「ああ、早く喰いてえ……柔らかく弾力のあるニンゲンの肉が喰いてえよぉ……!」

 

邪鬼ラクサーシャLV25破魔・呪殺耐性 氷結弱点

 

 血刀をぶら下げた邪鬼の力は驚異的としか言いようがない。

 現代の退魔師の基準ではLvにして2桁になれば一人前、20を超えれば腕利き、30以上は一流と目される現状。

 ましてや上記は激戦区たる帝都での基準であり、四国のような地方ではなお下がる。

 

 そんな世相を鑑みれば異界の主でもなく、これ程の邪鬼がうろついているという事実は見る者を戦慄させる事だろう。

 経験豊富な退魔師でも裸足で逃げだす魔境。

 それこそ自殺志願者か、どうしてもの必要に駆られた人間でもなければこんな異界には来ない。

 

「お、おお? これは……!」

 

 狂気に染まった邪鬼の目が遠方から近づいてくる人影を捉える。

 無造作に、速度を変えず歩いてくる人影はああなんたることか。

 

「ニンゲン! 活きがよさそうなニンゲンじゃねえかぁっ!」

 

 芳醇なマグネタイトで味付けされた骨肉の香りは間違いなく人達。

 人食いの鬼である邪鬼が最も好む最高の食い物が向こうからやってきた。

 悪魔も混じっているあたり大方この異界を鎮めにやってきた霊能者なのだろうが、自らを強者と存ずる邪鬼には渡りに船だ。

 

 欣喜雀躍。そんな言葉がぴったりな動きで邪鬼は躍りかかる。

 本能のままに涎を垂らし浅ましく。

 

「ニンゲンはゴチソウ! 俺様の大好きな、ゴチソウ! 

 だから! イタダキマアアアア」

 

 数秒後この異界の中で起きるのは陰惨な捕食風景。

 悪魔によって人が喰らわれる、ありふれた悲劇が今この異界でも────

 

「おっと危ない」

 

クイックショット銃撃スキル敵単体に銃撃属性で一回攻撃を行う。早く行動できる。

 

 起きる事無く邪鬼の脳天の右半分がはじけ飛んだ。

 異界に侵入した人間の先頭に立つ男、彼の持った拳銃から放たれた弾丸による早打ち。

 それが邪鬼の急所を的確に捉えた。

 

「あが、あががががあぁぁぐがっ!?」

「うわ、ちょっと驚いたな。まあいいや留めさしとくか」

 

 そのまま更なる銃弾が叩き込まれ邪鬼は絶命した。

 男の手に握られる銃は銀色の銃身に、優美なイエローのライン。

 やや目立つデザインの拳銃は恐るべき威力を誇るようだ。

 

「お見事ですサマナー。まさしく電光石火の抜き撃ちかと」

「まあこのマンダムP*1取り回しやすいから。

 そんな褒める事の事でもないって」

 

 邪鬼を射殺した男は仲魔の言葉に軽く言い返す。

 黒と暗い灰色を中心とした衣装の黒髪の若い男。

 赤い目が印象的な彼は軽く周辺を見渡し、敵がいないのを確認してうしろへ向き直る。

 

 正確には自分の仲魔が護衛をしている、地元名家の少女。

 淡い色の髪が綺麗な、可愛らしい少女に。

 

「この調子でドンドン進んで行こう。そろそろボス戦って感じなんでしょ?」

「は、はい。信託や事前の、調査結果だともうすぐ異界の主だそうです」

「結構長かったなー。さ、とっとと件の奴を倒して終わらせよう。

 ……君のご両親も心配しているだろうし」

 

 少女を安心させるために気楽な調子で話す男の名前は六車南天(むぐるま なんてん)

()()()()()()()()()()()()退()()()()()()()()()()()()()()に所属するデビルサマナーであった。

 

 

 


 

 

 

「ボスのレベルが31? なんだ、そのくらいなら俺が行って鎮圧してこようか?」

「は、はあ……」

 

 六車という男はこともなげにそう言った。

 まるでちょっとしたお使いでもしてこようかという様に。

 

 そんな彼に愛媛県をテリトリーとする退魔組織に籍を置く少女は困惑していた。

 何を言い出すのだこの人は。

 噂のファントムソサエティというのはこんな変な人の集まりなのかとすら思った。

 

 四国進出の調査の為に来た六車が所属するファントムソサエティ。

 その名前は少女も聞いた事がある。

 

 ファントムソサエティ。いわくありげな名前の組織は関東圏で勢いを強めている新興退魔組織だという。

 優秀なデビルバスターを多数抱え、高度な技術によって独自の優れた装備やアイテムを次々に開発。

 おまけに幾つもの表社会の企業を傘下に抱えており資金も潤沢。

 護国組織筆頭のクズノハを始め幾つもの退魔組織と連携しているのだという。

 

 各国の例に違わず護国側の組織が衰退しつつある現状からすると望ましい状況。

 けれど少なくない人間は言葉は様々だが口をそろえていう事がある。

 ファントムソサエティの者達は、我々とどこか違うと。

 

 曰く彼らは多くが民間の出身。

 特に悪魔に恨みがないにも関わらず誰もが旺盛な戦意を維持し続けている。

 曰く彼ら、というかファントムソサエティ―の技術力は高すぎる。

 ある程度の量産可能な造魔等どうやって造り出したのだ。

 曰く彼らは死と隣り合わせの業界にも拘らず、余裕がありすぎる。

 人にもよるがまるでゲームの様に気軽に悪魔を倒しに行く。

 曰く彼らは服装も考えも戦い方も正しく十人十色。

 あまりにも個人個人のスタンスが違いすぎる。

 曰く彼らはにも拘らず一定の統率を保っている。

 まるで何かの共通点があるかのように。

 

 故にファントムを警戒する悪魔業界の関係者も確かに存在する。

 様子を見るという当然の警戒をする者から、大悪魔を信奉する邪教集団として敵視する者まで。

 

 さらに組織の展開は東日本を中心としている事もあり、愛媛に暮らす少女達にとっては対岸の事。

 だから彼らの存在は頭の片隅へ追いやっていたのだ。

 今日この日に来るまでは。

 

「いや……でも危ないですよ!? あの異界の主【堕天使アイム】は凶悪な炎と呪を操る悪魔。

 それに異界の中には多数の悪魔がいるんです。

 本土からクズノハの人でも連れてこられないと止められません!」

 

 この先にある山林は強力な悪魔である堕天使アイムが主となった異界が発生している。

 しかも多数の悪魔が蔓延っているのだ。

 そんな危険地帯に人を容易く送り込めるはずはない。

 

 悪魔業界に生きる者なら当然の戦力評価。

 少女の言葉に六車は小首をかしげる。

 

「いやでも……何か特別なスキルとか、マグネタイトを超大量に抱え込んでるわけでもないんでしょ? 

 ならまあ油断しなけりゃ問題ないよ。俺、レベル40超えているし」

「レベル、40?」

 

「サマナー、サマナー。40といきなり言われてもられないでしょう。

 ここはひとつ霊視(アナライズ)してもらったらどうです?」

 

 困惑する少女の前で、ピコピコと狐耳を動かし提案するのは六車の連れていた仲魔。

 フーシェと呼ばれていた、たいそう美しい女性型の悪魔である。

 

 やや若草色がかかったブロンドの髪に蒼い目、理想的な体形。

 超一流の造形師が丹精込めて造り出したかの如き美女は、うわさに聞く組織が使う造魔という人造悪魔なのだろうか。

 そんな彼女は人間となんら変わらない動きで六車に提案する。

 

「それもそうだなー。四国の方は殆どファントムいないし。

 じゃ、どうぞ視てください」

「え、いいんですか? その」

「あー、手の内ばらしていいのかって話ね。まあそれくらいはいいよ。

 耐性はジャマ―掛けてるから表示されないし、装備もあるし」

 

 念の為もう一度確認して、少女はアナライズを行う。

 半信半疑になりつつも、いったいどれほどの強さなのだろう。

 そんな好奇心と期待を僅かにじませて。

 

(確かに造魔の人の雰囲気からするとレベルは私より大分高い……でも流石に40は大げさに言ってるよね。

 30くらいなら危ないし帰ってもらわないと)

 

 件の異界は彼女達の手に負える物ではない。

 事実彼女の師は再起不能になり、友達は呪に倒れ昏睡状態になった。

 おまけに奴の行う儀式により他の異界も活性化しつつあるのだ。

 

 そんな状況で来てくれたのはありがたいが六車は関東の、外様の人間である。

 これはあくまで少女達の問題であり、そんな人間を巻き込むわけにはいかない。

 

(わざわざ関係ない人を死なせるわけに───―え)

 

 悲壮な思いを胸にアナライズを行う少女は、固まった。

 

 

デビルサマナー六車南天LV43耐性:アナライズ不能

 

 

 レベル40、地方に生きる少女からすれば話でしか聞いた事のない存在。

 これまで少女が見た中ではただ一度だけあった当代クズノハライドウのみが超えていた領域。

 その領域に達した存在が、今この場に血肉を持って存在していた。

 

「というわけで、俺ならその堕天使を倒せる。楽勝でね」

 

 軽く笑う男は、先程よりも頼もしく見えた。

 

 

 

 少女を案内役に、異界に突入した六車はファントムの強さと優秀さをすぐさま見せつけた。

 フーシェの他にも仲魔を2体召喚という驚くべき事*2を行っていた。

 ガントレット型の悪魔召喚機(彼はガントレットタイプPC、略してGAMPと呼んでいた)は、彼曰くその他にも多数の機能を秘めているのだという。

 

 現に彼はGAMPに搭載された<デジタライズ>なる物を用いて自分自身を強化していた。

 デジタライズによって生成された黒とダークグレーの二色の衣装から感じられる力はとても強い。

 

「悪魔の情報を防具や武器の形に変換して纏うような感じらしいよ。

 まあ実験中の技術だし俺も細かい内容は分かってないんだけど……でもいいでしょ」

 

 そう言って笑う彼の表情は半神の如き戦士というよりも気のいいお兄さんという感じ。

 それを少し意外に感じた。

 

「ん、確かに思ったより強いな~。レベル20越えがこんだけいるとは」

 

 卓越した力と優れた装備を持った六車は本当に強かった。

 刀を振るえば悪魔が両断され、銃撃は全て悪魔の急所を撃ち抜き両断する。

 それに悪魔召喚師としてもレベル20に満たない少女からすれば雲上の存在である仲魔を容易く使役していた。

 

 適度に高性能なアイテムを用いて回復しながら、迷路のような異界を気楽ですらある足取りで進んで行く。

 自分達が恐怖を堪えて、必死に悪魔を一体一体倒しながら進んで行ったのとはまるで別次元。

 レベル40越えとはここまで強いのかと驚嘆が尽きない。

 

 そうして異界内部を進んで行き、異界の主である堕天使の主に、ほんの一時間でたどり着いた。

 

 

 

「おや、わざわざここまで生贄を運んでくるとは殊勝な事よ。

 さぞかしこの私、26の軍団を統括する魔界の公爵アイムに相応しい上物なのでしょうねえ」

 

 \カカカッ/

堕天使アイムLV31火炎吸収 呪殺無効

 

 

 異界の奥に座していたアイムはゆっくりと余裕をもって向き直る。

 ソロモン72柱の一角たる、火炎を操る強力な堕天使アイム。

 下手な神格を上回る力を備えた邪悪なる公爵は鎧を纏った三つの頭を持った異形。

 何体もの堕天使を従えた異形の目が少女を見据え、こらえきれない恐怖に少女は後ずさる。

 

「何言ってんだお前? 俺はおまえを倒しに来たんだけど?」

 

-SUMMON-

 

 少女とアイムを遮るように立つ六車は造魔に加え、2体の仲魔を召喚する。

 彼と、彼が召喚する仲魔は、信じがたい事にアイムよりも強い。

 

 

造魔フーシェ(■■■転写)LV41■■・銃撃・電撃・破魔耐性 精神・呪殺無効

 

「気取ってはいますが下衆な悪魔ですね。

 あなたはこの世界に相応しくない。そのことを教えてやりましょう」

 

幻魔フロストエースLV34火炎・氷結反射 破魔無効

 

「天が呼ぶ人が呼ぶ。悪を倒せと……オイラを呼ぶホーっ!」

 

国津神サルタヒコLV36火炎・破魔耐性

 

「破邪顕正! 破邪顕正! 夷敵共は国津の剣で斬滅だぁ!」

 

 

 多額のコストをかけて鍛え上げた造魔に、フロスト一族の勇士、さらには太陽を司る国津神。

 いずれも自分より格上の悪魔に対してアイムは目を見開く。

 

「なんだこれは……! これ程の強さ、この地の退魔師には存在しないはず……! 

 何者だ貴様等!?」

「新興退魔組織ファントムソサエティの者だよ。それだけ分かったら大人しく資源(フォルマ)になりな!」

 

 ────開始された戦闘は堅実で一方的な物だった。

 レベルに相応しい力と速さを、人の知識と技術で補強した強者の戦い。

 それは容赦なく自分を狩る側と考えていた者達を叩きのめす。

 

「結界展開。絡め手など使わせませんよ」

 

結界補助スキル味方全体の各種異常耐性を3ターン上昇させる。

 

「今日はお客もいるしさぁ、速攻で片付けるぞ!」

 

勇奮の鼓舞補助スキル3ターンの間、味方全体の攻撃力・防御力をそれぞれ1段階上昇させる。

 

 フーシェの展開した結界に守られ、六車の発動したスキルにより強化された2体の悪魔は全力を振るう。

 

「ぶっとべ邪悪ゥ!」

「インガオホーだホ!」

 

暴れまくり物理スキル敵全体にランダムに攻撃を行う。

 

マハブフーラ魔法スキル敵全体に中威力の氷結属性攻撃を行う。

 

 強化が上乗せされた剣戟、氷結魔法による攻撃は雑多な堕天使を薙ぎ払い、奥のアイムまで傷つける。

 しかし異界の主だけあって雑魚を盾にしのいだアイムは2体を回り込むように疾駆。

 瞬間的に状況判断し後衛の六車とフーシェを狙う。

 

(前衛2体とは相性が悪い。ならば後衛を潰して切り抜けるまで!)

 

 幸い異界の主としてため込んだマグネタイトにより、スペックはレベル以上(ボス仕様)となっている。

 得意の炎を用いて脆い後衛を焼き殺すのみ! 

 

「受けよ我が炎! マハラギオン!」

 

 波のように広がる業火はまさしく地獄の炎の如し。

 フーシェが遠巻きに支援する少女をかばうように射線上立つが、勢いを鑑みればそんなものは役に立たないと思えた。

 まとめて黒焦げになるだけだ。

 

「今です!」

「え……ええい!」

 

 だがフーシェの合図と共に少女は小さな石を投げた。

 赤く輝く、炎を防ぐ障壁を展開する石を。

 

火障石*3消費アイテム1ターンの間、味方全体に火炎属性攻撃を1度だけ無効化する効果を付与する。

 

「なんだと!? ぐぅっ!」

 

 炎が無効化され目を見開き驚愕するアイム。

 其処に撃ち込まれる銃撃は文字通り足止めの一撃(敏捷性低下)

 

 ひざまずいたところに襲い来るは反転したサルタヒコとフロストエース。

 剣が、強力な氷魔法がその身を徹底的に破壊していく。

 

(馬鹿な、なんだこれは)

 

 アイムにとって人とは脆弱な食糧同然の存在。

 覚醒してようがそれは変わらず、少し力を込めて炎を放てば焼け死ぬそれだけの存在だ。

 獅子が小動物を狩る様に、当たり前に倒せるそれだけの生き物であったはずだ。

 

 にも拘らずこの男は、数で、戦略で、道具で魔界の公爵たるアイムを容易く上回り殺そうとしている。

 現実というにはあまりにも信じがたい現実は何よりも彼を打ち据えた。

 

(これが現代の人間の力だというのか、人間如きが私を屠るなどありえない。

 あっていいはずがない。

 こ、こんなことがある訳が、こんなことがあっていいはずがっ)

 

 最後のあがきに槍で薙ぎ払うも碌なダメージを与える事はない。

 体勢を崩した先にあるのはしっかりと立ち、銃を構える六車の姿。

 

「終わりだ」

「が、あ」

 

精密射撃銃撃スキル敵単体に銃撃属性で強力な攻撃を一回行う。

 

 針の穴すら通せそうな一射。

 対悪魔用に造られた魔銃の一撃が、堕天使の核を撃ち抜いた。

 

 崩れ落ち崩壊していくアイム。

 その姿は瞬く間にマグネタイトの粒子となり、同時に異界化も解除されていく。

 さあ、と異界とは違う現世の空気の中少女は驚きと共に口を押えた。

 

(……凄い。本当にあの堕天使を、私達がどうやってもたどり着く事すら出来なかったあの悪魔を倒しちゃった)

 

 異界化の解除に伴い吹き込む風に髪を揺らされながら、少女は六車を見つめる。

 

 自分達がなせなかった事がいとも簡単に行われた事に気の抜けたような気持ちもある。

 でも、それ以上に自分を蝕んでいた絶望が晴れていく事が嬉しかった。

 

(こんなすごい人が私達の元に来てくれたんだ……)

 

 憧憬を込めて少女は六車を見る。

 今なら神話に出てくる英雄に救われた人々の気持ちが分かる。

 絶望から救われた安堵と喜び、かつてないくらいの爽やかな気持ち。

 

「ね、言った通りすぐに終わったでしょ?」

 

 ファントムソサエティのサマナー、六車南天(少女の英雄)は何でもない事のようにそう言った。

 

 

 


 

 

 

 ★ファントムソサエティ地方展開スレ 35

 

126:ナナシのファントム転生者

 四国あたりの展開順調みたいね

 

127:ナナシのファントム転生者

 東日本全域どころかあのあたりまで拠点出来るとか

 内も大きくなったもんだわ

 初期からいる身だと感慨深い

 

128:ナナシのファントム転生者

 組織名がファントムソサエティに決まった時はどうなる事やらと思ったけどなw

 

129:ナナシのファントム転生者

 確か安価とダイスで決まったんだったか? 

 

130:ナナシのファントム転生者

 メガテンミリしら民「なんかそれっぽいしファントムで」

 メガテンちょっと知ってる民「ただの結社とかそれっぽいしソサエティ!」

 なお合体事故が起きた模様

 

131:ナナシのファントム転生者

 いつ見ても草

 

132:ナナシのファントム転生者

 ワイメガテンに自信ニキ

 当時はめっちゃビビったわ

 これグリゴリの干渉ねえか? って

 

133:ナナシのファントム転生者

 確か原作ファントムの大幹部が魔王やグリゴリの堕天使何だっけ? 

 

134:ナナシのファントム転生者

 そうそうソウルハッカーズだと後半~終盤でグリゴリの堕天使3体がボスで出てくる

 それ考えると言霊とかあるし不安になるのも分かるわ

 

135:ナナシのファントム転生者

 首脳部があの手この手で調べたから大丈夫だとは思うけどね

 

136:ナナシのファントム転生者

 忍者ネキとかめっちゃ強いもんな

 流石レベル60越え

 

137:ナナシのファントム転生者

 俺ら転生者全体的に素養高くてレベル高めな以外は普通の奴ばかりだけど

 幹部クラスはヤベーの揃ってるからなぁ

 

138:ナナシのファントム転生者

 転生知識活かしたとはいえ大企業の経営者とか最先端の悪魔研究者とかいたのビビったわ

 

139:ナナシのファントム転生者

 あれは歴史的コラボレーションだった

 

140:ナナシのファントム転生者

 そのおかげでうちは資金も潤沢で装備も良いの開発できてる

 

141:ナナシのファントム転生者

 消費アイテムもイケるしな(ヌッ

 

142:ナナシのファントム転生者

 掲示板でタフ定型はルールで禁止っスよね? 

 

143:ナナシのファントム転生者

 転生者はルール無用だろ

 

144:ナナシのファントム転生者

 これ以上は危険や! スレの流れを変えるで! 

 聞いた話だと四国の展開順調なのは丁度困ってるときに俺ら来たのが大きいみたいだ

 

145:ナナシのファントム転生者

 俺も知り合いから聞いたわ

 愛媛の方は丁度ヤバイの出て現地民弱ってたってさ

 

146:ナナシのファントム転生者

 ヤバいってどのくらいよ

 

147:ナナシのファントム転生者

 レベル40越え? 

 

148:ナナシのファントム転生者

 確かレベル30くらいの堕天使

 

149:ナナシのファントム転生者

 ……んー強いかそれ? 

 

150:ナナシのファントム転生者

 いや強くね? 俺らの中でも30こえるのは半分くらいだし

 

151:ナナシのファントム転生者

 現地民からすると絶望的やろなあ

 

152:ナナシのファントム転生者

 原作ソウルハッカーズでも腕利き扱いのウラベやユダがレベル20代だから

 まあやばいわな

 

153:ナナシのファントム転生者

 普通考えて田舎に30越えの悪魔出んだろうから

 

154:ナナシのファントム転生者

 なおここ数年のゲートパワー上昇

 

155:ナナシのファントム転生者

 アッシャー界の壁壊れちゃ~う

 

156:ナナシのファントム転生者

 笑い事じゃねえ! 

 

157:ナナシのファントム転生者

 レベル30って普通考えたら神クラスの悪魔でもおかしくないしなー

 クズノハの腕利き派遣しないとそりゃキツイわ

 

158:ナナシのファントム転生者

 クズノハと言えばゲイリンちゃん一度見たことあるけどレベル30半ばだった

 

159:ナナシのファントム転生者

 え? 四天王が40も超えてないって大丈夫か? 

 

160:ナナシのファントム転生者

 まだ襲名したてって話だから(震え声)

 

161:ナナシのファントム転生者

 いや強かったというかうまかったよゲイリンちゃん

 仲魔の指揮めっちゃ適切で無駄なく動いてる感じだった

 多分レベルチョイ上程度の俺らだと複数掛かりでも制圧されるわ

 

162:ナナシのファントム転生者

 ウチの幹部陣も「当代ライドウはかなり強い」みたいなこと言ってたな

 

163:ナナシのファントム転生者

 ライドウの武勇伝は帝都で活動してると結構聞く

 なんか話半分だけどアレな政治家が持ち出した必殺の霊的国防兵器封印したり邪神討伐したりしたんさってさ

 

164:ナナシのファントム転生者

 はえ~流石にライドウはつよいんすねえ

 

165:ナナシのファントム転生者

 ワイコドクノマレビト読者、当代ライドウの強さにニッコリ

 

166:ナナシのファントム転生者

 ちなみにゲイリンちゃんはかなりの美少女だったことをお前に教える

 

167:ナナシのファントム転生者

 !!! 

 

168:ナナシのファントム転生者

 やったぜ

 

169:ナナシのファントム転生者

 美少女のクズノハ四天王……! 

 や〇夫スレだけの存在じゃなかったのか!! 

 

170:ナナシのファントム転生者

 へへっいい話を聞いて深夜にもかかわらず頭がさえてきたZE! 

 

171:ナナシのファントム転生者

 しかし話は変わるというより戻るんだが

 良く地元組織が提携というか実質吸収承諾したな

 

172:ナナシのファントム転生者

 それな四国って閉鎖的なイメージがある

 

173:ナナシのファントム転生者

 それなんだけど愛媛で案内役になった子の家が協力したんだってさ

 

174:ナナシのファントム転生者

 なんでも地元組織の首脳の家の子だったんだけど

 

175:ナナシのファントム転生者

 >>174四国派遣俺らに惚れたとか? 

 

176:ナナシのファントム転生者

 ちゃうわ

 もし異界に対処できないならその子人柱にした禁呪使って封印する予定だったんだって

 

177:ナナシのファントム転生者

 oh……

 

178:ナナシのファントム転生者

 ワイ>>175 己の発言の迂闊さに銃〇ェラする

 

179:ナナシのファントム転生者

 ライナアアア! ライナアアアアアア! 

 

180:ナナシのファントム転生者

 助けてええええええ! 

 

181:ナナシのファントム転生者

 うるせえ! 

 

182:ナナシのファントム転生者

 まあそんな訳でその子の家が周囲を説き伏せたとか

 古老的な人たちも「若い子に負担を掛け過ぎたしのう……」ってことで納得したとか

 

183:ナナシのファントム転生者

 結構物分かり良くて草なんだ

 

184:ナナシのファントム転生者

 香川の方もそっち出身の転生者いたんで比較的うまくいって合併完了! 

 それで香川に四国第一支部、愛媛に第二支部が出来たという訳よ

 

185:ナナシのファントム転生者

 高知と徳島はまだだったか

 

186:ナナシのファントム転生者

 徳島はともかく高知はうまくいってないらしいからなー

 現地民が首を縦に振らないとか

 

187:ナナシのファントム転生者

 高知……クズ市民……う、頭が

 

188:ナナシのファントム転生者

 何の作品を想像したか分かるがクズ市民扱いは駄目だろw

 

189:ナナシのファントム転生者

 しっかし愛媛県派遣俺らよくやったよなー

 

190:ナナシのファントム転生者

 危機に陥っている美少女助けて活躍! なんて俺らの夢だし

 

191:ナナシのファントム転生者

 そいつが羨ましいと思う人てえあげてー

 

192:ナナシのファントム転生者

 ノ

 

193:ナナシのファントム転生者

 しゃあっ! 

 

194:ナナシのファントム転生者

 ノ

 

195:ナナシのファントム転生者

 ノ

 

196:ナナシのファントム転生者

 ノ

 

197:ナナシのファントム転生者

 ノ

 

198:ナナシのファントム転生者

 俺も俺も

 

199:ナナシのファントム転生者

 お前rawww

 

200:ナナシのファントム転生者

 反応早えよwww

 

201:ナナシのファントム転生者

 俺もあやかりてえもんだぜ

 ちょっと地方巡業行って来るかー

 

202:ナナシのファントム転生者

 羨ましいよなー

 

203:ナナシのファントム転生者

 全く全く

 

 

 

 

 

「……そんないいもんじゃないんだけどなぁ」

 

 愛媛県の某所にある自宅。

 ファントム系の企業が開発した最新鋭のPCの前で六車南天は天を仰ぐ。

 俺のような人間が英雄なわけねえだろうと思う。

 

 そう、六車南天は決して英雄などではない。

 中身は平凡そのものの、単に多少レベルが高いだけの知識持ちの転生者。

 どっかの神がいらんことして、この世界に生まれ変わった一人である。

 

 前世ではメガテンが好きでデビサバやリメイク版のソウルハッカーズ、それと真シリーズをやっていたことを覚えている。

 その甲斐あって子供の頃ニュースを見ているうちにメシア教などの言葉から「これメガテンの世界やんけ!」と気づいた。

 そこから血眼で悪魔や各組織への対抗手段を探る内に転生者が集う掲示板にたどり着き、ファントムソサエティに加入した。

 なんか劇的な出来事とかない実にありふれた経緯である。

 

 実は父親が元サマナーだった事、それとファントムソサエティにおいてもメガテンガチ勢の師匠と人の縁に恵まれたからか、組織でも上の下くらいの実力はある。

 ただそれは転生者特有の高い霊的素養、それと組織の優れた環境による物が大きい。

 努力と言っても彼からすれば朝起きて走るとか、部活の後に素振りするとかそんなくらいの感覚である。

 稼いだ金で造魔を強化して、自分の装備を整えてれば油断しなければそうそう危機に陥る事もない。

 

(だからなー俺に期待されても困るんだよなー。

 確かに愛媛だと俺が一番強いけどさぁ)

 

 抑々愛媛に来たのだって火炎系のスキルカードがファントム内で高騰しており、ちょうどいい火炎系魔法を使う悪魔を探していただけなのである。

 そんな欲得ずく目の奴をまるで現代の英雄のような目で見られてもと正直後ろめたい。

 慢心するよりむしろ「やめておくんなせえ!」と叫びたいくらいだ。

 

 ただそれでも、この地に残る理由が何かと言われれば。

 

「……むぅ、また他の女の事を考えていますね。

 まあ寛大なる私は一人か二人増えても一向にかまいませんが」

 

 気が付けばフーシェが六車の頭に頭を乗せていた。

 この声の感じはあれだ。何かをねだる感じか。

 

「そんな寛大な私には高級お揚げを乗せたうどんが相応しいと思いませんか」

「はいはい。うどんばかり食っていると血糖値上がるぞ?」

「ふん、私は造魔なので問題なしです」

 

 それなりに長い付き合いになったフーシェをあやしつつ六車は苦笑する。

 ま、居心地が悪い事もあるが今の人生は悪くない。むしろ良い。

 

 世界は危険で満ちていてそう油断できるような生易しい物ではないし、自分は英雄などではない。

 大きなことは幹部とか、そうでなくてもライドウの様な凄い奴がやってくれる。

 自分にできる事はせいぜい多少危険な悪魔ややべー奴を倒すくらいだ。

 

 ただ、自分の好きな人たちが幸せに生きれる程度には頑張ろうと思う程度には良い人生だ。

 六車は愛媛の地であった少女の笑顔を思い浮かべ、素直にそう感じている。

 

*1
DSJ出展。高度な悪魔関連技術で製造された拳銃であり、使用者にクイックショット等のスキルを付与する。

*2
本作の悪魔召喚プログラム及び神道系等各種召喚術では召喚できる数は1~2体。対してファントム系のCOMPは3体を召喚可能。

*3
真・女神転生Ⅴ出展。




本作ファントムソサエティはやべーぞメガテン世界だ!となった転生者達が集まった組織。
アレな奴もいますが基本的にはまともよりでそれなりに平和の為に頑張っています。




ある程度ネタが出来たので短編で一作書いてみました。
続きはアイディアがまとまったら書く予定です。

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