超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第十二話 燃え上がる炎、焦がれる心

 哮り、轟き、燃え上がる炎。どこまでも純粋に、どこまでも力強く…高く高く、天にまで届かんとする、赤き炎。

 その炎の根源を、わたしは知らない。わたしの知る何かなのか、わたしの知らない何かなのか、それすら分からない。けれど感じる、伝わってくる。その炎に込められた…その炎を燃え上がらせる、意思の力が。

 心が震える。震え、躍る。聞いていた通りだと、想像していた以上だと、心がときめいて仕方がない。だから…だから、だから……もっと見せて頂戴。もっと感じさせて頂戴。貴方の力の、意思の、思いの全てを…わたしに教えて、カイトッ!

 

 

 

 

 もう一度、イリゼと手合わせがしたい。俺はそう思っていたし、イリゼからも前向きな返事を貰えていた。あの時より俺がどれだけ強くなれたのか、今のイリゼはどれだけ強く、凄いのか…それを感じられる時を、楽しみにしていた。

 そしてそれを実現する為に、改めて俺はイリゼへと頼み込みに行った。そんな中で、その時その場にいたセイツから言われた、一つの言葉。

 

「ねぇ、カイト。その勝負…わたしじゃ駄目かしら?」

 

 セイツ。イリゼの姉であり、この神生オデッセフィアの、もう一人の女神。彼女からの提案…イリゼとではなく、セイツとの勝負に対して、俺はその場で首肯した。

 勿論俺は、イリゼと手合わせしたかった。だが、セイツとも手合わせしてみたかった。きっと強い、強いに決まっているイリゼの姉と手合わせするチャンスが、向こうからやってきたのなら…その勝負は、受けるに決まっている。

 だから俺は、セイツとイリゼ、それに手合わせの事を知って観戦したいと言った数人と一緒に、周りの被害を気にしなくてもいい場所まで移動し…今は、セイツと正対している。

 

「まずは、感謝させてくれ。ありがとう、俺の頼みに応えてくれて」

「変な事を言うわね、カイト。貴方との勝負を切り出したのは、わたしの方よ?」

「けどそれは、俺がイリゼに手合わせを頼まなければ…こっちから言ってなきゃ、セイツだって切り出さなかっただろ?確かに相手の変更はあったが…俺が頼んで、セイツが受けてくれたって事には変わりねぇよ」

「そう?だったら…その感謝、ありがたく受け取っておくわ」

 

 そう言って、セイツは小さく笑う。その表情や言葉選びは、やっぱりイリゼと似ていて、姉妹なんだなって感じさせる。

 一旦やり取りを止めて、俺は大剣を抜く。まだ構えず、地面に立てて…もう一度口を開く。

 

「それと、もう一つ頼みがあるんだ。俺は本気のセイツと…本気の女神レジストハートと戦ってみたい。だから…女神の姿になってくれないか?」

「へぇ…そういえばカイトは、イリゼにも同じ頼みをしたのよね?相手が強いって分かってて、でも自分から挑んで、しかも手加減じゃなくて本気を望む…素敵よ、素敵な向上心と闘争心だわ。……けど、その頼みは聞けないわね」

 

 なんだか嬉しそうにセイツは言う。その声音には、好意的な響きがあって…けれど俺は言われる。それは聞けない、出来ない…と。

 

「…俺は、本気を出すのに値しないって事か?」

「そうじゃないわ。そうじゃなくて…本気は、頼み込んで出してもらうものじゃないでしょ?本気は、なってもらうものじゃなくて……させるもの、でしょ?」

 

 二振りの剣を鞘から抜き、左の剣は肩に、右の剣は下段のまま俺の方へと向けるセイツ。少し身体を逸らし、その上で俺を見る、見つめるセイツの言葉に、俺は数秒止まり…それから自然と、笑みが浮かぶ。

 あぁ、そうだ。確かにそうだ。仮に頼んで、それで本気を出してもらっても、相手がそれを快諾してくれるような人間なら、どっかで相手の身を案じて手を抜いてしまう事もあるだろう。けど、それは俺の望んでいるところじゃない。俺の望みは、セイツがそう言うってなら……

 

(いいぜ、セイツ。だったら俺が引き出してやる。セイツの本気を…俺の本気で、全力で…ッ!)

 

 湧き上がる闘志を込めるように、大剣を構える。セイツも格好は変わらないが、ほんの少し俺への視線が鋭くなる。

 大きく一つ、深呼吸。セイツの方から仕掛けてくる気配はない。だから俺はこの余裕を存分に活かし、全身に力を漲らせ…力一杯に、地面を蹴るッ!

 

「勝負だ、セイツッ!」

 

 飛び込み、跳び上がり、上段から大剣を叩き付ける。これは先手の一撃であり、小手調べの一撃。セイツへ向けた、俺からの挨拶。

 俺が振るった大剣に対し、セイツは二本の剣を掲げ、刃を交差させて防御。衝撃は諸にセイツへと伝わり…だがセイツは蹌踉めかない。肘や膝を使って、しっかりと衝撃を和らげて、俺の一撃を真っ向から受け止めた。

 

「真っ直ぐで、良い斬撃ね。迷いのなさが伝わってくるわ」

「それはどうも、っと!」

 

 返ってきたのは、余裕のある言葉。けど、今のを阻まれたのは驚きじゃない。だから俺はセイツを押し、押し返してくる力を利用して大剣を引き、そのまま今度は回転斬り。遠心力を乗せた、横の斬撃をセイツへ打ち込み…それをセイツは、今度は避ける。後ろに跳んで、避けたかと思えばすぐまた距離を詰めてきて、右の剣を俺に突き出す。

 

「当たる、かよ…ッ!」

 

 迫る刺突を、肩から横に跳んで回避。すぐにセイツも向きを合わせ、二本の剣で次々と斬撃を放ってくる。俺は横や後ろに何度も避けて、避け切れない分は大剣で受けて、セイツからの連撃に耐える。

 

(速いな、今は防御するしかない…けど、それで良い。それで、間違ってない…!)

 

 無理に斬り返そうとはしない。相手は女神で、しかも剣は二振り。大剣と双剣の時点で、スピードで勝てる訳がないんだから、焦らず俺は耐える。しっかり受けて、避けて、タイミングを待つ。そうしてそのまま、何回も防御と回避を続けて…不意に、直感的に、今だ、と思った。その感覚を信じ、俺は防御した直後の大剣を力で無理矢理振り抜いて…セイツの攻撃を弾き返す。

 

「…やるわね、今のは狙ってたの?」

「狙ってたさ。考えてじゃなくて、感じてだけどな」

「あはは、どこぞの拳法家みたいな事を言うわね」

 

 とんとんっ、と短いステップを数度行い、弾かれたセイツは下がっていく。俺は追わず、構え直し、距離を開けたまま軽く会話する。

 後から分かったが、俺が弾いたセイツの攻撃は、これまでよりほんの少し隙があった。多分、連撃の切れ目だった。

 

「いいね、カイト君。前より大剣の使い方が上手くなってる」

「ちょっと力任せな感じもあるけど…もしかして意図的なのかしら。大剣って下手に技術を出そうとするより、重さとか大きさを活かす、力に力を重ねるスタイルの方が上手く扱えるものだし」

「そういえば、茜さんも大剣を使っていたんだったね。…という事は、エスト様も……」

「うん、エストちゃんも大剣を使ってたね。エストちゃんの場合は、大剣『も』だろうけど…やっぱり同じ武器を使う者としては、この手合わせは気になる感じ?」

 

 聞こえてくるのは、見ている皆の言葉。エストも大剣を使うのか、とかワイトさんが前に乗っていたロボットの剣も人間からすれば大剣…どころか巨大剣みたいなもんだし、少しは心得があったりするんだろうか、とか色々頭に浮かんだが、それは一旦脇に置く。余計な事を考えながらで、セイツを本気にだなんてさせられるものか。

 

(ふー…よしッ!)

 

 もう一度、突撃を掛ける。だが今度は跳躍せず、大剣を脇構えで走り込み……

 

「うぉっ!?」

「また来るまで待ってると思った?残念、もしそうなら外れよ!」

 

 反射的に仰け反った直後、俺の真上をセイツの飛び膝蹴りが襲う。仰け反った俺の目に、通り過ぎていくセイツの下からの姿が見えて…転倒。反射的な回避だったせいでバランスなんか取れず、ひっくり返って、けどすぐに立ち上がる。立って、セイツの上からの斬撃を防ぐ。

 

「しっかり防御してくるわね…でも、大剣で防御してたら、わたしの事は見辛いんじゃないかしら?」

 

 仕掛けては動き、動いては仕掛けて、セイツは素早く位置を変えながら攻撃を続ける。今言われた通り、大剣は大きい分視界の邪魔になる事もあって…立て続けに位置を変えられると、見切れなくなる。

 なら、どうするか。状況を変える為に、また弾き返す?…それは駄目だ。さっきと同じ手が通じる訳ないし、そもそもあれは直感的に隙を見抜いた…つまりは受動的な対応。再びそれが訪れるまで、凌げる保証はどこにもない。

 

(……大丈夫、焦るな。よく見ろ、感じろ。相手は訳の分からない何かじゃない…相手はイリゼ達と同じ、女神だ…!)

 

 段々押されていく。追い詰められていくのを肌で感じる。だが俺はまた、防戦に徹する。さっきは反撃のタイミングを待つ為に、今度はセイツを見て、感じる為に。

 ある意味、セイツが初めから女神化をする選択をしないでくれて良かった。女神化されていたら、()()戦い方じゃ速攻でやられていたかもしれない。

 けど、そうはならなかった。セイツが初手から女神化する選択をしなかったおかげで、俺は見て、感じる事が出来た。だから……

 

「…ここだッ!」

「……!」

 

 自分から見て左側から、逆袈裟の様に振るわれる一太刀。隙がある訳でもない、これまでより劣る部分があったりする訳でもないその一撃に対し、俺は腰から身体を捻り、その捻りを加えた斬撃を、剣へとぶつける。

 さっき以上に剣を弾かれ、崩れるセイツの体勢。そのセイツが逃げる前に、俺は次の攻撃に移る。振り下ろした大剣を、腕力で強引に振り上げる。

 

「やっと、見えてきたぜ…セイツの、狙いがな…ッ!」

 

 反撃である峰での振り上げを、セイツは左の剣で防御。だが俺はそれを押し切る。スピードじゃこっちが不利だが、双剣の片方と、両手持ちの大剣なら、パワーだったらこっちが有利。

 それを活かして、反撃を重ねる。深く踏み込み、一撃一撃に力を込めて、とにかくセイツにガードをさせる。ガードさせ、回避に移れないよう体勢を崩して、次の攻撃もガードを強いる。そうして少しずつ、体勢を立て直せない状態へ押し込んでいく。

 

「やっぱり積極的ね、カイト。そうやってどんどん進もうとする意思は、わたし好きよ…!」

「積極的になるさ、でなきゃ剣は届かない…!……っ、これでッ!」

 

 さっきとは逆に防戦一方なセイツは、それでも口元に笑みを浮かべる。積極的、その言葉に俺は頷いて…大きく踏み込んで、上段斬り。両手の剣での防御を、叩き付けるような一振りで纏めて弾いて、仰け反ったセイツへ本命の一撃。体重を掛けた、身体ごとぶつけるような刺突を打ち込む。

 見えるという事は、分かるという事。攻撃が見えるなら、防御も…どこへどんな防ぎ方をしようとしているのかも、完璧に…とまでは言わずとも、ある程度は見切れるようになる。そしてそれが見え始めたからこそ、俺は反撃に転じる事が出来たし…分かる。いける。諸に入る事はないだろうが、これだけ体勢が崩れた状態なら、刺突はセイツに届……

 

「甘いわッ!」

「……っ!?」

 

──次の瞬間、大剣ごとぐっと引っ張られる俺の身体。刺突をしていた俺は、そこから前へと投げ出され……見えたのは、両脚で大剣の側面を挟み、その状態で後方宙返りをする事でカウンターを掛けたセイツの姿。

 

「た、大剣を介してのフランケンシュタイナーとは…また器用な事をしますね、セイツ様は……」

「あれちょっとでも失敗したら脚が斬れちゃう訳だし、大胆だねぇ…」

 

 また地面に身体を打った俺は、衝撃を堪えて前転し、すぐに立って振り返る。追撃に備えてすぐに立て直しを掛けた……が、セイツは着地した状態からゆっくり立ち上がるだけで、攻撃してくる気配はない。

 

「…今のも良い攻撃だったわよ。女神じゃなかったら、避けられてなんかいなかっただろうし」

「…でも、避けられた。届くかと思ったが…まだまだだったみたいだな」

「そんな事ないわ、貴方には届かせる力がある。…なのになんで、使わないの?貴方の力を、貴方の炎を」

 

 知っていたのか、と返せば、イリゼから聞いたわ、とセイツは言う。俺を見定めるような、そんな視線で見つめてくる。

 そう。セイツの言う通り、俺にはまだ力が…炎がある。だが、まだ今は使っていない。使えるが、敢えて使わず戦ってきた。

 

「…………」

「……使う気はないみたいね。少し残念だけど…いいわ。どう戦うかは貴方の自由だもの。けど…使わず勝とうと思ってるんだとしたら、まずはその認識をぶち壊してあげるわッ!」

(……っ!逆手持ち…!?)

 

 無言でセイツを見返す俺。その反応に、セイツは残念と言ってから肩を竦め…ほんの少し前傾姿勢になったと思った直後、一気に俺へと肉薄してきた。

 殴り付けるような腕の振りと共に、外側から刃が迫る。その挙動で俺は、セイツの剣が逆手持ちに変わっている事に気付いた…が、不味い。これは不味い。順手から逆手になった事で動きが変わり、折角見えつつあったセイツの動きがまた見切れなくなる。

 

「つぁッ…けど、その持ち方なら防御は……」

「防御はし辛い、確かにそうね。でもそれなら、防御を必要としない立ち回りをするだけよ?それに…必要なら、こうすればいいだけだものッ!」

「あ、左手の剣だけ元の持ち方に戻したわね。順手、逆手、混合が二パターンで、四通りの構え方を使い分ける…ってところかしら。やっぱりおねーさんの姉なだけあって、そういうスタイルは共通してるのね」

「そーなると、ここまでせーちゃんは使える手の多くを隠したまま戦ってた…って事かな?」

「そうなるね。でもそれは、炎を使ってないカイト君も同じだし…まだ手札を隠してるよ、セイツは」

 

 斜めに振り出した大剣が、差し込まれるようにして出された左手の剣に阻まれる。幾ら両手対片手でも、速度が乗ってなきゃ押し切れない。

 そして阻むと同時に逆手で振るわれる、右手の剣。それは後ろに避ぶ事で避けたものの、順手と逆手、振るわれ方の違う斬撃を左右で交互に…と思いきや、時々同じ側で連続攻撃を仕掛けてきたりして、セイツは徹底的に俺を翻弄してくる。

…また、このパターンだ。一度目は直感の見切りで、二度目は感覚が慣れ始めた事で凌げたが…次はどうする?三度目を凌ぐ方法は……

 

(…いや、ここは攻める…ッ!)

 

 左右の同時斬りが来た瞬間、俺はそれを大剣の腹で受け、自分側の腹へと手を当てる。そのまま力任せに押し切って、まずは連撃を止める。

 対するセイツは跳躍し、俺の背後へ。俺は前のめりの体勢になる…が、こういう対応をしてくるだろうなとは思っていた。心構えは出来ていた。だから足を踏み出し、前進を止め、思いっ切り身体を回転させる。その勢いを大剣に乗せ、遠心力で加速した大剣の横薙ぎを叩き込み……そうして、弾かれた。まるで何かに正面衝突したかのように、激しい衝撃が走ると共に。

 

「ぐ……ッ!」

「ふふっ、驚いた?驚いたわよね?驚いてくれるって…信じてたわッ!」

 

 弾かれ蹌踉めいた俺の前では、セイツも同じように体勢を崩している。そしてその手にあるのは、刃が互い違いになるよう柄尻同士を連結させた、一つになった二本の剣。二つを一つにし、両手で持って、セイツも俺と同じ回転斬りを放っていたんだと、今のセイツの状態から理解し…立ち上がりは、セイツの方が早かった。連結を解除し、軽くなった状態で片方だけを逆手で振って、斬撃と刺突の中間の様な攻撃を打ち込んできた。何とか、辛うじて俺は大剣を引っ張り、ギリギリで大剣の柄を当て防御するが、衝撃はまるで殺せず俺は背中から地面に倒れる。

 今日三度目の転倒。見えているセイツの顔に浮かんでいるのは、楽しそうな表情。上手くいったからなのか、そんな手もあるのかと驚いた俺の感情が良かったのかは分からないが、セイツの表情からは満足そうな感情が感じられて……だが次の瞬間、俺は見た。見えた。満足そうだった表情の中に混じる、微かに感じる…残念そうでもある色を。

 

「…でも、これで終わり…かしらね」

(……っ…)

 

 何故、セイツはそんな表情をしている?見間違いでないとしたら、どうして残念そうな感情が混じるのか。それは……いや、そうだ。そんなのは、分かり切っている。

 セイツはきっと、期待していたんだ。俺の力に、俺の本気に。だから女神化はしない、じゃなく、本気にさせてみろと言うような返しを最初にしたんだ。逆手持ちや連結を出したのも、多分俺の全力を引き出す為で…だけど俺は、まだ炎を、本気と全力を封じたまま。手を抜いている訳じゃないが…手を尽くしている訳でもない。セイツからすれば…拍子抜け、なんだろう。本気を求めた、他でもない俺がその本気を出していないんだから。それで決着しそうなんだから。

 だったら、どうする?ここから俺には、何が出来る?…そんなの、決まってる。そんなのは……一つしかない…ッ!

 

「悪い、セイツ。けど、まだ…終わりじゃ、ねぇ…!」

「……──!」

 

 上から振り下ろされる刃。今の俺じゃ、防御も回避も出来ない。仮に出来ても、今の状態からじゃ一撃凌げても二撃目は確実に無理。……今の、今のままの、俺ならば。

 だがもう、止めだ。俺は自分の意思で、自分の力を封じてきた。剣技だけでどこまでやれるか試す為に、自分の中にある力へ安易に頼ってしまわないように。けどそれが、全力を出さないまま、出せないままの決着に繋がってしまうなら、期待し応じてくれたセイツの気持ちを無下にしてしまうのなら……これ以上封じる意味はない。

 だから俺は、力を解放する。迫る刃に対して、右腕に力を込め……炎の噴射と共に、片手で大剣を振り上げる。

 

『あれは……!』

 

 剣と剣とが激突し、だが一瞬の拮抗もなく俺の大剣がセイツの片手剣を弾き返す。こうなる事は予想してなかったのか、セイツは仰け反り、その隙に俺は立ち上がって構え直す。

 セイツだけでなく、見ている四人からも驚きが伝わってくる。やっぱ皆からしても、俺は炎のイメージが強いみたいだな。エストは知らないだろう、けど…ッ!

 

「…やっと、なのね…やっと見せてくれるのね、貴方の全力を…!」

「あぁ。これまで手を抜いてた訳じゃないが…ここから先は、さっきまでと同じとは思うなよ…!」

 

 立て直しまた剣を振るってきたセイツに対し、俺もまた炎の噴射を利用した斬撃で再び弾く。直後、弾かれた動きを利用し逆側の剣を振ってきたセイツだったが、今度は炎を俺自身の跳躍に利用して真上へ回避。空中で大剣を振り、斬撃の軌道で炎を放てば、セイツも後方へ大きく跳び、回避の後にまた二本の剣を連結させる。

 

「今度はパワー勝負…だけだと思ったら大間違いよッ!」

「くぉッ…みたい、だなッ!」

 

 着地の瞬間を狙って接近してくるセイツ。確かにセイツの言う通り、上にも下にも刀身がある剣っていうのは動きが変則的で、こっちの予想を超えてくる。

 だが、俺はそれを上から叩き潰す。火力でセイツがやろうとする連撃を、変則的な動きを強引に断ち切り反撃を通す。

 

「…これは…もしや、カイト君が押している…?」

「押してるねぇ。ここまでずっと炎を出さないでいた分、せーちゃんの動きにちょっとは慣れてるカイト君と、まだカイト君の炎に慣れないせーちゃんって形になってるのかな」

「けどセイツも女神なんだから、すぐに慣れて対抗してくるでしょうね。だから、短期決戦が鍵…ってところかしら」

 

 お互い振った剣同士でせめぎ合う中、セイツは剣の連結を解き、せめぎ合っている方の剣で踏ん張り持ち堪えながら、逆の剣で横薙ぎを掛けてくる。ならば、と俺は炎で素早く引き、避けた次の瞬間には逆向きの噴射で無理矢理再接近。無理な動きで身体に衝撃が走るが、歯を食い縛ってそれを耐え抜き、袈裟懸けで大剣を振り下ろす。セイツは二本の剣で防御しようとするが、そこに俺は力を、腕力と炎の両方を込め……完全に、振り抜く。

 

「……ッ!」

「これが、俺の…全力、だぁああああッ!」

 

 弾かれ飛んでいく、左手の剣。目を見開いたセイツは、飛んだ剣を追う事なく…一切の迷いなく、残る右手の剣で俺に刺突を掛けてくるが…俺の作戦は、既に終了している。

 振り抜き、地面に食い込んだ大剣から噴き上がるのは、猛烈な炎。振り下ろす時に込めた力を完全解放した、大火炎。相手が女神じゃなきゃ躊躇う…取り返しのつかない事態になってもおかしくないような爆炎がセイツを包み、俺の視界を赤で染め──

 

「……だよな。そりゃ、女神なら…これで終わる訳がねぇよな」

 

……次の瞬間、燃え上がる炎は斬り裂かれる。その内側から放たれる斬撃で、生まれた剣圧で寸断され、散らされ……奥から現れたのは、真っ白な髪と、深い黄色の瞳をした、両手に特徴的な剣を携えた女神。

 

「ふぅ、今のは驚いたわ。女神化しないと危ないかも、って感じたもの」

「でなきゃ困るさ。……やっと、本気になってくれたんだな、セイツ」

「えぇ。貴方は全力を見せてくれた、わたしに本気を出したいと思わせてくれた。だから…次はわたしが見せてあげるわ。わたしの…女神レジストハートの、真の力を」

 

 至近距離で、言葉を交わす。セイツはまだ仕掛けてこないし、俺もゆっくりと焼けた地面から大剣を抜いて、セイツへ小さく笑みを浮かべる。

 押せてたとはいえ、炎を…ミスティックドライブを発動しても尚、セイツを圧倒するには至らなかった。そこから女神化されたなら…やっぱり俺が不利だろう。けど、いい。不利だろうが何だろうが気にしない。

 こっから先が、ここから先こそが、本当の勝負。なら俺は、最後の瞬間まで全力を尽くして…セイツに、女神に、挑むだけだ。

 

 

 

 

 女神化せずに戦う事も出来た。その場合、無事では済まなかったとは思うけど、女神化しなければ負ける…とは思わなかった。…負けず嫌い?そうよ、わたしは負けるの嫌いだもの。皆だって、少なくとも好きではないでしょ?

 ただ、それでもわたしは女神化する事を選んだ。大きな怪我をしたら勝っても負けてもお互い悔いが残るだろうから、というのも理由の一つではあるけど…一番の理由は、わたしがそうしたいと思ったから。彼の思いに、カイトの本気に、応えたかったから。

 それに…もっと感じて、もっと心を躍らせたかったから、というのもある。女神の姿で、女神としての本当の姿で…カイトの本気を、彼の心に燃え盛る感情の炎を。

 

「ふー…せぇいッ!」

 

 エンジンを掛け直すように息を吐いたカイトは後ろに飛び、跳躍中に大剣を振る。そこから業火が吐き出され、周囲諸共わたしへ襲いかかってくる。

 その動きに、恐れはない。下がったのも距離を取る為で、闘志は微塵も変わる事なく感じられる。それに安心と喜びを抱きながら、わたしは前に跳んで、両手の剣で迫る炎に穴を開ける。

 

「並々ならぬ火力の炎…でも、ただ放つだけじゃ通じないわよッ!」

「分かってるさ、女神だもんなッ!」

 

 迫るわたしに対し、着地したカイトは斬撃で迎え撃ってくる。わたしは突撃の勢いを乗せた右剣の袈裟懸けで対抗し、大剣を止めつつ左剣で突く。

 わたしが女神化した以上、大剣と双剣だからパワーなら圧倒出来る…だなんて、彼ももう思っていない筈。勿論難なく弾き返せるとは言わないけど…さぁカイト、ここから貴方はどうするのかしら?

 

「……!」

(避けた、それも最小限の動きで…!)

 

 突き出された剣を、カイトは身を逸らす事で…人混みの中でぶつかるのを避けるような、殆ど労力を必要としない動きで躱した。

 それ自体も凄い。斬り結びながら、女神の攻撃を最小限の挙動で避けるなんて、やっぱり彼は只者じゃない。でも、それ以上に凄いと思うのは…わたしの心を惹き付けたのは……

 

「なんて度胸、なんて胆力…凄い、凄いわカイト!まさか、こんなにもすぐわたしを魅せてくれるだなんて…ッ!」

「へ?あ、お、おう…っとぉ……!」

 

 感じ、流れ込む度胸という心の力に、わたしの心も震える。ゾクゾクという刺激が走り、自然に歓喜の声が漏れてしまう。それと共にわたしが左剣を引き戻し、二本で大剣を挟んで封じ込めつつ蹴りを放てば、カイトは目を瞬いた直後にまた避けて…けれど今度はギリギリで、無駄もある動きでなんとか避けて、炎による反撃をかけてきた。

 刀身から噴き出す炎がわたしに届くまでは一瞬。でもその一瞬の間にわたしは跳び、宙で何回も回転を掛けながら斬り掛かる。

 

「来るか…ッ!」

「これは避けないのね、やっぱり大した度胸だわ…ッ!」

 

 振り上げたカイトの大剣と、回転のままに振るうわたしの右剣が激突。落下の勢いと遠心力でわたしが押し切り…でもカイトは、そこから即座に切り返す。弾かれた時点で炎を使い、お返しとばかりに一回転しての斬撃が鋭くわたしに迫ってくる。素早くわたしは左剣で受けるけど、今度はわたしの方が弾かれる。

 でも、彼の斬撃は弾くだけじゃ止まらない。そのまま斬撃をわたしに届かせようと、自身の力に炎を重ねた一撃をわたしに伸ばしてきて…だからわたしも、()()()()()迎え撃つ。

 

「……ッ!これは、イリゼの…!」

「えぇ、わたしとイリゼは姉妹だもの。同じ技術を持ってたっておかしくないでしょ?…まぁ、使い方は少し違うんだけど…ねッ!」

 

 数瞬前に押し切って、それ故に振り抜いた後の状態だった右剣での高速迎撃。それを成立させたのは、圧縮したシェアエナジーの解放。その爆発を推進力とした事で、わたしは右剣を割り込ませた。

 

「やっぱりせーちゃんもやってくるんだね。…でも今の、ぜーちゃんと違ってプロセッサユニットから出てきたよーな……」

「流石茜、見えてるんだね。…その通り、セイツはプロセッサに圧縮状態のシェアエナジーを装填していて、そのカートリッジがプロセッサの各部にあるんだ。で、今のはそれを使った訳だね」

「へー。それのメリットは、先に用意しておける事で、デメリットはカートリッジになってる部分の強度が落ちる…ってところかしら。まあ、どっちも他にも色々あるんでしょうけど」

 

 多分継続的に出せるカイトの炎と違って、わたしの圧縮シェアエナジー解放で得られる推力は瞬間的なもの。だから押し合いになる前に、受け止めた時点でわたしは横に跳び、そこから平行にした二本で同時に横薙ぎを仕掛ける。カイトは剣の腹で受け、けれど衝撃は殺せず軽く後退する。

 

「折角だもの、どんどんわたしの力を見せてあげるわ!」

 

 多少とはいえ距離の離れたカイトへ、わたしは二振りの斬っ先を向ける。何か来る、そう察した様子のカイトへと狙いを定め…わたしは剣を、剣を芯にする形で展開したシェアエナジーをバレルに圧縮シェアエナジーを射出する。

 放った不可視のエネルギーは真っ直ぐ飛び、カイトの前で炸裂。防御体勢を取っていたカイトは大きく仰け反り、そこへ向けてもう一発。

 

「まだまだいくわよ、カイト!」

「あぁ、そうだな…俺だって、まだまだこんなものじゃねぇ…ッ!」

 

 二発目で更に体勢を崩したカイトへ接近し、斬り付ける。それへの防御で彼の手からは大剣が飛び、カイトは無防備な状態に。それにカイトは表情を歪める…けど、手から離れた剣を追う事はなく、下がるどころかむしろ前に出て、同時に両手に炎を纏って、その手で私を殴ってくる。

 上手い。この状況で前に出る気概も、得物を目ですら追わない割り切りもそうだけど…前に出ての徒手空拳を選ぶというのは、この場においてベストな選択。即座に自分から距離を詰める事で、わたしの剣も振り辛い距離に飛び込む事で、こっちの得物も使えないようにして振りを打ち消すなんて、歴戦の強者か、無意識にベストな選択を引き当てられる直感力の持ち主位のもの。そして、どっちにしたって武器を失った直後に、武器を持つ相手の懐に飛び込むなんて並みの神経じゃ思い浮かんでも実行になんて移せない。

 

(あぁ、ああ…なのに貴方は、それを平然とこなす…凄いわ、素敵だわ、貴方の心はなんて魅力的なのカイト…!)

 

 更に心が踊っていく。彼の心の炎に当てられるように、わたしの心も焦がれてしまう。

 わたしは、わたしも武器を手放す。片手だけでも良かったけど、敢えて二振り共に手放して、開いた両手で迫る拳の手首を掴む。

 

「ふふふ、捕まえたわよカイト。ここからどうしてあげようかしら?」

「……っ…いいのかよセイツ。俺を捕まえたままだと、炎だって避けられないぜ?」

「なら、やってみる?正直もう、貴方の炎にだったら火傷位はさせられても嫌じゃないわ」

『えぇ……』

 

 至近距離での、言葉での駆け引き……をしていた中で、いきなり聞こえた引き気味の言葉。見ている皆だけならまだしも、カイトまで怪訝そうな目でわたしを見ている。…んもう、仕方ないじゃない。本当にそう思う位、カイトの強靭な精神力は素敵なんだもの。っていうか、わたしにそう思わせたカイトが引くなんて酷いわ!けど、そう思う感情も良い…!魅力的ぃ……!

 

「…やっぱりちょっと変わってるな、セイツって」

「ちょっと…?これはちょっとのレベルじゃ……って、ほんとに放った…!?」

「容赦っていうか躊躇いがないよねカイト君って…だ、大丈夫かなせーちゃん…」

 

 面白いな、と言うようにカイトが軽く笑った次の瞬間、手に纏っていた炎が膨れ上がる。

 超至近距離からの、火炎放射。流石に掴んだままじゃ防ぎようがなくて、わたしは手放し全力で回避。ここまでは使わなかった翼も展開し、横飛びで辛うじて火炎から逃れる。

 

「逃がすか!」

「安心して、逃げたりはしないわ」

 

 追うように放たれる火球。それをわたしは殴り付ける要領で手甲部から圧縮シェアエナジーを放出し、その爆発で相殺する。

 その隙に、大剣を回収しに向かうカイト。なら、とわたしも連結剣を拾い、お互い構え直して…また、突撃。数度斬り結んで、わたしはアッパーカットの様に左剣で斬り上げ、カイトが避ける中そのまま跳び上がる。空で後方宙返りをかけ…二本の剣を、縦連結。双剣から大剣状態へと移行し、その状態で急降下をかけて振り下ろす。

 

「大剣同士で勝負って訳か、面白ぇ…!」

「…そういえばおねーさんって、わざと相手と同じ武器とか戦法とか使って、揺さぶったりその気にさせたりもするわよね。あれもそういう感じ?」

「どう、かな…色んな武器で相手の慣れとか予想とかを崩していく私と違って、セイツは連結武器によるある程度の多彩さと、一つの武器に翻弄される事による心理的プレッシャーを与える事の両立が戦法みたいだけど…今の場合はシンプルに、大剣同士になった事へのカイト君の反応を期待しただけ、かも?」

「実際嬉々としていますね、セイツ様。…それにしても、縦に繋げての連携とは…女神様の武器とはいえ、接続部の強度が気になるな……」

 

 にっ、と笑い下から跳ね上げるように大剣を振るうカイトと、刃同士をぶつけ合う。カイトは自分の力で、わたしはぶつかり合った衝撃で後ろに跳んで、着地してすぐ地面を踏み切る。袈裟懸け、横薙ぎ、再びの振り下ろしと振り上げとで、三度わたし達は斬撃を衝突させ、そこからせめぎ合う。

 

「重い、な…!…けど、まだだ…もっと強い筈だろ、セイツは…女神は…ッ!」

「ここにきて、わたしを煽るの…?…もう、何よカイト…そんな事も出来るなんて、そんな感情も見せてくれるなんて…それを隠してたなんて、狡いわ…っ!」

 

 ぞくり、と背筋が震える。ドキドキして、吐息が荒くなってしまいそう。これは疲労のせい?…まさか、そんな詰まらない理由で、こんな感覚は味わえない。

 圧縮シェアエナジーを使って一気に押し切るか、逆に引いてカイトを前のめり状態にさせるか、それとも普段はあまりやらないけど、シェアエナジーで武器を精製して、それを上から射出するか。そんな風に、幾つかわたしは考えて…でも全て没にする。このまま押し合い、純粋な力で押し切ってみせようと、わたしの心がそう選ぶ。理由は勿論、きっと負けるものかと奮起してくれる彼の心の動きを感じたいから。

 

「ほら、ほら…貴方の言う通り、まだまだわたしは力の底まで到達してないわよ…?貴方はどうなの、カイト。もしもう限界なら、このまま終わっちゃうわよ?でも、そんな事ないわよね…大丈夫、貴方はもっとやれる…そうでしょう、カイト……!」

「…そう、だな…なんかちょっと、変な方向での怖さがある気がするが……まだ、終わりじゃねぇさ…!」

 

 少しずつ、力でわたしが押し始める。どんどんわたしは圧を掛け、カイトの姿勢が崩れていく。一気に押し切る事はしない。それじゃあ感情を見られないから、っていうのもあるけど…直感が鋭い様子の彼には、じっくり追い込んだ方が確実というもの。

 だけど、だからってこのまま押し切れちゃったらそれはそれで残念。どうもわたしは、自分で思っていた以上にカイトへ期待して、心を惹き付けられてるみたいで……嬉しかった。その期待に、彼が応えてくれるのが。本当に…まだまだ終わりじゃなかった事が。

 押されながらも、体勢を崩しながらも、声を上げるカイト。底力を引き出すような、腹の底から出しているような声が響き…地面に、彼の足元が起点となるように、赤い煌めきが走り輝く。

 

「……──ッ!これなら…どうだッ!」

 

 次の瞬間、彼を包むように巨大な火柱が立ち昇る。爆ぜるような炎が、広がりながら天へと昇り…当然そんな反撃をされたら、わたしは退かざるを得ない。

 

「まだだ…もっと、燃えろッ!」

「……ッ!いいわ、だったら正面から打ち砕くッ!」

 

 大きく退いたわたしへ向けて、火炎柱の中から真紅の斬撃が飛来する。対するわたしは避ける事なく、真正面から斬り裂き両断。一撃一撃放たれる斬撃を、一太刀一太刀斬り飛ばしていく。

 

「わー、派手ねぇ。…にしても驚きだわ、結構粘る…っていうか、攻め切られずに持ち堪えてるじゃない、カイト」

「カイト君の攻撃力…っていうか、火力?…は、ほんとに凄いもんね。決まれば一発で決着、みたいな可能性もあるから、せーちゃんも強引に押し切る事は出来ない感じなのかも」

 

 聞こえてくる的確な分析に、迎撃しながらわたしはちょっぴり感心。確かにその通り、カイトの炎はカウンターで受けるとそれだけで戦況がひっくり返りかねないから、わたしは最後の一手を何度も逃している。…まぁ、こっちから底力引き出して、自分でチャンス潰してる面もあるんだけど。

…でも、彼は人間。無限に力が湧き出る訳じゃないし、もう彼の戦い方は見切った。だから…彼の全力を、真っ向から超えてわたしは勝つわ。わたしの心を魅了してくれた彼への感謝として…わたしも、全力で…ッ!

 

「カイト、貴方の力は凄いわ。炎もだけど、その心の在り方こそがきっと貴方の一番の武器。…だけど…そう簡単に超えられたりはしないわ、だってわたしは女神だものッ!」

 

 幾度目かの、炎の斬撃。それにわたしは斬っ先を向ける。けどシェアエナジー弾ではなく、わたし自ら突っ込んで、刺突突進で砕き、そのまま突撃。更に迫る斬撃も全て突き貫いて、彼のいる火炎柱へと肉薄し…斬っ先を突っ込むと同時に、圧縮状態のシェアエナジーを撃ち込む。撃つと同時にシェアエナジーは炸裂し、炎を全て吹き飛ば──

 

「漸く来たか…"()"ってたぜ…この"瞬間(とき)"をよ…ッ!」

「……ッ!?(まさか…誘い、込まれた…!?)』

『な……ッ!?』

 

 消し飛び晴れた炎の柱。その中から見えたのは…深く、そして熱く感情の籠った笑み。

 直感的に、わたしは距離を取る事を考えた。でも、踏み込み吹き飛ばした時点で、彼の術中に嵌っていた。

 再び地面に走る、さっきよりも遥かに広がる、赤い煌めき。その煌めき全てが爆ぜるような、そんな轟音が耳に届き…皆の驚愕の声が聞こえたのとほぼ同時に、巨大な炎のドームが現れた。そのドームに、わたしはカイトと共に包まれる。

 

「…自分と相手だけを包む、炎のドーム…これで炎が紫色だったら、完全に某匣兵器ね」

「セイツ…ってか女神はとにかく速いし飛べるからな。だから、その両方を封じる為に、少しずつ力を溜めてたんだよ」

「つまり、さっきまでの斬撃は全部時間稼ぎだった訳ね。完全にしてやられたわ」

「力任せに戦うだけじゃ、超えられない壁があるからな。…ふー…にしても、その場の思い付きが上手くいって良かったぜ」

「へ?これ思い付きなの…?」

「思い付きだ。後……正直自分でもこれ、どうやって制御すりゃ良いか分からねぇ…」

「え"……?」

 

 そう言うカイトの額には、脂汗が浮かんでいる。それは明らかに、力が暴走しそうなのを何とか押し留めているって感じで……

 

「…って、ちょっと!?何か少しずつ、ドームが狭くなってるわよ!?これはそういう攻撃なの!?」

「…………」

「そうじゃないの!?ならこのままじゃ、わたしどころか貴方まで丸焦げ…いやそれ以前に熱とか色々な方面でカイトの身が持たないわよ!?あぁもう、取り敢えずこれはわたしが壊すからカイトは出来るだけ中央に……」

「待ってくれ、セイツ」

 

 思わず慌ててしまったわたしの問いに対するカイトの反応は、まさかのゆっくりと目を逸らすというもの。それによってこの状況のヤバさを確信したわたしは、何よりもまず彼の安全をと思って背を向け……ようとしたところで、カイトから待ったをかけられる。

 いや悠長に構えていられる状況じゃない、と返そうとしたわたし。けど、そんなわたしに対し、彼は真っ直ぐな…どこまでも真っ直ぐな目をして、言う。

 

「馬鹿な事言うな、って思うかもしれない。実際馬鹿な事だって自覚はある。…それでも、最後までやらせてくれないか?」

「最後まで、って…手合わせを……?」

「ああ。折角セイツが本気になってくれたんだ。女神と本気で戦えてるんだ。なのにそれを、こんな形で…こんな中途半端に終わらせるなんて、嫌なんだ。負けたっていい、無様に這い蹲ったっていい、どんな結末になるとしても…俺はちゃんと、この勝負に決着を付けたいんだ」

「…その結果、自分の炎に焼かれるとしても?」

 

 見つめるわたしに対し、返事の言葉はない。返ってきたのは、至ってシンプルな頷き一つで…わたしは、嘆息。

 

「大したものね、本当に貴方は度胸があるわ。いっそあり過ぎて短所にもなり得る位にね。……でも、わたしは女神よ。人を助けて、人を守って…人の幸せを願う、女神なの。幾らそれが貴方の望みでも、心からの思いでも、それを受け入れる訳にはいかない。もし貴方が、自分の炎に焼かれる事になったとしたら…わたしは後悔する。例えカイト自身がなんて事ないと思ったとしても、間違いなく悔やみ続けるわ」

「……っ…だよ、な…ごめん、セイツ。流石に今のは自分勝手過ぎた。決着はほんと付けたいけど…最後にセイツに後悔させたら、俺も俺を許せなくなる。だからやっぱり今のは無しにして、出来ればいつかまた再戦を……」

 

 

 

 

 

 

「──でも、わたしは今…凄く凄く、貴方の思いに応えたい。だって貴方の感情に、ひたむきな意思に、真っ直ぐな心に惹き付けられて、魅了されて…どうしようもない位に、焦がれてるんだもの。だから…付けましょう、決着を。貴方の望む通りに、貴方の願う形のままに」

 

 たっぷりと溜めてから、きちんと女神としてのわたしの意思を伝えてから…それから伝えた、わたしの…『セイツ』の思い。それを聞いたカイトは目を見開いて…ゆっくりと、口を開く。

 

「…いい、のか…?」

「勿論よ、わたしはわたしの思いに正直だもの。…安心して、カイト。決着は付けるけど、わたしが後悔する事も、貴方が自分を許せなくなる事もないから。そうなる前に…わたしが、勝ってあげるから」

「…は、はは…ははははははッ!そっか、そっか…分かった、なら頼んだぜセイツ!けど、だったら後の事も考えておいてくれよ?俺が勝った時の事も、な!」

 

 吹っ切れたように笑い、カイトが見せる生き生きとした表情。それだけでもわたしは嬉しくて、心踊って、なんだかもう彼を抱き締めにいっちゃいそう。けど、そんな事はしない。彼の望みに、彼の思いに応える事の方が、今はずっとしたいから。

 湧き上がる興奮と高揚感。多分、他の人ならこれは雑念で…でもわたしにとっては、意識と集中を研ぎ澄ませてくれる感覚。

 少しずつ、けれど絶え間なく迫ってくる炎のドーム。だけどそんな事は気にせず、わたしもカイトも構え、互いを見据え…同時に、地を蹴る。

 

「あぁっ、好き、好きよカイト!好きで、大好きで、大大大好き!貴方の感情が、心がわたしを震わせて、ときめかせて仕方がないの!だからまた今度、デートしましょ!今度は二人で、二人っきりで♡!」

「ああ、良いぜ。皆で街を回るの楽しかったが、二人でっていうのも面白そうだしなッ!」

「やったぁ!」

 

 全力で得物を振り抜き、攻撃ごとカイトを仰け反らせる。カイトは炎の噴射で無理矢理体勢を直し、そのまま上段斬りを放ってくる。対するわたしは連結を解除し、二本同時に大剣の左側へと叩き付けて、斬撃を逸らす。左剣を一瞬手放して、振り抜く手刀とそこからの掌底による打撃二連発でカイトを狙う。

 打撃はカイトに当たらない。斬撃を逸らされたカイトは止まる事なく、自分から大剣に引っ張られるようにして斜めに転び、それで以ってわたしの追撃を回避し立つ。明らかに頭から転んでいたというのに、一瞬も怯む事なく、立ち上がってすぐわたしへ向けて大剣を振り抜く。

 

「ぐぅっ…間に、合わねぇ…!」

「でも挫けない、でも諦めない!もう、そんなに魅了されたらわたし、貴方の事しか考えられなくなっちゃいそう…♡!」

「でも、勝ちを譲ろうとはしないんだな…ッ!」

「当然よ、勝ちたいもの!それに、譲られた勝利なんてカイトは望まないでしょう?」

「当たり前、だッ!」

 

 斬られる前にまだ宙にある左剣を掴み、斬撃の範囲を見切って無駄なく避ける。またわたし達は斬り結んで、何度もカイトの姿勢を崩す。その度カイトは持ち堪えて、剣技も炎も胆力も、あるもの全てを使ってわたしに喰い下がる。何度も何度もぶつかって、ほんの少し距離が開いて…わたしはシェアエナジー弾を、カイトは炎弾を発射。不可視と赤とがぶつかり、爆ぜ、わたしもカイトも後ろに跳んで……背中に、熱を感じる。

 もう、余裕はない。後少しでも長引けば…お終い。だから……次で最後よ、カイト…ッ!

 

「超えるさ、超えてやるさ……セイツッ!!」

「いいえ、勝つのはわたしよ。勝ってまたいつか…貴方からの再戦を受けたいもの!だから……真巓解放・貞淑ッ!」

 

 真っ直ぐに振り上げられる大剣。刀身が巨大化するような炎が、燃え盛り猛る火炎が強く広がり、地を蹴り突っ込んでくるカイト。火炎の峰側も加速の噴射となり、一直線にカイトは跳ぶ。

 わたしは今一度連結剣を縦に繋げ、カイトと同じように上段で構える。カイトを見据え、カイトを見つめ、全身に力を込め……飛翔。上ではなく、カイトへ向けて全力で飛び…今加速に使える圧縮シェアエナジーの全てを用いて、身体が軋む程の速度で以ってカイトに迫る。

 激突すれば、どちらが勝つか分からない。本気でそう思う程の力がカイトには、加速がわたし達にはあった。何があろうと、これが最後の一撃になる。わたしはそう確信した。だから……

 

「な、ぁ……ッ!?」

「…素敵だったわ、カイト。本当に、本当に…素敵だった」

 

 激突の寸前、きっとカイトが持てる力の限りで炎と共に大剣を振った瞬間、わたしは技の二段階目…得物自体の加速を掛けた。本来ならば、斬撃の速度…つまりは威力の向上の為に使う加速を、今回は軌道修正の為に使って……ギリギリのギリギリ、本当に後僅かでも足りなければ火傷していたと思う位の距離と角度で激突を避け、連結剣に引っ張らせる事で衝突を躱し…慣性をありったけの力で捩じ伏せて、わたしはカイトの背後を取った。背後から、振り抜き止まったカイトへと…連結剣を、突き付ける。

 

「……狡いなぁ、セイツ…ここは激突するって、思うだろ…」

「ふふ、そう思うと思ったから、敢えてこうしたのよ?…それに…激突を選んだら、多分そこで残りの力全部を注ぎたくなっちゃうもの。それじゃあお互い、困るでしょ?」

「…ははっ、確かにな。…じゃあ、セイツ。後は……」

「えぇ、任せて頂戴」

 

 振り向かずとも見えている筈の刃。小さく肩を竦め、笑ったカイトに、見えてないだろうけどわたしは頷く。そして、この手合わせを締め括る為…この勝負をわたしにとってもカイトにとっても素敵な時間だったという思いで終わらせる為…女神としての責務を果たす為に、わたしは本当に最後の攻撃を放った。

 

「──真巓解放・純潔…満開ッ!」

 

 双剣状態に戻した連結剣を、全身全霊で以って振るう。風に舞う、華麗に散りゆく桜吹雪の様に、幾度も二振りの得物を振るい…同時に圧縮シェアエナジーも放つ。斬撃に乗せて、乱舞に重ねて、わたしを中心とした刃とシェアエナジーの嵐を起こす。

 そうしてわたしが最後に、軌道を交差させるように二振りを左右斜め下へと振り抜いた時…裂かれ、穿たれ、切り刻まれた炎のドームは……完全に、消え去っていた。…完敗だよ、セイツ。そんな声を、静かに一つ残しながら。

 

 

 

 

 よく晴れた空にも匹敵するような、清々しさ。負けたというのに心の中に残るのは、確かな満足感。悔しさもありはしたものの、それは鬱屈としたものではなく、どこか心地良さすらある感情。それを感じながら、力を出し切ったカイトは仰向けに倒れ込み、身を屈めたセイツはカイトに微笑み……そこから彼にとって、色々と予想外過ぎる事が起きた。

 

「はぁ…はぁ…♡あぁ、駄目…やっぱりダメ…満足したと思ったけど、まだ足りないわ……♡」

「へ…?…セイツ……?」

 

 何故か跨いだかと思えば、そこからなんと馬乗りになるセイツ。熱を帯びた瞳、紅潮した頬、艶やかさを含んだ吐息……明らかにセイツの状態は普通ではなく、そんな彼女にカイトは困惑。

 

「もっと貴方の心に触れたいの、もっとカイトを感じたいの…♡わたしの身体が、心が疼いて仕方ないの、カイト…♡だって素敵なんだもの、こんなに刺激的で魅力的な感情を知っちゃったら、もう我慢なんて出来ないのぉ…♡」

「いや、あの、セイツ…?重…くはないが、さっきから凄い変なプレッシャーがあるというか、妙な危機感を感じるんだが……」

「大丈夫、全部わたしに任せて頂戴…♡こんなにもわたしを満たして、その上でもっと、って思わせてくれたカイトの為だもの。お互いの心に刻まれるような時間を、これから貴方とわたしで……」

 

 何か…というか、色々とおかしい。元からちょっと変わっていたが、もうその次元ではない気がする。そう感じるカイトだったが、セイツ…即ち女神は力でも技術や経験でも格上の存在。ましてや今は力を出し切ったばかりである為馬乗りにされてしまえばどうにも出来ず、流石に冷や汗をかきながらカイトは悩ましげに身体をくねらせるセイツを見るばかり。そしてカイトがそんな状態の中、恍惚の

笑みを浮かべたセイツは、彼の衣類に手を掛け……

 

「何をしようとしてるのかなぁ、セイツ!」

「ひぁんっ!」

 

……彼女の妹、イリゼに引っ剥がされた。怒りか、それとも恥ずかしさからか、若干頬を赤くしたイリゼに引っ剥がされ、そのままカイトとの間を阻まれる。

 

「な、何をするのよイリゼ!今、ほんとにいいところだったのに…!」

「だから止めたんだけど!?これ以上はほんとにアウトだから止めたんだよ!?」

「そんな…わたしの心は、こんなにも高鳴っているのに…!」

「分からないよ!?いや興奮してるのは一目瞭然だけどさぁ!…はぁ、あんまり気にしないでねカイト君。セイツ、女神化して感情が昂り過ぎると、いつもこうなるから…」

「いつもじゃないわ!こんなに昂る事なんて、心惹かれる事なんて、滅多にないもの!それに、イリゼだってカイトの事は魅力的でまた会いたいって言ってたじゃない!」

「ぶ……ッ!?そ、それは人としてなんだけどッ!?まだまだ強く、もっと高いところにいけるって前に手合わせしたり皆で協力し合った時に思ったから、今はどうなってるか楽しみだって意味で言っただけなんだけど!?後滅多って、やっぱり前例があるんじゃん!」

「わたしだって人としてよ!?人として大好きになっちゃっただけよ!?むしろイリゼは何だと思ってるのよ!」

「変態だよッ!家族として言いたくはないけど、変態と言わざるを得ないんだからね!?」

「がーん!」

 

 突然始まった姉妹の言い争い、或いは女神姉妹による漫才。急展開過ぎる流れにカイトは更に困惑し…そこで他の面々も、凄まじい苦笑いをしながら三人の下にやってきた。

 

「あはは…なんか、すっごいね…色々と……」

「同感…後、無茶もし過ぎ。なんか、セイツが何とかしたみたいだけど、二人が炎に包まれた時は、流石に少し焦ったんだからね?中が見えないせいで、下手に炎を吹き飛ばしたり凍らせたりする訳にもいかなかったし」

「あー…すまん、ほんとにすまん。熱くなり過ぎたっていうか…軽率だった」

「ふぅん、ちゃんと理解はしてるのね。……ま、気持ちは分かるわ。わたしだって、あんな戦いを見せられちゃったら、湧き上がるものがないでもないし」

「だよねぇ。こんなの見たら、ちょっとは熱くなっちゃうよね」

「……!待って、もしかしてエストちゃんと茜もやりたいの?いいわ、勿論大歓迎よ。二人の心もわたしに見せて、わたしに二人を感じさせ──」

『うん、これは変態(だ)ね』

「早速それが広まり始めてる!?あ、でもその冷ややかさも良い!火照った身体に染み渡るのぉ……!」

 

 またもや火の点くセイツに対し、イリゼは呆れ、エストと茜はただただ引く。おかしなやり取りにカイトは大の字となったまま苦笑をし……そんな彼に差し出されたのは、ワイトの手。

 

「…お疲れ様、カイト君。凄い戦いだった、感服したよ」

「…ありがとうございます、ワイトさん。けど、やっぱ完敗でしたね…イリゼの時もそうだったし、今回も負け…まだまだ高いな、女神の壁は……」

「女神様だからね、それは当然だ。…けど…格好良かったよ、カイト君」

「…俺にとっては、ワイトさんも格好良い大人の一人ですよ」

 

 自身へと差し出された手を掴み、立ち上がる。自分は見ている者にとって、格好良い戦いが出来ていたのか…そう思いながら、カイトはセイツ、それにイリゼを見る。

 彼にとって女神は、本当に高い壁。成長し、力を付けても尚超えられない…より女神というのが、どれだけ超常の存在なのかと理解していくばかりの、そんな壁。しかしカイトは、女神を超えられない存在とは思っていなかった。無理だと、不可能だと、自身へ陰を落とす存在ではなく…高いからこそ乗り越えたい、届きたいと思う目標と、目指す先として捉えており……だからこそ、またいつか…と二人を見ながら思うのだった。

 

 

 

 

 

 

「…あ、ところでエストちゃん。エストちゃんって、イリゼの事はおねーさん呼びするのに、わたしの事は普通に呼び捨てなのね」

「そうよ?え、セイツもおねーさんって呼んでほしいの?」

「えぇ、勿論呼んでほしいわ!呼んでくれる?呼んでくれるの?」

「ん〜、そうねぇ。まあセイツおねーさんって呼んであげても良いけど…やっぱりそれはイリゼおねーさんだけのトクベツだから、ダーメ♪」

「はぅあ…っ!や、やだ、どうしよう…拒否されたのに、悲しいのに、伝わってくる感情が魅力的で嬉しくなっちゃうぅぅ……!」

「あはは、残念だったわね、セイツ♪(ほんとはイリゼをおねーさん呼びしてるのも、親愛の証とかじゃなくて、そう呼ぶと若干機嫌良さそうだからちょっと喧嘩…じゃなくて挨拶仕掛けた時のままにしてるだけなんだけど…これは黙ってた方が良さそうね。黙っておけば、いつかからかう時のネタにもなりそうだし)」




今回のパロディ解説

・〜〜俺の作戦は、既に終了している。
ジョジョの奇妙な冒険 ダイアモンドは砕けないの主人公、東方仗助の台詞の一つのパロディ。こう書くとすぐ分かるかもですが、解説なしだと分かり辛そうな気もします。

・「〜〜"()"〜〜"瞬間(とき)"をよ…ッ!」
疾風(かぜ)伝説 特攻(ぶっこみ)の拓に登場するキャラの一人、一条武丸の代名詞的な台詞のパロディ。この台詞自体は知っている、という方は多いかなと思います。

・某匣兵器
家庭教師(かてきょー)ヒットマンREBORN!に登場する兵器の一つ、雲ハリネズミの事。更に言えば、裏球針態の事ですね。丁度炎繋がりでもありますし。
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