超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第十五話 出会いを望んでいた国

 世の中には同じ顔の人が三人いる、っていうよね。じゃあつまり、このキュートなねぷ子さんフェイスも世の中には後二つあるのかな!?……っていうのはともかく、多分そういう事を言っている人の殆どは、そっくりさんっているものだよ〜とか、世の中は広いんだよね〜みたいな意味で言っているのであって、実際に『同一人物』は存在する、って話をしてるんじゃないと思うんだよね。

 でも、同一人物は存在する。同一人物っていうか、別世界っていうものが存在していて、そこに同じ人がいたりいなかったりする。…で、あれば……会ってみるしかないよね!ねっ!

 

「と、いう訳で…やってきましたプラネテューヌ!」

「えっと…付いてきました、プラネテューヌ?」

「二人して何を言っているの…」

 

 はい、そういう訳で今自分はルナちゃんやセイツと一緒に、信次元のプラネテューヌに来ています!プラネテューヌ…つまり、『ネプテューヌ』の国に、上陸です!

 

「あ、因みに今の『〜〜です!』は、アニメ版の各話タイトルをちょっと意識してたりしてなかったり!」

「テンション高いわねネプテューヌ…わたしとしては嬉しいんだけど、いつもに増して高くない…?」

「そりゃ高くなるって!イリゼに招待された時からずっと、ここに来たいって思ってたんだからね!」

 

 うきうき気分全開で、セイツからの問いに答える。早く入ろう、そんな視線でセイツを見れば、セイツは苦笑しながら頷いて…自分達は、とにかく大きいプラネタワーの中へ。

 

「あ、そういえばルナちゃんはどうしてプラネテューヌに?」

「私は…プラネテューヌには色々と思い入れがあるから、かな。国としてもそうだし、こっちのネプギア達にも会ってみたいなぁ…って」

「そっかぁ…ルナちゃんの知ってる自分やネプギアにも会ってみたいなぁ…」

「あ、それを信次元の自分に会う前に言うんだね…」

 

 もう連絡はしてあるって事で、中に入った後はエレベーターで上層階へ。あ、因みに今日はルウィーって国に行ってるメンバーも多いんだよねぇ。人気度は向こうの方が上だっていうの…?

 

「くっ…無関係な話なのに、なにか悔しさが……およ?」

「別世界のわたし御一行様はこちら…って、なんだろうこの案内……」

「間違いなくネプテューヌが用意したんでしょうね…まあ、わざわざこんなの用意するなんてネプテューヌらしいけど……」

「えー、そうかなー?」

「言うと思ったわ」

「でしょー?でもややこしいよね、だってどっちも『ネプテューヌ』だもん」

 

 エレベーターを出たところで発見した、手書きの案内。いやここにいるネプテューヌじゃないわよ!?…という突っ込みを期待したけど、流石にボケとしては弱かったみたいで、セイツはすんなり返してくる。ま、これは仕方ないね。

 それから自分達は案内に従って廊下を進む。こんな案内を用意するって事は、信次元の『ネプテューヌ』はきっと愉快な性格をしてるんだろうし、歓迎されてるんだなぁって思うとやっぱり嬉しい。何よりこれから、自分と同じ顔をした女神に会うんだと思うとドキドキもしてきて、そんな思いを抱きながら案内の先、そこにあった扉を開いて部屋の中に……

 

『ふっふっふ…よくぞ来た、別世界のわたしよ!』

「お…おぉー!貴女が信次元の……って、なんか沢山いるーっ!?」

 

……入るまでもなく、びっくりした。それはもう、びっくりした。だって…三人いたんだもん!同じ顔が、部屋の中に三人も!世の中じゃなくて、一部屋の中に!

 

「え、えぇぇ…?ネプテューヌが、三人いる…?しかもなんか一人、スタイルが全然違う…!?」

「え、わたしの事?いやぁ、照れるなぁ」

「いや、今のはわたしの事だって。照れちゃうなぁ」

「いやいや、それはわたしの事でしょ〜。てへへ〜」

「おまけにコントか何かまで始まった…!?」

 

 長袖のネプテューヌと、半袖のネプテューヌと、ないすばでーなネプテューヌ。予想外過ぎる展開に自分がぽかーんとする中、ルナちゃんもびっくりしていて…三人のネプテューヌは、全員が「自分の事だよね?」と照れていた。……う、うん…取り敢えず落ち着こう!落ち着いて状況整理をしよう!

 えっとまず、自分達は信次元のネプテューヌに会う為に、プラネタワーに来た!案内の通りに部屋に入った!そしたらネプテューヌは三人いた!自分含めたら今は四人いる!つまり……やっぱりどういう事ぉ!?

 

「…も、もしや分身の術…だと、スタイル違うのが気になるし…幻術か何か……?」

「いや、違うわよネプテューヌ。ネプテューヌ達も、そろそろ種明かし…っていうか、自己紹介?…してあげて頂戴」

「あ、そう?じゃあわたしから…わたしは信次元のネプテューヌ、つまりシンテューヌ!」

「わたしはここよりちょっと先の時間軸になる超次元のネプテューヌ、つまりミラテューヌ!」

「わたしはおっきくて人間のネプテューヌ、つまりダイテューヌ!」

『要は、それぞれ別次元のわたしって事だね!』

 

 大分混乱してきたところで、やっと分かった三人の正体。蓋を開けてみれば、話は単純で…いやうん、そうだよね…よくよく考えたら、別次元のネプテューヌが今ここにいてもおかしくはないもんね…。だって実際、自分っていう別世界のネプテューヌはここにいるんだし…。

 

「…にしても、圧巻ね…同じ顔が四つも並ぶと……」

「ふふん、でしょー?けど安心してセイツ!正直わたしも、っていうかわたし達も、自分と同じ顔が三つもあるとかまあまあびっくりしてるからね?」

「え、そうなんです…?凄く自然体というか、楽しんでるように見えますけど……」

『まあ、楽しんでるのは事実だね!』

 

 ネプテュー…えっと、シンテューヌの言葉にルナちゃんが「え?」って顔で返せば、三人のネプテューヌは全員が揃って胸を張る。それは仲が良いっていうより、ほんとに自然とシンクロしてる感じで……な、なんかちょっとうずうずする…!

 

「…あれ?ところでネプギアは?ネプギアも、わたし達が来るって事は知ってるのよね?」

「ネプギアなら、もうすぐ戻って来ると思……」

「お姉ちゃん達、戻ったよ…って、あ!もう来てたんですね」

「ナイスタイミング!このタイミングで戻るなんて、流石ネプギアはわたしの妹…じゃないけど、わたしもネプテューヌだし妹みたいなもの!」

「え、えぇ…?どういう状況なの…?」

 

 紙っぽい箱を持って現れたネプギア…信次元のネプギアに、ダイテューヌがサムズアップ。でもネプギア自身はぽかんとしていて…三人のネプテューヌは、ふっ…と笑う。それから自分の方に視線を送ってきて……はっ…!ま、まさか…!

 

「…さてと。これで役者は揃ったね、わたくし達…じゃなくて、わたし達」

「そうだね、ミラテューヌ……そう、時は来たんだよ!」

『え?』

 

 不敵な笑みを浮かべる三人の様子に、きょとんとするルナちゃんとセイツ。けれど、分かる…自分には分かる…!そう、これは…これから始まるのは……

 

「信次元で輝くハイパー女神!ネプパープル!」

「超次元の希望の光!ネプパープル!」

「未知を求める次元の旅人!ネプパープル!」

「す、進み続ける信次元の女神!ネプ、パープル!」

「世界を超えて繋がり続ける!ネプ…パープル!」

 

『五人揃って!紫戦隊、ネプレンジャー!』

『いきなり何事ぉぉぉぉおおっ!?』

 

 感じるままに、本能のままに、ばっ!…と口上と共にポーズを取る。ノッリノリな三人と、ちょっと恥ずかしそうなネプギアと、五人揃ってポーズを取り……今ここに、紫戦隊ネプレンジャーが誕生した。

 

「い、いや…全部同じ色!全員パープルになってますよ!?」

「突っ込むとこそこ!?…段々分かってきたけど、ルナってちょっとズレてるっていうか、独特な部分があるわよね……」

「で、でも気になったし…。…でもまさか、ネプテューヌ…あ、私達と一緒に来たネプテューヌね?…まで一緒にやるなんて…出発前に打ち合わせしてたの…?」

「ううん、何となく分かって、何となくやれる気がしたからやってみたら、出来ました!」

「さっすが別次元…じゃなくて、別世界のわたしだね!いやぁ、もうこれで今日の楽しみの半分は達成されたと言っても過言かなぁ!」

「あ、過言なのねシンテューヌ…。……というか、何かしら…今、どこか別の場所でも同じような発言があったような気がするわ…」

 

 ふふーん、と満足げな顔をするシンテューヌに、自分もでしょー?と胸を張る。やー、なんか楽しいね!冷静に考えると色々訳が分からないんだけど、その訳の分からなさが楽しいっていうか……え、訳が分からない?そりゃそうだよ、訳が分からない事について考えてるんだから、訳が分からない思考になるのも当然だって。

 

「あはは…っと、そうだ。お二人共知っているかもですが…わたしは信次元の女神候補生の一人で、お姉ちゃん…ネプテューヌの妹の、ネプギアです。ケーキを買ってきたので、是非どうぞ」

「勿論知ってるよ、自分の世界にもネプギアはいるからね!じゃ、お返しに…んーと、人間界…冥界…天界…うん、冥界にしよっと。自分はネプテューヌ、今はメイテューヌで宜しくね!」

「私はルナ…って、ネプギアに改めて自己紹介をするなんて、なんだか不思議な感覚かも…。…あ、ケーキありがとうございます」

 

 まあ一旦それは置いといて、ネプギアからの自己紹介に自分とルナちゃんもそれぞれ返答。それからネプギアが箱を開くと、そこには色んな種類のケーキが入っていて…一人一人選んだケーキを食べながら、わたし達は暫し談笑。

 

「へー、龍に悪魔に天使に妖怪…そっちのわたしの世界って、バラエティ豊かなんだねぇ」

「いやいやこっちだってドラゴンはいるし、一応魔王もいるんでしょ?妖怪や天使は流石にいな…あー……」

『……?』

「んーん、何でもない。ある意味天使は存在するけど、そこはメタ発言ギャグとして触れるべき部分じゃないな、と思っただけ」

『あぁー』

「え、待って…今ので分かるの、分かったの…?」

 

 これは踏み込んじゃいけないやつだ、と思って自分が首を振ると、三人は分かってくれた様子。逆にルナちゃんは困惑していて…まぁ、こういうのは感覚だよねぇ。

 

「あのあの、ルナさんの次元はどんな感じなんですか?」

「私?私の次元は、そんな特別な存在なんて、あんまり…。…あ、でもエル君っていう、可愛いモンスターはいるんです。見た目は全然違うけど、関係性としては、イリゼとライヌちゃん、るーちゃんみたいな感じ…かな」

「へぇ、そうなんですね。エル君…どんな見た目なんだろう……」

「あ、それなら確か写真が……」

 

 ここまでは基本、自分達が話していて、ルナちゃんとネプギアは聞き手だった。そのネプギアが、今度はルナちゃんに質問をしていて…そこでふと感じたのは、シンテューヌの視線。…ははぁ、そういう事ね。

 

「ねね、皆。ここの案内ってお願い出来るかな?やっぱりこんなに特徴的で大きい建物、中を探検せずにはいられないしさ」

「いいよ〜、ではこのミラテューヌが案内してしんぜよう!」

「じゃあシンテューヌがフォローしてみせよう!」

「ならばダイテューヌは何となくついていってみよう!」

「なんで貴女がメインの案内なのよ…後、ほんとネプテューヌが四人もいるとひっきりなしに冗談が出てくるわね…」

 

 ぴょん、と座っていたソファから立って、三人のネプテューヌと一緒に部屋を出る。その直前、四人でセイツをじっと見れば、セイツも「…あ、じゃあわたしもちょっと、イストワールと話してくるわ」と言って…うん、これならネプギアとルナちゃんとでゆっくり話せるよね。でも、自分も後でこっちのネプギアとじっくり話してみたいなぁ。

 

「でさ、どうする?案内する?」

「あ、それはほんとにお願いシンテューヌ。さっき言ったのはほんとの事だもん」

「分かる分かる。別次元の自分が守ってる国の、一番大きい建物兼自分の家だなんて、気になるに決まってるよね」

 

 それから自分は、皆に案内してもらってプラネタワーの中を回る。今までいたリビング的な部屋とかシンテューヌの部屋とか、普通の家にもありそうな場所から、屋内スポーツが十分出来そうなトレーニングルームとか、旅館みたいなお風呂場みたいな、外観通りに凄い場所も色々とあって…見て回るだけでも楽しかった。

 

「やー、回るだけで結構時間がかかるなんて、ほんと広いし大きいよね。なんかもう、ダンジョン探索してる気分になってきちゃった」

「まぁ、そこ等のダンジョンより特徴満載な自信はあるね!」

「…えっと…さっきセイツも言ってたけど、ミラテューヌは別次元の存在なんだよね…?」

「あー、わたしの次元にもプラネタワーはあるんだよ。で、細かいところは違うけど、大体は同じだからね」

「そういえば、さっき話してる中でもこことミラテューヌの次元は色々似てるって言ってたね。同じ人がいて、同じような経験とか、戦いとかをしてるんだよね」

「そうそう。ノワールとかベールとかブランとか、女神は皆同じでね、あ…でもイリゼはわたしの次元にはいないんだ。ちょっと不思議だよね」

「んー、そうかな?別次元ってよく似てるところもあれば、何もかも違うって位のところもあるし、『別次元はこういうもの!』…って考えは通用しないと思うよ」

「おー、流石は次元の旅人。ダイテューヌが言うと説得力が違うね」

 

 今いるのは、シンテューヌの部屋。おー、と言うシンテューヌの言葉に、ミラテューヌも頷く。改めて思うと、自分と同じ顔をした人が、自分と同じ顔をした人と、自然に話してるっていうのは凄く不思議な感じで…それともう一つ、思う。

 

(…本当に皆、『自分』って感じなんだな……)

 

 別世界とはいえ同一人物なんだから、同じ『ネプテューヌ』なんだから、そんなの当然じゃん、って言われるかもしれない。少なくとも、別の誰かの事なら、きっと自分だってそう思っていた。

 けど、違う。自分自身の事に関しては…ううん、『ネプテューヌ』に関してだけは、自分であって自分じゃない…そんな風に思う自分がいる。

 

「…メイテューヌ?」

「あ…あはは、ごめんごめんミラテューヌ。ちょっと考え事しちゃってさ」

「え、何々?彼氏の事?」

「ううん、そうじゃなくて…」

『……え、何その反応!?いるの!?彼氏いるの!?』 「あ、う、うん…。…二人はともかく、ダイテューヌまで訊いといてそれ…?」

 

 三方向から「いるの!?」と迫ってくる三人に、軽く引く。いや、怖っ…自分と同じ顔の相手×3に迫られるって怖……。

 

「だ、だって冗談のつもりで訊いたし…なのにまさか、ほんとに彼氏いるなんて……」

「いやぁ、自分魅力的ですから!」

『うん、知ってる』

「だよねぇ、同じ自分だし。…………」

『……?』

 

 予想通りの反応に、だよねぇと返し……何気なく言った『同じ自分』という言葉に、少しだけ胸が痛くなった。

 普段なら抱かない、抱く筈のない感覚。自分自身との対面で…自分であって自分じゃない、身も心も『ネプテューヌ』である三人と触れ合った事で…隔たりを、感じてしまう。イリゼと話した時にも感じた、自分はネプテューヌであってネプテューヌじゃない、だから女神であって女神じゃないという感覚を…より深く、よりはっきりと。

 

「…その、さ…皆から見て、自分ってどう見える?」

『え、ネプテューヌ』

「や、それはそうなんだけど……皆って、イリゼから自分の事聞いてる?自分が実は人間で、本当はネプテューヌじゃなくて…って感じの事」

 

 知っているのかな。そう思って訊いてみれば、三人共目をぱちくりとさせていて…そっか、イリゼは話してなかったんだ。…ま、そうだよね。自分だって、こんな込み入ってる上にややこしい話を、本人がいない場でほいほい話そうだなんて思わないし。

 

「…だよね、知らないよね。…自分はさ、ほんとはネプテューヌじゃないの。ネプテューヌじゃない人が、ネプテューヌって存在を間借りしてるっていうか、常にネプテューヌのロールプレイ中っていうか…とにかくそういう存在なのが自分だから、『あー、これがネプテューヌなんだ』って思っちゃってさ〜。いきなり変な話しちゃってごめんね」

「おおぅ、思いもしない形で中々ヘビーな話が…。…じゃあ、貴女の本当の名前はネプテューヌじゃないの?」

「多分ね。…って言っても、実は昔の記憶がないから、ひょっとすると同姓同名でした…ってパターンがあるかもしれないけど」

「記憶がない?って事は、メイテューヌも記憶喪失系女神の一員!?」

「YES!I AM!…って、そんなピンポイントな括りあるんだ……」

 

 そんなのそうそう無さそうな…と思った自分だけど、それを言ったシンテューヌ自身が、なんと記憶喪失なんだとか。しかも、記憶を取り戻すチャンスが過去にあって、でも取り戻さない事を…無くした過去より、新しく作り上げた今を大事にする事を選んだんだとか。

…もし自分が同じ立場なら、同じような状況になったとしたら、自分は『ネプテューヌ』の様な選択が出来るだろうか。

 

「…やっぱ、凄いんだね。『ネプテューヌ』…って。シンテューヌもそうだけど、ミラテューヌも自分の次元以外でも全力で戦って、皆で次元を守ったりしたんでしょ?ダイテューヌは人間なのに、女神よりずっと無理も無茶も出来ないのに、友達の為に…皆の為に危ない橋を渡りまくってきたんでしょ?…格好良いね、ネプテューヌって」

 

 凄いと思った。格好良いと思った。女神の二人はそうだし、女神じゃないもう一人のネプテューヌも凄くて…やっぱりそれが、ネプテューヌっていう存在なのかなって…そう、思った。

 気落ちは、していない。落ち込んでたりはしないし、憧れ…に近い気もするけど、それも少し違うような…そんな、自分でも上手く言葉に出来ない気持ちが、今は心の中にある。

 

「……あ、っていうかごめんね皆!わたし別に、重ーい感じの話にする気なんてなくて、なのに重い感じになっちゃったら駄目じゃーん!…って感じだけど…とにかく、良かったなって思ってるから。自分じゃない自分を知れて、これが『ネプテューヌ』なんだなって分かって」

 

 しまった、これじゃ気を遣わせちゃう。そう思って、自分はすぐに否定した。痩せ我慢とかじゃなくて、本心から出た言葉を言って。

 そう。自分は良かったって思ってる。これまではよく知らなかった、分からなかった『ネプテューヌ』の在り方に直接触れられたから。全部じゃなくても、こんな感じなんだ…って感じられたから。だからきっと、これは自分にとっては…自分というネプテューヌにとっては、大きなプラスで……

 

「…そーんな、難しく考える事かなぁ」

 

 自分なりに出せた納得。それに対してシンテューヌが口にしたのは、釈然としていないような……ふわっとした、声。

 

「…難しく考えてるように見えた?」

「うん、わたしだったら『なーんだ、案外似てるっていうか、ノリとかテンションはほぼ同じじゃん!さっすがわたし!』…位に捉えちゃうしね」

「…だよね、そんな気がする。なんかそんな気がして…でも、分かる!…じゃないんだよね…」

 

 やっぱり中身は違っても器は『ネプテューヌ』だからか、そんな気がするって感じはある。見た目を変えられる悪魔は、外見年齢に精神が引っ張られるらしいし、自分もネプテューヌっていう器に影響されてる部分はあるのかもしれない。

 けれどやっぱり、そういう考え方は『自分』じゃない。ネプテューヌの考え方であって、自分は違う。…気が、する。

 

「うーん…いやね、わたしは貴女が思ってる程凄くはないよ?や、勿論凄いんだけど、凄く凄い女神ではあるんだけど、前に色々あって即戦闘不能レベルのトラウマ…っていうか弱点があったり、それが巡り巡ってまんまとプチ洗脳されちゃった挙句、ネプギアにボコボコにされた事とかもあるし」

「いやそんな、プチ整形みたいに言われても……」

「あははー、でもそれで言ったらわたしもかなー。だってわたし、大きい戦いの度にどっかしらで負けて捕まってる気がするし、五人がかりでラスボスでもない相手にフルボッコにされたり、新しい力を得たと思ったら、そんなしない内によく分からない負け方した上洗脳されちゃったりした事もあるしね」

「わたしなんて、自力で次元を超える力を手に入れた!…と思ったら、変な短距離ワープ程度の力だったりしたなぁ。後多分、近い内に今回信次元に来た内の六人位に土下座する事にもなりそうだし」

「あー、銭湯の男湯に屋根突き破ってダイブしちゃったもんね」

「ちょっ、そ、そこはぼかしたんだから言わないでよぉ!」

 

 そんな風に思っていた、感じていた自分を見て、頬を掻いていたシンテューヌ。そのままシンテューヌは自分を見ていて…ちょっと恥ずかしそうにしながら、言う。自分は凄いけど、完全無欠レベルじゃないって。ミラテューヌやダイテューヌもそれに続いて……シンテューヌから明かされる、衝撃の事実。お、男湯にダイブって…。

 

「うぅ…あれは不幸な事故だもん……」

『不幸なのは、その時銭湯にいた男の人達じゃ…?』

「ぐ、ぐうの音も出ない事まで言われたぁ…!」

 

 ばたーん、とテーブルに突っ伏すダイテューヌに、自分達は苦笑い。それからミラテューヌは自分に視線を戻して…肩を竦める。

 

「まーとにかく、ネプテューヌってメイテューヌが思ってる程すっごい訳じゃないんだよ。迷ったり、間違えたり、不安になったりもするし……これこそがわたし!…って言える事なんて、一つしかない気がするな。…あ、可愛いとか強いとか、そういうのはまた別だよ?」

「うんうん、確かにこれぞわたし、って言えるのは一つだけかな」

「わたしもー…」

 

 これが自分だと言えるのは一つだけ。そう言うミラテューヌに二人も続く。確認なんてしてないのに、皆絶対これだと分かってるみたいで…そんな三人に、自分は訊く。それって?…と。そして自分の言葉を聞いた三人は……言う。

 

『それは勿論……自分の思いに、真っ直ぐでいる事だよっ!』

 

──それは、思ったより…思っていたよりずっと、シンプルな答え。ざっくりしてて、割と『ネプテューヌ』以外でも当て嵌まりそうな…それ位、凄さなんて感じない『らしさ』。…でも……

 

(…あぁ、そっか……)

 

 全然凄くない、それ位なら自分でも言えそうな三人の在り方。だけど、自分の心にはすとんと入ってきた。凄いとか、格好良いとか…そんな事よりずっと、自分の中で納得が生まれた。何より…確かにそうだ、その通りだって…自分も、『ネプテューヌ』も、心から感じた。

 

「…貴女も、そうじゃないの?」

「…そうだね。それは…自分だって、皆には負けてないと思う」

「なら貴女も、やっぱりネプテューヌだよ。ネプ思う、故にネプ在り…そういう事なんだよ、うん!」

「お、おぉ…なんか深い!多分冗談半分なんだろうけど、話の内容のおかげで深そうな感じになってる…!」

 

 ふふんと胸を張って言うシンテューヌに、深いと返す。今ならさっきの、難しく考える事かな…って言葉も分かる。きっとそれ位心から、きっとそれ位シンプルに、皆は…ネプテューヌは、自分に素直で真っ直ぐなんだ。ただそれだけで、ただひたすらにそう在ろうとしてるんだ。……いや、違うね。そう在ろうとしてるんじゃなくて…気付いたらそうだったのが、ネプテューヌなんだ。

 そしてそれは、自分もそう。やっぱり自分は、ネプテューヌであってネプテューヌではないんだけど……自分に真っ直ぐでは、あるんだから。…きっと、そうだから。

 

「よーし、それじゃあこれにてねぷねぷお悩み相談室は終了!また来週をお楽しみにね!」

「来週もやるの!?第十六話も!?」

「あー、言われてみるとそういう捉え方も出来るのか…まさかボケがメタに潰されるなんて……」

 

 次回も!?…と思ってミラテューヌに訊き返したら、単なる冗談だった様子。うーん、分かり辛い…メタに敏感過ぎるのも良くないんだね…。

 

「…こほん、でもありがと皆。なんか皆に、パワー貰えた気がするよ」

「そう?元気モリモリ?」

「元気モリモリ!今ならナスも……あーいや、やっぱりナスは無理かなぁ」

『だよねー』

 

 どんなにパワーが湧いてもナスは無理!と自分が言えば、だよねと訊いてきたダイテューヌも、二人も深く頷く。食の好みも同じなのは、味覚のある身体が同じだからか、それとも違うのか……と、思ったけど…うん、違うね。だってナスが不味いのは事実だし!食べる側じゃなくて、ナス側の問題だし!

 

「まあとにかく、いい感じに話が着地したし良かった良かった!でさ、他に何か訊きたい事とか、話したい事ってある?折角来たんだから、このねぷ子さん…じゃない、しん子さんにじゃんじゃん訊いちゃいなよ!」

「えー?そうだなぁ…あ、じゃあさじゃあさ、女神の技とか能力とか、後プロセッサの事とか教えてよ!こっちにも自分以外の神はいるけど、別系統っていうか別の神話の神様だから、自分に出来る事が自分だけの力なのか、それとも女神の力なのかよく分かんなくてさ〜」

「あ、いいよいいよ!まぁそういう話になると、人間のわたしはあんまり教えられないけどね!」

「そうだなぁ……じゃ、取り敢えず女神化しとく?」

 

 言うが早いか、ミラテューヌ…それにシンテューヌは女神化。髪が伸びて、スタイルも良くなった女神の姿は、やっぱり自分の女神の姿と同じで…と、いうか……。

 

「…あー…やっぱり二人のプロセッサも、そんな感じなんだね…ピー子とかイリゼのプロセッサもそうだったから、そんな気はしてたけど……」

『……?』

「いや、ほら…ちょっと如何わしい感じだなぁ…って。…まぁ、普段のその格好はまだセーフなんだけど、自分の場合もっとアレなプロセッサもあってね…」

「アレ…って、いうと?」

「…見たい?自分的には恥ずかしいんだけど……」

「無理にとは言わないけど、見せてくれたらアドバイスも出来るかもしれないわよ?だってプロセッサは何も、決まった一つの形しか取れない訳じゃないもの」

 

 シンテューヌとミラテューヌに言われて、自分も女神化。更に変化してみせれば、女神の二人は「あー…」って反応をしていて…な、何その反応…!その微妙な反応は「うわぁ…」的な反応よりも恥ずかしいんだけど…!?

 

「と、取り敢えずどういう感じかは分かったでしょ…!?…ふぅ…って訳で、どう?アドバイス、思い付く?」

「そうねぇ…まあじゃあ、色々改造してみる?」

「わたしもそれが良いと思うわ。中々面白そ…もとい、わたしが四人もいるんだもの、きっと良いものが出来上がるわ」

「ちょっと!?シンテューヌ今、面白そうって言わなかった!?」

「そういう話なら、わたしも出番あるよね、多分!…って訳で読者の皆ー、次話はプロセッサ改造回だよー!」

「違うよ!?多分違うからね!?」

 

 そんな訳ない、と突っ込む自分。ば、馬鹿な…このねぷ子さんが突っ込みを強いられるなんて、なんという環境…!……まぁ、ボケてるのもネプテューヌな訳だけど。

 と、こんな感じで話は妙な方向に。妙だと思った時にはもう手遅れで……三人も(自分含めれば四人)ネプテューヌが集まったら、手の付けられない状態になる…そんな、意味の分からない事まで知る羽目になる自分だった。

 

 

 

 

 別次元の存在…っていうのは、何だか変な感じ。見た目も声も性格だってほぼ同じなのに、同一人物なのに、違う人…これが不思議じゃない訳がない。

 

「それで、そこでやっと仲直り出来たというか…我ながら、今思うと私…拗ねちゃってたのかな、なんて……」

「分かります。後から思えば、皆自分の事を気に掛けてくれてたんだって、心配してくれてたんだって理解出来ても、その時は辛くて悲しくて…自分では冷静に考えてるつもりでも、そうじゃなかったりしちゃうんですよね」

 

 エル君の話から、エル君に出会った時の話になって、そこから更に派生して…って感じで、気付けば私は色んな事を話していた。相手がネプギアで、しかも興味津々で聞いてくるから、私も抵抗なく言っていた。

 そんなネプギア…ここにいるネプギアも、その『別次元の存在』の一人。ぱっと見どころか、話してても私の知ってるネプギアの様に思えちゃう。…けど、全部同じかっていうとそうでもなくて……

 

「ええ、っと……」

「……?どうしました、ルナさん」

「や、あの……敬語、落ち着かないなぁ…なんて…」

 

 きょとんとした様子で見つめてくるネプギアに、私は頬を掻きながら答える。

 真面目で低姿勢なネプギアは、目上の人にはいつも敬語を使ってるし、だから敬語で話すネプギアに違和感はない。でも、私の知ってるネプギアは、私と敬語なしで話してくれるから…そこの差が、どうしても落ち着かない。

 

(人としてはほぼ同じでも、人間関係とか、経験してきた事は違うし、だからそれが関わってくる部分は変わってくる…当たり前では、あるんだけど…ね)

 

 信次元のネプギアが敬語な理由は分かる。だって初対面だし、ネプギアからしたら私はイリゼの友達なんだから。私だって、ネプギアの立場なら敬語で話してる…と、思う。

 

「あ…えっと、敬語じゃない方がいいですか…?」

「私としては、そっちの方がしっくりきますけど…無理はしない下さい。えと、落ち着かないのは事実ですけど、私も信次元のネプギアさんとは初対面って事で敬語ですし、実はちょっと懐かしい感じもあったりしますし…」

 

 そう。何も私の次元のネプギアは、最初から敬語なしだった訳じゃなくて、ある日のピクニックを機にお互い敬語なしで話すようになった。だから、ちょっと懐かしい…っていうのは本当の事。……あれ、っていう事は…このままなら私は、私の次元では友達のネプギアと、信次元では目上の人って思ってくれてるネプギアと話せるって事?お、お得だ…別次元に行くっていうのは、こんなお得な面もあるだなんて…!

 

「…うん、そう考えたら悪くない…全然悪くない……!」

「え、あの…え……?」

「っと、すみません。とにかく変に気を遣って敬語止めたりとかはしなくてもいいですからね?」

「そう、ですか?…あはは…実は、前にも似たような事があったんですよね…」

「似たような事?」

 

 なんだろう、と思って私が訊けば、ネプギアは答えてくれる。なんでもピーシェ…私が知ってるのとは違うピーシェに対して、ここにいるのとは別のネプギア…ミラテューヌさんの妹のネプギアは敬語じゃなかったらしくて、だからここにいるネプギアにも敬語なしに…って話になった事があったんだとか。でもその時は、お互いなんだか恥ずかしくなっちゃって、結局保留になったみたいだけど……というか、ややこしい…登場人物に別次元の人が多過ぎてややこしい…。

 

「そうだったんですか…敬語っていえば、イリゼもズェピアさんとかワイトさんへの敬語がなくなってたなぁ…呼び方も君付けに変わってたし……」

「今はもう守護女神だから、っていうイリゼさんなりの切り替えらしいですね。…わたしも敬語は良くないのかなぁ…女神候補生っていっても、プラネテューヌの女神で、ちゃんとした立場がある訳だし……」

「うーん…別に良くない、って事はないんじゃないかと思います。それもネプギアの個性っていうか、そもそも敬語って直さなきゃいけない話し方じゃない訳ですし」

 

 ネプギアの言う事も分かるけど、そんな事はないと思う…って私は返す。少なくとも私が国民なら、敬語なネプギアは全然嫌じゃない。それに国のリーダーが丁寧な話し方をしてるっていうのは、悪いどころか良い印象を抱かれるんじゃないかと思う。

 

「わたしの個性…って、いうと…もしかして、そっちのわたしも機械が好きだったり…?」

「好き…かどうかは分からないですけど、凄く詳しいです。さっき見せた端末が壊れちゃった時も、ネプギアが直してくれましたし…」

「そうなんですか?…あの、ちょっと端末を触らせてくれたりなんかは……」

「えっと…はい、どうぞ」

「やったぁ!ありがとうございます、ルナさん!」

 

 気になるのかな、と思って私が渡すと、ぱぁっとネプギアは笑顔になる。なんていうかそれは、花が咲いたみたいな笑顔で、輝きもあって……やっぱりネプギアって可愛いよね。凄く可愛いよね、うん。

 

「わ、わ、凄いっ。内装がこっちの物と大体一緒だから、初めて見る端末でも分解が出来ちゃう…!…あれ、でもここは違う…そっか、これとこれとで配置を逆にしてるんだ…これ、逆にする事でどういう違いが生まれてるのかな……」

(わー、凄く楽しそう…。…な、直せるよね…?分解したはいいものの、直せなくなっちゃいました…なんて事にはならないよね…?)

 

 どんどん分解されていく自分の端末を見て、ちょっぴり不安になる。私は素人だから、端末の中に一度分解したら元に戻せなくなるような部分があるのかどうかも分からなくて…でも一頻り堪能(?)した後、ネプギアはちゃんと直してくれた。ほっとした。

 

「はふぅ…ルナさん、ありがとうございました」

「ふふっ、どう致しまして。でも、今のでお礼は二度目ですよ?」

「へ?…あ……」

 

 渡した時と今とで二度返された感謝の言葉。それを私が言えば、ネプギアは目を丸くした後気付いたみたいで…えへへ、とちょっと照れた顔をする。

 何というか、こういうところもネプギアらしい。お礼は欠かさない真面目さとか、うっかり二度言っちゃうおっちょこちょいな一面とか…ほんとに、ネプギアはネプギアって感じ。

 

(…でも、ネプギアはネプギアだけど、私の知ってるネプギアじゃない。…ほんとに、不思議)

 

 私は前に、ネプギアと喧嘩…じゃないけど、仲違い…みたいな状態になっちゃった。それから色々あって、仲直りする事が出来た。…そんな話を、ネプギアにしてる。ネプギアとの話を、当事者じゃないネプギアとしている…凄く不思議で、変な感じで、だから私は今更ながら思った。…別次元に来るって、凄い…と。

 

「…ルナさん?」

「…ネプギアさん。ネプギアさんも、ユニやロム、ラムと友達…なんですよね?」

「ふぇ?…はい、仲良しです!わたしの大事な、友達です」

「ですよね、私の知ってるネプギアもです。旅の中で出会って、仲良くなって……」

 

 どっちのネプギアもプラネテューヌの女神候補生で、ネプテューヌさんの妹で、真面目で優しい性格をしてる。だから友達関係も大体同じなんだろうなぁと思って…けれど気付く。私が話している途中で、ネプギアがきょとんとした事に。

 

「…違うんですか…?」

「あ…はい。わたしがユニちゃん達と仲良くなったのは、旅の中ですけど…出会ったのはそれよりも前なんです」

「そうだったんだ…。…いや、だからなんだって話ですけど……」

「い、いえ……そっちのわたしも、ユニちゃん達と仲良しなんですか?」

「それは勿論」

「ルナさんも、仲良しですか?」

「それも勿論…だったら良いなぁ…」

「きっと仲良しですよ。だってルナさん、良い人ですもん」

 

 話の流れはまた変わり、私はネプギアに良い人って言われる。…そんな事ない、私は悪い子だよっ!……なんて返しはしないけど…こうも面と向かって「貴女は良い人だ」なんて言われるのは、ちょっとむず痒い。

 

「こ、こほん。じゃあ、こっちのロムは大人しくて、語尾がちょっと変わってたり?」

「しますします」

「ラムは元気と自信一杯で、ロムといつも一緒だったり?」

「しますします!」

「ユニはほんとは凄く優しいのに、普段はちょっとツンツンしてて……」

「しっかり者だけど、ちょっと悪戯っぽいところもあって……」

『なんだかんだ言ってもいつも力になってくれる…?…やっぱり!』

 

 最初から最後までばっちりハモった末に、やっぱり!…と私とネプギアは言い合う。もう完璧に合致したものだから、思わず両手でハイタッチしちゃって…自分達の変なテンションに、お互いあははと苦笑い。

 

「ユニちゃんは素直じゃないっていうか、いつもは冷たかったりする時もあるんですけど、だからこそ信頼を感じられる時が嬉しいっていうか…それに今は信頼してくれてる、友達でライバルだって思ってくれてるって事も分かってる分、普段の態度もなんだか嬉しくなる時があるんです!…っていうのをユニちゃん自身に言ったら、変な事言わないでよね!…って怒られちゃいそうですけど」

「あー、言いそうです言いそうです。…あ、実は私、ユニとホテルの同じベットで泊まった事があったり…」

「えぇ!?良いなぁ……あれ?…これは良いなぁ、で良いのかな…?」

「さ、さぁ……」

 

 あ、こっちのネプギアもユニの事が大好きなんだなぁ…と思った私がちょっとしたエピソードを口にすると、ネプギアはあからさまに羨ましそうな反応をする。…良いなぁ、で良いのかどうかは私も分からない。後、そうなった経緯はちょっと恥ずかしい…というか情けない内容だから言わないでおく。

 

「うぅ…わ、わたしだって、ユニちゃんと本気で決闘した事はありますからっ!」

「け、決闘…?それは凄いけど、羨ましくはないような……」

「い、言われてみれば確かに……」

「(張り合いたかっただけかぁ…)じゃ、ロムとラムとは何か特別な事があったりしました?」

「ロムちゃんラムちゃんとは…あ、一緒に探偵ごっこみたいな事はしました。…あの時はまさか、それが切っ掛けで本当に真相に辿り着けるだなんて思っても見なかったなぁ…」

 

 よく分からないけど、前にネプギアはロムとラムと探偵ごっこ(?)をして、大成果を挙げたらしい。…探偵ごっこ…ロムとラムが探偵っぽい格好をして、玩具のパイプを咥えてたとかかな…もしそうなら、その時の二人は見てみたかった。

 

「私は…最初ロムを女神候補生だって知らないまま、落とし物探しを一緒にしたなぁ…で、その後はルウィーの教会に案内されて、ロムとラムに絵本を読んであげたんです」

「落とし物…って、まさかペン…?」

「あれ?どうしてそれを…?」

「どうしても何も、わたしも旅の中で同じ経験をしてて…あ、いや、絵本の件はなかったんですけど……えっ、まさかロムちゃんって、色んな次元でペンを落としてるの…?」

「い、いやペンを落とす事位、誰でも…って思ったけど、それって犯罪組織絡みの旅の時ですよね…?…タイミングまでほぼ同じってなると…はは……」

 

 女神の存在とか、誰が女神なのかとか、次元が違っても共通している、多くの次元で『同じ』な事は結構あるらしい。そしてもしかすると、そんな『決まってる事』の一つに、ロムがペンを落とす…っていうのも入っているのかもしれない。…そう思うと、思わずまた苦笑いが出てしまった。……そして神生オデッセフィアに戻ってから皆に訊いてみたら、やっぱり結構な割合でロムはペンを落としていた。…そんな宿命を負ってるだなんて…ロム、悲しいね……。

 

「あのあの、コンパさんやアイエフさんもそっちにはいるんですよね?お二人とはどんな出会い方を?」

「えぇと、二人とは……」

 

 それからも、私達は人間関係…友達や仲間の事について話していく。全部が全部一致してる訳じゃないけど、お互い知ってる、友達になってる人はそこそこいた訳で、「これも同じなの!?」ってなったり、「え、それは違うんだ…」ってなったりするやり取りは、凄く楽しかった。共通の友達について話す…これに近い(一応同一人物な訳だし)感じもあったから、本当に楽しく話す事が出来た。

 

「はふぅ…なんかほんと、凄いですよね。普通は全く関わる事のない、別次元同士の間柄なのに、こんなにも共通…っぽい話の事で盛り上がれるなんて」

「わたしもそう思います。……でも…」

「…ネプギアさん?」

「…あ、ごめんなさい。ただちょっと…ルナさんと出会えて、友達になれた、そっちのわたしが羨ましいな…なんて」

 

 そう言って、ネプギアは軽く笑う。変な事言ってごめんなさい…と返すように。…ネプギア……。

 

「…それを言ったら、私もですよ。私の次元には、イリゼはいないんですし」

「あっ…それも、そうですよね……」

「…それに…私と信次元のネプギアさんだって、出会えてます。だから…友達にだって、なれますよ。……勿論、ネプギアさんが嫌じゃなければ…ですけど…」

「……!そ、そんなの…そんなの嫌じゃないに決まってます!むしろ逆、今すぐにでも友達になりたいです!」

 

 気持ちは分かる。けど、そんなに悲観する事じゃない…って、私は思った。別次元に住んでいるんだから、普通は会えないけど…今はこうして会えているんだから。出会えたなら、友達になれる可能性もあるんだから。

……そんな風に私が思えたのは、そういう経験をしてきたから。別次元や、よく分からない空間に飛ばされて、その先で出会いを得て、友達や信頼し合える関係になれた人達が沢山いるから。だからこれは、私云々っていうより…皆のおかげ。

 そして、私の言葉を受けたネプギアは目を見開いて…それからばっ、と立ち上がった。今すぐ友達になりたい…そう言ってくれた。…それはもう、言った私が「おわっ…」と内心びっくりする位に。

 

「じゃ、じゃあ…これからは友達として宜しくね、ネプギア」

「はいっ!わたしこそ、宜しくお願いしま…じゃなかった、宜しくね、ルナちゃん!」

 

 ぎゅっ、と握られる私の両手。満面の笑みで、凄く凄く嬉しそうな顔をするネプギア。この瞬間、私はネプギアと…私の次元のネプギアと友達になった瞬間を思い出して……温かい、気持ちになっていた。

 私は、幸せ者だと思う。そう思える理由は色々あるけど…また一つ、そこに理由が増えた。だって…二度もネプギアと友達になれるなんて、幸せな事に決まってるもん。

 

 

 

 

 それぞれじっくり話してみたい事があるんだろう。そう思ってわたしは席を立って、イストワールのところに言った。姉同然の相手であるイストワールと暫く話して、そろそろいいかしら…と思って戻ると、出ていた四人のネプテューヌも戻っていて、六人で仲良く会話していた。ネプテュ…メイテューヌとネプギア、ルナと三人のネプテューヌ…といった形で会話が盛り上がっていた。

 で、その後は一緒に食事をしたり、ゲームをしたりと、賑やかな時間を過ごして…今はもう、帰るところ。

 

「今日はありがとね、ネプギア!ネプテューヌさん達も、ありがとうございました!」

「今日の事は、色んな意味で忘れないよ!でもって今度は神生オデッセフィアにおいでよ!わたしの国じゃないけどね!」

 

 見送ってくれる四人と出てきてくれたイストワールに、二人は楽しかった、という思いを前面に出した挨拶を告げる。…はぅ、良いわ…やっぱり楽しいとか嬉しいとかの感情って、とにかくシンプルに良いものなのよね…。今のこれだけでも、案内役として付いてきた甲斐があるわ…!

 

「はー、楽しかったぁ…こっちのわたしと出会えるかも!…とは思ってたけど、まさか一気に三人も出会えるなんて……」

「私も楽しかったぁ…信次元から帰るまでに、また遊びたいな……」

「ふふ、別に構わないわよ?ネプギアの方も、気持ちは同じみたいだしね」

 

 折角だから、少しだけプラネテューヌの街を歩いてから帰ろうという事になり、わたし達は今徒歩で街中を移動中。今日は楽しめた?…と訊く事も考えたけど…そんなの二人の様子を見れば、一目瞭然よね。

 

「セイツも今日はありがと。連れてきてくれて、ほんと感謝感謝だよ」

「どう致しまして。でもわたしも楽しかったから、恩を感じる必要はないわよ?」

「でも、感謝は感謝ですし、私からも言わせて下さい。ありがとうございます、セイツさん」

「…うぅ、二人共良い子なんだから…感謝の気持ちでわたしは今、心の中が一杯だわ……!」

「あーうん、それは言うと思った」

「あはは…実は私も……」

 

 だよねー、と顔を見合わせる二人。でも別に構わないわ!予想されようとされまいと、この喜びは変わらないもの…!

 

「…っと、二人共。ここを曲がれば丁度人気のない場所になるし、この辺りで飛ぶ?それとも、もう少し見ていく?」

「えと…いえ、私はもう大丈夫です」

「そう。じゃあ、ネプテューヌは?」

「わたしもこの辺で良いと思うな〜。…それじゃ、二人共来てくれてありがとう。また遊びに来てね?」

『……?』

 

 この辺りでどうかしら、とわたしが訊けば、ルナは頷く。もう一人の同行者であるネプテューヌもわたし達に同感を示して…けれどその直後、奇妙な発言を口にした。…来てくれてありがとう…?また遊びに来てね…?

 

「…ネプテューヌ?それって、どういう……?」

「…ふふーん…そう言うって事は、ルナは気付いてないね?セイツも…その顔じゃ、気付いてない感じかな?」

「え、え?いやネプテューヌ、ほんとに何を言って……」

 

 突然始まった、おかしな流れ。何とも含みのある言い方にわたしが怪訝な顔をすれば、ネプテューヌは愉快そうな顔をしていて…数秒後、聞こえ始めたのは走る足音。それは次第に大きく、こちらへ向かってきていて……

 

「とうっ!メイテューヌ改め、別世界のネプテューヌ登場!残念だったね、ルナ、セイツ!そこにいるのは別世界からお呼ばれしたネプテューヌじゃなくて…この信次元のネプテューヌだよっ!」

『えっ、ちょっ…えぇぇぇええええッ!?』

 

 ジャンプしわたし達の眼前へと現れた、別のネプテューヌ。そのネプテューヌはポーズを決めると、にっと口角を上げて笑い……衝撃の事実を、口にした。…って事は、つまり…いつの間にか、入れ替わっていた訳!?え、いつ!?どのタイミングで!?

 

「な、なんでそんな事を…」

『面白そうだったから!』

「それは凄くネプテューヌらしい!らしいけどもッ!」

 

 茫然と見つめるルナに対して、胸を張って言い切る二人のネプテューヌ。面白そうだから、同一人物である事を活かした入れ替わりドッキリをやってみた…それは本当にネプテューヌらしい、ネプテューヌならやるよねと言いたくなるような行為であり……見事に騙されてしまっていたわたしとルナは、なんだか力が抜けてしまうのだった。




今回のパロディ解説

・「〜〜アニメ版の各話タイトル〜〜」
ハイスクールD×Dのアニメ版における、各話サブタイトルの事。冥次元ゲイムネプテューヌ、ですが原作はHSDDの方なんですよね。冥界違い、というやつです。

・「〜〜わたくし達〜〜」
デート・ア・ライブに登場するヒロインの一人、時崎狂三が自身の分身体を呼ぶ際のパロディ。これ単体では分かり辛いですね。同一人物がいる場だからこそのパロです。

・「〜〜時は来た〜〜」
プロレスラーであった橋本真也さんの代名詞的な台詞のパロディ。前にもパロに使ったかもですし、意識せずとも「時は来た」という文は自然と出てきそうですね。

・「YES!I AM!〜〜」
ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズに登場するキャラの一人、モハメド・アヴドゥルの台詞の一つのパロディ。これ、何故ここだけ英文なのでしょうね。

・〜〜ロム、悲しいね……。
機動戦士ガンダムUCに登場するキャラの一人、ロニ・ガーベイの代名詞的な台詞のパロディ。ロニではなくロムです。ロニは言われる側ではなく言う側ですが。
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